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CygamesEdgeは、なぜ新作アクション『崩落の国』をクリアまで3時間の1100円の作品に仕上げたのか。プロデューサーに訊く、”コンパクトさ”へのこだわり
『崩落の国』について、チームの現在の状況や先日リリースされた体験版の反響、「クリアまで3時間」という開発テーマが生まれた理由などを改めて伺った。

CygamesEdgeは11月5日、『崩落の国』を発売する。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch 2/PS5。『崩落の国』は、崩れゆく世界を降りていく、崩落アクションアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは、主人公の兵士を操作して、亡くなった娘の面影を残す「忌み子」と一緒に不安定な足場を進み、地表を目指すことになる。現在体験版も配信中だ。
弊誌AUTOMATONは10月末、Cygamesのサブブランド「CygamesEdge」にてブランドプロデューサーを務める、濱田修一郎氏に新たにインタビューを実施。同ブランドの初リリース作品『崩落の国』について、チームの現在の状況や先日リリースされた体験版の反響、「クリアまで3時間」という開発テーマが生まれた理由などを改めて伺った。

――本日はよろしくお願いします。現在『崩落の国』および濱田さんはどういう状況でしょうか。
濱田氏:
そうですね。開発チームとしては『崩落の国』をマスターアップしています。ただ僕自身は、ほかにも担当しているタイトルがありまして、その作品のクリエイティブな部分や本作のプロモーション、CygamesEdge自体の業務などを並行して捌いている感じです。なのでここ2週間ぐらいは、かなり多忙な状態になってます(笑)。
――ということは、『崩落の国』に続くプロジェクトが、すでに動いている感じなんですね。
濱田氏:
我々としてはすでに動き始めています。

――本作は、10月初旬に開催された「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026」を含めてさまざまな体験会に出展されています。その流れで、多くの人が本作を試遊したかと思いますが、プレイヤーからの反応は、濱田さんの予想していた内容でしたか?
濱田氏:
こちらとしては、すごく良い反響が頂けたと考えています。ゲーム内容への反応も狙った感じのものが多かったですね。高さに対する恐怖感や、緊張感みたいなところをすごく感じてくれた人が多かった印象で、そういったところはすごくポジティブに受け止めています。ただその一方で、予想はしていたのですが、本作の癖のある操作性については、僕らとしては「意図的に狙って設定した」という感じなのですが、賛否両論という部分はありました。
――確かに、開発チームの意図を知らないと「調整不足なのでは?」と思ってしまう人も出てしまうかもしれないですね。
濱田氏:
これは本当にそうですね。プレイヤー全員が我々のメッセージや姿勢を知ったうえで本作をプレイするわけではないので。よって、覚悟はしていたのですが「やっぱりそういう反応も出てしまったか」という感覚はありました。

――では、そういったフィードバックを受けて、製品版や体験版を調整しようという構想はありますか? この操作自体はおおむね好評という認識です。
濱田氏:
結論から言うと、製品版でバランスを大きく変える予定はありません。ただ体験版を遊んでくださった方々の一部から、不具合などが発生したという報告は受けています。なので、そういった箇所への対策を、なるべく早く製品版に対応できるよう準備しているところです。
――話は変わりますが、本作の体験版にはタイムアタック要素が実装されており、プレイヤー間でも盛り上がっている印象です。チームが確認できているなかで、最速タイムはどれぐらいの早さだったのでしょうか。また濱田さんがプレイヤーの挑戦を見て印象的だったプレイングなどがあれば教えてください。
濱田氏:
実のところ、僕も現在の開発チーム内の最速タイムを把握しきれていないのですが、クリエイティブディレクターが6分台のタイムを出していたと記憶しています。なので、そのあたりが”最速ライン”で、そこをさらに縮める人が出るかな、という風に見ています。

