『FF14』パッチ6.3メインクエストの“食事描写”がすごい。ほかほかの湯気とシズル感


スクウェア・エニックスは1月10日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のパッチ6.3「天の祝祭、地の鳴動」を配信した。本パッチではメインクエストをはじめとした新コンテンツが多数実装され、光の戦士たちはアップデート後の世界を楽しく駆け回っていることだろう。そんなパッチ6.3だが、メインクエスト中のとあるグラフィックのクオリティに感動する声が国内外問わず見受けられる。ムービー中に登場した“食事描写”へのこだわりが、これまでの『FF14』とは一線を画しているのだ。

以下、パッチ6.3メインクエストのネタバレを含む。




頭抜けたこだわりが披露されたのは、パッチ6.3メインクエストでのこと。第十三世界から原初世界へとやってきたゼロが、テルティウム駅での食料配給の手伝い中に自身も食事を振る舞われるシーンである。


作中、テルティウム駅にて元ガレマルド兵のユルスにアジムステップ(遊牧民族が暮らす、モンゴルをモチーフとした地域)の郷土料理・ボーズを手渡されるゼロ。食事に対して理解の浅いゼロが首を傾げていると、ユルスはボーズを2つに割り、中には香辛料を強めに効かせた具が入っていることを話す。そのアニメーションのクオリティが、『FF14』の食事描写の中でも際立って高いのだ。

物理演算で柔らかに割れるボーズ、中からふわりと上がる湯気、シズル感のあるつややかな具。ムービーを見ているプレイヤーまでお腹が空いてくる仕様である。現実のモンゴルで作られているボーズは蒸し餃子だが、『FF14』のボーズはどちらかというと肉まんに近い。コンビニやスーパーなどで馴染みがある日本人ならなおのこと、この季節にこのムービーを見せられるとたまらない気持ちになるだろう。


ゼロはパッチ6.2「禁断の記憶」のメインクエストにて、食事を「好きじゃない」と表現していた。エーテルを取り込むことで他者と混ざり合い、自分を見失うことが嫌なのだと。しかし、光の戦士をはじめとした仲間と行動し、独特の行動理念に変化が生じてきたなかでの今回の食事シーンでは、食べることそのものや原初世界の文化について理解を示す様子が描かれる。

ユルスは作中、自身の出身であるガレマルド(ロシアをモチーフとした地域)の郷土料理になぞらえて、ボーズを「ピロシキのようなもの」と表現した。かつてガレマルドが隆盛を誇っていた時代、家族と食べたピロシキについてゼロに語り聞かせるユルス。戻らない日々を想うユルスの内心に、滅びてしまった第十三世界出身のゼロもいくらか共感したのかもしれない。

ゼロの心境の変化と、ユルスを始めとしたガレマルドの人々の郷愁。この二つが表現されたムービーシーンで食事描写に力を入れるのは、没入感に一役買っている。柔らかな割れ方とほかほかの湯気に力を入れるのには、コストをかけるだけの理由がある。そう感じられるムービーだと筆者は考える。


『FF14』ではパッチ5.X後半ごろから、液体を注ぐシーンや食事シーンなど、ムービー中の細かな描写に力を入れてきた。かく言う筆者も、パッチ6.0メインクエスト内でアリゼーとグ・ラハ・ティアがハンバーガーを食べるシーンでチーズの伸び方に驚いた一人である。パッチ6.3におけるボーズの描写も、『FF14』のムービーシーンが日々進化し続けていることの現れであろう。

『FF14』では次回拡張ディスクであるパッチ7.0のタイミングで大規模なグラフィックスアップデートを予定している(関連記事)。ムービーシーン以外の場所でも、『FF14』の世界はどんどん進化していくことだろう。アップデートされていくアーテリスがどのような彩りを見せてくれるのか、今後も目が離せない。


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