Cygamesが本気で作るローグライトアクション『リトル ノア 楽園の後継者』開発インタビュー。なぜローグライトなのか、なぜ『リトル ノア』なのか

Cygamesは6月28日、『リトル ノア 楽園の後継者』を発表した。対応プラットフォームは、Nintendo Switch/PS4/PC(Steam)。本日より配信開始されている。とにかく新しさと挑戦にあふれる本作。制作の経緯と裏側を知るべく、開発者に話を訊いた。

Cygamesは6月28日、『リトル ノア 楽園の後継者』を発表した。対応プラットフォームは、Nintendo Switch/PS4/PC(Steam)。本日より配信開始されている。ジャンルはローグライトアクションゲームである。Cygamesがローグライトアクションゲームを作るというだけで興味深いが、特筆すべきは同作が惜しまれつつもサービス終了したモバイルゲーム『リトル ノア』のIPを活かして展開されている点だ。なんでも、『リトル ノア 楽園の後継者』の開発はグランディングとタッグを組んでいるほか、Cygamesのディレクターはローグライトアクションゲームをこよなく愛しているという。さらにCygamesは本作の海外版の販売も自社で担うという。とにかく新しさと挑戦にあふれる本作。制作の経緯と裏側を知るべく、開発者に話を訊いた。

ローグライトアクション好きが作ったローグライトゲーム

──自己紹介をお願いできますか。あわせて、これまでの経歴も教えていただけますか。

松浦弘樹(以下、松浦)氏:
松浦です。株式会社Cygamesでディレクターセクションのマネージャー兼シニアディレクターをしております。以前は任天堂さまと一緒に『ドラガリアロスト』というタイトルのディレクターをしておりました。しばらく運営にも携わって、岡田(佑次)にバトンタッチしたあと、弊社のコンシューマー事業本部にて今作を立ち上げました。その前は『LINE ペーパーダッシュワールド』など、いくつか社内でディレクターをやっていました。もっと遡ると、フロム・ソフトウェアで『アーマード・コア』のプランナーをしたり、ブラウニーブラウン(現・1-UPスタジオ)でゲームを作ったりしていました。コンシューマーやスマホで、いろいろ作ってきましたね。


柴田健悟(以下、柴田)氏:
柴田です。グランディングでディレクターをやっております。会社に入って、実は今回が初のプロジェクトなんです。以前は、レベルファイブでゲームをつくっていました。『二ノ国』ではプランニングディレクターを担当し、『ダンボール戦機』にも携わっていました。


──ありがとうございます。それでは改めて、『リトル ノア 楽園の後継者』について紹介をお願いします。

松浦氏:
『リトル ノア 楽園の後継者』は、誰でも楽しめる横スクロール・ローグライトアクションゲームです。主人公の天才錬金術師ノアをはじめ、キャラクターの可愛さを活かして明るい『リトル ノア』を目指して作ったタイトルになります。『リトル ノア』が好きだった方はもちろん、いろんな方に手に取っていただきたいなと思っております。

──今作はCygamesさんとグランディングさんの共同開発ということで、出会いはなんでしたか。またどういうかたちで開発協力していったのでしょうか。

松浦氏:
弊社代表の渡邊に今作プロジェクトの認可をもらったとき、実は社内に手の空いてるスタッフがいなかったんです。コンシューマー事業本部では、『GRANBLUE FANTASY: Relink』などの開発期間の長いタイトルを制作中なので。そこで、外部の会社を探すことになりました。そうしたなかで、今作のアートディレクターを務める米倉が、昔ほかの会社でお世話になった方がグランディングさんにいらっしゃったので、是非お会いしましょうというはこびになりました。

柴田氏:
話をいただいた際に、弊社側も『リトル ノア』が好きなスタッフが多かったんです。それと、今回は開発規模も、僕たちの会社でもしっかり作り切れるものだったので、話が決まったかたちになります。

──おふたかたの役割やチーム規模を教えてください。

松浦氏:
Cygames側は、ディレクターが僕で、2Dイラストのアートディレクターが1人と、メインのシナリオライターが1人が参加してます。アニマのデザインにスポットで入ってもらうこともありましたけど、少人数ですね。

柴田氏:
僕らは松浦さんにいただいた概要を仕様に落として、仕組みやデザインを提案させてもらうかたちでした。ゲーム部分の実装は僕らの方でさせていただいたようなかたちです。3Dモデルはこちらがいただいたんですが、もちろん今作用に調整しております。弊社の開発は最大のときは、30人ぐらいでしたね。

松浦氏:
最近インディーのタイトルでは、ごく少人数でクオリティの高い作品を作られている方もいっぱいいらっしゃるので、負けてられないなという想いがありました。

──松浦さんが個人的に、グランディングさんに惹かれた部分はどこでしょうか。

松浦氏:
グランディングの代表取締役をされている二木(幸生)さんが、『パンツァードラグーン』を作った方なので、グランディングさんにはアクションゲームづくりの知見もあるのだろうと考えました。それと、エンジニアの方と少し話をさせてもらって、その方もアクションゲームにこだわりのある方だったんですね。アクションゲームは、手触りがすごく大事だと思っていて、僕もそこにすごくこだわりを持っているんです。いくらプランニングやディレクションが上手くいっても、細かい手触りの良さは実際にデータを作る人がわかってないとできない部分だと思うんですよ。そうした理由もあって、グランディングさんにお願いしようと決めました。

