レイドレースでの配信は明確に不利になる。『FF14』高難易度コンテンツを最前線で攻略するトッププレイヤーにインタビュー(後編)


最新拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」の発売を11月に控え、破竹の勢いでプレイヤー数を伸ばし続ける『FINAL FANTASY XIV』(以下、『FF14』)。本稿はそんな『FF14』の高難易度コンテンツを最前線で攻略するトッププレイヤーたちをお招きして、対談形式でインタビューをおこなったものである。後編では、パッチ5.4実装以降の高難易度コンテンツの振り返りのほか、高難易度コンテンツを配信するうえで考えていることなどをうかがった。なお前編はこちら

『FF14』っぽかった「希望の園エデン零式:再生編」

────さて、お次はパッチ5.4で実装された「希望の園エデン零式:再生編」についてお話をうかがっていきます。漆黒のヴィランズの8人向け高難易度コンテンツとしては最後となる再生編。みなさんはそれぞれ別々のチームで攻略をされていたそうですね。Kanataさんが参加したチームE.D.H.は、世界で5番目のクリアとなりました。

Kanata氏:
あ、そういえば全員バラバラだったんだね。

脇ノ下氏:
自分は再生編ではレイドレースには参加せず、超える力がついてからクリアしましたね。ほんの最近のことです。

────再生編をとおして、印象に残っているギミックなどについてお聞かせください。

Kanata氏:
2層が印象的ですね。、これまでにないギミックがたくさん出てきて、新鮮な気持ちになれました。自分の影を発生させてその影に塔を踏ませるギミックは、初めて見る仕組みなのに綺麗にハマっていてとても面白かったです。一方でアンブラルオーブ(※)は不規則性が強くて、ちょっと苦手なギミックでした。

紫の玉とオレンジの玉が2つずつ現れ、玉から一番近いキャラクターへダメージが発生。紫はタンク1人で受け、オレンジはその他3人ずつで頭割りする。玉の発生位置は固定だが、色の配置はランダム。


鈴木氏:
アンブラルオーブ、ちゃんと処理できてる感覚があんまりないよね。

脇ノ下氏:
クリアはしたけど、未だによくわかってないな……。

Kanata氏:
プレイヤーが綺麗に整列していないと、きちんと玉の前にいたつもりでも斜めにあった玉が飛んでくることがあるじゃないですか。そこがちょっとしっくりきませんでしたね。

────距離が一番近い相手への攻撃など、オブジェクトからの距離に応じてダメージ対象が変わるギミックはこれまでもありました。それらとは違う何かがあった感じでしょうか。

Kanata氏:
ボスに寄りたい近接と大雑把でも良い遠隔の動き方の違いで、微妙に立ち位置が前後してしまうことが多かったですね。ダメージ範囲の境目もはっきりとわからないから、ちょっとした距離感の差だけで誘導がうまくいかないことも結構ありました。

────フィールドに「真心ライン」(※)が引かれていればまた違ったかもしれませんね。

※『FF14』ではボスからの攻撃を避ける位置の目安として、フィールドに模様が描かれている場合がある。開発内で「真心ライン」と呼ばれているという裏話があったことから、プレイヤー間でもこう呼ばれることが多い。

鈴木氏:
ああ、真心ラインは欲しかったかも。

Kanata氏:
そうですね。あとはオーブの出方も、零式にしては規則性がない感じがします。

鈴木氏:
ルールに当てはめられない出方をするよね。

Kanata氏:
野良で流行した攻略法も、何時の位置で区切って時計回りに1番目のオーブがこの組、2番目はこの組が処理して……というふうにしないと処理できないので、説明がややこしくて……。

鈴木氏:
2層は苦しかったなあ。でも、苦手だけど好きな層ですよ。アンブラルオーブみたいなギミックも、試みとして全然アリだと思います。

Haru氏:
脳トレが挟まるのがきつかったなあ。だいたいレイドレースをしていると、日本では2層にたどり着くくらいには0時付近なんです。あの時間帯に脳トレが挟まるのは、ちょっと疲れちゃいますね。

Kanata氏:
ギガスラッシュ(※)は本当に避けられなかったな……。4連なんて来た挙げ句にはもう「ウワ~、どっち?」って大混乱でしたね。

※ボスの前後左右いずれかに影が発生し、ボスがどちらかの手を挙げる。ボスが手を挙げた方向に薙ぎ払い攻撃が来るが、ボス本体の左右ではなく、影から見て左右どちらかが薙ぎ払われる。


────左右を判断するタイプのギミックは苦手な人は苦手ですよね。これまでのレイドでも出てきた要素なので、ある意味で伝統的なギミックとも言えるかもしれません。続いて、3層のフェイトブレイカーはいかがでしたか?

