『あつまれ どうぶつの森』の人気住民ジャックをめぐり、また新たな動きがあったようだ。本作から新登場したオッドアイの美ネコ、ジャック。その人気にまつわる狂気や暗黒市場については弊誌でも何度かお伝えしてきたとおりだ。プレイヤーはみな、憧れのどうぶつジャックを我が島へお迎えするために必死なのである。そんな中、人々のジャック熱を逆手にとった新たなエンターテインメントが誕生しようとしている。「ジャック争奪レース」である。
主催者は、YouTubeの配信チームCrunchy Island。たまたまジャックを島に迎え、しかも引っ越しフラグを立てることになったふたりは、彼を譲渡するにあたりひとつの興趣を思いついた。どうせならいちばん愉快な方法で、ジャックを手に入れるにふさわしい人物を選ぶのだ。そしてお触れが出された。ふたりの島を訪れた人は、誰でもジャックを勧誘して構わない。ただし彼のもとに辿り着くには、島一面に構築された巨大な迷路を解かないといけないのだ。そしてこれは競争でもある。参加者は一斉にスタートし、誰よりも早く出口を目指さなくてはならない。ゴールはまさしくジャックの家だ。そこには段ボール状態の伊達猫が待ち構えており、次なる島主の誘いを焦がれている。先にジャック宅に辿り着き、引っ越しの勧誘に成功すればめでたくプリンスのお迎えとなるわけだ。
『あつ森』で迷路を作るという発想はそんなに珍しいものではない。たとえば6月には「もくせいのほんだな」で迷路を構築する猛者が登場した(関連記事)。公式イベントでもメーデーの迷宮があったことは記憶に新しい。しかしCrunchy Islandの作品は、ちょっと規模が違う。ふたり400時間以上を費やし、自分たちの島を巨大なアトラクションに仕立て上げた。碁盤の目状に築かれた迷宮は、地上と2段目のふたつのレイヤーに展開。立体的に構築されたルートが走者を迷わせる。迷路の最初のパートには400枚の金のパネルが設置された。1日にわずかな量しかカタログで注文できないことを考えると、こちらはどうしても外注が必要な作業となった。Crunchy Islandは協力者に給料としてマイルりょこうけんを支払うことで、必要な資材を揃えていったという。
はじめてのレースは5月初頭に開催された。数名の配信者が招待され、ジャック獲得を競ったのである。アイテムの持ち込みは禁止されているが、いくつかの道具は迷路の中で手に入れることができる。最終局面でジャックのもとに辿り着くには、どうしてもスコップとはしごがとなった。主催者のふたりは興を盛るべく、島中のあちこちにアイテムを埋めている。必要となる物品が手に入るかどうかは運次第なのである。初回のコンテストは1時間程度で決着がつき、YouTuberのAbdallahSmash氏がジャックと結ばれるはこびとなった。以来、 Crunchy Islandはちゃちゃまるやみすずなど、さまざまな人気住民を対象とした賞レースを実施している。今や配信者たちの間でもっとも熱いコンテンツだと評する者もいるほどだ。
「いちばん苦労するのは、レースの公平さとクリアできる難易度を保ちつつ、絶妙にゴールしづらいレベルにテストしていくことです」とCrunchy Islandは海外メディアPolygonに語る。ひとつの迷路に対し、おおむね30時間は試験が課されるそうだ。ただしどれだけ綿密にテストしても、実際のレースになってみないと走者の行動は読みきれないという。たとえばあるレースでは、あるプレイヤーが現地住民の家に押し入り、DIYテーブルを強奪するという抜け道を発見してしまったこともあるという。現状では対策済みとなったものの、レースの根本を揺るがしかねない危機だった。また配信視聴者によるネタバレやスパイ行為も悩みの種となっているそうだ。レースが一大イベントとなった今、Crunchy Islandはコミュニティの力を借りることで迷路建設を続けている。
Crunchy Islandの次なる企画は、視聴者全員を招いたジャック争奪レースだ。ゆめみを利用することで誰でもふたりの島を訪れ、レースに参加することができる。最初にジャックの家へ辿り着き、その写真を主催者に送った者がジャックを獲得できるという(希望者は400枚のマイルりょこうけんも選択可)。開催日時は日本時間で8月15日朝6時。すでにベータバージョンの迷路を体験可能で、夢見番地「DA-0419-8432-4999」よりアクセス可能だ。興味があれば、その壮大な構築物の一端だけでも味わってみるといいだろう。