Unity、批判相次ぐ新料金システムについて「混乱させてしまった」としてユーザーに謝罪。さまざまな声を聞き、近日中にポリシー変更へ

 

Unity Technologiesは9月18日、X同社公式アカウントにて、9月12日に発表された「Unity Runtime Fee」導入案によって生じたユーザーらの混乱について、公式に謝罪するポストを投稿した。なお、同ポスト内では現在社内協議を進めており、近日中にポリシー変更を予定している旨も明かされている。

今回発表された声明は、9月12日にUnity Technologiesより発表された、ゲーム開発プラットフォーム「Unity」の各提供プランの利用料金に、2024年1月1日よりゲームのインストール数を基準とした「Unity Runtime Fee」を加える、という変更にまつわるものだ(関連記事)。

Unity Runtime Feeは、Unityエンジンを利用して開発されたゲームが、エンドユーザーによってダウンロードされた回数を基準として適用される料金支払いの仕組みだ。この料金は、ゲームの過去12か月の収益、あるいは累計インストール数が設定されたしきい値(20万ドル/20万インストール)を超えた場合にのみ発生する。料金の発生条件を満たしたゲームは、それ以降にインストールされるごとに既定の料金支払いが発生し、その額は利用プランやインストール数に応じて変動する。これはつまり、同料金設定の変更以降、Unityエンジンを利用しているゲームがダウンロードされただけで、ゲーム開発者らが追加の料金を支払う可能性が生まれたことを意味している。


この料金設定の変更が発表されて以降、Unityエンジンを利用していた『Among Us』、『Cult of the Lamb』、『Rust』、『Slay the Spire』といった人気タイトルの開発元からは、導入を撤回するよう求めたり、今後Unityの使用を避けることを検討したりといった反応が寄せられた(関連記事)。こうした状況に対し同社は、公式フォーラム上や海外メディアを通した声明により、新料金設定の詳細について繰り返しの説明に追われることとなった(関連記事1関連記事2)。

そうした状況のさなか、9月15日にUnity Technologies広報担当者は、同社複数のオフィスが脅迫を受けた旨の声明を報道機関に向けて発表。同社は従業員の安全を考慮して一時的に閉鎖を余儀なくされた(関連記事)。しかしながら、のちにこの事件は、サンフランシスコ市警察の捜査により、同社従業員による犯行であったことが明らかとなる(関連記事)。サンフランシスコ市警察が海外メディアPolygonに伝えた情報によれば、同社従業員が雇用主に対してSNSを使って脅迫行為に及んだ経緯があったとのこと。また、この事件の一方SNS上では、同社従業員であった人物から「新料金形態については、多くの社員が反対していた」といった内容の証言や、新料金形態の発表後に同社を離れたとする人物もあらわれ、内部事情の一部も明らかとなっている。


こうした経緯を経て今回発表された声明においては、不信感を寄せる開発者らへの対する明確な謝罪と、同料金設定の変更を示唆する内容が含まれている。これは、これまで同社がおこなっていたUnity Runtime Feeの詳細説明に終始するといった対応とは異なり、同社が新たな対応を模索していると思われる内容だ。今後も同社およびUnityコミュニティの動向を、注意深く見守りたい。