『フォートナイト』接近する彗星や謎のモールス信号に関する考察が進む。話題と”ワクワク”を絶やさないゲーム運営にも注目
『フォートナイト バトルロイヤル』にて空を見上げると、彗星らしき天体が地上に接近してきていることが確認できる。目視できるようになったのは今年の3月からで、山頂に設置された天体望遠鏡はいずれも天体の方角を向いている。また同じく3月に入ってから、何もしていないのにコントローラが振動するようになったことに気づいた方も多いのではないだろうか。しかも、やけに規則的なパターンで。
有力視される彗星落下説
こうしたゲーム内での変化から、近日中に隕石が落下し、マップの一部が作り変えられるのではないかとコミュニティ上で取り沙汰されている。特に有力視されているのが、ティルテッド・タワーに衝突するという説である(redditユーザ「Tactical_Peperoni」氏の考察)。本作のマップはポーランドの国土と形が似ており、二つを重ね合わせると、ティルテッド・タワーとポーランドの都市ポズナンがほぼ同じ位置にくる。ポズナンの近くでは、何千年も前にモラスコ隕石が衝突している。ティルテッド・タワーも同じ運命を辿るのではないか、というわけだ(ちなみに『フォートナイト』の開発に参加し、のちにEpic Gamesが買収したPeople Can Flyはポーランドのスタジオである)。
これだけでは根拠として弱いが、別のredditユーザ「BenNebula22」は天体の軌道を観測し、ティルテッド・タワーに向かっていることを報告している。また不意に起きるコントローラの振動はモールス信号になっており、解読すると「SOS D5 418」という文字列になる(redditユーザ「vigilancefoetracer」氏が発見)。「D5」はマップ上のグリッドを指すと考えられており、丁度ティルテッド・タワーの場所と重なる。「418」に関して「vigilancefoetracer」氏は「2018年4月1日」という日付を指すと解釈しているが、4月5日現在も振動が続いていることから、「2018年4月」「4月18日」といった日付を意味すると捉えることができそうだ。『フォートナイト バトルロイヤル』の世界が2018年という設定かどうかは不明なこと、そして本作の大型アップデートは現地時間の水曜日に配信される傾向が強いことから、どちらかというと4月18日(水)のアップデートを指しているのではないだろうか。後述するように、本作では隔週での新規コンテンツ追加が予定されており、最新アップデートが配信された4月4日の2週間後である4月18日というのはアップデートのタイミングとして不自然ではない。
さらに言うと、今年2月に開幕したシーズン3は宇宙がテーマとなっており、バトルパス(購入するとプレイを重ねるごとにシーズン限定の報酬アイテムを受け取れるようになる)の報酬には「ドドーン」という爆発をテーマにしたエモートアイコンや、化石のバナーアイコン、隕石落下を想起させる「フレイム」というエフェクトなどが含まれている。いずれもバトルパスの後半でアンロックされるアイテムだ。つまりプレイヤーの多くがアンロックし終えるのはシーズン終盤の4月後半。シーズンの終わりと共に隕石が訪れ、アイコンの意図が分かるようになっているのかもしれない。
なぜティルテッド・タワーなのか
近いうちに隕石が衝突するという説が有力視されているわけだが、そもそも他でもないティルテッド・タワーが対象になる理由は何なのだろうか。実はこの街に関してはコミュニティから不満の声が多く寄せられており、かねてから何らかの調整が求められていた。というのも、物資が充実している上にマップ中央付近という好立地から、毎回大量のプレイヤーが降り立つ本作最大の激戦区と化しているのだ。あまりにも多くのプレイヤーが集中するため、他エリアの過疎化が進んでしまうほどに。ティルテッド・タワーとそれ以外の場所では人口密度に大きな差が出ており、バランスが取れているとは言い難い状態となっている。
