『スーパーマリオ64』で未だ解き明かされない「ルイージは存在する」とも読める星の石像の伏線は、なんと最新作にて21年越しに回収されていた

『スーパーマリオ64』には、地下の中庭にある星の石像に彫られた謎のメッセージが存在する。その謎のメッセージの伏線が、2017年に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』にて21年ぶりに回収されていたというのだ。

発売から20年が経ってもなお、研究が続けられている『スーパーマリオ64』。そしてそこには、まだ解き明かされていない謎も存在する。その中のひとつが、地下の中庭にある星の石像に彫られた謎のメッセージである。その謎のメッセージの伏線が、2017年に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』にて21年ぶりに回収されていたというのだ。Nintendo Lifeが詳細を伝えている。なお、本稿には若干の『スーパーマリオ オデッセイ』に関するネタバレを含んでいるので注意してほしい。

この像は『スーパーマリオ64』の冒険の舞台となる「ピーチ城」の地下の広場に存在している。本作をプレイしたユーザーならば、「テレサのホラーハウス」に行くときに通るテレサたちが集う広場と表現すればピンとくるかもしれない。この星の像は水に囲まれており、マリオをしつこく背後からつけ狙うテレサが多数うろついているので、つい足早に過ぎ去ってしまいがち。しかし、実はこの星の像の土台にはうっすらとメッセージが書き記されている。このメッセージが、長きに渡り『スーパーマリオ64』の解明できない謎として扱われていた。

 

謎めく3つの説

荒々しいテクスチャで描かれたこのメッセージに記載されたテキストについては、さまざまな説が存在する。ひとつめは「Eternal Star(エターナルスター)」説。一番左の文字を「E」であると考え、それに続く文字とつなげて形容詞「Eternal」であるとし、右半分の文字を「Star」と解釈すると考えだ。もうひとつは「L is real 2401(ルイージは存在する2401)説。左側の大文字らしきアルファベットを「L」と解釈し、その右にある文字を「is」と考え、続く文字を「real 2401」とするアイデア。さらには、数字に注目した「L is real in Paper M(ペーパーマリオでルイージは存在する)説なるものも存在する。しかしこのテキストについては、1998年に米任天堂が「L is real 2401」説を否定し、プログラマーがジョークで入れたものであると否定していた証拠が見つかっていた。一連の詳細は当該記事を確認してほしい。

有力視されていた「L is real 2401」が否定され、プログラマーがジョークで入れたものであると公式より言及があったものの、そのテキストに何が記されていたかは不明なまま。結局のところ、謎は謎のまま残されていた。拍子抜けの回答に納得できないユーザーは調査を続ける。そんな中、No64DDことDaniel Nodd氏が調査を進めてひとつの結論を導き出したのだ。

氏の調査は、これまでとは違う“ハコ”からアプローチであった。本体をRFとAVでブラウン管に接続しゲームを映し出し、色調を最大まで落とし、シャープネスを最大まで引き上げ、ネガ表示でテクスチャをチェック。確認したのは、中庭のスター石像と全く同じ内容の記載があるとされている、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』内に存在するダンジョン「ドドンゴの洞窟」の石牌だ。スマートフォンを使い画像を撮影し、加工や拡大を試す。さまざまな観点から検証を進めた結果、この文字が「A Secret star lie here ~(隠された星がここにあるよ~)」であると読み解かれた。言語学的観点でも検証され導き出されたこの結論は、新たな推論に過ぎないと思われたが、実はこの推論は別のゲーム内のギミックの裏付けになっていた。そのゲームとは、シリーズ最新作『スーパーマリオ オデッセイ』である。

Image Credit : Nintendo Life / Daniel Nodd

『スーパーマリオ オデッセイ』には、さまざまなワールドが存在するが、今回注目したいのはクリア後に遊べる『スーパーマリオ64』を思わせるワールドだ。構造などは明確に異なるが、丘にそびえるピーチ城やそこで売られるコスメアイテムは、まさしく『スーパーマリオ64』のオマージュである。同ワールドのピーチ城は狭いが、別経由で中庭を思わせるエリアが存在し(入場には64風のコスメ必須)、そこに例の星の石像が存在する。中庭エリアにはギミックが仕掛けられているのだが、重要なのはそのギミックを解いたのち、星の石像にキャッピーを投げつけることで、「スター」が出てくることだ。

 

浮かび上がった「隠された星」

『スーパーマリオ64』の星の石像に書かれたテクスチャの文字は「A Secret star lie here ~(隠された星がここにあるよ~)」。そして、『スーパーマリオオデッセイ』の星の石像に、スターが隠されている。あくまで「A Secret star lie here ~」説は推論にすぎないが、記載されているテキストとゲーム内の仕掛けが見事一致した。つまり、『スーパーマリオ64』に隠された伏線が、21年を経て発売された最新作にて回収されたことになる。

真実かそうではないのか。偶然なのか意図的なのか。多くの疑問を残しているものの、テキストの解釈とゲームの仕様が見事一致している。上段の文字だけを見た「L is real 2401」とは異なり、「A Secret star lie here ~」においては上段と下段両方の文字が組み合わせられている。完全には納得できないだろうが、今まででもっとも合理的な主張なのだ。

この『スーパーマリオ オデッセイ』のスターのイースターエッグによる一致は、偶然ならば奇跡的であるし、もし意図的ならば誰かが「A Secret star lie here ~」というメッセージにたどり着くことを織り込んだ上での仕様であると考える。もしそうならば、とんでもなく考えられた仕込みだろう。

Image Credit : Super Milltendo

長年にわたって議論され尽くされた謎に、ひとつの答えらしきものが見つかった。Nintendo Lifeの口うるさい読者たちも、多くがこの結論に納得しているようだ。開発者から答えをもらったり、テクスチャデータごと検証するのもひとつの方法であるが、憶測と検証により導き出された今回の答えにロマンを感じる人もいるのではないだろうか。非常に有力な答えであるが、『スーパーマリオ64』の世界は極めて奥深い。もしかすると数年後には、石像の謎に関する、また新たな有力説が生まれる可能性はある。もしこれほどロジックがきれいな「A Secret star lie here ~」説が否定される時がくれば、改めて研究者たちの探究心の底知れない情熱を証明することになるだろう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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