CygamesEdgeは「Cygamesでは出せない実験作/尖った作品」を出していく。でも“インディーは名乗らない”。ブランドプロデューサーが出したいゲームとは

「CygamesEdge」にてブランドプロデューサーを務める、濱田修一郎氏にインタビューを実施。「CygamesEdge」は、どういった位置付けのブランドなのか、それを率いる濱田氏の来歴などについて伺った。

Cygamesのサブブランド「CygamesEdge」は11月5日に『崩落の国』を発売する。『崩落の国』は、崩れゆく世界を降りていく、崩落アクションアドベンチャーゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch 2/PS5。プレイヤーは、主人公の兵士を操作して、亡くなった娘の面影を残す「忌み子」と一緒に不安定な足場を進み、地表を目指すことになる。体験版も配信中である。

弊誌AUTOMATONは10月3日、大阪にて開催された「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026」を取材。「CygamesEdge」にてブランドプロデューサーを務める、濱田修一郎氏にインタビューを実施。今回は、そもそも「CygamesEdge」は、どういった位置付けのブランドなのか、それを率いる濱田氏の来歴などについて伺った。

――最初に自己紹介をお願いします。どういったキャリアを経て、CygamesEdgeのブランドプロデューサーに就任したのでしょうか。

濱田氏:
キャリアとして、ゲーム開発会社でプロジェクトマネージャーやディレクターを務めて、その後、映像制作会社にて、映像ディレクターを経験しました。Cygamesにジョインしたのは2018年です。入社のきっかけとしては、開発会社自体からお世話になっていた高木謙一郎に「Cygamesに転職するから一緒に行かないか」と誘われ、入社しました。

入社してからは、まず高木と一緒にコンシューマー事業の立ち上げを担当しました。具体的には、『グランブルーファンタジー』シリーズや『Shadowverse』シリーズのコンシューマー作品に、制作アシスタント的なポジションで携わりました。その後は『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』の制作プロデューサーを担当して、そこから「CygamesEdge」のブランドプロデューサーになりました。また『崩落の国』のプロデューサーも兼任しています。

――そもそも「CygamesEdge」とはどういったブランドで、どんな目標を掲げているのでしょうか。

濱田氏:
端的に一言で表すと、小中規模のゲームに特化したサイゲームスの新たなブランドになります。立ち上げの経緯としては、まずCygamesでは、『ウマ娘 プリティーダービー』や『グランブルーファンタジー』がいい例ですが、大規模な開発体制を構築して数年、もしくはそれ以上の時間をかけてゲームを開発するという事例が多くありました。

これは最高のコンテンツを追求するための取り組みです。一方で、近年ゲーム市場に変化が現れています。市場が超大規模なAAAゲームか個人開発のインディー作品かといった感じで顕著に二極化されつつあるんですね。なので社内でも、ゲーム市場でのプレイヤーの価値観や遊び方が多様化している点に、これまで以上に柔軟かつスピード感をもって対応する必要があるという課題が持ち上がっていたんです。その流れで、小中規模タイトルならではの機動力で、実験的なことや少し尖ったゲーム体験を制作するために立ち上げられたのが、「CygamesEdge」になります。

――では、そんな「CygamesEdge」のプロデューサーに濱田さんが起用されたのは、どういった流れだったのでしょうか

濱田氏:
それは、僕がイケオジだったのが理由と言い張りたいのですが(笑)

――(笑)

濱田氏:
真面目な話をすると、僕がCygamesのコンシューマー事業部にかなり初期から携わり、いろんな部分での交通整理や、社内での物事の進め方を理解してキャリアを積んできたという部分が、選ばれた理由にあるのだと思います。

Cygames自体、大きな組織ですので「ここの意見を通して、ここも通す」みたいなステップが必要になる場面はどうしてもあります。もちろん、クリエイティブ面もしっかりやらないと、最終関門である渡邊(渡邊耕一代表取締役社長)から承認は得られません。僕は、総合的に企画立案からリリースまで携わった経験があるので、そういった部分を上層部が評価してくれたのかなと考えています。

――代表取締役の渡邊氏といえば、社内フィードバックやクオリティラインの要求が厳しいことで有名です。「CygamesEdge」では開発にあたり、Cygames本体とは異なるチェック基準などが適用されるのでしょうか。

濱田氏:
二択で分類すると、別枠の判断基準が設けられているとは認識しています。ただ「CygamesEdge」も最高のコンテンツを目指すことをゴールとしており、その点についてはCygames本体とは変わりません。Cygames側では、全方位攻撃型のクオリティーへの追求と圧倒的なボリュームで突き進む、といった開発体制を敷いていますが、「CygamesEdge」の方ではタイトルのコンセプトや良さを尖らせ、分かりやすくしてターゲット層にお届けするという方針です。Cygamesが「面」なら、CygamesEdgeは「点」で勝負するイメージですね。

――『崩落の国』を遊んでみると、意外にもその手触り感などにCygamesらしさやブランドとしての価値観を感じました。

濱田氏:
Cygamesっぽさは、結構意識をしている部分はあります。我々がターゲットとして見ているのはPCゲーム市場をメインとした、インディーも含めた小中規模タイトルの部分です。なので僕自身、普段から勉強のためにインディーライクな作品も触っています。その中にはコンセプトはすごくいいのにUIなどが分かりにくく、面白さが伝わりにくいタイトルも往々にしてあるんですね。CygamesEdgeとしては、そういった部分を含めて分かりやすくゲームを制作し、プレイヤーにとっての合う合わないは意識しすぎず、ちゃんと我々が一番楽しんでほしい部分に、プレイヤーが辿り着けるようにするということを重視しています。

