ミリタリーシム『War Thunder』にてまた「投稿してはいけない軍事資料」が相次いで投稿されるも、あっさりスルーされる。もはや日常感も出つつある、禁止資料投稿と削除の応酬
8月から9月にかけて、『War Thunder』の公式フォーラムで立て続けに禁止されている資料が投稿されるも、ユーザーにほとんど反応されないまま投稿が削除。以前のリーク騒ぎとのユーザー反応の落差が話題になっている。PC Gamerが報じている。
『War Thunder』は、Gaijin Entertainmentが開発・運営中の基本プレイ無料MMOミリタリーシミュレーター。PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/ Xbox SeriesX|S/PC向けに配信されている。本作でプレイヤーは歴史的資料にもとづいて再現された戦車・航空機・軍艦などを操作。史実上の戦場をモチーフにしたマップにて戦いを繰り広げる。
実在の兵器やマップをモチーフとする性質上、史実と照らし合わせてどれほど正確に再現されているかは重要な点だ。そのため、公式フォーラムでは設定の“正確性”についての議論がユーザー間で紛糾することも。そして過去には、加熱しすぎた一部ユーザーがイギリス軍の戦車や中国軍で使われた砲弾の諸元など、軍事機密情報を投稿してしまい大きな騒ぎに発展した(関連記事1、関連記事2)。軍事機密や頒布制限のある軍事文書・情報の同フォーラムへの投稿は、各国の法やフォーラム規約に照らし合わせてもちろん御法度だ。こうした事態を受け、7月22日には本作公式フォーラムにて文書を投稿する際のガイドラインが改めて厳格に定められるなど、文書を投稿する際の禁止事項の周知徹底が図られている。
しかし、ガイドライン制定後も、8月、9月と立て続けに“投稿禁止されている資料”が投稿されてしまったようだ。8月末には戦闘機(Eurofighter Typhoon DA7)、9月頭には戦闘ヘリ(AH-64D Apache Longbow)とステルス戦闘機(F117 Nighthawk)に関するマニュアルなどの文書や情報がそれぞれ投稿されたのだ。
これらはいずれも機密文書(classified document)ではないと見られるものの、軍外部への頒布が制限されている(export restrected)文書や情報だ。そして同フォーラムのガイドラインにおいてはそうした閲覧制限のある情報の投稿も禁止されており、いずれの投稿も削除されている。
そんななか、フォーラムのユーザーたちの反応は意外と薄い。公式フォーラムで多数の関連ワードで検索をかけてみても、前述の一連の文書に言及している投稿は数えるほどしか見つけることができなかった。モデレーターでさえ声明を出すことはなく、ユーザーからの質問に答える程度。いずれの事態も素早く沈静化されたようだ。“禁じられた情報の共有”が頻繁すぎてユーザーたちが麻痺しているのか、モデレーター側も削除対応に慣れきったためか、以前のような波風は立っていないわけだ。
また、同フォーラムではユーザーにより、機密解除され公になった兵器の情報が投稿されることは珍しくない。そして投稿されたのが国家機密ではなく、あくまで閲覧制限のかかった文章だと見られるのも留意したい点だ。前述の削除された軍事ヘリ資料と見られるPDFファイルなどは、閲覧制限はあっても検索エンジンで探せば見つけられる状況。そうした事情もあり、一連の投稿がユーザーたちに「大したことではない」と受け止められた側面もあるかもしれない。
とはいえ、ルール違反はルール違反である。また、資料の性質や各国の法によっては、罪に問われる可能性もある。モデレーターの負担を考えても、そうした資料の投稿は避けるべきだろう。そして、いずれにしてもご法度の資料が投稿されたという事態に対して、ユーザーたちの反応がどんどん薄まっているのは興味深い点だ。