Haru氏:
3層は難易度が好きですね。被ダメージが大きくて。

Kanata氏:
再生編は3層から被ダメージがものすごく大きくなりましたね。共鳴編では3層以降、まるでダメージを感じなかったので余計にそう感じます。

Haru氏:
初週はもちろんダメージが大きかったけど、装備が整った今でもかなり痛いんじゃないかな。きちんと軽減やバリアを入れないと普通に死人が出ます。連続剣とかすごかったですよね。そこが、初週の難易度としてもかなりちょうどよく感じました。あと、よく仲間内でも話すんですが、3層は『FF14』っぽいんですよね。

Kanata氏:
そうだね。最初に自己紹介のように1つ1つ個別にギミックを見せてくれて、じゃあ今度はこれとこれをくっつけて出すね、みたいな感じで。

鈴木氏:
そうだね、最終フェーズも殴りながらワチャワチャする感じでね。

脇ノ下氏:
最近やったばっかりだけど、3層は楽しかったな。わかりやすかったし。

────3層はかなり好評ですね。わかりやすさと難易度が両立している正統派のレイドで、『FF14』らしい楽しさを再認識させてくれるコンテンツでした。

再生編3層のボス・フェイトブレイカー
────それでは、最終層となる4層についてもお話を聞かせてください。

Kanata氏:
前半と後半に分かれたこともあってか、僕のチームではDPSチェックに詰まることはほとんどなかったように感じました。

鈴木氏:
Kanataさんたちは先に極エメラルドウェポンを攻略して、武器を取りに行っていたのが大きいんじゃない?

Kanata氏:
そうですね、僕たちのチームはたぶん、「エメラルドウェポンを破壊せし者」のワールドファーストです(笑)

Haru氏:
賢いよね。

────製作武器にマテリアを禁断するよりも強力な武器ということで、前回の共鳴編でも攻略中に極コンテンツへ武器を取りに行っていたチームはありました。KanataさんのチームであるE.D.H.は再生編実装時にまっさきにこの戦略を取りましたが、本番の零式攻略に遅れはなかったのでしょうか。

Kanata氏:
僕たちのチームにはサポートメンバーがいて、極蛮神に武器を取りに行っているあいだ、彼らにお願いしてHaruさんのところの配信をまとめた予習資料を作っておいてもらったんです。1層の暗闇の雲は、そのおかげで30分くらいで倒すことができました。以降も、3層の途中くらいまではトレース攻略でしたね。もちろん追いついてからは、自分たちで攻略しました。

鈴木氏:
でも、武器を取ってきたのは正解だったんじゃないかな。ワールドファーストのチームこそ武器は取ってなかったけど、再生編の4層は火力で詰まっているチームはたくさんあったし。

Kanata氏:
そうだね。僕のチームが火力の問題が気にならなかったのは、極武器をとってきたのが大きいです。

Haru氏:
うちのチームは火力で苦戦したというか、ライオン(※)でかなり詰まってたなあ。なかなか全員が生存した状態で最後まで行けなかった。

※フィールドの外周4箇所にいるライオンから広範囲の火炎放射が発生するので、ランダムで決められた担当者は炎がほかのキャラクターに当たらないように誘導する。ボスは中央から動かないので、近接ジョブが殴れるように配慮するとどうしても炎は内側に向く。


Kanata氏:
ライオンはみんな苦戦してたね。うちのチームは遠隔が多いのをいいことに、すごく脳筋的な処理をしていたなあ。ライオンを外に向けて炎を出してました。

Haru氏:
ライオンフェーズは良くも悪くも、個人のキャラクター・コントロールの精度差が顕著に出たんじゃないかなと思っています。

Kanata氏:
いろいろな人の配信を見てたけど、あるんだかないんだかわからない安置をどこも探してたよね。

鈴木氏:
床の模様がたしか1マス1メートルとかだったので、うちのチームは細かく考えてやってましたね。

Haru氏:
ライオンのギミックは一応どのやり方でもクリアできると思うんですが、どれも結局はプレイヤーのキャラクター操作精度が関わってきます。でも、突破さえしてしまえば後半には入れるので、初期はどんなやり方でも構わなかったのかなと。クリアが速かったチームは、処理法の判断がたぶん抜きん出ていたんだと思います。

