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新作MMORPG『AION2』は“後ろ姿”まで作り込んだ。なぜなら背中も腰も脚もじっくり見えるから。200項目超のキャラメイクと「空を飛べる世界の作り方」を開発者に訊いた
『AION2』アートディレクターのチャ・ボンソプ氏にメールインタビューを実施。Unreal Engine 5を用いたグラフィック表現から、自由な飛行を前提とした世界づくり、そして背中や腰、脚、翼まで含めたキャラクターの造形について話を訊いた。

NCが手がけるMMORPG『AION2』が、10月5日に正式サービスを開始した。本作はPC(Steam/PURPLE)向けに基本プレイ無料で配信中。『タワー オブ アイオン(The Tower of AION)』の続編にあたり、前作で描かれた「アイオンの塔」が崩壊してから200年後のアトレイアを舞台としている。
本作は正式サービス開始前から大きな盛り上がりを見せており、9月30日に始まったファウンダーズパック購入者向けの先行アクセスでは、Steam版の同時接続プレイヤー数が一時17万人を突破した(関連記事)。本作では、前作の36倍ともされる広大な世界を、翼を使って自由に飛び回ることが可能。またプレイヤーキャラクターとなる「ディーヴァ」は8つのクラスから選択でき、顔立ちや体型など200項目以上を調整できるキャラクターカスタマイズも用意されている。

そんな『AION2』では、空を自由に飛べるからこそ、アート面でも独特の作り込みが必要になったという。地上から見れば背景だった場所へ実際に飛んでいくことができ、キャラクターについても、正面だけでなく飛行中には長い時間“後ろ姿”を見ることになる。そのため、ワールドもキャラクターも、さまざまな高さや角度から見られることを前提に作り込まれているという。
今回弊誌では、『AION2』アートディレクターのチャ・ボンソプ氏にメールインタビューを実施。Unreal Engine 5を用いたグラフィック表現から、自由な飛行を前提とした世界づくり、そして背中や腰、脚、翼まで含めたキャラクターの造形について話を訊いた。

“地上できれい”なだけでは終わらない、「空を飛べる世界」の作り方
――『AION2』ではUnreal Engine 5が採用されています。単純にグラフィックがきれいになった、ということ以外で、UE5を使ったことで初めてできた表現や、制作の仕方が変わった部分はありますか。
チャ・ボンソプ氏:
Unreal Engine 5を採用することで大きく変わったことの一つが「光」の表現です。『AION2』では、キャラクターと背景が周囲の光を受けたときに、より自然に馴染んで見えるよう調整しました。屋外でもキャラクターだけが浮いて見えないよう、継続的に調整しています。
もう一つ重要なのは、広大なフィールドの表現です。『AION2』は前作より世界が広く、自由に飛行できます。高い場所から遠くまで見渡せるため、世界が遠くまで途切れず続いているように見せることに力を注ぎました。ただし、最新のレンダリング機能を適用するとグラフィックの品質は向上しますが、その分GPUとメモリ使用量も増加します。そのため、Nanite、Lumen、VSMなどのUE5の機能を基本設定のまま使うのではなく、『AION2』の広大なフィールドと飛行環境に合わせてレンダリングパイプラインを独自に改善し、適用しました。これにより、さまざまなスペックでも一貫したプレイ体験を提供できるよう注力しました。
また、目標にしたのは単なる「現実感」ではありません。現実に近づきすぎると、『AION』らしいファンタジー感が薄れてしまいます。現実とファンタジーの中間を意識しながら、衣装や翼、キャラクター、背景が自然に共存する世界を作っています。

