MMOミリタリーシム『War Thunder』公式フォーラムにて、軍事機密が“またまた”投稿される。今度は中国


基本プレイ無料ミリタリーシム『War Thunder(ウォーサンダー)』公式フォーラムにて、中国軍の砲弾に関する軍事機密らしき資料が公開されてしまったようだ。同フォーラムにおける軍事機密漏洩は、広く知られている限りこれで3度目となる。OSINTtechnicalなどが伝えている。


『War Thunder』は、Gaijin Entertainmentが開発・運営中の基本プレイ無料MMOミリタリーシミュレーターだ。本作でプレイヤーたちは、歴史的資料にもとづいて再現された戦車・航空機・軍艦などを操作。史実上の戦場をモチーフにしたマップにて、戦いを繰り広げるのだ。リアリティに重きを置いたミリタリーシムという性質上、本作ファンの間ではゲーム内での兵器再現度について議論が巻き起こることもある。本作公式フォーラムも、そうした議論が起こる場のひとつだ。そして『War Thunder』公式フォーラムでは、議論にヒートアップして軍事機密を投稿してしまうユーザーがいるのである。しかも機密漏洩が起きたのは1度ではないのだ。

昨年7月には、フォーラム上で英国の戦車Challenger 2の再現性についての議論が過熱。Challenger 2の指揮官を務めていたと主張するユーザーが、同戦車のマニュアルをフォーラムに投稿してしまった。こちらは開発・運営元が英国国防省に確認したところ、機密扱いの情報と判明。投稿削除に至った。さらに昨年10月には、別の機密漏洩騒ぎが発生した。フランスのLeclerc S2戦車の砲塔旋回速度を巡る議論において、あるユーザーが機密扱いの資料を投稿した。こちらも即座に削除され、モデレーターより「現代兵器の機密資料リークは冗談では済まない」として注意勧告がなされていた(関連記事)。兵器の正確な再現性を求めるあまりの軍事機密ポロリは、一旦鳴りを潜めたかに思われた。

しかし今回、3回目の軍事機密漏洩が起きてしまったようだ。軍事情報を伝えるOSINTtechnicalおよびPolygonなどの報道によれば、フォーラム上に投稿されたのは砲弾DTC10-125に関する資料だ。同砲弾は中国軍において現在運用されており、『War Thunder』内にも実装が見込まれている。実際に投稿された画像は、同砲弾の諸元が記された説明書を収めたものだ。また、説明書の上にはご丁寧に、弾体と見られる金属棒までが乗せられていた。あくまでいちユーザーの投稿に過ぎず、記載されている一部データについては公にされてもいる。しかし、運営元は「中国における軍事機密である」として、この投稿を削除したようだ。

今回の一件についてGaijin Entertainmentは、Kotakuに向けてコメントを寄せている。そちらによれば、今回の投稿者はBAN処分を受けたとのこと。フォーラムにおいて軍事機密を公開することは禁止されていると、改めて強調している。また、『War Thunder』の開発に利用するデータについては、“合法的な範囲において”全力で調査にあたっていると説明。たとえ正確な情報であろうとも、漏洩した軍事機密がゲーム内に反映されることはないとの旨を伝えている。

自己の正当性を示すためか、軍事機密を公の場にぶちまけてしまう者たち。しかし、リークしたところで、その情報が開発に活かされることはないわけだ。それどころか、開発・運営元、そして軍事に携わる人々にも多大な迷惑がかかる行為である。情報漏洩者自身にも、各国の法に則った裁きが待っていることだろう。