MMOミリタリーシム『War Thunder』公式フォーラムに「軍事機密資料」が投稿される。兵器の再現度にこだわるファンがまたも暴走

 

デベロッパーのGaijin Entertainmentが開発・運営中の基本プレイ無料MMOミリタリーシミュレーター『War Thunder(ウォーサンダー)』。本作では、20世紀初頭から現在までの実在の戦車・航空機・軍艦が収録され、実際の戦場をモチーフにしたマップでのバトルを楽しめる。

そうした収録兵器は、歴史的資料などに基づいて制作されているとあって、本作はミリタリーファンからも注目されているようだ。公式フォーラムでは、ゲーム内での兵器の再現度などについて日々議論が交わされている。ただ、議論が白熱するあまりに、“軍事機密が流出”する事態にもなっているという。海外メディアPC Gamerなどが報じている。
 

(Leclerc S2 Image Credit: War Thunder Wiki)

 
『War Thunder』の公式フォーラムでは、フランスの戦車「Leclerc S1」と「Leclerc S2」の違いについて、あるユーザーが質問していた。ステータス上ではどちらも同じではないかとして、両者は何が異なるのかを聞いていたわけだ。そして、例のごとく同戦車の再現度についての議論に発展。元々の投稿は昨年11月におこなわれたものであるが、スレッドは現在まで続いている。

同フォーラムでは、実在兵器の本作での再現度を議論する際には、その実物に関するさまざまな資料を持ち寄って、正確なスペックなどを確認し合っている。正確な情報が確認され、ゲーム内との齟齬があれば、開発元に報告し修正してもらうことが目的である。そして今回、Leclerc S2戦車の砲塔の旋回速度についての議論のなかで、問題が発生した。

同戦車の実物の砲塔旋回速度は、フォーラム内ではさまざまな資料から40度/秒が定説となっていたようだが、あるユーザーが別の資料をもとに、異なる見解を投稿。具体的な数値を示し、40度/秒は誤りであると指摘した。その資料は、ほかのユーザーにとって興味深いものだったようだが、ほどなくしてモデレーターによって削除されてしまう。なんと、その資料は機密扱いのものだったそうだ。
 

 
モデレーターはフォーラムにて、現代兵器の機密資料をリークすることは、冗談では済まないとコメント。今もその車両で任務にあたっている人々がおり、その機密情報を公にするということは、彼らの命を危険に晒す行為だと警告した。

実は、『War Thunder』公式フォーラムに兵器の機密資料が投稿されたのは、今回が初めてではない。今年7月、英国の戦車Challenger 2について、やはりゲーム内での再現度について議論が交わされていた。

そのなかで、Challenger 2の指揮官を務めていたと主張するユーザーが、同戦車のマニュアルをフォーラムに投稿し、正しく再現されていないと指摘。その資料は機密扱いの表記があったものの、機密解除のスタンプが押されていたという。しかし、開発元Gaijin Entertainmentが英国国防省に確認した結果、まだ機密扱いであることが判明。投稿は削除された(UK Defence Journal)。
 

(Challenger 2)

 
問題になったユーザーらは、そうした軍事機密資料をどのようにして入手したのか、また機密扱いであることを承知で公開したのかどうかは不明。いずれにせよGaijin Entertainmentは、そうした資料が機密解除されていることが確認されなければ、情報源として扱うことはないとしている。仮に本作収録の兵器と違いが確認されても、そうした資料をもとに改善させることはないということだ。

また、機密資料が投稿された場合、フォーラムを運営する同スタジオが罪に問われる可能性もあるとのこと。そうしたこともあり、モデレーターらは各投稿に目を光らせ、今回のように素早く対処したのだろう。

『War Thunder(ウォーサンダー)』は、基本プレイ無料にてPC/PS5/PS4向けに国内配信中だ。