――『AION2』では、フィールドを自由に飛びながら探索できます。プレイヤーが空を飛べるとなると、建物や地形をいろいろな高さや角度から見られることになりますよね。世界を作る側として、これはかなり大変そうですが……。
チャ・ボンソプ氏:
『AION2』ではプレイヤーは地上を歩きながら、いつでも翼を広げて高い場所へ上がることができ、山や建築物を上から見下ろしたり、遠くに見えていた場所まで実際に飛んでいったりできます。そのため、景観を地上から眺める視点だけで設計することはできませんでした。
――全方向から視線を向けられる景観や建築物をデザインするうえで、意識したことはありましたか。
チャ・ボンソプ氏:
地上では自然に見えても空中から見ると不自然になる地形や、特定の方向からだけ完成して見える建築物が生まれないよう、さまざまな高さや方向から繰り返し確認しながらワールドを構成しました。特に飛行を始めると、プレイヤーが一目で見渡せる範囲が大きく広がります。このとき、単に広い空間を見せるよりも、遠くからでも目に入る地形や建築物、地域ごとに異なるシルエットや雰囲気を通して、自然と次の目的地に興味を持ってもらうことが重要だと考えました。地上から見たときは一つの背景のように感じられた場所が、空からは新たな目的地に見え、反対に遠くから眺めていた場所に実際に到着したときには、その中でまた別の景観を発見できるようにする。それが、私たちの目指した方向性です。
『AION2』は前作よりはるかに広い世界を持つだけに、単に移動のための空間を広げるのではなく、飛行そのものが世界を発見する体験となるよう、力を注ぎました。同じ場所でも、地上から眺めるときと空から眺めるときとで異なる印象を受けることを、ぜひ体験していただきたいです。
遠くに見える浮島は、ただの背景ではない
――世界がこれだけ広いと、プレイヤーもまだ気づいていない“秘境”のような場所もたくさんありそうですよね。「ここは一度じっくり見てほしい」というものがあれば教えてください。
チャ・ボンソプ氏:
『AION2』では地上だけでなく、空や水中など、さまざまな場所から世界を見ることができます。そのためアートチームは、一つの場所を「一方向から見る絵」ではなく、どの高さや角度から見ても成り立つ空間にすることに多くの力を注ぎました。
たとえば、空に浮かぶ浮島や構造物は、遠くから眺めるだけの背景にはしませんでした。実際に飛んでいって着地し、その上を歩いて探索できる一つの地域として機能するように構成しました。地上から見上げると風景の一部だった場所も、実際に行ってみるともう一つの空間になり、反対にその上から見下ろすと、これまで通ってきた地上の風景が新たに見えてきます。このように、空と地上が切り離されているのではなく、一つにつながった世界だと感じていただけるよう力を注ぎました。

水中も、ぜひ一度ゆっくり見ていただきたい場所です。水面の下に入ると、光が水を通って広がる様子や、クリオネ湖の底の地形や生物など、地上とはまったく異なる雰囲気を感じられるでしょう。移動中にあっという間に通り過ぎてしまいがちな空間ですが、少し立ち止まって周囲を見渡してみてください。
また、同じ場所でも光によって印象が大きく変わります。アトレイアのさまざまな地域で、光が建築物の間から差し込む瞬間は、アートチームが特に気を配って調整した場面の一つです。
200項目以上のキャラメイク。「作る過程」そのものを遊びに
――『AION2』では200項目以上を調整できるキャラクターカスタマイズが用意されています。かなり細かいところまで自分好みに作れますが、なぜここまでキャラクタークリエイトの自由度を高くしたのでしょうか。
チャ・ボンソプ氏:
私たちが大切に考えているのは、プレイヤーが心に描いたキャラクターをそのまま『AION2』の世界で表現できるという点です。天族と魔族についても、「この種族はこの姿」と固定せず、前作らしい外見も新しい外見も自由に作れるようにしています。
自分で作った外見をほかのプレイヤーと共有できる「スタイルショップ」もあります。正解が決まったキャラクターを作るのではなく、キャラクターを作る過程そのものが一つのコンテンツになることを願っています。


