『歌マクロス』オフライン版開発のクラファン、爆速目標達成でファンの熱い想いを再度実感。この支援で何ができる?さらに集まると何ができる?プロジェクト責任者に訊いた

『歌マクロス』復活プロジェクトの代表を務めるAUGUSTの広野啓氏に再度インタビュー。クラウドファンディングの反響やストレッチゴール、簡体字・繁体字へのローカライズ対応について話を聞いた。

2026年9月10日、『歌マクロス』のクラウドファンディングキャンペーンが開始された。開始から約1時間で目標の3,000万円を突破し、本稿執筆時点で1億5000万円を超える支援が集まっている。

『歌マクロス』は、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)より2017年から2022年に配信された『歌マクロス スマホDeカルチャー』の復刻オフライン版である。ライブサービス型だった同作を、買い切り型のオフライン版として復刻するべく立ち上がった本プロジェクトでは、こだわりのライブ演出や3Dモデルの完成度の高さはそのままに、当時のスタミナ要素や課金を必要とするガチャを撤廃。ゲームシステムも再構築され、キーボードやマウス操作でも遊びやすいようにUIやシステムが最適化されている。

本作の基本パッケージには、人気曲を中心とした50曲が収録予定。プレイヤーは星4以上のプレートを1,000枚以上、各キャラクターの衣装も20種類以上、最初から所持している状態で本作をプレイできるとのこと。さらに、基本パッケージには収録されていないが、運営時の楽曲や、一部のプレート・衣装が収録された追加DLCもリリース予定だ。

このたび弊誌は、『歌マクロス』復活プロジェクトの代表として、プロジェクトを推し進めているAUGUSTの社長を務める広野啓氏に再度インタビューを実施した。『歌マクロス』発表でのグローバルな反響や今後のストレッチゴールについて、さらにはローカライズの新情報に至るまで話を聞くことができた。本稿ではその内容をお届けする。『歌マクロス』発表までの広野啓氏の経歴にふれた別インタビューも参考にしてほしい。

『歌マクロス』ユーザーに届いた復活の歌声

──『歌マクロス』オフライン版のクラウドファンディング発表に対する反響を受けて、いかがでしたか?

広野啓氏(以下、広野氏):
「マクロス」シリーズの最新情報を隔週でお伝えしているライブ配信番組「マクロスがとまらない」で復活プロジェクトについて発表した際は、配信中のコメントやXのポストを通じてたくさんの反響をいただきました。そして、クラウドファンディング開始直後から多くのご支援をいただき、驚きと喜びが同時にバーッと胸に押し寄せました。大変ありがたかったです。それだけ期待されていたということでもありますし、サービス終了してしまって惜しまれていたコンテンツが復活して最高にハッピーだという声をユーザーのみなさんから多くいただきました。

また日本国内だけではなく、海外の支援者からもコメントをいただいています。今回の発表で、全世界のユーザーから『歌マクロス』復活プロジェクトが注目されていること、また喜んでいただいていることをグローバルに実感することができました。

「マクロス」というコンテンツ自体のパワーに加えて、当時の『歌マクロス スマホDeカルチャー』を支えてくれたユーザーが、今もなお『歌マクロス』を好きでいてくれたからこそ、今回のプロジェクトが大きく広がっていったのだと思っています。その上で、我々が時間をかけて準備してきたものをタイミングよく届けることができたということも、今回の反響の要因になったと考えています。

──目標金額の3,000万円は開始から約1時間で達成されていましたが、当時の状況を振り返ってみていかがですか?

広野氏:
今回、我々が準備していたストレッチゴールはいくつかあったんですが、想定を上回るスピードでたくさんのご支援をいただくことができました。その勢いに、どうしよう!どうしよう!と慌てていましたね(笑)。ただ、支援総額1億円という数字も目指したかったので、ひとつの大きな目標として考えてはいました。それも約3日で達成できたので、とにかくバタバタしていました。

ストレッチゴール達成で実現可能なこと

──あらためて、ストレッチゴールの達成によって実現可能なことを教えてください。

広野氏:
まず、最初の目標金額が3,000万円で、『歌マクロス』のPC(Steam)/iOS/Android版のリリースを確約する目標からのスタートになりました。その次が7,500万円達成で、家庭用ゲーム機版の開発に着手するという目標です。これはPC(Steam)/iOS/Android版のリリース後に、追っての販売とさせていただいています。

続いて9,000万円のストレッチゴールですが、今回のプロジェクトのリターン品の一つとして入れさせていただいている、「UTA MACROSS SUPER DIMENSION 3D mini LIVE」という、ゲーム映像や演出を開発側が厳選して編集した特別映像をゲーム完成前に先行して視聴していただけるデジタルチケットをご用意しております。そちらの収録曲数を増やしてグレードアップしたものをお届けする予定です。

次に1億円という大台のストレッチゴールですが、当時の『歌マクロス スマホDeカルチャー』には入ってなかった楽曲を追加いたします。こちらは、DLCでの追加販売を予定しています。ここまでが1億円達成で実現できる内容になりますね。

