国内の「Unreal Engine 4」開発を支える者たち、Epic Games Japanで働く職業「サポート・エンジニア」の顔
Epic Gamesといえば、ゲームエンジン「Unreal Engine 4」や『Unreal Tournament』『Fortnite』『Paragon』などの自社タイトルを展開している米国ノースカロライナ州の開発会社だ。国内では完全子会社のEpic Games Japanが設立されており、日本における「Unreal Engine 4」の普及や開発の支援に務めている。この職場で高度な知識と経験をもとに開発会社を手助けしているのが、「サポート・エンジニア」たちである。今回はEpic Games Japan代表である河崎 高之氏、サポート・マネージャーの下田 純也氏、「サポート・エンジニア」の篠山 範明氏の3人にお話をうかがい、「サポート・エンジニア」が普段どういった仕事をしているのか、また現在どのような仲間を同社が求めているのかを聞いてきた。
――Epic Gamesの本社といえば、ゲームエンジン「Unreal Engine 4」やビデオゲームの開発会社として知られています。一方で日本支社はどのような目的で立ち上げられたのでしょうか。
河崎:
Epic Games Japanができたのは2009年末なので、もう6年になりますね。当時は「Unreal Engine 3」という1つ前のバージョンのエンジンを日本のゲーム会社にライセンスでご提供してました。日本にサポートのスタッフがいなかったので、日本語翻訳なんかの作業はアメリカでやりつつ、サポートに関しては基本的に英語でアメリカの本社のスタッフが対応するという形を取っていました。やっぱり非常に不便で、日本のお客様にご迷惑をかけていたのと、そのやり方だとそれ以上たくさんの方に使っていただくというのがなかなか難しいという認識もあったので、日本で日本語を話せるスタッフが同じ時間帯のなかでサポートができるようにという目的で、日本法人を立ち上げたのが6年前になります。
――なるほど。立ち上げられた当時の規模は?
河崎:
僕1人ですね。
――現在はどれぐらいの規模なんでしょうか。
河崎:
現在は9名になりました。
――現在Epic Games Japanではどういった業務が中心に行われていますか。
河崎:
大きく分けると3つあるんですが、1つはさっき言った「Unreal Engine」を使っていただいているライセンシーへの技術サポートですね。それからエンジンの翻訳作業を日本でやっています。最後がエンジンの宣伝であったり、営業活動であったり、啓蒙活動であったり、よりたくさんの人に「Unreal Engine」を知ってもらう活動。この3つになります。
今後は『Paragon』などEpicのパブリッシングするゲームが出てきますので、そういう自分たちのゲームがらみの活動も増えていく可能性があります。
――Epic Games全体の社風を教えていただけますか。
下田:
社風というか、「Unreal Engine」の開発のコンセプトとしては、クリエイター全員の力を引きだす、というものがあります。たとえばゲームエンジンがなかった時代、あるいは初期のゲームエンジンの時代だと、プログラマが何かしないとモノが出来上がらないという状況が多かったんです。「Unreal Engine」を使うことで、プログラマ以外の人もよりクリエイティブな活動を即座に試せる。即座にそれを実現できるというところを大事にしています。ですので、プログラマだからこれ以外やっちゃだめとか、アーティストだからこれをやらなきゃだめっていう壁がないところが、Epic Games全体としての特徴かなと思います。お互いにいろいろ切磋琢磨して、お互いに意見を言い合うというのが、本社の方ではとても活発ですね。
――日本のオフィスも同様の雰囲気でしょうか。
下田:
そうですね。日本のオフィスもやはり人数がまだまだ少ないですので、この業務はこの人じゃなければダメというよりは、手伝えるところは手伝うといったところは結構ありますね。
――Epic Games Japanオフィス内のコミュニケーションは頻繁に行われているんでしょうか。
下田:
サポートチームに関しては、「Unreal Engine」を使っていただいている開発会社の現場の方からのご質問にお答えすることをやってますので、コンピュータに向かっている時間も確かに多いんです。ただ問題にぶつかった時、特に朝は毎日ミーティングしていますので、お互いにいろんな意見を言い合ったりしていますね。
篠山:
けっこう話はしますね。サポートチームに入ってみると、4人で席が近いので話し合いも多いですし、なにか気になれば本社の方にもチャット感覚で聞ける。オンラインでも口頭でもですけど、常にコミュニケーションを取っているような感覚はあります。
――ところでオフィスは引っ越されるというお話を聞いたのですが、また横浜を予定されているんでしょうか。
河崎:
一駅隣の日本大通り駅というところで、もう場所は決まっています。
――いまのオフィスよりもさらに大きく?
