弊誌AUTOMATONは9月11日、株式会社Studio AuKnow (スタジオ アノウ)の代表取締役社長を務める秋津琢磨氏に単独インタビューを実施した。同社は、IP制作やサービスの提供を通じて、「エンターテインメントの発展をめざす」ことを目的に立ち上げられたスタジオ。オリジナルIPによるモバイルゲーム開発やクロスメディア事業などを展開していく予定で、米国のゲーム会社Scopely(スコープリー)より、戦略的出資によるサポートも受けている。

インタビュー前編となる本記事では、Studio AuKnowを立ち上げるに至った経緯や、IP(コンテンツ)に対する考え方、スタジオ自体のクリエイティブ性についてなどを秋津氏に伺った。

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――まずは、秋津さんの自己紹介をお願いします。どういったキャリアを経てStudio AuKnowの立ち上げに至ったのでしょうか。

秋津氏:

僕はまず新卒として、コーエーテクモゲームスに入社しました。同社には5~6年ほど在籍していて、プランナーなどを務めていました。僕が在籍していたころは、モバイルゲームの流行が始まりつつあった時期で『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』などが出始めたんですね。同期のメンバーは当時、家庭用ゲームに注力していた人が多かったんですが、僕はモバイルゲームにフォーカスして業務をおこなっていました。そういった部分を、コーエーテクモゲームスの人事さんからも評価されたことを覚えていますね。

そもそも僕は「新しく世の中が変わる」みたいな瞬間が結構好きなタイプでして、それがモバイルゲームに挑戦する動機にもなっていました。その後は2018年に大手の会社に入りました。この時は、ゲームのみならずクロスメディアコンテンツのディレクションを担当してたかたちですね。

なおStudio AuKnowの本格的な立ち上げは2026年の1月ごろから準備を始めました。現在、ゲーム業界は変革期にあるという認識なのですが、技術的な部分や新しいチャレンジ、世の中が変わっていくところに挑戦したいなという思いで立ち上げました。

――モバイルゲームや時代の変化が好きということですが、「IPが好き」というのはビジネスを考えた視点でしょうか。詳しく教えてください。

秋津氏:

ビジネスというよりも(IP全体の)構造的な捉え方、例えばゲーム、アニメ、コミックなど複数の表現メディアを横断しながら、お客様とともにコンテンツを広げていけるような特徴を気に入っている感じですね。特に次の時代、メディアを横断し、時代の変化を捉え、お客様の楽しみ方の変化とともに歩みたいということを考えています。

――そもそもStudio AuKnowは、どのような会社なのでしょうか。会社として取り組みや目指すところを教えてください。

秋津氏:

Studio AuKnowは、スーパーヒットするコンテンツを制作することを目標としている企業です。在籍するスタッフも、この目標をみんなで作っていきたいと考えているメンバーが多いですね。会社自体の目標としては、エンターテインメント業界を発展させるというゴールを掲げています。僕はこれまでのキャリアを通じて、IPで世の中が変わっていったというのを経験していて、今も技術的なところやエコシステム、お金の流れなどに変化の兆しを感じています。

既存の大手企業がやっている試みも立派な仕事なのですが、それとは異なった流れがくると考えていまして、自分たちで新しく面白いものを作っていく、形の作り方みたいなものをリーディングしていく会社にしたいなと思っています。僕の立場的には、クリエイターが活躍してそのクリエイターに還元するエコシステムなどを結構考えているのですが、根本の部分としては、本当に結構面白いものを作ってお客さんに遊んでもらうということが、とても大切であると考えています。

――Studio AuKnowにジョインされる方は、新しいものを育てたいという考えが強い人が多いのでしょうか。またいろんな会社がある中で、自分の会社のらしさというか、個性のようなものをズバリ言い表すとしたらなんでしょうか。

秋津氏:

Studio AuKnowは、新規の完全オリジナルIPの大ヒットを目指しているスタジオなので、そういった考えは強いですね。そもそも最初に求人を出した際も、そういったタイプの人に来てもらいたいと思っていました。スタジオとしては、新しいものを多くのお客さんに届けたいと考えています。

――では、Studio AuKnowを立ち上げたきっかけや経緯を教えてください。

秋津氏:

大きな理由としては、やはり今世の中がかなり変わってきていているというのがあります。そのなかでも、新しいIPをしっかりと作ってそれをお客様に届けたいというのが、根本のクリエイティブ精神として存在しますね。正直なところ、過去に在籍していた会社でもこういった仕事をできる部分はあるのですが、現在ゲーム開発の大規模化・長期化もあり、業界全体として新しい挑戦への投資判断が慎重になりやすい時期だと感じています。