――ターゲットはインディーも含めた小中規模タイトルとのことですが、「CygamesEdge」はインディーを名乗っていないですよね。

濱田氏:
というのも、我々がインディーと名乗るのはおこがましいと言っていまして……。理由は、今回出展している個人開発者と比べて予算も期間もかなり大きいからです。我々は自身をインディースタジオとは定義せずに開発をしています。

――「社内インディー」といった言葉もありますが、使わなかったと。

濱田氏:
はい。そもそもインディーという言葉自体が、ゲーム業界的には曖昧な使われ方をされますしね。

Cygames本体は、これまで王道ファンタジーRPGやキャラクターゲームといったジャンルの大規模ゲームを展開してきました。このチョイスには渡邊の好みもあると思うのですが、そういった部分に捕らわれず、多様なジャンルを我々はトライしてお客様に提供していくことを目標にしています。

――CygamesEdgeの立ち上げに際してミッションや目標などは課せられたのでしょうか。

濱田氏:
明確なミッションは特に課せられていないのですが、プロデューサーとして、まず売り上げはしっかり重視していきたいと思っています。実は「CygamesEdge」を立ち上げるにあたり、最初は「展開するジャンルを限定するべきでは」といった話もあったんです。ですが、僕の結論としては、最初はあまり絞らずに1本1本をしっかり尖った作品にすることが、ユーザーからの信頼を勝ち取ることに繋がるだろうとなりました。

そういった取り組みによって、ブランドの信頼度というものが形成されています。個人的な展望としては、ここから3年、長くて5年ぐらいは必要になるかもしれませんが、1本でもいいので100万本クラスのタイトルを出したいですね。それが成功すれば、「CygamesEdge」のシグネチャータイトルになり、ブランドの認知度も一気に高まると思っています。

第一弾『崩落の国』

――ここまでのお話で「尖る」という言葉が多く出ました。濱田さんにとって尖るとは、どういったニュアンスや意味合いを持つワードなのか教えてください。

濱田氏:
僕自身としては、尖るはその作品が伝えたいこと、一番フォーカスしたいことを掘り下げて、なるべくわかりやすくしてお客様に届けるというニュアンスで使用しています。必ずしも突飛なことをするという意味ではないですね。Cygames本体でも、そういった試みはあるのですが、全体を底上げして全部で勝負するという意識がどうしてもあります。

「CygamesEdge」では、手触りや我々が培ってきた技術でできることに、最大限取り組んでいきたいと思ってます。事業としての採算性も重視してますので、限られた期間と予算の中でいかにそれを最大化できるかということを、試行錯誤していく歩みになるのかなと考えています。

――「CygamesEdge」の中で「Cygamesらしさ」は、どういった部分に宿っていると考えていますか?

濱田氏:
渡邊が昔のインタビューで、Cygamesらしさを「諦めないこと」ということを述べているのですが、これは「CygamesEdge」でも同じであると考えています。そもそも「CygamesEdge」は、本体と比較すると、予算や開発期間が限られているという部分があります。その中で、本当に何が重要なのかを厳選した上で、開発の姿勢は諦めず、しっかりと追求していくことが大事であるという認識ですね。

――『崩落の国』は、「CygamesEdge」の初タイトルになりますが、今後はどういった作品を展開したいと考えていますか?伝えられる範囲で教えてください。

濱田氏:
実は現在、すでに複数タイトルのプロジェクトが並行しているんです。時代の潮流に追従していくことも含めて、理想的には『崩落の国』ぐらいの規模の作品を1年間に2~3本出せたら理想的という印象ですね。

――それは四半期に1作品ということでしょうか。ゲームのリリースペースとしては結構なスピードに感じます。

濱田氏:
四半期に1回かもしれないし、異なった展開ペースになるかもしれません。でも四半期に1タイトルというペースは、理想としては一番良いと考えています。もちろんゲーム開発なのでなかなかうまくいかない部分もあると思いますが、目標としてはそれぐらいでやっていきたいと思ってます。

――トレンドでいうと、今ではフレンドスロップであるとか、整理ゲームであるとかが流行です。「CygamesEdge」で、そうしたタイトルを出す可能性もあると。

濱田氏:
可能性はありますよ。ただそのまま流行をなぞるだけではなく、我々の再解釈を加えたいですね。そもそも、インディーゲームの市場はジャンルも含めて、トレンドの移り変わりが激しいです。Cygames本体の開発者も当然ゲーマーが多く、「こういうの取り入れてみたいね」といった話がよく出ます。ただ実装してみても、リリースされる頃には流行が変化している可能性がある。そういった部分を「CygamesEdge」としてはキャッチアップしていきたいですね。

――ありがとうございました。

『崩落の国』はPC(Steam)/Nintendo Switch 2/PS5向けに11月5日リリース予定だ。現在体験版が配信中。

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Satofumi Inoue
Satofumi Inoue

大作洋ゲーから、インディーゲーム、VR系まで幅広く遊ぶ雑食派。いろいろ遊びすぎて一つのタイトルに使える時間が減り気味なのが悩み

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