Gamirror Gamesは、中国・上海と日本・東京を拠点に活動するインディーゲームパブリッシャーだ。これまでも、『Dyson Sphere Program』や、『火山の娘』など数々のヒット作を手掛けてきており、最近でも『Shapez 2』や『将軍 対決』といった注目タイトルを出すアジアのヒットメーカー的パブリッシャーだ。

そんなGamirror Gamesは先日9月26日より開催された東京ゲームショウ2024にも出展。また、今回のTGS出展に合わせ、9月26日には情報番組「Gamirror Games Now 2024東京ゲームショウ特別番組」を配信。同番組では、同社パブリッシングタイトルの20作以上の情報が、全世界のプレイヤーへ向けて紹介された。

弊誌では、TGS出展のタイミングで、2022年より毎年Gamirror Gamesにインタビューを実施してきた。そして、今年もGamirror Games日本支部代表の立花氏にインタビューを実施。マーケットの移り変わりが激しい中でもヒット作を出すことのできる売り方や、Steamユーザーレビューを高評価にする秘訣など訊いた。なお、本稿で紹介されているGamirror Gamesがパブリッシングを務めるは以下のとおりである。

・『ダイソンスフィアプログラム(Dyson Sphere Program)
PC(Steam/Microsoft Store)向けに早期アクセス配信中。PC Game Pass向けにも提供されている。
・『将軍 対決
PC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中。
・『火山の娘
PC(Steam)向けに配信中。Nintendo Switch向けにも発売予定。
・『Depersonalization
PC(Steam)向けに配信中。
・『shapez 2
PC(Steam)向けに配信中。
・『水銀館異聞録
PC(Steam)向けに11月22日配信予定。
・『ザ・リワインダー~黄泉からの旅人~ Ⅱ
PC(Steam)向けに2025年第1四半期配信予定。体験版が、10月のSteam Nextフェスで提供予定となっている。

――まずは自己紹介、改めてお願いします。

立花(旧姓:セン)氏:
Gamirror Gamesの立花です。

Gamirror Gamesは全世界でインディーズゲームのパブリッシングを行っているパブリッシャーです。今現在中国、日本に事務所があって、私は日本事務所の代表者をやらせていただいています。よろしくお願いします。

立花氏

――よろしくお願いします。Gamirror Gamesといえば、毎年コンスタントにヒット作を出しているという印象があります。去年のTGSから今年のTGSにかけて、この1年でどういうタイトルが売れたのかを教えてください。

立花氏:
毎年変わらず工場建設のジャンルが人気ですね。最近注目されているは、『Depersonalization』ですね。TRPGのようにユーザーがストーリーを作り出すゲームですね。なかなか珍しいジャンルであることに加えて、アジアのユーザーに受けやすいアニメ風のグラフィックというのもあり、結構注目されています。

『Depersonalization』

――ちなみに日本ではどんなタイトルが人気だったのでしょうか?

立花氏:
ユーザー割合で言えば『火山の娘』ですが、『Depersonalization』も日本で人気になってきていますね。

――日本での人気は予測できましたか?

立花氏:
そうですね。アニメ風の絵柄というのもウケやすいですし、TRPGも日本ではインディーズのサークルでずっと人気なので、本作が注目されるのはある程度予測できました。

――一方で日本のSteam市場は、世界と比べるとやはり限定的です。ただGamirror Gamesは、イベント出展や日本語対応を欠かさずするなど日本に向けてずっとゲームを出していますよね。その狙いは?

立花氏:
(笑)確かに、日本のSteam市場は、世界のSteam市場小さいには小さいです。ただ、実はSteam上でのデータを見ると少しずつ伸びてきているんですね。昔はSteamユーザー全体の0.3〜0.4%ほどだったのが、今年は1.6%を突破したんです。こうやって市場が成長している限りは弊社も注目しないわけないですよ!

――日本のユーザーとしては大変ありがたいです!ちなみに、今年1番全体でのセールスが良かった作品はどれですか?

立花氏:
『Shapez 2』ですね。Steam上ですごくいい反応を得ています。

――なるほど。Gamirror Gamesといえば、「ゲーマー視点での目利き」がアイデンティティだと感じているのですが、昨今のゲーム業界のマーケットの激しい移り変わりで、売り方だったりコンセプトに変化はありましたか?

立花氏:
変わったところと、変わってないところがありますね。ただ、ヒット作になるポテンシャルがあるゲームは、ユーザーに対して斬新だと思われることであるということは共通していると思います。

弊社がパブリッシングしてない作品にはなりますが、最近人気の出た『ANIMAL WELL』は、メトロイドヴァニアというすごく古いジャンルの作品です。ですがプレイしてみるとそのミステリアスな世界観と、アイテムデザイン、スキルデザイン、レベルデザイン、パズルの遊び感覚が斬新だった。なので、古いジャンルであってもすごく人気になったのだなと。弊社はこういうゲームを率先してパブリッシングしていますね。

『ANIMAL WELL』

――他にない個性を重視していると。

立花氏:
まさにその通り。それが大事です。

――では、売り方としては毎年あまり変えてないということですか?