──『リトル ノア』は惜しまれつつもサービス終了したタイトルですが、このタイミングで『リトル ノア』を冠した新作を作るになったきっかけを教えてください。

松浦氏:
実は、『リトル ノア』のIPを活かすことありきで始まったのではなく、ゲームシステムの方が先にあったんです。渡邊と何を作るかという相談をしたときに、自分がアクションゲームを作ってきたことが多かったので、2D横スクロールアクションゲームにするのがいいんじゃないかと言われて、そこからいろいろ考えました。

僕はそのころ『Dead Cells』というローグライトアクションゲームにハマっていたので、そういう感じのものを作りたいなという思いがありました。ある程度開発期間もコンパクトにというところで、ローグライトな横スクロールアクションであればリソース量は抑えつつプレイ時間も出せますし、僕自身も好きなので、ピッタリのタイトルだと考えました。


──『Dead Cells』がお好きなんですね。

松浦氏:
僕自身ゲームが大好きなので、リリースされたゲームは片っ端から遊ぶんです。(ゲームが数多く発売される)毎週木曜日が楽しみでしょうがないんです。日付が切り替わったら、とりあえず色んなゲームストアを覗いて、何本も買って遊ぶというのを毎週やっています。とにかく大量のゲームを遊んでます。そのなかで、ローグライクとアクションを合わせた『Dead Cells』を遊んだときの衝撃は凄かったです。なんて面白い組み合わせを作るんだと思いました。そういったジャンルのゲームを、PCも含めていろいろ遊んでいて、自分でも作りたいと思い始めたんです。

──そのほか、同ジャンルのゲームでプレイされたものはありますか。

松浦氏:
『Neon Abyss』、『Hades』、『Rogue Legacy』、『Risk of Rain2』なども大好きです。他にも『UnderMine』、『ScourgeBringer』、『Orbital Bullet』も楽しいですね。最近だと、少しジャンルは違いますが『20 Minutes Till Dawn』も面白いと思います。

──かなりいろいろ遊ばれている!

松浦氏:
はい!部屋単位で構成されているローグライトアクションからも参考にした部分があります。

本作ならではの要素も盛り込み

──既存のローグライトアクションゲームを参考にしつつ、オリジナル作品を作る狙いだと。

松浦氏:
さまざまな要素を盛り込みました。たとえば、アクション部分には、仲間を沢山使うコンボを取り入れました。昔のゲームでいえば、『ヴァルキリープロファイル』や『ゼノギアス』のように、ボタンにキャラクターを割り振って自分の好きなコンボが組めるゲームがありましたよね。それらはRPGでしたが、そのシステムを、横スクロールアクションゲームにもってきたらどうなるんだろうと考えたんです。それと、スマホゲームのような、たくさんのキャラクターを育ててパーティー編成していくという魅力も取り入れたいと考えました。

最終的にはこれらを合わせて、ローグライトで、ダンジョンに入ったときに新しい仲間が増えて、編成してコンボを考えていくシステムにしたいと考えていました。このシステムなら、やり直しになったときにも、また新しいキャラクターが仲間になって……というのを毎回できます。

ただ、そういったゲームシステムを作りたいと考えたときに、短期間で作るのが難しいことに気づきました。そこで、今コンシューマーで出しても問題ないクオリティのグラフィックで作られていた、『リトル ノア』を活かせばいいんじゃないかと気づいたんです。キャラクターのモデルもすでにありますし、たくさん仲間キャラクターもいるし、これはピッタリじゃないかと思ったんです。

──なるほど!IPの活用だけでなく、開発期間短縮という狙いもあるのですね。面白い。ちなみに本作はエフェクトや設計など、グラフィック部分が華やかですごくリッチに作られている印象を受けます。ビジュアル面でとくに開発中に重要視した部分はありますか。

松浦氏:
華やかで誰が見ても楽しそうだなと思えるものを目指してつくりました。たとえば、『スーパーマリオ』『星のカービィ』などを遊んでいる子どもたちにとって、また楽しそうなゲームが出たなと思ってもらえるような絵づくりは、意識しています。

また、チュートリアルに関しては、グランディングさんからの提案をいくつもいただきました。テキストやポップアップを用意する部分など、しっかりシステムに組み込んでくれています。ここも、開発チームの力が発揮されている部分ですね。

──遊びやすさへの工夫は感じます。

松浦氏:
初心者を含めて誰でも遊べるように、というのはすごく気を付けましたね。こうした死にながら進んでいく横スクロール型のアクションゲームは、自分で遊んでいても玄人向けなジャンルだと思います。それを幅広い人達にどのように遊んでもらうかという点は、最初みんなで悩んだ部分ですね。エフェクトなども、もっと可愛くしたほうがいいのか、ポップにしたほうがいいのかという風に悩んでいました。星とかハートとか飛ばして、さすがにそこは違うなと考え直すこともありました。世界観の表現の仕方には、いろいろと試行錯誤がありましたね。