僕らは最終的に3回くらいやり方を変えました。1回前半をクリアできてしまえば別に構わないのに、どこか安定性を求めてしまったんですよね。そこの差が、クリアが速かった人たちとの違いだったのかなと思います。速かった人たちはおそらく、キャラクターの操作精度でゴリ押ししてるんじゃないかな。とりあえず死なないようにギミックをこなして、全員生存した状態で最後まで殴り切る。火力が足りてしまえば、もうコンテンツを退出するまでライオンフェーズはやらなくていいから。

Kanata氏:
実質前半の最後のギミックだから、処理できてしまえばそれでいいんだよね。

Haru氏:
自分の攻略を進めながら他のチームの配信もチラチラと見ていたんですが、日本チームだとクルルさん(※)のところなんかは、その点がかなり上手だったと思います。やり方としてはあまり綺麗な処理じゃないけど、突破はできている。そういうところの差が出たと思います。

※再生編でワールドセカンドを獲得したチーム。

────綺麗な処理や安定性にこだわると、レイドレースでは逆に不利になることもあるのですね。前半はライオンが鬼門となりましたが、後半はいかがでしたか。

Kanata氏:
とにかく被ダメージがすごかったよね。前半もダイアモンドダストや大地の怒りが痛かったけど、後半の時間圧縮はもっとすごかった。持っている軽減バフを全部入れないといけないレベルでしたよね。しかも、時間圧縮って頭割りダメージなんですよね。人数が欠けていると耐えられないというのは面白かったです。

────先ほど、再生編では3層から被ダメージがグッと上がったというお話をしましたが、4層は3層以上にヒールや軽減がシビアでしたね。

Kanata氏:
そうですね。あとは久々に、最後の最後に痛い全体攻撃を連発してくるのがあって良かったです。「紅蓮のリベレーター」ぶりじゃないかな。アルマゲスト連発(次元の狭間オメガ零式:デルタ編4層)とか、イオンエフラクス連発(次元の狭間オメガ零式:アルファ編4層)とか以来ですよね。あとは、4層はギミックも面白かったですね。時間圧縮の序と急が特に。

Haru氏:
序と急はTPS(※)がすごかったね。解き方がとにかく美しい。

※再生編でワールドファーストとなったチーム・Thought Per Second。絶アレキサンダー討滅戦のワールドファーストでもある。

Kanata氏:
TPSがクリア動画を出してはじめて「エアロガって当たっていいんだ」と思った。多分それまで当たりにいってるチームなんてなかったんじゃないかな。

鈴木氏:
(エアロガに当たることは)最初に気付いたって言ってたよね。

Haru氏:
たしか、急のギミックを解く速度でレースの順位をまくったんだよね。はじめのうちは日本のクルルさんのチームが先を行ってたんだけど、急で詰まってたから。

鈴木氏:
TPSのやり方が今も主流になってるっていうのもすごいよね。最初に最適解を出しちゃったっていう。絶アレキの次元断絶フェーズなんかも、今はTPSのやり方が流行ってるんだっけ。本当にすごい。

────「漆黒のヴィランズ」最後の8人レイドを制したTPSですが、改めてそのギミック処理能力に驚かされますよね。ありがとうございました。


お祭りだった「グンヒルド・ディルーブラム零式」

────さて、お次は「漆黒のヴィランズ」ではじめて実装された48人レイド「グンヒルド・ディルーブラム零式」についてお話を聞かせてください。みなさんはKanataさんのみ別チームで、ほかのお三方はHaruさん主催のパーティーで攻略したそうですね。『FF14』初の試みとなる大規模な高難易度レイドでしたが、いかがでしたか?

Kanata氏:
楽しかったですね。レイドとしてもよくできていると思いましたし、エウレカ(※)のときと違ってメンバー全員がコンテンツに突入できるし、平和でした。難易度もちょうどよく、良いコンテンツでした。

※「紅蓮のリベレーター」で実装された大規模フィールドコンテンツ「禁断の地 エウレカ」。エウレカ内の大規模な高難易度コンテンツとして「バルデシオン・アーセナル」があり、こちらは突入が個人単位だったため知り合いと一緒に攻略できないこともあった。グンヒルド・ディルーブラムは大規模フィールドコンテンツ「セイブ・ザ・クイーン」の一部であることから、エウレカ内のコンテンツと比較されることが多い。