河崎:
いまの倍ぐらいの大きさのところに移ります。
――これから人員もどんどん採用する予定ですか?
河崎:
そうですね。年内には2、3人は最低でも増やしたいなと思っています。
――そういえば、なぜオフィスの場所を横浜に選ばれたんでしょうか。
河崎:
1つは、働く場所として周りの環境がすごくいい。東京みたいにごみごみと混み合ってるんじゃなくて、わりとゆったりとしていて、物価も家賃も東京とくらべると安い。社員がリラックスして働けるかなっていうのが1つあります。あとは通勤がやっぱり逆方向になるので、東京の都心に向けて通勤するのにくらべると、ストレスなく出社できるってところも大きいですね。
――Epic Games Japanのオフィスとしての魅力はほかにもありますか?
下田:
お菓子がありますね(笑)
一同:
(笑)
河崎:
お菓子と飲み物は食べ放題、飲み放題(笑)
――それは重要ですね(笑)
下田:
仕事的にはこの会議室もそうなんですが、ホワイトボードが大きくなっていて、問題を書きだしたりとかしやすいオフィスですね。
河崎:
地味な(笑)
下田:
地味ですね(笑)
篠山:
エンジニアが使える設備の魅力という意味では、PCやディスプレイがほぼ最高スペック、かなりいいものを貰える。あと個人の自由でいろいろな機材、自分の好きなものを使っていいので、そこはすごい「サポート・エンジニア」としては嬉しいんじゃないかな。
河崎:
あとは各社の最新ハードウェアや開発機材が、いち早くいただけます。やっぱりエンジンを使ってゲームを作る際のサポートのために、その機材を先にEpic Gamesに提供しようという話は多いので、いまは言えないような機材もいろいろあります。
――最先端の機材に触れられる環境なんですね。
河崎:
そうですね。
――ほかにもゲームエンジンの会社ということで、設備や機材以外の魅力はありますか。
河崎:
サポートをやっているスタッフからすると、『ドラクエXI』や『FF VIIリメイク』、『ストリートファイターV』や『鉄拳7』という、日本を代表するような大型フランチャイズの開発に携われます。しかも同時並行で進む。一般的なゲームの開発チームにいると、運がよければコンソールの場合は3年に1本出るか出ないか。運が悪いと、「俺この会社に10年はいるけど1本もモノ出てないや」みたいな人もたまにいるんですよ。でもそれにくらべるとたくさんの、しかも誰でも知っているようなタイトルに携われて経験値が積めるっていうのは、すごく独特だし魅力のある部分だと思います。
下田:
やっぱり最新タイトルにいっぱい関われる点ですね。あと最近、ゲーム以外の案件でも「UE4」を使っていただく例が増えている。我々も今までゲーム開発のサポートやゲーム開発の現場の経験はあるんですけども、ゲーム以外のところってほとんどありませんでしたので。そういう経験もできるっていうのは、ゲームエンジンのサポートという仕事ならではの魅力ですね。
篠山:
僕は去年12月からEpicに入ったんですけど、いろんなコンソールのゲームの一流タイトルのつまみ食いみたいなのができるって良さがあります。あともう1つ、人数が少ないからというのもあるんですが、1つの技術の1つの部分に特化してというよりは、いろいろな技術といろんな所に触れて、ライセンシーさんの問題が起きているいろんな場所を勉強できます。そういった意味で、いままで自分があまり触れてこなかったところも勉強する必要があるし、逆に言えば勉強できるので、そこはエンジニアとしてはやっぱりすごい貴重な経験させてもらってると思います。楽しいですね。
――『ドラクエ』や『鉄拳』といった「Unreal Engine 4」を採用した国内タイトルが近年増加していますが、今後国内での展開はさらに加速していくと考えられますか?