Steamストアなどには、そもそもジャンルとしてローグライトが存在していて、今や似たようなアクションタイトルもたくさんリリースされています。ただそれでも、コアゲーマーにはすごく有名だけど、まだまだ知らない人がたくさんいるジャンルだと思うんです。それがもったいないなと。もっと知らない人にも届けるためにどうすればいいんだろうと考えたときに、よりキャッチーな見た目や、明るい雰囲気、そしてやり直してもいつかクリアできると思わせてくれる仕組みが必要だと思ったんです。こうした内容のタイトルは他になかったはずなので、本作を遊んでみれば、みんなきっとローグライトアクションの面白さをわかってくれるはず……と信じてます!

──本作には割としっかりめにストーリーが用意されていますが、ローグライトゲームとしては珍しい印象を受けます。この狙いについて教えてください。

松浦氏:
プレイヤーが先に進めたくなる動機付けという狙いが大きいですね。次が見てみたいというフックになるものは、やっぱりストーリーだと思ったので。

また、いろんな人に触ってもらうためにも、いわゆる昔のJRPG的なシナリオは大事だと考えました。謎があって宿敵がいて、仲間とだんだん仲良くなっていく過程があったり、最後に友情でホロリとしたり、といった物語ですね。ストーリー性の強さは、満足感にもつながると考えています。ですから、シナリオについては企画の段階から、ちゃんとしたものを用意したいと考えていました。シナリオライターと相談しながら作っていったかたちです。

──たしかに既存のローグライト横スクロールアクションゲームは、どれもあまりストーリーは語られない印象です。

松浦氏:
ローグライト作品は低価格のタイトルが多いので、圧縮できる部分となると、ストーリーだと思うんです。そこでコストカットして、ゲームの方に注力するんでしょうね。あとはおそらく、作っている人たちの好みが、いわゆるソウルライクなゲームというのもあるかもしれません。ストーリーで引っ張っていくより、キーワードを散りばめていって、世界を想像させる意図があるのかなと。個人的な予想です。


小さくも大きな工夫

──今作は、ほかのローグライトアクションタイトルと比べて、ゲーム中のカメラが近いように感じました。ここにも何か意図があるんでしょうか?

松浦氏:
キャラクターを大きく見せたかったというのがあります。ノアは可愛いですし、連れているアストラルのキャラクターたちもすごく可愛いので、まずその見た目で親近感を持ってもらいたいという意図があります。いろんな人に遊んでもらったときに、まずキャラクターに興味を持ってもらいたかったので、カメラの近さは意識しました。カメラを引いた方が断然視認性が良くなりますし、エーテルスラストなどもその方が使いやすいとは思うので、開発途中は何度も試行錯誤を重ねました。引きのカメラのゲーム画面が持つ魔力というか魅力との葛藤でしたね(笑)

──また今作はローグライトにしては、戦闘のヒットストップ(攻撃がヒットした時に一瞬止まる演出)が重めだと感じました。

柴田氏:
実はこれで減らしたほうなんです。もともとはいろんな箇所にヒットストップを入れていたんですよ。そして実は今、ヒットストップは敵が気絶して星が出ているときと、死ぬときぐらいにしか入れてないんです。モーションやエフェクトの間を入れて調整しているんですけど、ヒットストップについては実はそこだけなんです。もちろん、攻撃の見返りに手応えや気持ちよさを感じられるアクション性は大事にしています。見た目の派手さと手ごたえというのは、Cygamesさんが大事にされた部分なので。要所要所で入れる工夫はしつつ、あまり重くしすぎないようにしています。

松浦氏:
途中のバージョンでは、ヒットストップを重めにかけたこともありました。でも、派手かもしれないけど、さすがにずっと続けて遊ぶにはつらい感じだったので、引いていきました。ここは、ずっと調整し続けてきた部分ですね。

ヒットストップの処理も、プログラマーがしっかりやってくれました。攻撃時にヒットストップのような、実際は止まっていない若干のスローがかかるんですけど、その抜け方や尺を意識して作ってくれています。ストレスがかからない、気持ち良いところに収まるようなかたちで落とし込んでくれました。

──所持するアストラルやアクセサリによって総戦力が変化し、総戦力によってランクが変化するシステムはわかりやすいです。どういう経緯で導入されたのでしょうか。

松浦氏:
結構早い段階から導入したものなんです。プレイヤーが成長を感じられるように意図しています。企画段階から、ダンジョンに入って仲間が増えてどんどん強くなっていく感覚を、数字で見ることができた方がいいだろうと考えていました。実は、『ドラガリアロスト』でも戦力というかたちで数値を出していましたし、おそらくソーシャルゲームでは割と一般的なシステムだと思います。