――ちなみに濱田さん目線で、一番嬉しかったユーザーの反応はどんなものでしたか?
濱田氏:
すごく単純なんですけど、やはり「面白い」という評価が一番うれしいですね。なるべく控えてはいるんですが、たまには自分で評判を見たりもしているんです。そこでプレイした人が楽しんでくれているのが見えると、それだけで喜びを感じます。
――本作は、実験的な要素が多く含まれるゲームだと思います。開発側として、お披露目の前などに不安にならなかったでしょうか。
濱田氏:
(笑)僕は作品の発表前、いつもナーバスな感覚になりがちなタイプなんです。どんな反応があるんだろう……という感じですね。初お披露目だった9月の「State of Play」では、降りるというアクション部分や、プレイ時間が3時間というボリューム面の情報を予告編に盛り込みましたが、そういった我々がプッシュしたいメッセージを、視聴者の方がしっかりと受け取ってくれているという感触はありましたね。
またアクションのコントロール面に関するご意見も頂いているのですが、それに関しては我々が意図してこの仕様にすると決めたので、ご指摘も受け入れようという心持ちです。

――濱田さんはプロデューサーですので、できるだけ多くの人に本作を手に取ってほしいという思いがあるかと思います。「操作感があまり好きじゃない」と感じた人に、どういったメッセージを送りたいですか?
濱田氏:
難しいですね……(笑)まず「一般的なアクションゲーム」のキャラクター制御を本作にそのままあてはめると、面白味が減ってしまうんです。微妙なブレがあって慣性がかかる操作性があり、それをプレイヤーが自身のスキルでコントロールするところに、本作の妙味があることをアピールしたいです。
当然、ゲームに関する好みは人それぞれなので、全員に受け入れてもらえない可能性があることは覚悟しています。我々としては、理不尽な死に方や、自分が意図していない操作によってゲームオーバーになるといった状況を、できるだけ減らすよう努力しました。またゲームに慣れてくると、より一層プレイが楽しくなるような作品にできたかなと考えています。
――難易度ですが、最終的にはどれくらいの難しさに落ち着きましたか。
濱田氏:
恐らくですが、3D系のアクションゲームにある程度触ったことがある人であれば、そんなに難しくは感じないかな、というぐらいに落ち着いたかと思います。もちろん初見で一回も死なずに全クリアするといったことを目指すと、話は変わってきてしまいますが。全体的には、わからないポイントや引っかかる難所があっても、何度かトライしていけば突破できるという難易度に調整しています。
実のところストーリーモードは、クリエイティブディレクターの意向もあり、完全なアクションというよりも、アクションアドベンチャーという位置付けで調整をおこなっています。難易度も、そこまで上げないことを意識しているので、いろんな人に楽しんでいただけるかなと。チャレンジしたい人向けには、エクストラマップというものを用意しています。これは体験版と同じマップで、本編よりも難易度が高い作りになっています。

――行き詰まることは少ないけど、リトライする回数は多めになる、という設計思想なんですね。やや質問が前後しますが、制作チームとしての共通目標やテーマなどは、開発期間中にありましたか?
濱田氏:
本作はCygamesEdgeとしてはブランド1作目であり、予算や開発期間が限られていました。実のところ、初期の段階だと半年で作品を完成させる計画だったんですよ。なので、必然的に注力する要素を絞る必要がありました。よって「『崩落の国』は、足場を降りていくことにフォーカスしたゲームである」ということを皆で意識していましたね。
制作の流れとしては、まず「降りる」という行為をどうやって面白くするか、という会議から始まりました。そもそもプラットフォーム系のゲームって、上に登っていくタイプの作品が多いんです。我々も研究のため、いろいろなタイトルを遊んだのですが、恐怖感の根源は、登るという作業以上に、登って蓄積した進捗状況が、ミスって落ちるとゼロになるという仕様であると捉えたんです。
本作の場合、ステージを降りて進んでいくわけですから、このロジックを当てはめると、ゴールに近づくほど恐怖感が減っていく可能性がありました。それは良くないので、根源的な恐怖感をいかに最大限、引き出せるかに注力していました。それが常に開発のテーマであったと思っています。あとは3時間というプレイ時間ですね。ただの3時間ではなくて、短いけど満足できるゲームにしたいとみんなで思っていました。
――3時間という想定クリア時間についても伺いたいです。たとえば、盛り込みたかった要素があったものの、3時間に収めるためにコンパクトにまとめた、といったことはあるのでしょうか。
濱田氏:
(本編クリアまで)3時間というプレイ時間の設定については、僕が決定した部分であると記憶しています。プレイスタイルによって、ある程度前後するとは思っているのですが、制作過程としては、このカットシーンが何分、このステージが何分ぐらい、といった感じで足してみて、約3時間でクリアできる内容にまとめた感じです。ちなみに、カットシーンについては、当初の予定より増えましたね。
その後はここをもう少し、ここが少し短くなったね、といった微調整のフェーズはあったのですが、最終的には社内で未プレイの人に遊んでもらって、おおよそクリア時間が3時間前後、予定通りのボリュームに収めることに成功しました。

