Unityの複数のオフィスが「脅迫」を受けて一時閉鎖に。新料金システム導入を巡る混乱続く

 

Unity Technologiesは9月12日、ゲーム開発プラットフォーム「Unity」について、各提供プランの利用料金に加えて、ゲームのインストール数を基準とする「Unity Runtime Fee」を2024年1月1日から導入すると発表。これを受けて、Unityを利用するゲーム開発者は困惑や不満をあらわにしている。一部ユーザーの怒りは脅迫というかたちでオフィスを一時閉鎖に至らせたようである。


Unity Runtime Feeは、利用者が開発したゲームがエンドユーザーによってダウンロード・インストールされた回数を基準として適用。ゲームの過去12か月の収益が最小しきい値を超えており、かつ累計インストール数が最小しきい値を超えている場合、さらにインストールされるたびに規定の料金の支払いが求められる。Unity TechnologiesはUnity Runtime Feeの導入について、Unityの利用料金の値上げであると認めつつ、実際に支払いが発生する利用者は全体のごく一部だと説明している(関連記事)。一方でこの発表後には、Unityを利用するゲーム開発者を中心に、非常に多くの反発を招くこととなった。

そうした中で今回、Unity Technologiesの複数のオフィスが脅迫を受けており、従業員の安全を考慮して一時的に閉鎖されたことが明らかになっている。Unity Technologiesの広報担当者が報道機関に向けて投じた声明によって明らかになった。Bloombergによると、本件を受けて、Unity TechnologiesのCEO・John Riccitiello氏による従業員向けミーティングも中止になったという。

またX(旧Twitter)上では、Unity Technologiesの従業員も本件について報告している。シニアプロダクトマネージャーを務めるUtsav Jamwal氏はテキサス州オースティンのオフィスと、カリフォルニア州サンフランシスコのオフィスが閉鎖になっていると説明。本件に対し、驚きと落胆を述べている。またXR部門のシニアプロダクトデザイナーのJavier Busto氏も声明を投稿。本件を「最悪」の事態としつつ、従業員を標的にすることは思いとどまってほしいと呼びかけている。

Unity Runtime Fee発表後には、導入を撤回するよう求めたり、今後Unityの使用を避けることを検討したりといった反応が見られる。サバイバルゲーム『Rust』やデッキ構築ローグライク『Slay the Spire』といった人気作の開発元が“脱Unity”を表明。一部開発者らは、事前の相談や告知なく導入される点に、信頼を裏切られたといった怒りの声を上げている状況だ。またリソースを注ぎ込んできたUnityでの新作開発を取りやめ、別のゲームエンジンへの移行を宣言する開発元も見られる。一方のUnity Technologies側は「ほとんどの開発者に影響はない」点を何度も強調。説明対応に追われている様子だ(関連記事)。

そうした状況下で今回、同社に対して脅迫というあるまじき行為がおこなわれ、複数のオフィスが一時閉鎖を余儀なくされたようだ。同社の声明によると、従業員の安全を最優先事項として、早急な対処(オフィスの閉鎖)がおこなわれたとのこと。捜査に関しては警察当局に全面的に協力をおこなっているという。