Haru氏:
お祭りだったよね。48人もいるから。

鈴木氏:
大人数だけど集団についていけばクリアできるわけでもないしね。普通に個人ギミックもあったから。

Haru氏:
その個人ギミックもほどよく難しくて、楽しいレイドでした。でも、メンバーの管理はちょっと大変でしたね。

────48人となると、通常の高難易度コンテンツの6倍の人数がいますからね。

Kanata氏:
まず、予定を合わせるだけで大変だったよね。

Haru氏:
(予定合わせのために)休みを取ることはしなかったね。48人全員が仕事や学校を休むことなんて不可能だから。だから、自分も普通に仕事に行ってました。

Kanata氏:
どこのチームもそうだけど、仕事を休めない人のほうが圧倒的に多いからね。うちのチームでも、攻略を始める予定時間には仕事から帰ってきたばかりっていう人もいましたし。

脇ノ下氏:
自分の場合は集合時間には余裕で間に合ったんですが、夜は日付が変わるくらいには休まないといけなかったので、控えの人に途中から代わってもらうこともありました。本来なら1パーティー8人のところ、うちのパーティーは9~10人くらいいて、待機している人に交代してもらうやり方をしていましたね。

Haru氏:
48人固定ではなくて、48人プラスアルファの固定だったね。欠員が出たパーティーは、そのパーティー内で補充してもらってました。

Kanata氏:
アルバイト方式だね。

Haru氏:
そう、アルバイト方式。もちろん、最終的にはアルバイトも含めた全員のクリアフラグを、時間を合わせて取りにいきました。初クリアはそのときいる人で、というのは最初に了承してもらって、そこは割り切っていましたね。

────クリアフラグ支給!福利厚生の整ったアルバイトですね。実装当初の「グンヒルド・ディルーブラム零式」は48人揃っていないと突入できなかったので、補充を見据えて人員を多めに見積もっておくのは賢い判断だったと思います。


────予定合わせのほかに大変だった部分はありましたか?

Haru氏:
情報共有が大変でした。6パーティーもあると、パーティーごとに情報を抱えてしまいがちになるんです。なにか気付いたことがあっても、その気付きをパーティーの中でしか共有できていない。そこは全体に共有してほしいとお願いしました。僕自身が知りたかったので、僕のために書いてくれ!という思いもありましたね。仕事の合間にこれまでのギミックの復習をすることもあったんですが、ちょっと個人的に時間がなかったのもあって、あまり頭に入れることができなかったので。

Kanata氏:
うちのチームでは攻略の予習資料は用意してあったんですが、忙しくて目を通せていない人がいたので、進捗があるたびにボスの前で20分くらい予習タイムを取ったりしていましたね。

Haru氏:
うちはメンバーの方に協力してもらって、ギミックの書き出しなどをお願いしました。それを共有してからの進捗は速かったですね。ラスボス前の牛(スティギモロク・ロード)を倒したのは、僕らのチームが一番速かったんじゃないかな。牛を突破して、そのあとにラスボスの時間切れを見たんです。そうしたら次の日の朝に、海外チームがクリアしていました。

Kanata氏:
Haruさんのところの配信を見ながら「頼む!最後までギミックを見せてくれ!」って応援してたのを覚えてるなあ。

脇ノ下氏:
後半のほうは、最後まで見ていればわりとやりやすかったからね。既出ギミックの組み合わせが多かったから。

────「グンヒルド・ディルーブラム零式」はこれまでの高難易度と比べてボス数が多く、コンテンツ時間も長くなりましたが、この部分はどう感じられましたか?

Kanata氏:
最後までクリアするのに1時間はかかったから、長くは感じたね。

Haru氏:
ボスの前で全員のアビリティのリキャスト待ちなどもしていたので、余計に長く感じましたね。最初のうちはサクリファイスで蘇生チャレンジ(※)なんかもしていたから特にね。

※グンヒルド・ディルーブラム零式では蘇生制限があり、戦闘不能になっても通常の蘇生魔法では復活できない。その代わり、事前に使用しておけば70%の確率で自動蘇生できるアイテム(リレイザー)や、自分に死の宣告がつく代わりに他者を蘇生できる魔法(サクリファイス)、特定の蘇生魔法が有効になる仙薬など、コンテンツ内でしか使えない蘇生手段がいくつか存在する。

鈴木氏:
仙薬の効果がまだ判明してなかったから、サクリファイスで起こしたらリレイザーに賭けて死ぬしかなかったんだよね。70%の蘇生リレーをしてたから、余計に時間がかかっちゃった。