──ああ、たしかに『ドラガリアロスト』にありました。だから見覚えがあったんですね。

松浦氏:
はい、ただそれをローグライトのアクションゲームに実装したのは、おそらく今作が初めてじゃないかと思っています。また、ほかの意図もあります。今作ではいろんなキャラクターが仲間になるんですけど、実際コンボに組み込める数は決まっています。それでも、仲間を増やすことで強くなっているのを見せたいので、それを総戦力というかたちで表示しているんです。総戦力の段階によって、攻撃力のパラメーターも少し加算しています。くわえて、総戦力という表記には、仲間だけでなく、入手したアクセサリなども全部プレイヤーの力になっているという意味も込められています。


──本作は、手触り感も良好に感じました。調整にはしっかり時間をかけられたんでしょうか。

松浦氏:
調整はある意味ずっと続けていました。単純なデバッグとは別に、細かい調整はずっとしてもらっていました。毎週ロムを作ってもらっていたんです。開発中にある程度ゲームが見えてきた段階で、それを僕がプレイしてフィードバックを返して、翌週また反映してもらって。それを1年ぐらいずっとやっていたので、すごく細かく改良を続けていましたね。

──Cygamesタイトルはどれも手触りがいいので、社内に手触り部門のようなチームがあって、そこがチェックしているのかと思っていました。

松浦氏:
手触り部門はありません(笑)ただ、代表の渡邊の存在は大きいかもしれません。手触り感に関しては渡邊もかなりこだわってチェックしています。また渡邊にかぎらず役員陣はみんなゲーマーなので、開発初期の段階から上層部の厳しいチェックにさらされることでCygames作品全体のクオリティが担保されているのかもしれません。

──ローグライト系のゲームは、早期アクセスでユーザーからのフィードバックを得てバランス調整をしているタイトルが多い印象を受けます。今作でも早期アクセス配信を検討されましたか。

松浦氏:
早期アクセスについても検討はしました。渡邊とも、最近Steamだとそうした作り方もあるから僕たちもやった方がいいのかな、といった話をしました。でも、やはり楽しみを奪ってしまうというか、最初に出たときのインパクトが薄れちゃうじゃないですか。だから、せーので、ドンと出した方が遊んでくれる人にとっても楽しいかなと思ってます。そのため、今回はプロモーションも含めて、一気に大々的な発表にしました。

──早期アクセスがない状態でバランス調整はどのようにされたのですか。開発スタッフ内だけで実施されたのでしょうか。

柴田氏:
そうですね。開発中には、遊んだことのない社内の人にプレイしてもらって、意見を聞いていました。その意見を吸い上げて、またフィードバックしてという流れを結構やりましたね。

松浦氏:
Cygamesの社内では、数人がテストプレイに参加しました。僕がCygamesのディレクターセクションのマネージャーなので、ほかのディレクターにプレイしてもらったり、意見を取り入れたりしていました。そのあと、ある程度出来上がった段階でいろんな人の意見を聞いて、それを取り入れようという流れもありました。

──開発スタッフがテストプレイしていくと、どんどん難易度が上がっていくパターンに陥りやすい印象です(笑)

松浦氏:
たしかに、僕らはずっと遊んでいるので難易度を上げる側ですね。ただ、遊んでもらった社内の人たちは初心者なので、その人たちから難しいと言われて、それに合わせて下げるという流れになっていましたね。

柴田氏:
だから、やっぱり触ったことのない人に触ってもらうというのを要所要所で繰り返して、その意見を取り入れています。入口の方はもっと簡単にしましょう、といった風に。

松浦氏:
開発後半になってから、キングと鉄巨人のヒットポイントを3分の2にしましょう、という調整もありましたね。


──確かにボスの体力はやや多めな印象です。開発スタッフでテストプレイを重ねた名残ですか?

松浦氏:
そうですね。あと、ボスの体力が多い方が、遊んでいて強くなった感じがわかりやすいという狙いもあります。ビルドが上手くいって攻撃力が上がっているときなどは、ボス戦で「俺強いわ今」というのがわかりやすいと思います。同じボス相手でも、当初とプレイ感は変わってくるはずです。だから、ある程度はボスのヒットポイントを確保しておきたかったというのはありますね。

柴田氏:
ある意味チェックポイントのような、自分のプレイを試してもらう山場になっているので、少し硬くなるように調整しています。

──たしかに、強いビルドを組んだのにあっけなくボスが倒れると残念です。そうしたことを見据えての調整なんですね。

ちなみにCygamesのコンシューマタイトルは、発売後のアップデートも精力的な印象です。本作でも発売後にアップデートをする計画はありますか。

松浦氏:
はい、DLCを2つ出す予定です。また、DLCのタイミングにあわせて無料アップデートを配信する予定です。無料アップデート第1弾としては、高難易度コンテンツを追加したいと思っています。こちらは今、絶賛開発中になります。そして、同時に出るDLC第1弾の内容としては、アニマが2種類とアストラルが3体とアクセサリが5種類。これらをワンパッケージにして、DLCとして発売予定です。DLCのアニマに関しては、第1弾の方で『プリンセスコネクト!Re:Dive』のペコリーヌの衣装を今作っております。第2弾の方は『ウマ娘 プリティーダービー』ですね。スペシャルウィークの衣装を準備しているので。ファンの方たちにも遊んでほしいなと思っております。どちらも、本作オリジナルのアニマとセットで販売予定です。

