基本プレイ無料バトルロイヤル『Vampire: The Masquerade – Bloodhunt』が、配信目前にして一部プロダクトキー再販業者により“有料”にされてしまったようだ。ともすれば詐取にさえ至る可能性もある事態に、関係者がSNS上で注意を呼びかけている。Kotakuが一連の詳細を報じている。
『Vampire: The Masquerade – Bloodhunt(以下、Bloodhunt)』は、Sharkmob ABが開発・配信する三人称視点バトルロワイヤルゲームだ。現地時間9月7日からPC(Steam)向けに、早期アクセスとして基本プレイ無料での配信を予定している。有料版やサポーターパックなども配信されておらず、今回有料とされてしまったのは再販業者側でのミスの可能性が高い。
まず、プロダクトキー再販業者(リセラー)について説明したい。Steamなどのゲーム販売プラットフォームにはオンラインストアで直接ゲームを購入する形態のほか、プロダクトキー(CDキー)と呼ばれるシリアル番号を入力して製品を入手するシステムが存在する。Steamキーもこれに含まれる。プロダクトキーは主にAmazonやHumbleなど、公式ストア以外の販路でゲームを販売する際に利用される。そうしたキー販売業者は複数存在し、前述のHumbleやGamesplanetなどSteam運営元Valveから公式にライセンスを受けたとする事業者のほか、未認可でキーを販売している業者も存在する。
キー販売業者は通称「鍵屋」とも呼ばれ、一部業者についてはキーの仕入方法やコンプライアンスにもとる行為で批判を受けることもある。特にリセラー大手G2Aについては一部開発者からの強い批判の声を受けており、「G2Aで買うくらいなら海賊版で遊んでほしい」とコメントする開発者もいた(関連記事)。ほかにもG2Aは不正購入されたキーを販売していたことで被害メーカーに補償金を支払うに至っているなど、何かと問題点が持ち上がる業者だ(関連記事)。ただ、キー再販業者は問題のあるものばかりではない。公式ストアより比較的安値でゲームを入手できたり、一部ゲームについては地域によるゲーム内表現や価格の違いを回避できるなど恩恵もあり、特定のユーザーにとってはありがたい存在でもある。
今回、問題となったのはイギリスのキー再販業者CDKeysの『Bloodhunt』販売ページだ。記事執筆現在、購入こそできないものの同サイトでは同作を2196円で販売する予定になっている。キー再販業者が事前に予約購入を受け付けるケースは珍しくないため、おそらく詐取の意図はなく単純に先走った業者側のミスだと考えられる。しかしながら、万が一販売された場合には無料のゲームに金銭を払うユーザーが発生する可能性もある。2196円という価格も何を基準に設定されたのか不明で、同プラットフォームの信頼性を疑ってしまう出来事だ。
今回の異常事態に反応したのが、TRPGシリーズ『World of Darkness』のブランドコミュニティマネージャーであるMartyna Zych氏だ。ビデオゲーム『Vampire: The Masquerade』シリーズは、『World of Darkness』シリーズの第一作に端を発する作品であり、Zych氏は原作側の関係者ということになる。同氏は自身のTwitterアカウント上で“皆さんへのお知らせ”として、キー再販業者サイトのスクリーンショットを引用。「『Bloodhunt』を!買わないで!無料!だから!」と語気を強くして警鐘を鳴らしている。
キー再販業者も玉石混交である。問題のある業者では、販売されたプロダクトキーが無効化されるなどの例もあり、利用する場合はHumbleなど大手の信頼できるプラットフォームを選びたい。
『Vampire: The Masquerade – Bloodhunt』はPC(Steam)向けに現地時間9月7日早期アクセス配信予定。基本プレイ無料で配信される。