そのなかだと、どうしても新しいものを作り出しにくい。また、僕が経験してきたクロスメディアみたいなものに対しても萎縮しちゃっているようなところがあると感じています。なので、自分たちでリスクを取って、新しいIPやクロスメディアに挑戦する意味があると考え、新たにスタジオを作ってチャレンジしようと、Studio AuKnowを設立しました。

――先ほど「IPをビジネスとして捉えているわけではない」という話がありました。では、秋津さんにとってのIPとはどういった存在なのでしょうか。

秋津氏:

IPというものは、いくつかのレイヤーに分けて見ることができると思っています。ビジネス的な側面もありますし、法律的な概念としてのIPもある。また当然、クリエイティブに関する面もあります。現状、こういった複数の要素が混ざって使われてしまっているんですね。クリエイティブではなく社会目線になるのですが、IPというものは、画一的な定義は無いと思うんですね。たとえば『ファイナルファンタジー』シリーズは、作品ごとに物語や舞台設定が異なります。では、このシリーズを「IP」としている要素は何なのか。魔法の「ケアル」があれば、『ファイナルファンタジー』になるのか。

一方で、シリーズを通して同じキャラクターを登場させるIPもありますよね。結局、IPの根本というとユーザーからの信仰を生み出せるかという点にあると思うんです。僕としては、そういったものを自分のクリエイト物に多く埋め込んでいくことが大事だと考えていますね。

――ここまで聞いたところ、秋津さんは、IPというワードを「ユーザーにとって信頼できる創作成果物」というニュアンスで使用しているようです。これは一般的なIPの概念とはちょっとニュアンスが違う印象です。

秋津氏:

そうですね。(当該)IPをユーザーから長期的に支持されるに足る存在にすることが大事で、そうすることで、ビジネスとしても自信をもった投資が可能になると思います。

――信仰を作るために強烈な熱量だったり、新規性だったり、創造性だったりというのがあるので、そういうものの総称としてIPと呼んでいると。では現在、在籍されているメンバーもそういったムーブメントを作りたい欲求は強いのでしょうか。

秋津氏:

今のメンバーは、そういった欲求がかなり強い面々が集まっていますね。大きな企業から転職してきた人もいて、シリーズものではなく新しい作品に挑戦したいという人も少なくありません。年齢的には30代がボリュームゾーンになっていて、一定のスキルを持って、自分で挑戦したいみたいな人が集まったなという印象です。

――Studio AuKnowは、実際のところ何を作ろうとしているのでしょうか。またスタジオのクリエイティブ性の源はどういった部分にあると考えていますか?

秋津氏:

クリエイティブ的な面としては、キャラクター(の強さ)がスタジオの強みであると思っています。IPには、届けたいレイヤーとしてクリエイティブの面白さとか、カリスマ性などがあります。本当にIPを大事にしたい場合、届けるレイヤーを拡大することが重要で、そういった要素をコンテンツにどれだけ込められるかが大事であると認識しています。

――一般的にIP(を活用するコンテンツ)は大企業が展開するパターンが多く、マルチメディア化できるネットワークや資本金などが必要になります。Studio AuKnowとしては、どういったIPのレイヤーを用意しているのでしょうか。

秋津氏:

まさに今、その構築を進めているところで、そういった横断的なことができる会社の見本になることを目指しています。各業界にはそれぞれのルールやしきたりがあると思うのですが、うちが横断的に動くことで、他の会社やクリエイターたちにとっての指標にもなることができればと思っています。

またIP自体、先ほどいった信仰もそうですが、展開していく上で「長期的に信じられる要素」が担保として必要になります。うちの場合、お客様からの理解のほか、Scopelyさんからの戦略的出資など、長期的にIPを育てていく合意はできていると思うので、そういった要素が信頼感やIP創出に役立つのではないかなと。また、僕自身やスタッフにも経験やキャリアがあるので、そういった面々が新規挑戦したらどうなるか、という面白いチャレンジにもなっていると感じています。

――現段階のStudio AuKnowの体制について、ある程度手応えを感じている点などはありますか?

秋津氏:

そうですね、めちゃくちゃあります(笑)まだプロトタイプではあるんですけど、いろんな会社さんにも協力していただいていますし、クロスメディアの仕掛けとかも話している最中です。協力会社さんなども、すごく手ごたえを感じてくれているかなと。

現時点では、ゲームを中心にして開発業務を進めているのですが、ゲームだけじゃなくてクロスメディアを含めて先方にも説明しているので、IPの広がり方というのを開発サイドが把握できているというのが、感触としては大きいかな、と思っています。

――ありがとうございました(後編へ続く)

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[©Studio AuKnow]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase ©2026 AUTOMATON. ]
[執筆・編集:Satofumi Inoue ©2026 AUTOMATON.]
[撮影・制作・著作:IMAGICA GEEQ AGENT / ©2026 IMAGICA GEEQ Inc.]

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