──強力な自社タイトルIPとコラボできるのはCygamesの強みですね。

松浦氏:
ありがたいですね。みなさん快くOKしてくれました。木村(唯人)も快諾してくれました。ペコリーヌの衣装を使いたいという内容を、5、6ページくらいの資料にまとめて事前に渡しておいたんですけど、ミーティングが始まった瞬間にいいよ大丈夫だよって言ってくれましたね(笑)

左:DLC第1弾「美食剣姫ノア」衣装、右:DLC第2弾「総大将娘ノア」衣装


──本作の開発期間はどれぐらいでしたか。

松浦氏:
先述のとおり、コンシューマー事業本部で大きなプロジェクトが進行中なので、渡邊からは本作をなんとか1年で作ってほしいと言われていました。実際は2年ちょっとぐらいかかりましたね。

──それでもこのクオリティで2年なんですね。開発がスムーズに進んだ理由を教えてください。

柴田氏:
やりとりが密だったからかもしれません。話をいただくとともに、こちらの提案も聞いていただいて、そのバランスも良かったです。方向性が決まってからは、ゲームの中身でつまずくことはなかったですね。方向性が決まるまでは大変でしたが。

松浦氏:
最初のクラッシュ&ビルドの段階で、今のコンボの仕組みになるまで半年から10か月くらいかかりました。それが決まってからは、何かがぶれることもなく、本当にトントンと作って積み重ねていけました。途中でボリュームを足そうかという話があって、新たな中ボスやボスの種類、ゲームの仕組みなどを足したんですけど、それ以外に関してはスムーズでした。

実は、柴田さんと直接会うのは今日がはじめてなんです。コロナ禍で、ずっとリモートだったので会えていなかったんですけど、そのぶんZoomなどのオンラインのつながりがすごく強かったですね。週に2回必ず定例で顔合わせしつつ、それ以外に何かあったときにSlackでやり取りをしていました。Slackでメッセージがきたときに、ちょっと今から話しますかという感じで、そのままボタンを押すだけで喋り始められるのですごく便利でした。そうした意味では、本当にデスクが隣にあるような感覚でお互いに相談ができましたね。

多分、そうしたオンラインのつながりが弱かったら、定例のときに話しましょうとか、後で時間を作ってやりましょう、という風になっていたと思います。オンラインで気軽に連絡して、細かく話し合えたというのは大きいですね。

──CygamesさんといえばUnityに強いイメージがあります。今作がUnityを採用された理由を教えていただけますか。

松浦氏:
Unityについては、実はグランディングさん側で採用されたんです。

柴田氏:
担当の方に聞いたんですけど、もともと知見があったからというのと、早い段階でトライ&エラーを繰り返す必要があったからだと思います。一番早く作れて、トライ&エラーをやりやすいからかなと。

──個人的な印象ですが、本作はクオリティも担保されておりボリュームもあると感じました。お値段は1500円とのことですよね。個人的に安いと感じましたが、価格設定の背景を教えてください。

松浦氏:
僕ら開発者としても、非常に戦略的な価格だと思っています。実は、ダウンロード専売で全世界同時発売というのが、Cygamesとして今回初めての試みになるんですね。だから、なるべく僕らのことを知ってほしいというか、僕らがちゃんと面白いゲーム作れるんだというのをわかってほしいという狙いがあります。ある意味自己紹介価格というか、いろんな人の手にとってほしくて、挑戦的な価格にしております。

──ちなみにプレイ時間はどれくらいで想定されていますか?

松浦氏:
クリアまでのみだと速い人で十数時間かなと思っています。じっくり遊ぶと20時間ほどかかるかと思います。

柴田氏:
方舟修復などの要素をすべてコンプするなら、50時間以上遊べると思います。


苦労した箇所、ゲームの骨組み

──本作を作るうえで一番苦労したところを教えてもらえますか。

柴田氏:
苦労したのは、今のゲームのかたちが出来上がるまでですね。アルファ段階では、アストラル(アクションに使えるデッキカードのようなもの)でコンボをつなぐゲーム性に持っていくまでに、時間をかけて試行錯誤を繰り返しました。最初は、ノア自身が武器を持って攻撃してたんです。だから、アストラルを投げて攻撃、というようなシステムも試していました。あのときはだいぶ迷っていましたね。

松浦氏:
なにか特徴を出したいと考えていたときに、コンボをどうゲームプレイに落とし込むのかというのが難題でした。最初に話したように、僕が考えていた『ヴァルキリープロファイル』や『ゼノギアス』はRPGなので、そもそもジャンプボタンがないじゃないですか。一方、今作はアクションゲームなのでジャンプボタンが欲しいわけです。あとは、主人公も攻撃できるようにしたかったので攻撃ボタンを割り振りました。すると、割り当てられるボタンがコンボには足りなくなるので、今度はRボタンを押しながらコンボするという一手間を加えてみました。