――そもそも、なぜゲームのボリュームを3時間という”尺”にしたのでしょうか。2時間でも4時間でもなく、あえて「3時間」と決めた理由はありますか?
濱田氏:
3時間、4時間など複数の選択肢自体はあったんですが、やはり3時間ぐらいがちょうどいいボリュームかなと思ったんです。映画でも3時間ぐらいなら通しで見れる長さですよね。
我々の競合コンテンツは、ゲームに限らずエンターテインメント全般であると認識しています。可処分時間の奪い合いということです。ゲームプレイの3時間と、映画の3時間視聴には感覚的にも違いはあるでしょうが、生活サイクルへの影響なども含めて考えると、やはり3時間がベストな落としどころかなと。
――より踏み込んだ質問になりますが、クリア想定3時間の作品を税込1100円で販売するというビジネスモデルは、かなり挑戦的な印象です。ある程度の見立てや勝算があったうえでの決断なのでしょうか。
濱田氏:
そうですね。仮に本作が10億円や20億円といった開発予算を費やした作品だったら、さすがに困難だったと思います。ただ実際に『崩落の国』に使用した予算額から計算すると、いけるんじゃないかなと思っています。

――プレイヤー側の意見を見てハッとなったのですが、遊んでいる時の細い足場を落ちる感覚に『エルデンリング』や『ダークソウル』のプラットフォームセクションに近いものがありました。こういったジャンルの作品も、制作時の参考にはしましたか?
濱田氏:
その辺りに関しては、本当に(開発中は)意識していなかったです。ただ、作っている段階で、『ダークソウル』などで、プラットフォームアクション的なチャレンジをしている人たちがいるんだ、ということは認知してます。完成後に似てる部分もあるかな、とは少し思ったのですが、コンセプト時点や開発初期にインスパイアの源にしたことはないですね。
ストーリーについては、ゲーム内で描写していないところもいっぱいあるんですけれど、最後までプレイしていただければ、意図の分かるものにはなっていると思います。これはぼく個人の好みなんですが、あまり語りすぎると物語がチープになっちゃうかなという感覚があるんですね。粗も出てしまいがちです。なので、余白を上手く使ったストーリーテリングを意識しました。

――いわゆる「環境ストーリーテリング」ですよね。Cygamesさんでそういった作品は珍しいので、その部分の挑戦も面白いところですね。
濱田氏:
そこが、今までの弊社のゲームとは違う点ですね。従来のCygamesは登場キャラクターがよく喋るという部分を売りにしていました。本作では、それとは違う方向にトライした感じです。
――最後に、購入検討者へのメッセージをお願いします。
濱田氏:
『崩落の国』は、地表を目指してひたすら降りていくという、シンプルでありながら緊張感のあるゲーム体験を突き詰めた作品です。体験版はアクションに特化した高難易度のステージでしたが、本編では約3時間という中で主人公と忌み子の物語や世界観を含めた濃密なアクションアドベンチャーを楽しめます。
CygamesEdge第1弾として、最後まで丁寧に作り込みましたので、11月5日の発売後、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。想定クリア時間は3時間、価格は税込1100円とお手頃な価格設定になっております。この作品ならではの体験を、ぜひ味わってほしいです。
――ありがとうございました。
『崩落の国』はPC(Steam)/Nintendo Switch 2/PS5向けに11月5日より配信中だ。
[執筆・編集:Satofumi Inoue]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]
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