そして1億円を達成して新たに設定させていただいた目標が、次の二つになります。まず1億3,500万円達成で、リターン品の一つである『歌マクロス』特製超時空アートブック書籍版のページ数を大幅に増量します。もともと、約300ページのアートブックになるとお伝えはしていましたが、本音を言えば、もっとページ数を増やせないか、と当初から考えていました。

すべてのイラストを正確に数えると2,000枚を余裕で超えてしまうので、最初は厳選したものをしっかりと大きく掲載する方向で考えていました……が、このように厚いご支援をたくさんいただいたこともあり、すべてのイラストを収録するという方向で、アートブックのパワーアップを目指すことにしました。

1億5,000万円のストレッチゴールでは、家庭用ゲーム機版の対応プラットフォームをさらに増やすことを目標としています。具体的なプラットフォームについては、今後お知らせいたします。 ※10月20日に1億5,000万円を達成

さらに、その先のストレッチゴールも新たに発表しました。1億8,000万円では歌姫の衣装の追加を目指します。こちらは本編リリース後、DLCとして追加・販売することを目標としています。そして2億円では、『歌マクロス スマホDeカルチャー』には収録されていなかった新規楽曲をさらに追加することを目指します。こちらも基本パッケージのリリース後、DLCとして追加・販売することを目標としています。

一番人気は「2万7,000円」コース

──今回のクラウドファンディングでは、2万7,000円の【E】コースが一番人気(本稿執筆時点)となっています。その理由はどこにあると考えていますか?

広野氏:
クラウドファンディングでは、【D】コース以上に入っているリターン品の特製超時空アートブックが欲しいというコメントが多く寄せられました。我々もアートブックを求める支援者が多いのではないかと、事前に想定はしていたところです。ただ、アートブックが欲しいのであれば、1万8,000円の【D】コースの方にもっと支援者が集まると思っていました。

あらためて二つのコースを比較してみると、2万7,000円の【E】コースには『歌マクロス』を遊び尽くせるデラックスパッケージが含まれているので、『歌マクロス』のゲーム自体をたくさんの楽曲とともにじっくりと遊びたい支援者が多かったのではないかと考えています。

──特製超時空アートブックですが、ページの大幅増量版をストレッチゴールの目標にしていることもあり、力の入り具合が伝わってきます。

広野氏:
特製超時空アートブックは、膨大なイラストを収録することもありかなり手間暇をかけて制作していますね。ページ数も大幅に増量できればいいなと思っています。書籍は1冊作るのと1,000冊作るのではコストがまったく違います。また、カラーとモノクロでもコストが変わってきます。そして一気に作った方が1冊あたりの単価を安くすることができる。そのため、支援者がどのくらい来るか分からない状況で、コースの価格を設定するのは相当難しいことでした。

当初のページ数ではすべてのイラストを収録することができないことも想定されたので、我々としてもその構成にずいぶんと悩みました。結果として、大変たくさんの支援をいただくことができたので、支援者のみなさんに還元できる新たなストレッチゴールとして、アートブックのパワーアップを目標に設定させていただきました。

『歌マクロス』復活プロジェクトを発表して、どういった状況になるのかが想像できないところもありましたが、一番ハッピーな形で、そしてそのハッピーを上回る熱量でこのような結果がついてきてくれたことはとてつもなく嬉しいですし、ありがたいですね。

──クラウドファンディングをしたことによって、本プロジェクトの持続性や安定性も上がったと認識して良いでしょうか?

広野氏:
もちろんです!ストレッチゴールとして書いてない部分に対しても、できる限り充実させていくつもりです。ただ、いただいた支援額が大きいからといって、手を加えすぎたり、ブラッシュアップを何度も重ねたりすることによって、発売時期がどんどん後ろ倒しになることは良くないと考えています。発売時期をずらさずに、いかにクオリティを高めるかを重要視していますね。何よりも先に、ゲームをユーザーへ届けることが大事だと思っていますので。

──発売スケジュールを強く意識される理由は何でしょうか?

広野氏:
来年は「マクロス」シリーズ45周年にもなりますので、そういった大事なタイミングからずれてしまうのは良くないと思いますし、今回最適なタイミングで発売時期を設定できたこともあります。また、「マクロス」に関するさまざまなプロジェクトが動いている中で、我々の都合だけで発売時期を動かしたくないと思っています。

あくまで“作りきること”を前提としたクラウドファンディング

──昨今のクラウドファンディングにおいて、途中でプロジェクトが頓挫してしまうケースもあります。そういったリスクに対して、支援者が安心できる材料はありますか?

広野氏:
今回のプロジェクトは、クラウドファンディングの支援金頼みで開発をしているわけではなく、もともと作りきることを前提に予算を組んで進めています。なので、安心してください。支援をいただいた部分に関しては、しっかりとユーザーに還元できるようにゲームのクオリティを上げて、かつパワーアップもさせていきたいと思っています。

ストレッチゴールとして新たに追加した、家庭用ゲーム機版におけるプラットフォームの拡張も、当初は想定していませんでした。そういったことも含めて、あくまで+αの部分を今回いただいた支援金を活用して作っていきますので、ご理解いただければ幸いです。

また、クラウドファンディングをさせていただくプラットフォームの選定も慎重におこないました。プロジェクトをスタートさせる上で、そこはしっかりとケアした状態でプロジェクトを進めています。

──「マクロス」シリーズは日本生まれのIPになりますが、海外にも熱心なファンがいる印象です。今回の発表にあたって海外からの反響はいかがでしたか?