そうすると、一体一体のアストラルの存在感が薄くなったんですよね。そこで今度は、アストラルが実際に活動できる時間を長めにとってみました。たとえば序盤のアストラルだと、ルータスが歩きながら3回斬って、最後に敵を打ち上げる、といった感じでいろいろ試行錯誤をしていました。そのあと、柴田さんが仰っていたように、アストラルを投げたり、巨大化させてみたりとかも試していました。それを渡邊に見せると「これはもう『ピクミン』だよね。やるなら『ピクミン』よりもっと面白い工夫をしないと。」と言われちゃいました。そのあとも、本当にいろんな試行錯誤があったので、今のコンボの仕組みに辿り着くまでが一番苦労していましたね。

──“今”の仕組みを思いついたきっかけはなんでしたか。

松浦氏:
実を言うと、開発を振り返ると今のバージョンには早い段階で辿り着いていたはずなんです。ただ、いろいろ試した結果、あれもダメこれもダメとわかったうえで辿り着けたのは、ある意味良かった気もします。

柴田氏:
アクションの気持ち良さを担保しながら、アストラルを使い分けることを目指して、苦労しました。いろんなことを試したんですけど、結局複雑すぎないのが一番よかったんです。アストラルたちがワンボタンでどんどん出てきて攻撃してくれる今のかたちであれば、シンプルで扱いやすくて高いプレイヤースキルは求められません。余裕のある人は、組み合わせを考えてコンボを組むこともできますし。最終的には、これがいいなという方向になりましたね。

──それぞれアストラルについては、クールダウンタイムの短さも良い塩梅だと感じます。この辺りも細かく調整されたんでしょうか?

松浦氏:
1回使ったら次にコンボするまでに時間がかかるというのはつらいので、普通のアクションゲームでの通常攻撃のコンボのような感覚を目指しました。次を使えるまでの時間や、アストラルの順番がリセットされるまでの時間は割と短めに調整していますね。

柴田氏:
あとは、頑張ってアタックとスキルを分けたところも、上手くいきました。各アストラルに対して2つのアクションを用意する必要があったので、最初はコスト面が心配でした。でも、思い切って取り入れてみたら、アクションを使い分けるところが出てきて、面白くなってくれました。

──スキルにおすすめのアストラルを教えてください。

柴田氏:
単体であれば、回復ができるディーノがすごくおすすめですね。

松浦氏:
同じアストラルをコンボにもスキルにも使えるので、両方で使ってもらってもいいと思います。また、ゲームを進めるとスキルは2種類装備できるようになりますから、状況に応じて使い分けるのもおすすめです。たとえば、ウィネのスキルはガードが固くて中々ひるまない敵に対して有効です。あと、ヒルデのスキルは、ザコ敵をどんどん拾ってくれるので、コンボを繋げたいときに便利ですね。コンボの最後にヒルデのスキルで締めると、いい感じにつながってくれます。さっき柴田さんが仰ってくれたように回復にも使いつつ、コンボにも使うようなかたちで、状況に合わせて使えるようにスキルを割り振ると、楽しく遊べると思います。

──アストラルの順番で変わるコンボの一例として、初心者と上級者にオススメの隊列を教えてください。

松浦氏:
初心者でしたら、火属性を中心に地上キャラを編成したほうが攻略しやすいと思います。というのも、今作には属性ごとに攻撃方法の傾向があるんですね。最終的には、アクセサリとアストラルの組み合わせを同じ系統で絞ったほうがいいように作られています。

柴田氏:
火属性で統一していただくと、近接系の攻撃が強くなっていくので、かなり安定するんじゃないかなと思います。逆に風属性は結構玄人向けになります。コンボを繋ぐとどんどん火力が上がっていくのですが、そのぶん動き回らなければいけないので、テクニックを求められますね。上手い人は凄いダメージを叩き出せると思います。

──火は入門、風は上級ですか。プレイヤーの腕にあわせた属性があるのは面白いですね。

松浦氏:
ゲームプレイに展開が欲しいなと思ったんです。ゲーム開始時はまず、5体のアストラルを揃えるところから始まると思います。5体揃ったあとは、いかに強いアストラルに切り替えていくかという風にプレイしていくと思うんです。だから、レアリティや戦力が高いアストラルが手に入ったら、パーティーに組み込んでいくはずです。その次には、もっと強くなる方法を考えて、アクセサリとアストラルの組合せで、特定の編成に向かってビルドを組んでいく、といった設計になっています。こうしたゲームプレイの移り変わりを決めた際に、わかりやすく属性で分けようと考えました。属性を集めていけば取り敢えず強くなる、というのがベースになっています。

強化要素もたくさんあるので、アクションが苦手な人は方舟をがっつり修復してから、万全な体制でクリアを目指すことができるようになっています。もちろん方舟を修復しなくてもクリアできますし、遊び方には幅があるかと思います。

──いろいろな攻撃オプションがある本作ですが、エーテルスラスト(一時的に時間をスローにして敵に体当たりできる要素)については後から攻撃手段を増やそうとして追加されたんでしょうか、それとも最初から設計されていたんでしょうか?

