『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の高難易度レイドにおいて、規約違反ツールを用いて設置されたとみられるフィールドマーカーが出回っているようだ。SNSや公式フォーラムでは「脱法マーカー」と呼ばれて話題になっており、多くのユーザーが注意を呼びかけている。
「脱法マーカー」が出回っているのは、8月30日に実装された高難易度レイド「万魔殿パンデモニウム零式:煉獄編3層」である。煉獄編3層では、中盤のフェーズ「魔印創成・獄」において、3分割されたフィールドのうち1つの足場に8人が固まってギミックを処理する、プレイヤー間では「獄八」と呼ばれる解法が存在する。初期攻略では2つの足場に4人ずつ散らばって処理していることが多かったものを1つの足場に集合させ、ヒールが容易であったり攻撃しやすかったりとメリットが多いが、立ち位置がややシビアなのが特徴だ。そのシビアな立ち位置の目安として出回っているのが、規約違反ツールで設置されたとみられる「脱法マーカー」である。
『FF14』のフィールドマーカーは、戦闘中に設置や解除をすることができない。目安として置きたい場所がある際は戦闘開始前にセットしておく必要があり、設置できる場所はフィールド上に限られている。「獄八」で使用するフィールドマーカーも戦闘前に設置できれば何の問題もないのだが、煉獄編3層は戦闘中にフィールドの形状がたびたび変化する。目安となる場所は戦闘前および戦闘終了後は足場がない位置で、通常であればマーカーを設置することはできないはずなのだ。そのため「脱法マーカー」を設置すると、戦闘開始前は空中にマーカーが浮いているように見える。
上記の理由から、現在出回っている「脱法マーカー」は規約違反のツールを使用してマーカーを設置している可能性が高い。「脱法」という名で話題となっているものの、『FF14』では外部ツールの利用は規約で禁じられている。筆者の個人的な意見になるが、「違法マーカー」「規約違反マーカー」と呼んだほうがしっくりくる。
また、『FF14』では他プレイヤーが設置したフィールドマーカーを保存し、自分が同じコンテンツに突入した際に利用できる機能があることも拡散の要因となってしまっている。野良の攻略パーティで設置された「脱法マーカー」を参加者が保存機能でコピーし、他のパーティに参加するときにそのマーカーを設置することで、ねずみ算式にマーカー保持者が増えていってしまったというわけだ。マーカー保持者のなかには、通常の方法で設置できないとは知らずにコピーしてしまっているプレイヤーもいるかもしれない。挙げ句の果てにはフィールドマーカーを配布する目的でパーティ募集が立てられる事例も目撃されているようで、「脱法マーカー」蔓延に歯止めがかからない状況が続いている。
『FF14』のフィールドマーカーはかつては戦闘中にも自由に設置することができたが、2020年2月のパッチ5.2にて不可能になった。システム変更の背景にはフィールドマーカーを瞬時に置き換えることができる規約違反ツールが蔓延し、レイドレース参加チームが公開した動画でも使用風景が写り込んで物議を醸したことがある。パッチ5.2にて自由な設置を不可能にする代わりにフィールドマーカーの保存機能が追加されたものの、高難易度レイドにおける戦略の幅が狭くなったとする意見も少なくない。今回の「脱法マーカー」も規約違反ツールでフィールドマーカー機能を悪用しているが、パッチ5.2におけるアップデートと同様にプレイヤーに不便を強いる結末を辿る可能性もある。
規約違反ツールで設置されたフィールドマーカーを使用した場合、最悪の場合アカウント停止などの処罰対象になる可能性もある。空中に浮かぶ怪しげなフィールドマーカーを見かけても決して保存せず、可能であればそのマーカーを使用しての攻略も控えるようにしたい。
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