3月のアップデートによりラッキー・ランディングという新スポットが追加されたが、マップの最端にあるため人口の再分配には貢献しなかった。プレイヤーを分散させるためには、やはり問題の発生源にメスを入れる必要があるだろう。そうした意味で、隕石の衝突によりティルテッド・タワーに降り立つメリットを減らすような変更を加えるというのは理に適っている。マップのリニューアルを機械的なアップデートで済ますのではなく、問題を抱えたロケーションを隕石で吹き飛ばすという、コミュニティを巻き込んだ豪快なイベントにしてしまうことが狙いなのかもしれない。
自販機で強武器をゲット
本作における最も効率の良い物資調達方法は、他プレイヤーを倒して武器・アイテムを奪うこと。ティルテッド・タワーに人口が集中しがちな現状では、接敵機会が減る他所では強武器を揃えにくくなる。そこで注目したいのが4月4日の最新アップデートで追加された新要素「自販機」である。これは余った建築素材を通貨がわりに、武器・アイテムと交換する装置である。1台につき3種類の武器・アイテムを提供しており、台ごとの品揃え/レアリティはマッチ毎にランダム。素材さえあれば何度でも購入できる。
「自販機」が設置される可能性がある場所は、コミュニティで見つかっているものだけで既に40箇所近くに及ぶ(Fortnite Intel)。マップ全体にうまく分散しているため、どこに降り立っても近くで見つけることができる。最もレアリティが高いレジェンダリー級の武器・アイテムを入手するには1回につき500個もの建築素材を要するため、装備と素材のどちらを優先すべきか天秤にかける必要がある。それでも強武器の入手ルートが増えたことで、激戦区を生き抜いてきた猛者との装備差を埋めやすくはなるだろう。
「自販機」の仕組みは目新しいものではない。ただ装備の種類ではなく入手方法を増やすというのは、誘導ミサイル・ヘビーショットガン・リモート爆弾など新しい武器・ガジェットが次々と投入されていることや、ティルテッド・タワーに人口が集中しがちな現状を踏まえると、内容としてもタイミングとしても良い効果が期待できそうなアップデートである。
話題を絶やさない
先述した最新アップデートのパッチノートにて、今後も隔週で新規コンテンツを追加していく旨が記載されているように、本作の開発陣はとにかくフットワークが軽い。『フォートナイト バトルロイヤル』はアップデートを通じてバランス調整やバグ修正を堅実にこなしながらも、プレイヤーをワクワクさせるような新規コンテンツをコンスタントに配信している。定期的に実施されている期間限定モードは、1チーム20人の大規模戦やスナイパーライフル限定の狙撃戦、誘導ミサイルで相手を探り出す爆弾魔モードなど、新鮮なゲーム体験を届けるものばかり。しかも特定武器種の使い方やカウンター方法を学ぶ絶好の機会にもなっており、お祭り騒ぎの中で学んだことを通常モードで活かせる。プレイヤースキルの成長という観点からも意味のある施策を続けているのだ。
大規模なマッチング/接続不具合に悩まされることもあるが、公式サイトやSNSを通して状況報告を行っており、短期間で解決できない問題に関しても早い段階で情報を共有している。ゲームとして話題を絶やさず、プレイヤーに刺激を与え続ける運営方法は確実に功を奏しており、2月の月間売上は『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』を、月間アクティブユーザ数は『GTA Online』により今でも圧倒的人気を誇る『Grand Theft Auto V』を超えたと報告されている(gameindustry.biz)。以前弊誌では本作の課金モデルについて取り上げたことがあるが(関連記事)、コミュニティの盛り上げ方、コミュニケーションの取り方など、マネタイズ以外の面でも本作から学べることは多いのではないだろうか。
【UPDATE 2018/4/19】
4月18日には彗星と思わしき天体から謎の効果音が発せられるようになり、コミュニティの期待がさらに高まった。この効果音をスペクトラムアナライザーによる音声分析にかけると、本作のダンスエモート「負け犬が!」のアニメーションがグラフとして映し出される(関連記事)