『オーバーウォッチ2』と『ディアブロ IV』は2022年にリリースできず。まだまだ時間がいる
Activison Blizzardは現地時間11月2日、同社が手がける『オーバーウォッチ2』および『ディアブロ IV』について、2022年にはリリースしないと明らかにした。海外メディアVentureBeatが報じている。
報道によれば、両作のリリース時期について明かされたのは、先ごろおこなわれたActivison Blizzardの投資家向け収支報告会だ。同社は『オーバーウォッチ2』および『ディアブロ IV』について、2022年内にはリリースしないと伝えた。2023年以降の発売時期についても不明だ。同社はこのリリース時期について「当初の想定より後ろ倒し」だと明かしている。延期の理由については、「長きに渡り愛されるタイトルとするため、リリース後のサポートのためのリソース準備と、作品の完成に費やす追加期間を取った」としている。
また、現在Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)で社長にあたる職務を共同で務めるMike Ybarra氏は、開発メンバーの変化を延期理由のひとつとして挙げている。Blizzardでは、先ごろ勃発した性差別問題などを発端として開発者の離職が相次いだ。『オーバーウォッチ2』については、同作元エグゼクティブプロデューサーのChacko Sonny氏がBlizzardを辞職(関連記事)。『ディアブロ IV』については、同作元ゲームディレクターのLuis Barriga氏など主要開発者たちが開発チームを去っている(関連記事)。いずれの作品も重要開発メンバーが去った状態になり、開発プロセスに影響が出たのだろう。
今回取り沙汰された両作は、どちらも多くのファンを抱える人気シリーズの新作だ。『オーバーウォッチ』は、チームワークと戦略性を重視した対戦FPS。多様性を重視した幅広いキャラクターデザインや設定にも人気があり、先ごろの性差別騒動では多くのファンが失望の声をあげていた。しかし、未だに新作『オーバーウォッチ2』に期待をかけるファンも多い。アクションRPG『ディアブロ』はいわゆる「ハクスラ」ジャンルの金字塔として、1997年の初作から多くのファンの心を掴んできた。いずれの作品も発表から約2年が経過している。今回のBlizzardによる報告は、待ち焦がれたファンにとっては辛い知らせだろう。
また、Blizzardは来年2022年初頭に予定していた「BlizzCon 2022」についても、中止を発表している。「BlizzCon」は同社作品にまつわる祭典として、2005年よりほぼ毎年開催されていた恒例イベントだ。同社は中止の理由について、イベント開催に要するリソースを同社チームの支援などにあて、開発を促進するためと伝えている。また、イベント自体の方針についても見直していくそうだ。恒例イベントの中止も、Blizzardの近年の環境変化を受けての取り組みのひとつだろう。
今年はハラスメント問題や訴訟など、激震に揺らいだBlizzard。先ごろには、親会社Activision BlizzardのCEOであるBobby Kotick氏が減俸および体制改善について表明するなど、一定の対策も見せている(Polygon)。しかし、一連の騒動の発端となったDFEHによる訴訟は未だ決着しておらず、問題は完全には解決していない。多くの痛手を被ったBlizzardが環境を改善し、クオリティの高いゲームを届けられるよう再起していけるか、じっくりと見守りたい。