Kanata氏:
仙薬を使えばアレイズが効くってことがわかったときはびっくりしたよね。

────グンヒルド・ディルーブラム零式は紅蓮時代のフィールドコンテンツ「禁断の地 エウレカ」内の高難易度コンテンツであるバルデシオン・アーセナルとよく比較されます。バルデシオン・アーセナルではリレイザーやサクリファイスのみだった蘇生制限がグンヒルド・ディルーブラム零式ではかなり緩和されましたが、そこの違いについてはどう感じられましたか。

Kanata氏:
ボスの難易度で考えたら、グンヒルド・ディルーブラム零式はアレイズがあること前提で作られているのかなと感じました。サクリファイスしか蘇生手段がなかったら、かなりきつかったと思います。

Haru氏:
衰弱がつくだけで火力が足りなくなったからね。アレイズなら衰弱はつかないから。

Kanata氏:
グンヒルド・ディルーブラム零式はボス戦がそれなりに難しかったしね。逆にバルデシオン・アーセナルではサクリファイスしか蘇生手段がないぶん、ボス戦の難易度は易しめだった。

脇ノ下氏:
バルデシオン・アーセナルは緊張感はすごいけど、内容はそんなに難しくないっていう。

────似ている部分こそあれど、中身は完全に別物だったという感じでしょうか。

Haru氏:
そうですね。メンバーも完全に固定化できましたし。


鈴木氏:
どうせなら48人でこなすギミックが欲しかったなあ。最後のボスのフィールド、マスの数の合計が7×7で49マスなんだよね。ボスとプレイヤーで、1つずつマスを使うとかさ。

Kanata氏:
面白そうだけど、絶対まずいよ、それ(笑)

────個人の責任がすごいですね(笑)

脇ノ下氏:
自分だけマス踏めてなかったら、3日は参加できん(笑)

Kanata氏:
でも、そういう個人責任が大きいギミックもなくはなかったよね。たとえばクイーンズ・ガード戦は、リフレク担当のヒーラーの責任が大きいし(※)。

※クイーンズ・ガード戦の最終フェーズでは、ヒーラーは雑魚の攻撃をリフレクで反射して倒す担当になる。当然、攻撃は受けることになるので、反射ミスがあるとそのキャラクターは戦闘不能になる。

────それも含めて、ほどよい難易度だったのかもしれないですね。『FF14』で過去一番の大規模な高難易度コンテンツでしたが、およそ好評ということで、次回のコンテンツにも期待したいですね。


これからの高難易度コンテンツ

────これからは、『FF14』の高難易度コンテンツの今後についてお話をうかがいたいと思います。暁月のフィナーレでも高難易度コンテンツは実装されますが、難易度的にはどれくらいのものを望みますか?

Haru氏:
零式だったら、難易度はいま(「漆黒のヴィランズ」)くらいがちょうどいいかなと思いますね。

Kanata氏:
「蒼天のイシュガルド」時代はちょっと難しすぎたから、「紅蓮のリベレーター」から「漆黒のヴィランズ」にかけてくらいの難易度がやっぱりちょうどいいね。

脇ノ下氏:
「蒼天のイシュガルド」時代は作りが別物だったからね。(「機工城アレキサンダー零式:律動編」までは)そもそも実装初週にクリアできるようにコンテンツが作られていなくて、毎週装備をファームすることで自分たちを強化して倒すような設計になっていたから。

Haru氏:
そういうのはもうやらないで、初週のギアで足りるように作るということは開発スタッフ側も公言してるよね。個人的には零式は今の難易度でちょうどよくて、本当に難しいコンテンツを作るなら、絶でやってもらえたらと思っています。

鈴木氏:
零式はもう少し難しくてもいいと思うなあ。

Haru氏:
うーん、とりあえず初週にクリアできるくらいなら……かなあ。

Kanata氏:
その調整(初週でクリアできる程度の難易度)が難しいんだろうけどね。前に吉田Pがアレキサンダー零式の天動編を基準に調整してるって言ってたけど。

Haru氏:
火力チェックの面で言えば、コンテンツごとにしんどかったものや楽だったものの差はあるけど、「漆黒のヴィランズ」では初週でもギリギリ勝てるような調整がされてたね。覚醒編は「漆黒のヴィランズ」での最初のレイドだからかそこまででもなかったけど、共鳴編や再生編は特に火力面はきつかった。でも、個人的にはこれくらいがちょうどよいです。

────現在の零式は、トップ層は初週の装備でギリギリ突破することができ、後続は装備を整えることでコンテンツを楽しむことができる調整ですよね。幅広い層が楽しめる、ちょうどいいバランスということでしょうか。