河崎:
いままでは大型メーカーのトップチームが担当するようなトリプルA級の大型タイトルで、PS4やXbox One向けに「Unreal Engine 4」を使っていただくというのが多かったんです。ただそこがある程度広まって、最近の傾向としてはもう少し規模の小さい中堅クラスのパブリッシャーとかデベロッパーの方に使っていただいてますね。中規模なタイトルや国内向けの小規模なタイトルだったり、あるいは「Unreal Engine」には見えないような非常に日本風のタイトルだったり。「UE4」に興味を持っていただいているケースが増えてきているので、そういう意味では裾野が広がっていってるのかなという実感はありますね。
――使用例が増えているということですが、日本国内で各社の「UE4」に対する理解は進んでいるのでしょうか。
下田:
我々としてもそういう理解をどんどんしていただくために、「Unreal Fest」等を開催しているんですが、それでもやはりまだまだ初めて触られる会社には難しい点があります。ですので、そういう会社には我々の方から講習会を実施したり、オフィスにサポートチームで出向いて初期の勉強コストなどを抑えるという努力を日々続けています。やはり河崎が先ほど伝えた立ち上げ当初の考えにもありましたけど、日本の開発者のみなさんに寄り添って、日本語でサポートするっていうところをすごく重視していますので、その初心を忘れず、今でも出来るだけその場に行ってサポートすることに注力しています。
――日本の開発会社が「UE4」を触る際に壁になる部分はどこにあるんでしょうか。
篠山:
アーティストがかなり自由に組めるので、作ったあと各プラットフォームで動かす時に、パフォーマンスがでないとか何かバグが生じるというケースは多いですね。そういった時に、どう落としこむかというところで悩む方がいらっしゃいますね。
下田:
あとはリッチに作りすぎてパフォーマンスが出ないということも。「UE4」ならもっとパフォーマンスが出てもおかしくないのに、上手くライトのクオリティが出せないとか、PBRが上手く活かせないみたいなこともあったり。そういう部分を、我々としてはどんどんサポートしていきたいなと思っています。
――具体的なサポート内容を教えていただけますか?
下田:
基本は「UDN(Unreal Developers Network)」という、WebベースのQ&Aのシステムを使っています。ただそれだけではカバーしきれない場合もあるので、開発会社に出向いて実際にモノを見せて頂いたりというサポートもしています。あとは、つい先日も篠山が主導でやってくれたんですが、一部のライセンシーさんが集まる機会を設けて、技術交流・情報交換ミーティングを開催することもやっています。かなり好評だったので、今後も続けられたらと思っていますね。
篠山:
WebベースのQ&Aシステムと、オンサイトでのミーティングと、「Unreal Fest」とかのプレゼンテーション。大きく分けるとこの3つですね。
下田:
そうですね。
――最後に出た「Unreal Fest」もそうですが、Epic Games Japanは国内だと手広くイベントを実施されているなという印象がありますね。
下田:
「Unreal Fest」は先日大阪でやりまして、10月1日に横浜でやります。弊社主催の大きなものはその2つになりますね。ただ、コミュニティが立ち上げた各地域の勉強会とかもサポートしていたりします。それ以外にも、CEDECやGTMFといった開発者向けの業界イベントには積極的に出展・講演しています。
あとはライセンシーさんとのコミュニケーションの場をこれから増やしていこうとか、当初のメンバーだけではできなかったようなところも考え始めていますね。篠山が入社したように、人が増えることでこういう会をやったらいいんじゃないかっていうのが、どんどん増えてきて。いま、ライセンシーの皆さんをどうサポートしていこうかっていうので、また新しいアイディアが出始めてきているんです。そういうのをどんどん実現していきたいなと思っています。
――現在は「サポート・エンジニア」職を募集されているとのことですが、より具体的な業務内容を教えていただいていいですか。
下田:
「サポート・エンジニア」としては、さきほど出ました「UDN」というサイトでのサポートだったり、実際の開発会社への訪問であったり、イベントの登壇などを担当してもらいます。日々の業務として見ると、8割は「UDN」でのサポートになると思います。月に何回かライセンシーのところに行ってサポートするということがあったり、もしくは1か月か2か月に1度くらいイベントに登壇する、というのがおもな仕事になりますね。
河崎:
基本的には、「UE4」を使っていただいているお客様が、なにか困ったりわからなかったりというところで、ヘルプを求めて来られるのに対応する仕事なので、ざっくり言うと「困っている開発者を助ける」というのが仕事です。
――具体的に過去にどのような仕事をされたか、なにか例をお話しいただけますか。
下田:
先ほどお話がありましたけど、パフォーマンスが出ないというのはさまざまなプロジェクトでよくありますね。実際に現場に行って見せていただいたり、もしくは「UDN」で解決するときもあるんですが、パフォーマンスを見るためのさまざまなデータをロギングするような機能がありますので、その情報をいただいてサポートする。やはり、解決策はプロジェクトによって1つではないので、こうやるともっとよくなるとか、もしくはこういう方法もありますよとか、いろんなアイデアをご提供するようにしています。その中からプロジェクトにあったものをチョイスしていただいて、より良いものにしていく。
篠山:
たとえばプロファイリングの話だと、パフォーマンスが出ないけど何をすればいいかわからないという状況に対して、僕らがいろんな情報をもらって、なにをすれば早くなるのか、ポリゴンを減らすのかテクスチャを減らすのか、なにか設定がおかしいのか、原因を特定するお手伝いをしたり、アドバイスを提供することになります。
――やはり専門的なスキルですとか知識が……。
河崎:
なんか地味だなあ……。もっと読者の人が読んでて「おお、かっこいい」って思うようなエピソードとかさ……。
一同:
(笑)
篠山:
いまのかっこよくないですか?あれ?