松浦氏:
実はエーテルスラストは、試作をいっぱい繰り返していたときの攻撃の一種なんです。すごく楽しくて気に入っていたんですけど、新鮮な攻撃手段とは言えないので、泣く泣くボツにしました。でも、今のアストラルのコンボシステムができて、ボリュームを増やそうというタイミングで、没にしたそれを取り入れたいと思いつきまして、復活させてくれないかグランディングさんにお願いしたんです。ここは執念というか、僕のわがままでした(笑)

もちろん当時のソースは消えてしまっていたので、また同じものを作り直しになってしまいました。そこで、今のコンボの仕組みと組み合わせて新しい仕様にしたんです。昔のものは時間がゆっくりになって遠くの敵を攻撃できるという仕様だったんですけど、今はコンボがリセットされてコンボを繋げることができるという仕様になっています。自分の好きなコンボを組み立てたり追い打ちができたり、今のコンボの仕組みと噛みあっていると思います。

柴田氏:
攻撃だけではなく回避にも使えるので、プレイヤースキルが上がるにつれてどんどん上手く使えるようになっていく能力だと思います。最初は復活させようと言われて、「うおっマジですか」ってなったんですけど(笑)でも、入れて本当によかったなと思っています。

──RTA要素導入も検討されているというお話を伺いました。マップが自動生成型のゲームでRTA要素を導入するのは少し珍しく思いました。

松浦氏:
そこはちょっと悩ましいところで、弊社内で相談しています。きっちりやるなら、シード値を直接入力してマップ固定で遊べるようにすべきかと思うのですが、そこまでは手が届かなかったので、現在検討中ですね。アップデートでそれに代わるものができればいいなと思っています。無料アップデートの第2弾くらいの時期になってしまうかと思うんですけど、RTAに使いやすいようなある程度コンパクトな固定の要素を追加できればいいなと考えています。

改めて振り返る『リトル ノア』の魅力

──おふたかたの考える『リトル ノア』の魅力を改めて教えてください。

松浦氏:
可愛いキャラクターと、賑やかな世界に強い魅力を感じていました。キャラクターたちの背景には被写界深度を強めにかけて、ぼかしていましたよね。それによって、キャラクターたちの実在感が出つつ、ちょっとおもちゃっぽさも出ていて、すごくいいアートデザインだなと思っていました。あと、スチームパンク的な要素が散りばめられていたのも、素晴らしい世界観でした。主人公のノアの眼帯だったり、方舟に寂れた感じが出ていたり、ところどころ真鍮だったり、といったところですね。そこにも、個人的に魅力を感じていました。

柴田氏:
僕もそうですね。キャラクターには特に魅力を感じていました。ノアももちろんかわいいんですけど、やっぱりアストラルや敵などのキャラクターたちもとても可愛かったです。人を選ばず好まれるようなデザインだったので、とっつきやすい世界観ですごく良いタイトルだなと思っていました。

前作 iOS/Android『リトル ノア』


──おふたかたにとって主人公ノアの魅力はどこだと思いますか?

柴田氏:
可愛さですね。

松浦氏:
可愛さももちろんですけど、竹達彩奈さんの声もすごくマッチしていますよね。あと何でしょうか、太もも……?(笑)あとは、性格ですね。何があってもへこたれないというキャラクター性で、何度もやり直すというローグライトのゲームシステムにもしっくりきます。

柴田氏:
明るくて、何にでも自分で突っ込んでいって解決しようというキャラクターですよね。

──そういえば、ノア役の竹達さんボイスも多彩ですね。どのくらいの量があるんでしょうか。

柴田氏:
バリエーションとしては、戦闘ボイスだけで150種類あります。シナリオでは、また別のボイスがたくさん用意されています。先にゲームシステムが固まりきる前にお願いして録ってもらったので、どうしても合わないものは外れてしまいました。

松浦氏:
アクションゲームはボイスを付けられる部分が多くて、いろいろバリエーションがあった方がテンポの変化が楽しめると思ったので多めに用意しました。あと、台本を書いたうちのシナリオチームは今までにもいろんな収録をしていますので、そうした知見からも用意しておいた方がいいボイスを出してもらいました。

──『リトル ノア』といえば、CyDesignationの吉田明彦さんのイラストが大きな魅力だと思うのですが、今作でも前作に関わられたアートスタッフが監修されているんですか?

松浦氏:
実は監修は入っていただいていないです。ただ、エッセンスは理解する必要があると思ったので、この企画が立ち上がって、渡邊にOKをもらったあとに吉田さんにご挨拶に伺ったんですよ。「『リトル ノア』を活用させていただいて、こういうアクションゲームを作ろうと思ってるんです」というお話をして、快諾をいただきました。そのときに、どういった意図でデザインされているのかも伺いました。そこで、ノアがアニマとして巨大化するシーンについて吉田さんに伺ったら、あれは実は「メルモちゃん」なんだと教えていただいたんです。単純に巨大化しているだけではなく、あれは少女と大人なんだと。それを今作でもしっかり出すために、頭身をちょっと変えたり、ノアの顔のバランスを変えたりリップを塗ったりして、ちょっと大人に近づけてるんです。吉田さんの意図を僕らもちゃんと理解をしたうえで、デザインや世界観にはすごく気をつけていますね。

──グランディングさんにも『リトル ノア』ファンが数多くいるという話でしたが、社内で本作の『リトル ノア』観についての意見が出ることはあったんでしょうか?