Kanata氏:
零式はそうですね。でも、物足りないというほどではないんですが、絶はもう少し手ごたえがあってもいいのかな、と思います。謎解き要素があるから、なんとも言えないところはありますが。

Haru氏:
絶アレキの次元断絶のマーチくらいの難易度のフェーズをもうひとつ増やしたら、それなりに攻略に時間はかかるような気がするな。次元断絶のマーチの前まではそこまで難しくなくて、すんなりいけちゃうから。

Kanata氏:
絶アルテマ以降は、前座が終わってメインボスが出てきてからのフェーズが3つずつしかないものね。絶バハムートのときは進軍の三重奏から群竜の八重奏まで6個もフェーズがあった。3つしかないのはちょっと少ないように感じます。

鈴木氏:
殴りながらギミックをこなすフェーズがもっとあると嬉しいな。絶バハムートのネールフェーズみたいなの。絶アレキは運動会(※)ばかりだったから。

※ボスへの攻撃ができなくなり、ギミック処理に専念させるようなフェーズのこと。

Haru氏:
あと、DPSチェックはもっと増やしてもいいんじゃないかと思います。これまでの絶は誰かが多少死んでいても、最終フェーズでのミスでなければクリアできますよね。一方で零式の初週なんかだと、1デスしてしまうだけでもきつい。

Kanata氏:
絶と比べると、初週の零式のほうが火力は厳しいね。

Haru氏:
絶でもそれくらいやっていいのかな、と思います。1デスで普通に火力がきつくなるような難易度で。

Kanata氏:
でも、絶アレキは特に顕著だけど、1人死ぬとギミックが成り立たなくなって結果的にワイプになるフェーズは割とあるよね。リビングリキッドなんかは、生き残っている人数が足りないと即ワイプになってたから。そういう意味ではデスには厳しかったと言えるんじゃないかな。DPSチェックとはまた違う話ではあるけど。

────Haruさんがおっしゃっているのは、1人でも死ぬと火力がきつくなるような調整がいい、ということですよね。現状の絶では、1名欠ければギミックが成り立たないことはあれど、迅速な蘇生や臨機応変な対処で上手くリカバリーをすれば続行できることもありますし、1名欠けたことで火力が足りなくなることはほとんどありませんから。

Haru氏:
そうですね。たとえば絶アレキで、次元断絶のマーチの終わりにある全員への頭割り攻撃で誰か1人が死んだとしても、蘇生をすれば普通に突破可能じゃないですか。初期攻略だったとしても火力は足りてしまいます。そういうのはできたら減らしてもらいたいです。

Kanata氏:
これも調整が難しいんだと思うよ。殴ってる時間が実質3分くらいしかないフェーズだったりすると特に。絶バハムートの最終フェーズなんかもそうなんだけど、ボスを殴っている時間が短いと、クリティカルやダイレクトヒットでの上振れ具合で火力が変わってくる。個人的な推測ではあるけど、ボスのHPの調整はコンテンツが短いほど難しいんじゃないかなあ。

脇ノ下氏:
ああ、たしかになあ。上振れ下振れの話は納得感がある。

Haru氏:
でも昔から、絶にDPSチェックはないようなもの、っていうのはよく話題にあがるからなあ。とは言っても、別に不満があるというほどでもないです。強いて要望を言うなら……という感じです。

Kanata氏:
真心以外に不満はないよね。

Haru氏:
そうだね、真心くらい(笑)

────ああ、また真心への怒りが……(苦笑)次の話題に移りましょうか。


「暁月のフィナーレ」でのジョブ難易度について

────コンテンツについてのお話をおうかがいしましたが、ジョブについてはいかがでしょうか。「漆黒のヴィランズ」では、ジョブの操作難易度はより簡単になるような調整がされていっていますが……。

Kanata氏:
うーん、いまくらいでいいんじゃないかなあ。

鈴木氏:
人によっては、もっと難しくしてほしいっていう人もいるみたいだね。

Kanata氏:
スキル回しは難しくしたら、いまの『FF14』のメイン層に合わなくなってくると思うし。

脇ノ下氏:
でも、暗黒騎士は「蒼天のイシュガルド」の頃が一番好きだった感はある。

鈴木氏:
僕もあの頃が一番好きだなあ。

Kanata氏:
あれは忙しすぎじゃないかな。「蒼天のイシュガルド」時代は全体的にちょっと難しすぎたよ。

Haru氏:
でも、「紅蓮のリベレーター」の頃にあった、モンクの闘魂回しとかは面白くなかった?ジョブのポテンシャルをフルに発揮するとなると、途端に操作が忙しくなるっていうやつ。1ジョブくらいはそういうジョブがあってもいいと思うよ。

