スクウェア・エニックスが運営するMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)にて、奇妙な不具合が発見された。1月28日、プレイヤーのesikiTM氏は『FF14』公式フォーラムに不具合報告を投稿。内容はタイトルのとおり「蒼天街内のベッドで寝転がった状態でログアウトすると次のログインで雲霧街の道端に寝転がった状態になる」というものだ。シュールな光景も相まって、投稿を目にしたプレイヤーの間でこの現象が話題となっている。
仕様×仕様=不具合?
筆者もいくつかのエモートで検証してみたが、「座る」「地面に座る」「居眠りをする(ベッドで就寝時)」の3つのエモートで再ログイン時のポーズ引き継ぎが再現できた。これらのエモートは少し特殊で、通常エリアで座ったり寝転がったりしたままログアウトした場合にも、次にログインしたときはログアウト時のポーズが引き継がれる。つまり、座ったまま・寝転がったままログインされてしまうこと自体は仕様なのだ。
蒼天街から追い出されてしまうのも、実は仕様である。蒼天街では復興期間中、多くのプレイヤーが集合して作業に勤しむお祭り的イベント「復興共同作業」が定期的に開催されていた。このイベントには非常に多くのプレイヤーが集まり、ゴールデンタイムなどに復興共同作業が開催されるとインスタンスに入場できないプレイヤーが発生することもあった。エリアを強制的に移動させないとエリア混雑時にログインできなくなってしまう可能性もあり、蒼天街でログアウトした際は次回ログイン時に雲霧街へとキャラクターが出される仕組みになっているのだ。
この仕様が組み合わさった結果、今回の不具合が起こったと考えられる。通常のエリアであればログアウト時のままのポーズでログインできるところが、エリアチェンジの関係でおかしな挙動になってしまっているのだ。寒空の下で悠々と寝転がるのも十分に奇行じみているが、なんとベンチに座ってログアウトした場合は空気椅子状態になってしまうという報告も。現在はこの不具合が話題になったためか、蒼天街から雲霧街に放り出された冒険者たちが思い思いに転がっている姿を見ることができる。
なお、同じくログアウトで追い出されるエリアにハウジング内があるが、こちらは特におかしな挙動を起こしてはおらず、ログアウト時に座ったり寝転がったりしていても次のログインでは家の前で通常の立ちポーズを取っている。
本現象を再現するためにログアウトする蒼天街は、イシュガルドの人々とプレイヤーたち冒険者が都市の復興を目指している街だ。パッチ3.Xシリーズ「蒼天のイシュガルド」にて戦乱で傷ついた街は、今月上旬にリリースされたパッチ5.41でのアップデートでめざましい発展を遂げた。ワールドごとに進捗は異なるものの、多くのプレイヤーが復興完了した街を目にしたことだろう。一方、ログインして目覚める雲霧街は、言ってしまえばスラム街。そこに住む人々は日々を生きるのに必死で、のんきに寝転がってなどいれば財産を剥ぎ取られてもおかしくない場所である。寝転んでいる場所が場所ということもあり、シュールな光景がプレイヤーの笑いを誘ったようだ。
スクショ撮影は慎重に
また、『FF14』ではベッド以外のところで寝転がることができないのも、話題となったポイントと言えるだろう。『FF14』はグローバル展開を行っている関係から、卑猥なスクリーンショットに利用される可能性のあるエモート実装に関して非常に慎重である。2016年9月リリースのパッチ3.4「魂を継ぐ者」でフィールド上の特定の場所で寝転がることができるようになった際、そのパッチノート朗読会でプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は、「どこでも寝られると、悪い人たちが卑猥な動画を作るのが怖い」(リンク先1:38:50~)と語っていた。以降、コミュニティの良識的な動向を見てか少しずつ寝転がれる場所は増えてきたが、それもベッドやハンモックの上に限られている。地面ですやすやと眠るキャラクターを見ることができるのは、たとえスラムの路上であってもめったにないことなのだ。とはいえ、今回の仕様を利用して卑猥なスクリーンショットなどを撮影するのは言語道断。運営側の信頼を裏切ることになりかねない。いくら治安が悪い雲霧街とはいえ、不埒なことは考えず、寝転がっているキャラクターを面白がる程度にとどめておこう。
ちなみにこの投稿の数日前、行き倒れロールプレイを行っているプレイヤーがコミュニティの話題となっていた。そういう意味で今回の不具合は、志半ばで行き倒れ、スラムで荷物を漁られ、放り出されるロールプレイにぴったりの場所とも言えるかもしれない。
仕様と仕様が組み合わさった結果、奇妙な不具合が生まれてしまった『FF14』。何ともいえない笑いを誘う不具合ではあるものの、運営側が以前から慎重に対応を検討していた地面に寝転がるモーションが思わぬかたちで行えるようになってしまったことには懸念が残る。どうかいかがわしいスクリーンショットの撮影に利用されないことを願うばかりである。
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