下田:
エンジニア的には……(笑)
河崎:
インタビューってありのままを言うのも大事だけど、読み手が読みたいことを言ってあげるのも大事だから。
篠山:
おかしいな……いまの最高にかっこいいなと。
一同:
(笑)
――そうですね(笑)たとえばすごく大変な困難があって、うまく乗り越えられた話ですとか。あるいは「サポート・エンジニア」の大変なところっていうのはどこにありますか?
篠山:
次世代グラフィックを目指したきれいな植物のあるシーンで、パフォーマンスが出ないって問題があったんです。木の作り方に問題があったんですが、その原因を我々で特定して、結果大幅に改善できた時は嬉しかったですね。
――パフォーマンスに問題があるという話がすごく多いんですね。
下田:
やはり初めて「UE4」に触れて知識がない状態で使いますと、結構パフォーマンスが出なかったりします。
篠山:
それでも作れちゃうっていうのはやっぱり良さではあるんですよね。
――組むところで問題というのはあまり発生しないんですね。
下田:
とりあえず動かすだけなら動いちゃいますね、はい。
下田:
あとはミーハーな意見ですけど、あの有名タイトルのあのキャラが「UE4」で動いた!っていうのを見ると、かなり心に来るものがありますね。プロジェクト導入後に、初めてあの有名タイトルのキャラクターたちが「UE4」上で動いているっていうのを見ちゃうと、もうそれだけでテンションが上がります。
――自分が関わっていたものが出てくる喜びですね。
下田:
あとは、自分がプレイしていたゲームが「UE4」を使ってくれたというだけで、うおおおっていうのがありますね。
――先程も挙げましたが、国内では有名シリーズの登場が続いていますね。
下田:
そうですね、なのでかなり感動できます。
――ゲームエンジンの仕事をサポートするというのはなかなか特殊な仕事かと思うんですが、この仕事独特のやり甲斐や必要なスキルなどはありますか。
下田:
やはり開発会社の方たちが、我々が提供したサポートにすごく満足して、これ上手く使えるよとかありがとうとか言っていただいたりすると、すごく嬉しいなあというのがありますね。あとはそういうところを支えるために、自分が自分がというよりは、開発会社がなにを求めているのかっていうところを聞き出せる能力というのが、「サポート・エンジニア」には重要になってくるのかなと思います。
篠山:
僕ではないんですが、弊社のロブがサポートをしていろいろな問題を解決したあとに、わざわざロブに挨拶に来てくれたことがあって。Webベース上のただのサポートだったんですけど、あれがすごい役立って開発が進みましたありがとうございますって、直接言いに来てくれた人が居たんです。それはサポートをやってるなかでの大きな喜びかなあ。自分たちが世の中にあるたくさんのタイトルを良くしていっている感覚につながるので。まあ、僕じゃないんですけど(笑)
一同:
(笑)
――必要なスキルでいいますと、やはりコミュニケーション能力も重要になってきそうですね。
下田:
そうですね。かなり重要になりますね。
篠山:
やっぱりQ&Aが多いので。なにが問題かわからずに質問して来られる方もいるので、そこをコミュニケーションで引き出していくというか。技術を知っているなかで、やり取りができるっていうのは重要かなあと思います。まあ楽しいところでもありますね。
――話が戻りますが、仕事内容の2割ぐらいがイベントに出たりするとのことでした。イベントって緊張されたりしないですか?