――公開されている『AION2』のキャラクターを見ると、顔だけでなく、背中や腰、脚など、身体全体のシルエットにもかなり力が入っているように見えます。キャラクターをデザインする際、特にこだわっている部位や、「ここはきれいに見せたい」と意識しているところはありますか。
チャ・ボンソプ氏:
『AION2』は、飛行をはじめ、プレイ中にキャラクターの後ろ姿を見る時間が多くあるので、顔だけでなく、背中から腰、脚へとつながる後ろ姿のシルエットがどのように見えるかも大切に考えています。キャラクターは顔だけでなく、衣装や翼も含めた全体の姿も見ていただきたいです。
衣装は金属、レザー、布のように、素材ごとに光を受けたときの質感が異なって見えるように表現し、翼も広げたときと飛行中のシルエットがキャラクターによく似合うようにデザインしました。光のよく当たる屋外でキャラクターをゆっくり回してみたり、飛行中の後ろ姿を見たりすると、新たな魅力を発見していただけると思います。個々のデザインが美しく見えるだけでなく、キャラクターの体型や翼と組み合わせたときに、一つの完成されたシルエットとして自然で魅力的に見えることを大切に考えています。
プレイヤーが長い時間見つめることになる自分のキャラクターだからこそ、どの方向から見ても愛着を感じられるキャラクターを作ることが、私たちが大切に考えている部分です。
――空を飛ぶからこそ、ワールドだけでなくキャラクターも、いろいろな方向から見られることを意識して作られているわけですね。『AION2』のキャラクターや衣装を見ると、格好いい、かわいいだけでなく、かなり色気を感じるデザインもあります。キャラクターを魅力的に見せるうえで、「格好よさ」「美しさ」「魅力」のバランスはどのように考えていますか。
チャ・ボンソプ氏:
『AION2』では、キャラクターの魅力を一つの基準で定義していません。力強くかっこいいキャラクターもいれば、美しい、あるいはかわいいキャラクターもいて、さらに、少し大胆で魅力的に表現できるキャラクターもいると考えています。
そのため、特定のスタイルを正解とするのではなく、プレイヤーが望むキャラクターのイメージに合わせて多様な魅力を表現できるよう、選択肢を広げることを大切に考えました。ただし、どのようなスタイルであっても、『AION2』の世界に自然に溶け込むべきだという基準はあります。衣装のシルエットや素材、装飾の度合いを調整し、ファンタジー世界の美しさを保ちながら、今のプレイヤーが魅力的に感じられるデザインを作ることが、私たちが大切に考えているバランスです。

筋肉質+ロングヘア+ピンクの衣装。開発側の想像を超えたキャラメイク
――『AION2』は韓国・台湾で先行してサービスが始まっています。プレイヤーが作ったキャラクターやコーディネートを見て、「そんなところにこだわるのか」「その組み合わせは思いつかなかった」と驚いたことはありますか。
チャ・ボンソプ氏:
サービス開始後、私たちが予想していなかった方法でカスタマイズを楽しむプレイヤーの方々が多いことが、特に印象的でした。韓国ではあるインフルエンサーが、筋肉質な体型に長く垂らしたヘアスタイル、ピンク色のコスチュームを組み合わせた、個性の強いキャラクターを作りました。その独特な姿が一つのキャラクター性として定着し、ユーザーの間でも大きな人気を集めました。
また、『AION2』のキム・ナムジュンPDに似たキャラクターを作って話題になったユーザーもいました。私たちが提供したカスタマイズ機能で開発陣の姿まで機知に富んだ形で表現し、それをほかのユーザーと一緒に楽しむ様子がとても愉快でした。
開発過程でさまざまな組み合わせを十分に考慮したつもりでしたが、プレイヤーの方々はそれ以上に新しいキャラクターを次々と作り出しています。かっこよく美しいキャラクターだけでなく、愉快で個性的なキャラクターまで自由に表現し、それ自体が一つの遊びであり物語にもなることが、『AION2』のカスタマイズの最大の魅力だと思います。
――ありがとうございました。
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