Kanata氏:
黒魔道士という激ムズジョブがあるじゃないか。

鈴木氏:
うんうん、好きだよ、黒魔道士みたいなジョブ。

Haru氏:
個人的には黒魔道士はちょっと違うんですけど……。かつてのモンクの闘魂回しみたいに、突き詰めるとすごく強いけど、そこに至るまでが難しいようなジョブはいくつかあってもいいんじゃないかなと思いますね。

────プレイヤーによる研究の余地が欲しい、ということでしょうか。

Haru氏:
そういうことですね。

Kanata氏:
たとえば竜騎士は、誰が見てもこうだよね、というスキル回しになってしまってるからね。

Haru氏:
大半のジョブは、このコンテンツが何分で終わるからバーストのタイミングをずらして……というのはあっても、木人と実戦でスキル回しが大きく変わることはないですからね。

Kanata氏:
工夫できるのは、侍や黒魔道士くらいかな。

鈴木氏:
もしかしたらこういう意見のほうが少数派なのかもしれないけど、ずっと詰め(※)をやっている層なんかは、近い考えの人もいるんじゃないかなと思います。今の仕様だとクリティカルやダイレクトヒットがどれだけ出たかっていうゲームになっちゃってるから、もう少しプレイヤースキルで差が出る要素が欲しいですよね。

※高難易度コンテンツ(特に零式)でタイムアタックをおこなったり、個人DPSをとことん突き詰めたりするためのパーティー。野良の募集もあれば、固定チームで挑んでいるプレイヤーもいる。

────すぐに頭打ちになってしまうと、結局は確率や乱数に祈るゲームになってしまいますからね。ゲームとしての面白さを考えると、もう少し複雑にしてほしいという声もわかります。

Haru氏:
でも、そこまで複雑なスキル回しを求められるジョブが多くないということは、気軽にジョブを変えやすいということでもあるよね。ひとつのジョブしかできないと言う人もいるけど、『FF14』はせっかくいろいろなジョブを触りやすい仕組みなんだから、チャレンジしてみればいいのになあと思います。

鈴木氏:
気軽にジョブを変えられるゲームって、実は貴重だものね。

Haru氏:
ほかのジョブのことを理解できていると、他人が変な動きをしていたときにアドバイスすることもできるしね。それに、いろいろ着替えられる人のほうがチームを組みたいときに声をかけやすい。

Kanata氏:
あとはジョブ構成の面で、いまは遠隔3人構成が流行っているけど、また近接2人構成が流行る可能性もあるからね。いろいろできるに越したことはないよ。

Haru氏:
いまはサブジョブ練習目的の募集もたくさん見かけるし、「暁月のフィナーレ」の発売まで時間もあるから、どんどんチャレンジしてみるのがおすすめですね。

────『FF14』はジョブごとの装備を整えることも比較的簡単ですからね。ジョブごとの難易度はそれぞれですが、気になるジョブに触れやすいのは大きな魅力と言えますね。


レイドレースを配信するにあたって考えること

────みなさんはレイドレースに参加して最前線で攻略をしつつ、Twitchなどで配信もされていますよね。攻略のトレースが容易な『FF14』のレイドにおいて、不利にはならないのでしょうか。

Kanata氏:
明確に不利だとは思いますね。再生編なんかはそれもあって、僕は配信せずに攻略していましたし。

鈴木氏:
まず、レースしてるっていう感覚があまりないですね。

Kanata氏:
たしかに。配信しているときは、一つでも良い順位取れたらいいかな、って考えです。

Haru氏:
そうだね。自分たちがワールドファースト狙います!という気持ちもあまりないですし、良い順位が取れたらそれでいい。それに、明確に言い始めると外野の声が気になってしまって。自分たちに限らず、目標を明確に言っている人もいますよね。それに対して茶化すようなことを言う人もいますが、目指す分には全然いいと思うんです。

僕たちは1位を目指してやっているわけではなくて、やれることをとりあえずやって、それで結果が良かったら嬉しいね、くらいな感じです。結果が悪かったらそれが自分たちの実力なので、そこは割り切れば良いかなと。

脇ノ下氏:
順位は自分も気にしてないですね。

Kanata氏:
でも臭夫さんは、「紅蓮のリベレーター」の頃はワールドファーストを目指したりもしていたよね。配信もナシでやってたし。

脇ノ下氏:
そうですね。「紅蓮のリベレーター」の頃の話ですが、シグマ編でワールドファーストを逃したときは大泣きしました。本気でワールドファーストを目指していて、セカンドの自分たちとファーストのチームとではたった1時間差のクリアだったんです。しかも相手の動画を見たらバグか何かでクリアしていて。