立花氏:
個性を重視するという売り方は変えてませんが、Gamirror Gamesを設立した6年間で、弊社のファンベースができあがりました。そのファンたちのコミュニティを利用して、売り方を拡張していってます。

たとえば、先ほど話に出た『Shapez 2』は工場建設ゲームなので、同ジャンルで過去にパブリッシングした『Dyson Sphere Program』のユーザーベースに基づいて、情報発信をしていくことができるというわけです。

――そういえば『Shapez 2』は、前作が人気タイトルで、続編を新たにアジア向けにパブリッシングするというGamirror Gamesとしては珍しい売り方のゲームだと感じました。これに関してもなにか変化があったのですか?

立花氏:
実はそれも、前作が人気だからパブリッシングしたわけではなくて、『Dyson Sphere Program』のユーザーベースがあったことで、『Shapez 2』の開発チームが我々に興味を持ってくれたんですね。アジアにゲームを売り出したいとなったときに、アジアに強いかつ、工場建設ゲームが得意なパブリッシャーと付き合いと言われたので、弊社が積極的にフォローして、パブリッシングすることになったんです。

『shapez 2』

――なるほど。アジアへのパブリッシングに強みをもっているGamirror Gamesですが、世界基準ではどの国のユーザーが多いですか?

立花氏:
1番は中国で、その次に日本かアメリカですね。

――アジア向けなタイトルが多い中で、アメリカのユーザーが多いのは意外でした。アメリカ市場向けにはどのようなアプローチをしているのでしょうか。

立花氏:
ゲームのイベントに出展したりなど、まずは現地に行くことですね。実はこの2~3年間ずっとGPCや、gamescom、PAXなどの大型ゲームイベントに積極的にブースを作っていまして、さらに一般公開日の日にはパーティーを開催しています。パーティーで、マスコミやユーザーを招待して、そこで弊社の今までの実績を紹介して認知してもらうんです。その中で1番評価を受けたのが今年のgamescomで、200人規模のパーティーを開催したんです。

――200人ですか。

立花氏:
参加者のほとんどがデベロッパーでした。デベロッパーのみんなは、マスコミやインフルエンサーに向けて、自由に自分の作ったゲームをパーティーで発表するんです。今年初めて、弊社が提供した場所でその発表ができたんですよ。挨拶したマスコミやインフルエンサーとは、パブリッシングする際にも直接連絡が取れるようにもなりました。これは我々をすごく大きく成長させてくれるような出来事でしたね。

――なるほど、しっかりと業界マーケティングも行うことで人気を得ていくということですね。ちなみにGamirror Gamesの作品の特徴として、レビューの好評率も高いです。その要因とは何だと思いますか?

立花氏:
いろんな要因があるのですが……まずローカライズがすごく大事ですね。日本も中国もローカライズが悪いとそれが原因で不評になることがあります。なので弊社は日本語と中国語のローカライズのクオリティにはかなり力を入れています。アメリカでも英語版、スペイン語版は気合入れてローカライズしますね。

もうひとつはゲームを売り出す際に、しっかりとここがユニークなポイントですと紹介することですね。先ほども言ったように我々はゲームの個性を重視しています。その部分をしっかりと紹介することで、たとえゲームのバランスに調整が必要であったり、ビジュアルやグラフィックのクオリティが高くなくても、そのユニークなポイントが最初に評価される。品質の高いローカライズをしっかり行って、ユニークなポイントを押し出せば、好評率は自然と上がっていくので、その2つが大事なところだと思っています。

――ありがとうございます。最後に今後出るゲームで、日本のユーザーにおすすめしたい作品はありますか?

立花氏:
はい。まず1つ目が『水銀館異聞録』ですね。本作は11月22日にリリース予定のアドベンチャーゲームです。擬人化された可愛い動物たちがたくさん登場するストーリーになっています。探偵ドラマなので、アクション要素が強くなく、誰でも明るく遊べるので、日本でも人気が出そうだと思っていますね。

次に『ザ・リワインダー~黄泉からの旅人~ Ⅱ』ですね。発売時期は未定なのですが、今回展示している作品たちの中で一番遊んでもらっている作品です。死者と人間の世界を行き来できる中華風のアドベンチャーゲームなのですが、本作から自由な探索ができるようになっています。バトルも新しい要素を取り込んでいて、前作以上にボリュームアップしていますね。またストーリーも前作を遊ばなくても楽しめるようにできています。なので、本作から遊んでも全く問題はありません。中国の妖怪や神話が好きならぜひ遊んでみてください。

――ありがとうございました。

本稿で紹介されたGamirror Gamesがパブリッシングを務める作品は以下のとおりだ。

・『ダイソンスフィアプログラム(Dyson Sphere Program)
PC(Steam/Microsoft Store)向けに早期アクセス配信中。PC Game Pass向けにも提供されている。
・『将軍 対決
PC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中。
・『火山の娘
PC(Steam)向けに配信中。Nintendo Switch向けにも発売予定。
・『Depersonalization
PC(Steam)向けに配信中。
・『shapez 2
PC(Steam)向けに配信中。
・『水銀館異聞録
PC(Steam)向けに11月22日配信予定。
・『ザ・リワインダー~黄泉からの旅人~ Ⅱ
PC(Steam)向けに2025年第1四半期配信予定。体験版が、10月のSteam Nextフェスで提供予定となっている。