柴田氏:
僕らの方では全然なかったですよ。それこそジッパーやグレイなどの新しいキャラクターも、本当に『リトル ノア』に馴染んでデザインされていると思います。むしろ監修されてるものなんだろうなと思っていたので、驚いています(笑)

松浦氏:
シッパーやグレイについては、デザイン担当者がすごく気をつけていました。前作の『リトル ノア』では、大人の男性は出てこないんです。だから、特にグレイは頭身のバランスや目鼻にはすごく気を使ってデザインされていますね。イラストも、フィニッシュのときにあまりリアルすぎると並べたときに違和感があるので、デフォルメをかけてもらっています。あと、ジッパーもそのまんまの猫という感じのキャラクターなんですが、前作では生物そのままの姿をしたキャラクターはいなかったんですよね。だから、吉田さんデザインのほかのキャラクターたちと並べたときに違和感が出ないように、担当者が気を配ってくれました。


──それでは今作は、前作を継承したというより、今のCygamesさんが表現する新しい『リトル ノア』といってもいい?

松浦氏:
そうですね。ライターも別の者が手がけています。新規の方も入って来やすいように、『リトル ノア2』ではなくて、『リトル ノア 楽園の後継者』というサブタイトルにしています。あと、物語も前日譚にして、前作をまったく知らなくても入りやすいようにしていますね。

前作のストーリーはもちろん構想はあったのですが、完結していなかったんですよね。僕らが勝手に続きを作っても違和感が出てくるかもしれないので、前日譚として作りました。前作のシナリオや世界の設定、それと小説版を読んだうえで、小説版と前作の間の話にしたんです。僕らのオリジナルになるんですけど、違和感がないように頑張っています。シリーズのつながりも感じてほしかったので、ちょっとした会話の中で小説で出てくるキャラクターについて言及される、といった工夫もあります。前作が好きだった人にがっかりしてほしくないので、ジャンルが変わったとはいえ今作も愛して欲しいなと思っていますね。

──Cygamesの会社側からも『リトル ノア』をこうしてほしい、こういう要素を入れてほしいという要請はあったのでしょうか?

松浦氏:
特にそうした指示はなかったです。自分たちのリスペクトを込めて、ですね。冒険がしづらくなる側面もありますが、大事にすべきところは残していますね。今までの経験で、シリーズものを作る際には、元となる作品をまず好きにならなければいけないと考えています。好きになったうえで、自分の中で消化しつつ、ちゃんと世に出して恥ずかしくないものを作ろうという思いがありますね。

──今作は『リトル ノア』要素がたくさんありますが、前作ファンに特にここは見てほしいという部分はどこでしょうか。

柴田氏:
やはりノアを操作できるという点には、注目してほしいですね。あと、アストラルを立ち絵ではなくて横から動いているところを見ることができるのも、前作にはなかった面白い部分だと思います。アストラルたちにも声がついていますので、そうした可愛さに注目してもらえれば嬉しいです。また、アストラルたちは、アクションにも前作でのキャラクター性をなるべく取り入れています。

松浦氏:
今作では、先述のようにカメラの距離も近く設定されているので、キャラクターたちを大きく見ることができます。ぜひ注目してほしい部分ですね。


──それでは、締めに入らせていただきます。今作は間口の広さをもちろん感じるのですが、逆にゲーマー向けにはどこが魅力になると思いますか。

松浦氏:
いろんなバリエーションのオリジナルコンボを、こんなに簡単に作れるゲームはほかにないと僕は思っています。AUTOMATONを読まれている読者さんなら、これは今までになかったな、と感じてもらえるような塩梅になっているかと思います。最近だと『サムライブリンガー』(弊社アクティブゲーミングメディアPLAYISMが発売)はちょっと似てるなと思ってヒヤッとしました。でも、『サムライブリンガー』はコマンド入力に近いような幅の広げ方になっていると思うので、そこは少し違いますね。

『リトル ノア 楽園の後継者』の方は、もっと横スクロールやコンボの部分に絞っています。横スクロールアクションで、ある意味格闘ゲームのような感覚で自由にコンボを組めるゲームになっているんです。これはほかにない持ち味だと思います。自分の好きなコンボを作るのはもちろんですし、一期一会の仲間を手に入れたときに「このうまいアドリブのコンボどうよ」みたいな楽しみ方もできるようになっています。こういう点はコアゲーマーにも刺さるんじゃないかと思っています。

柴田氏:
今作はローグライトなので、もちろん死んで戻るというゲームサイクルになるんですけど、一度も死なずにクリアすることもできます。ぜひそういうチャレンジもやってみてほしいですね。また、ダメージについては、うまく条件が揃えば上限値となる9999までたどり着くことができます。最強のビルドを組むには運も関わってきますが、そこまでたどり着く方がいらっしゃったら、僕らもすごく嬉しいですね。

──本日はお時間をいただきありがとうございました。

『リトル ノア 楽園の後継者』は、Nintendo Switch/ PS4/PC(Steam)向けに発売中だ。


[インタビュー・編集] Ayuo Kawase
[文] Hideaki Fujiwara

AUTOMATON JP
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