『原神』ボイコット運動が英語圏ユーザーの間で発生。先住民問題に始まり、小児性愛からゲームへの不満まで混沌の様相

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英語圏のプレイヤーの間で『原神』のボイコット運動が発生している。Twitterに投稿された開発現場の一場面が発端と見られ、「#boycottgenshin(原神をボイコットしよう)」や「#DoBetterMihoyo(改善してくれmiHoYo)」といったタグが『原神』のプレイヤーの間で流行し、掲示板サイトredditにも波及。コミュニティを巻き込みながらゲームへの不満やミームが入り乱れる混沌とした状況が今も続いているようだ。PC Gamerが報じている。

Image Credit: Genshin Impact Game DB


発端と見られるツイートは、開発元であるmiHoYoのオフィスツアー動画に映ったシーンを指摘するものだ。具体的には、『原神』の敵キャラクターであるヒルチャールのモーションと、実際の先住民族の動画を開発者が比較している場面のように見受けられる。このツイートは大きな反響を呼び、これ以降「#boycottgenshin」タグに『原神』関係の多数のツイートが行われている。

何が問題視されているのかというと、先住民の資料がゲーム内キャラであるヒルチャールの制作に利用されている可能性があることだ。実際に先住民を祖先に持つとするTwitterユーザーの@EM0GOJO氏は「まるでからかわれているような気持ちになる」と言い、一連のツイートで「ヒルチャールが先住民に触発されて作られていることは絶対に受け入れられない」、「わたしたちの文化はmiHoYoが勝手に利用してよいものではない」との意見を表明している。ゲーム内ではモブ敵として登場するヒルチャールの制作参考にされていることや、面白おかしいものであったりステレオタイプなものとして解釈されている可能性があることを、危惧しているようだ(本稿執筆時点で同ツイートは削除済み)。同じく先住民族の血筋であるというTwitterユーザーらによる同意のリプライやツイートが投稿されている一方で、「『ゼルダの伝説』シリーズにも先住民をモチーフにしたキャラクターが出ている」などの指摘も寄せられている。

※ 問題の動画。ヒルチャールは1:30~に一瞬映る


議論が加熱する中では『原神』の他の部分にも批判がおよんでいる。たとえば、肌が黒く描写されている辛炎やガイアについて批判するプレイヤーも現れた。辛炎については、気の強い性格で他のキャラクターから怖がられている点。ガイアについては、英語版の紹介文における「exotic appearance(日本語版では“異国の顔”)」という表現が、人種差別を助長するものではないかという声があがった。

また、ロシアを彷彿とさせる雪国スネージナヤについても、土地やキャラクターの描写がステレオタイプ過ぎるとの批判が寄せられている。一方で、こうした批判に対する反論も存在している。自身をロシア人とするプレイヤーは、「ゲームはゲームであり、作中での描写を好んでいる」として、miHoYoを批判するプレイヤーたちのスタンスに疑問を呈している。

出口の見えない議論はどんどん白熱していき「辛炎が怖がられているのはキャラクター性が理由で、肌の色が原因ではない」といった反論が出ているほか、「ガイアの紹介文のexoticは誤訳ではないか」、「ヒルチャールは本当に“悪”か?」など、ゲーム内設定の解釈などにまでおよんだ。

Image Credit: Genshin Impact Game DB


さらにはアルバートという男性NPCが、フローラという若すぎる少女のNPCに告白をするクエストラインが小児性愛描写ではないかと問題提起されている。たしかにどう見ても幼い少女に見えるフローラだが、クローズドβテスト時点ではフローラはもっと年上の女性という設定で、キャラクターモデルも成人女性らしきものが割り当てられていたという。子供が少ないという理由でモデルが変更されたものの、テキストは変更されておらず、設定とストーリーの食い違いが生まれてしまったのではないかと指摘する意見もある。


本記事執筆現在における「#boycottgenshin」および「#DoBetterMihoyo」タグは、混沌の様相を呈している。紆余曲折を経た結果、議論よりもゲームにまつわるミームや成人向けの絵が投下されることに。そのほか、「ハッシュタグ上で、ガチャや樹脂、セキュリティの問題について語っているかと思ったがちがった」と冗談めかしてゲームに対する不満を述べるツイートや、まったく『原神』と関係ないツイートまでもが入り乱れている。

海外掲示板サイトredditの『原神』コミュニティである/r/Genshin_Impactにも、今回のTwitterでの騒動が波及。ボイコットや先住民問題に関するスレッドが乱立した。モデレーターによって今回の騒動に関する投稿は「#BoycottMihoyo is so stupid(#BoycottMihoyoなんて馬鹿げてる)」というスレッド内に制限されている。筆者の見る限りでは、Twitterと比較して冷静な意見交換が行われている印象であるが、こちらでもmiHoYoを擁護する意見が多く見かけられる。また、スレッド内では、騒動の争点となったヒルチャールに扮してmiHoYoのCEOである劉偉(Liu Wei)氏その人が「変わったヒルチャール」という形でゲーム内にカメオ出演している事も指摘され、ヒルチャールというキャラクター自体には差別的意図がないということの根拠とする意見もある。

全世界でゲームをリリースする上で、人々の人種や文化を尊重することは、現代においてゲーム企業に強く求められる事柄。『原神』は一貫して架空の世界という設定のファンタジー作品として展開されてきたが、実在の先住民族らしき動画を参考にしている様子が明らかになったことで、“現実”との接点が生まれ、今回の騒動に発展してしまったかたちだ。

同様に架空の世界と“現実”とのあいだに接点が生まれて議論におよんだ例としては『Sky 星を紡ぐ子どもたち』における帽子のモデル問題があげられる。こちらの場合はアイテムデザインの元となった文化をめぐって議論となり、開発者個人が「中国文化を元にした」と表明。一方で開発元は、歴史的に重要な衣服デザインが含まれていたことを認めて謝罪し、ふたたび論争をまねかないよう努力することを約束するとともに、あらゆる国籍のプレイヤーたちの融和をうながすメッセージを発表していた(関連記事)。

混迷をきわめる今回の『原神』ボイコット騒動だが、そもそも発端となったのは「先住民の文化資料を参照してゲームに利用しているのでは」という指摘だ。そこから発展して多種多様な意見が交換されるなか、渦中のmiHoYoがこの騒動をどう受け止めるのか、今後の動向に注目したい。

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