下田:
最初はやっぱり緊張します。なにがきっかけかわからないんですが、最近もあがるときはあります。でもイベントの前に、事前練習を社内のチームでやるんですね。そこでダメ出ししてもらえるので、まあ実際の時にはあがらすに自信をもってやれるようにはなりますね。
――イベントを通じての業界との交流は意義あるものになりそうですね。
下田:
そうですね。やはり現場の方たちとコミュニケーションが取れるので、すごく大事ですね。場合によっては、イベントの当社ブースで質問にお答えする機会を設けたりもしているので、ぜひ足を運んで頂けると嬉しいですね。
――お2人の話を聞きたいんですが、どういう経緯でEpic Games Japanに入社されたんでしょうか。
下田:
僕の場合は、Epic Games Japanを河崎が立ち上げたころに、2か月か3か月ぐらい遅れで入りました。実は前職では一緒の会社で、「Unreal Engine 3」を使ったプロジェクトに携わっていた関係で、まあやってみないかという話で声をかけていただいたんです。
立ち上げ当初の話に戻るんですけども、やはり日本の開発現場が「Unreal Engine」をわかっていなかったり、コミュニケーションがうまくできなかったりっていうのが、自分が携わっていたプロジェクトでもあったんです。どうすれば良くなるかというのを、実体験をベースに提供できるのかなというところで、うまく前職の経験が役に立っているのかなと思いますね。
篠山:
僕は前職がハードメーカーのサポート・エンジニアでした。「Unreal Engine」に関しては「UE4」からのユーザーで、初めて「UE4」がソースコードの公開と月額19ドルでの提供を発表した時に、世界トップクラスのエンジンをみんなで共有できるっていうのにすごいびっくりしたんですね。そこからもうずっと、「Unreal Engine 4」のソースコードをほぼ毎日ずっと読み続けるだけの生活になっていって……なんかいいこと言おうと思ったんだけどでてこない(笑)
一同:
(笑)
――まあなんでしょうか、ありのままに(笑)
河崎:
でも前の会社の悪口とか言っちゃダメだよ(笑)
篠山:
(笑)……それで、Epicさんのサポートを見ていると、正直ほとんどやっているのは、オープンソースのものをサポートしているような状態なので、すごく情報交換が活発なんですよね。日本も多くのタイトルが参入しているし、いろんなものに挑戦できそうだなっていうところがあって、入社を考えました。エンジニアとしてはすごく面白くて、自分があと数年でもっと成長できるんじゃないかなあと思っています。
――「UE4」のコミュニティはとても熱い印象があるので、そこに関われるのも魅力という気がします。
下田:
そうですね。我々も関われて幸せだと思っています。やっぱり「UE3」で苦労してたところから、本当にみなさんに使っていただけるようになってきている。皆さんがいろんな素晴らしいタイトルで「Unreal Engine」を使っていただけるというところに携われるのは、本当に技術者としてもエンジニアとしてもゲーム業界の人間としても、とても嬉しいことだと思いますね。
――Epic Games Japanの魅力やサポート職の仕事に関してなにかあれば……。
下田:
募集条件で英語がTOEIC700点以上って書かれてますけど、700点以上でなければダメというよりも、それぐらいまで勉強して本社の人間とコミュニケーションしてやるぜ、という意気込みを持っていただければ、あまり点数は関係ないです。
篠山:
あと実は今日、この取材があるのを僕は知らなかったんですけど、こんな格好でも許されるという(笑)ヒゲも剃っていない、それぐらい自由な社風。
一同:
(笑)
――服の規定は一切ないと(笑)
下田:
そうですね(笑)
――オフィス内を見ていて思ったんですが、みんなが集まってゲームできそうなスペースがありますよね。あれが気になりました。
下田:
そうですね、あそこはゲーム機もありますね。
篠山:
みんなたまにやったりしてますね。
――オフィス全体の雰囲気として、綺麗なんですがアットホームでオープンな雰囲気がしました。
下田:
そうですね、次のオフィスもできればアットホームな感じにということで話が進んでいますね。
――やはりガラス張りの?