広野氏:
正確にどのぐらいの反響があったかはまだ調査できていないのですが、我々が見えている範囲で言うと、グローバルに活動している「マクロス」ファンは気づいて反応してくれているといった感じです。今回のプロジェクトでは、海外専用のリターンも設定していますので、海外からも支援をしていただくことが可能です。

海外専用のコースでは、ゲーム自体が日本国内でしか遊べなかったり、国によっては送れないリターン品があったりと、さまざまな制約を前提としたコースになっています。それでも応援したいと、海外のファンが日本のサイトまで飛んできて想いを届けてくれることは、本当にありがたいなと思っています。

ついに簡体字と繁体字がローカライズ対応決定

──前回の『歌マクロス』インタビューでは、対応言語の拡張も検討されているとのことでした。今回のクラウドファンディングを経て、ローカライズに対する状況の変化はありましたか?

広野氏:
初出しの情報となりますが、日本語と英語に加えて、簡体字と繁体字に対応することが決定しました。「マクロス」シリーズは、グローバルで愛されているコンテンツでもありますし、なるべく多くの方たちに触れていただきたいという気持ちがあります。とはいえ、言語の対応となると翻訳やチェックなど対応しないといけないことが無限に広がっていってしまうので、どこまでの言語を対応するのか慎重にならざるを得ない部分もあります。

先ほどもお伝えしたように発売日はずらしたくないので、ちゃんと間に合うように頑張れる範囲での言語対応といった感じですね。簡体字と繁体字の対応は決定しているので、もし基本パッケージの発売に間に合わず入れられなくても、発売後のアップデートで対応する予定です。

──『歌マクロス』に対してユーザーが声を届けたい場合、一番効果的な方法を教えてください。

広野氏:
クラウドファンディングの最中でもあるので、そこで支援とともにコメントをしていただくのが一番ありがたいですね。個別のメッセージも全て見ていますので、そうしていただくのが一番良いかなと思います。あとは、Steamのウィッシュリストにも登録していただけると嬉しいです。

──1億5,000万円に続き、1億8,000万円と2億円のストレッチゴールも発表されました。今後の展開について、どのように考えていますか?

広野氏:
はい。なるべくユーザーが望んでいることを追加していきたいと考えています。新たに発表したストレッチゴールで歌姫の衣装や新規楽曲の追加も、皆さんが求めているものを準備できると思っています。いずれも本編や基本パッケージの発売後にDLCとして追加・販売することを目指しています。まずは予定しているゲームをしっかりお届けし、そのうえで皆さんがさらに楽しめるものを増やしていきたいですね。

また、新たなリターン品が含まれるコースを追加・設定しました。作りたいアイテムのアイデアはたくさんあるのですが、その中から厳選して追加のリターン品を発表できることになりました。目玉として考えているのは、当時の『歌マクロス スマホDeカルチャー』で提供されていた、期間限定イベントでのキャラクター同士の会話をすべて収録することを目指したシナリオブックです。50万文字を超える物量で書籍化を予定しています。

──すでに高額のコースが売り切れとなっているのも特徴ですよね。

広野氏:
それも大変うれしかったことですね。支援者にはプロジェクトの趣旨やリターンの内容についてしっかりとお伝えし、その結果として応援していただけるのであればありがたいという気持ちが大きかったので、支援金額の設定はとても難しかったです。高額だと分かって設定したコースが、すぐに上限に到達したのはとてもありがたかったですし、もっとコースの枠を増やしてほしいといったコメントも数多くいただきました。

ただ、後から枠を増やしてしまうのは、上限に到達してしまっていて泣く泣く別のコースに支援してくださった方々を裏切る形になってしまうので、最初の設定で枠をもっと増やしておけばよかったかもしれないなという思いもあります。また、先ほどお伝えした追加のリターンは、既に発表済みのコースに支援いただいた方にもご納得いただけるように設定させていただいておりますので、気になった方はぜひチェックしていただければと思います。

──最後に支援者の方や、今から支援をしたいと考えている方に対してメッセージをお願いします。

広野氏:
クラウドファンディングは10月31日の23時59分まで実施しています。残りの期間もまだまだありますので、さらに多くの方に支援をしていただけると我々にとって大きな力にもなりますし、応援していただければいただくほど良いコンテンツをお届けできると思っています。ぜひ『歌マクロス』をきっかけに、「マクロス」というコンテンツに触れて、知って、そして好きになってもらえたらと思っています。『歌マクロス』復活プロジェクトは鋭意進行しておりますので、引き続き応援していただけると嬉しいです。

──ありがとうございました。

『歌マクロス』は、PC(Steam)/iOS/Android向けに2027年春リリース予定。クラウドファンディングは、10月31日23時59分まで開催予定だ。


[執筆・編集:Misako Murayama]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]

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