Kanata氏:
メンバーが回線切れかなにかを起こして、時間切れの攻撃を無敵で耐えちゃったんだっけ。

脇ノ下氏:
そうそう。それがあってギリギリ攻撃が1発入って倒せたみたいです。偶然起こったことですし、相手が悪いわけではないんですが、それで負けたのか……と思うとすごく悔しくて、めちゃくちゃ泣きました。ちょっと例外みたいなケースですけどね。

Kanata氏:
本気で目指したらそうなるよね……。でも、やっぱり本気でファーストを狙うなら配信はしないよね。ほかのチームにヒントを与えてしまうようなものだから。クルルさんのところはワールドファーストを狙ってるんだろうけど配信もしてる、ちょっと変わったチームだと思いますね。

Haru氏:
変わってはいるけど、零式だったらそこまでのハンデではないかなとも思います。絶レベルだと話は別だけど、零式は現状ではそこまでの差は生まれないのかなと。

Kanata氏:
零式は短期決戦だからね。覚醒編なんて、実装から23時間くらいで10位まで埋まっちゃったし。

Haru氏:
そうそう。配信中に「ワールドファーストも狙えるぞ」って言われたりして。

Kanata氏:
配信を見てた知り合いには「ワールドファーストが出た瞬間にお前ら露骨に集中力がなくなったな」って言われましたね(笑)口では「気にせず頑張ろう!」とか言ってるけど、露骨にミスが増えてました。

────「もしかしたら」がなくなって緊張の糸が切れてしまうのは、ちょっと理解できる気がします。

Kanata氏:
時間切れを見て、まだワールドファーストが出てないとなったら、そりゃ……ねえ?という感じですよね。

Haru氏:
悔しいよね。

Kanata氏:
そこからワールドファーストが出てしまったときのヘナヘナ感もすごかったですね。


────レイドレースで順位は気にしていないとのことですが、情報が揃いきっていないなか最前線で攻略をしているみなさんは、『FF14』の配信シーンを牽引していることは間違いないと思います。なにか配信をするうえで意識していることなどはありますか?

Kanata氏:
うーん……放送禁止用語を使わないことかな……。

Haru氏:
僕はちょっと強い言葉を使っちゃっているかもなあ。もちろん、BANされるようなキツい発言はしないですけど、たまに強い言葉がポロっと出ていることはあるかも。

脇ノ下氏:
まあ、身内に言うぶんにはそこまで気にしなくて良いんじゃないかな。

Kanata氏:
そういう意味では、配信とそれ以外の場であまりオンオフはないよね。

────みなさんのお話を聞いていたり配信を視聴していると、もちろんゲームの立ち回りが参考になる面もあるんですが、オンオフのない“友達感”が親しみやすいのかもしれないですね。友達の家で、ワイワイ一緒にゲームしている感じのような。

Kanata氏:
仲は良いよね。

Haru氏:
そうだね、普通にリアルにご飯に行くような仲なので。

Kanata氏:
覚醒編のときのOne Aceのメンバーが、僕以外の7人で焼き肉に行っていたこともありましたね。

────ええ、何があったんですか。

脇ノ下氏:
いや、単にKanataさんだけ家が遠くて……。

Kanata氏:
みんな西の方に住んでいるんですけど、僕だけ関東住まいなので……。僕もHaruさんの金で焼き肉したかったです。

Haru氏:
今はちょっと時勢的に難しいので集まることはできてないんですけどね。ちなみに、「暁月のフィナーレ」では臭夫さん以外の3人とはまたチームを組んで攻略をおこなう予定なので、よろしくお願いします。

────楽しみです!

終わりに

────長くなりましたが、そろそろ終わりのお時間です。最後にみなさんから一言ずつコメントをいただけますか。

Kanata氏:
「暁月のフィナーレ」でも、うちのブログ(イディルシャイア居住区)をよろしくお願いします!

Haru氏:
今後も配信をしていくと思うので、見に来ていただけると嬉しいです。ありがとうございました。

脇ノ下氏:
普通に生きていてこういうインタビューを受ける機会もなかなかないので、貴重な経験でした。またレイドの配信などすると思うので、Twitch登録などしていただけると嬉しいです。

鈴木氏:
引き続き、働きながらレイド休みが取れるリアルジョブを探しています。本日はありがとうございました。

────ありがとうございました。



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