下田:
ガラスにするかどうかはちょっと微妙なところがありますねえ。
篠山:
あと日本の会社ってまだまだテレワークが整っていない部分があると思うんです。でもEpic Games Japanはメールとかオンライン環境がすべて揃っているので、正直家からでも仕事ができてしまう。僕とかは自由にシフトを組ませていただいてて、たとえば子供の保育園のお迎えがあるから17時に電車で帰っちゃうんです。残った仕事があったら、その分はそのまま家で夜やるとか。週一回ぐらいは、まるまる家で作業しています。
――その辺りの待遇はかなりいいんですね。
河崎:
それをアピールポイントで押し出すと、すごい変な格好した、ぜんぜんオフィスに出てこないみたいな人ばっかり応募してきちゃうんじゃないの……(笑)
一同:
(笑)
下田:
すごい自由度が高いんですよね。あと風通しがいいので、上司を通さなければ外部と話してはダメといったことはぜんぜんなくて。チャットのシステムにはSlagを使っているんですが、本社とのやり取りだったりメールでのやり取りというのが、本当に自由にできるんですね。
河崎:
まあ本社も含めてちっちゃい会社なので、変な社内政治とかないですし、やりやすいんですけど、逆にいうと「どっかの誰かがやってくれるだろう」っていう大企業的な甘えはまったく成り立たないので。どっかの誰かイコール自分なので(笑)そういう環境が楽しめる人にはすごくいいですね。自分のことしかやりませんって人には、向かないかなあと思いますね。
あとはゲーム業界で働く醍醐味の1つって、ヨドバシカメラとかビッグカメラで自分の関わったタイトルをお客さんが手にとってレジに持っていく瞬間で、やっぱりグッとくるものがあると思うんです。逆に安売りのワゴンに乗ってるとめちゃくちゃ落ち込むんですけど、俺が関わったあのタイトルだっていうのをレジで喜べる。もちろん関わりの度合いは実際に開発しているチームの方にくらべればぜんぜん薄いんですけど、数は多いのでそのチャンスはすごく増えますね。常時何かしらモノが世の中に出るので、それに対する貢献みたいなのを自分で感じられるっていうのは、すごくいいかなって思います。
――Epic Games本社の方々とチャットなどを通じて連絡を取れるというお話も、かなりうらやましく思いました。ミーハーな意見かもしれませんが、あのEpic Gamesの人たちと話せるのかあという。
下田:
本当にGDCで発表しているような人たち、ティムも含めて普通にコミュニケーションしてくれるので、そこは魅力的ですね。
――ティムさんも普通に?
下田:
チャットまではあんまりしてこないですけど、メールとかはすごい勢いで返してきたりしますね。
篠山:
エンジニアのメーリングリストがあって、仕事に関係ないいろいろな情報をポストするんですけど、たまに普通にティム・スイニーさん返信してたり。
――ゲームの開発チームとコミュニケーションを取るようなこともありますか?
下田:
実際のゲーム開発の現場の方たちともすごく仲良くしていただけます。一旦信頼関係が構築できると、Paragonのような最先端タイトルを作っている人間たちと常時コミュニケーションできるというのもすごくありがたいですね。
河崎:
あとアメリカでエンジン作ってるスタッフの中には、やっぱり日本のゲームのファンも多いので、『ドラクエ』で使ってもらったとか『FF』で使ってもらったっていうと、ものすごい喜びのメールが送られてきますね。それは嬉しいです。彼らにしてみると、あこがれのタイトルが自分たちが作ったエンジンを使ってくれたっていうところで。アメリカの片田舎の技術者たちが喜ぶわけです。
――か、片田舎……(笑)
河崎:
その間に立てて嬉しいなあっていうのはありますね。
篠山:
ヒゲの生えた短パンの人……。
河崎:
飲める人。
一同:
(笑)
――飲み会は多いんですか(笑)
河崎:
いえ(笑)そんなに多くはないですね。
――会社で仕事外で集まる機会はあるんですか。
篠山:
先週金曜日にバーベキューしました。
河崎:
あとは月に1回、みんなでちょっといいランチを食べに行くというイベントがあります。
篠山:
「Epic Friday」の時に。
河崎:
ああそうだ、「Epic Friday」があったね。
篠山:
月に1回、その日は普段の業務と関係なく、もちろん会社に役立つことですけど、なんでもやっていいよという日がありまして。それが月末の金曜日にある、「Epic Friday」ですね。その時は僕らもサポート業務じゃなくて、日々こんなこと挑戦したいなあって思ってることを試せる。
――たとえばUE4を使って組んでみたり。
篠山:
そうですね。自分で試してみたり。毎月楽しみにしています。その日にEpic Games Japanだと、みんなでおいしいランチを食べに行っています。
河崎:
うちの本社で作っているタイトルも、「Epic Friday」で始めた企画が育って、いま製品化に動いているものもあるので。
――ではあらためて、現在どのような仲間を求められているのか、メッセージをよろしくお願いします。
河崎:
いま募集しているスタッフとしては、サポートチームのスタッフなんですけども、2種類募集しています。1つが篠山やほかの人間がやっている「サポート・エンジニア」と呼ばれるポジション。もう1つは、もうちょっとジュニアな「エンジン・サポート・テクニシャン」とかいう、いまは居ないんですけども「サポート・エンジニア」のアシスタントのようなポジション、2つを募集しています。
「サポート・エンジニア」は即戦力で、さっき言ってたようなお客さんからのヘルプに答えていかないといけないので、開発経験があってコンシューマのゲーム開発をある程度わかっている人間。かつ「UE4」もそこそこ詳しいっていう、けっこうスペックが高い、ハードルも高い職種ですね。
でももう1つのアシスタントの方は、「サポート・エンジニア」たちが日々こなしている仕事のアシスタント的な存在です。たとえばバグの再現をするとか、「サポート・エンジニア」がとりかかる前の下ごしらえをしてもらうようなイメージのポジションなんです。こっちはもう、優秀な人であれば学生とか新卒の方でもやれないことはない。逆にうちでそういうアシスタントの仕事をやりながら、「Unreal Engine」とかサポートの仕事を覚えてもらって、ゆくゆくは「サポート・エンジニア」に育ってくれればなっていう、インターン的な要素もふくめての募集になります。
下田:
あとはそうですね、言われたことだけをするのではなくて、それよりも先を考えられる人っていうのがぜひ来て欲しいですね。「UDN」のサポートだと、書かれていることが数行だったりする場合もあるんです。そういう時に、言われたことだけじゃなくて、相手が何を求めているんだろうっていうところまで踏み込めれば、さらによりよい提供ができる。もしくは、いま居るメンバーよりも自分はここがもっとすごいんだっていう人、ここならもっと活躍できるっていうような人は、どんどん来てくれると嬉しいです。
【募集職種】
・サポート・エンジニア
・エンジン・サポート・テクニシャン
【採用条件】
サポート・エンジニア:
当ポジションの職務を成功裡に遂行するために、求められるそれぞれの職責を十分な水準で遂行する必要があります。必要とされる知識やスキル、能力の代表例を下記に列記します。障害者にも業務遂行のために一定の範囲内での補助が提供されます。
必須とされるスキル:
-日本語で技術的内容の読み書き、会話が行えること
-UE4に関する充分な経験・高度な知識
-コンソール向けゲーム開発経験
-C++に関する経験・知識
-英語の読み書き、会話能力(TOEICスコア700点以上)
備えていることが望ましいスキル:
-コンピューターサイエンスの学士号
-テクニカルカスタマーサービスの経験
– より高度で専門的なコンピュータプログラムスキル(マルチスレッド、GPU知識等)
-モバイル向けゲーム開発経験
– ハイレベルなコミュニケーション能力
エンジン・サポート・テクニシャン:
当ポジションの職務を成功裡に遂行するために、求められるそれぞれの職責を十分な水準で遂行する必要があります。必要とされる知識やスキル、能力の代表例を下記に列記します。障害者にも業務遂行のために一定の範囲内での補助が提供されます。
候補者は以下から複数のスキルを有する事が求められます:
・Unreal Engine 4 の知識と経験を持っている
・いずれかのエンジンでゲームもしくはシミュレーションの開発を行った経験
・C++やスクリプトでの開発経験もしくは3Dアセットの制作経験
・ネットワーク、アニメーション、ビジュアルエフェクト、ゲームプレイプログラミング等(もしくはこれ以外でも)の特定分野への精通
・日本語で技術的内容の読み書き、会話が行えること
備えている事が望ましいスキル:
・QAテスト経験と、バグや問題トラッキングシステムへのデータ登録と調査経験
・技術的なサポートを他者に提供した経験
・英語で技術的内容の読み書きが行えること
【待遇】
給与は個別に相談
勤務時間:10時頃~18時頃
休日と休暇:土日祝日休み、他に所定の有給休暇あり
福利厚生:厚生年金、健康保険
【勤務地】
横浜市中区
【その他】
http://epicgamesjapan.com/careers.html
問い合わせは[email protected]まで
[聞き手 Shuji Ishimoto]