アソビズムは11月6日、工場建設タワーディフェンスローグライト『ShapeHero Factory』の早期アクセスをSteamで開始する。体験版をリリースしつつ、ユーザーのフィードバックを受けながら研鑽を続けてきた本作が、満を持して早期アクセスにて発売となるのだ。
筆者は5月末に本作の体験版の試遊記事を執筆したが、工場建設の美味しいところを何度でも食べられるという中毒性にまんまとやられ、より深くまで遊べる早期アクセス開始を心待ちにしていた。早期アクセス版のリリースにあたって、本作をひと足早く遊ぶ機会をいただいた。この機会に『ShapeHero Factory』の魅力を存分に伝えていきたい。
『ShapeHero Factory』は、「工場建設」「タワーディフェンス」「ローグライト」の3ジャンルを掛け合わせたタイトルだ。工場を建設し、そこで生産した兵士ユニットをタワーディフェンスバトルに投入し、敵を退けることでゲームが進んでいく。工場建設というジャンルは腰をしっかり据えてじっくり挑まなければいけないタイトルも多いが、本作では1プレイにかかる時間は短め。スナック感覚で工場を建設し、さっくり寝る前に1プレイ、という遊び方もできるタイトルなのだ。
ディレクターのmamiya氏はSteamページにて、本作を「工場づくりの最初の面白い部分を何度でも楽しむ」をコンセプトにしたタイトルであると語っている。工場建設ゲームは工場が発展するほどベルトコンベアのスパゲッティ化が進み、どこで何を作っているのかがわからなくなり、しまいには「いったんやり直そう」とリスタートすることになりがちだ。少なくとも筆者はそうである。およそ2段階目くらいの中間素材ができあがるまでのあいだが一番リラックスして楽しめ、それ以降は資源の枯渇だったり、過去の自分が敷いた入り組んだコンベアだったりに頭を悩ませるはめになるのだ。『ShapeHero Factory』では、その「一番リラックスして楽しめる部分」だけをずっと遊び続けることができるというわけだ。
ローグライトと工場建設は相性抜群
本作の最大の特徴はなんといっても、工場建設とローグライトを掛け合わせたことだろう。「工場づくりの最初を何度でも楽しむ」にあたっては、リプレイ性の高いローグライト要素は親和性抜群だ。ほどよいランダム性をスパイスに、小規模な工場建設を繰り返し楽しむことができるのだ。
本作ではボスに戦いを挑むにあたって、ノード状のマップを進んでいくことになる。道中ではランダムに得られるレシピや工場設備などを入手することができ、得たものによって工場の建設計画を変えていく必要がある。現在どんな工場を作っているかによって得るレシピを吟味したり、強力なレリックを獲得して生産ユニットの戦力を底上げしたりと、何周しても飽きないような工夫がなされているのだ。
また、本作のプレイアブルキャラクターはまったく操作性の異なる2人が実装されており、うち1人は早期アクセス版で新たに追加されたものだ。両者は工場で製造できるユニットが全く異なり、違った操作感で遊ぶことができる。新たなプレイアブルキャラクターについて筆者も実際に体験してみたが、設備やユニットの挙動ががらっと変わり、新鮮な気持ちで本作を遊び直すことができた。体験版を長時間プレイしたユーザーも、新たなプレイアブルキャラクターにはぜひ触れてみていただきたい。その面白さの一端を、本稿で説明したい。
まずは工場でユニットを生産
工場パートでは、さまざまな図形を組み合わせて兵士ユニット「ヒーロー」を製造する。工場建設ゲームの源流といえば『Factorio』であるが、本作がインスパイアされているのはそのフォロワータイトルである『Shapez』だろう。図形と図形を組み合わせ、インクで色をつけることでさまざまな属性を付与し、強力なヒーローを生産するのだ。ヒーローのレシピは周回ごとに異なるものが開放されていくため、レシピ開放の度に工場をどう拡張していくか考えるのも楽しい要素のひとつである。
1回の工場建設パートには時間制限が設けられており、一定時間内に生産したユニットを持ってタワーディフェンスパートに挑むこととなる。時間制限と建設ゲームは、一見すると少し相性が悪そうにも感じられるかもしれない。しかし、工場の拡張について考えるなら一時停止をしてゆっくり盤面を俯瞰することができるし、一定時間のあいだ時間経過をスローにするスキルも存在する。じっくり何時間も腰を据えてベルトコンベアを敷きたければ、一時停止中も建設作業を進められる設定を使ってもいい。プレイヤーの希望や練度に合わせてゲーム側からの歩み寄りがあるため、筆者は時間制限があっても落ち着いて攻略することができた。
工場建設においても、ランダム要素で飽きさせない工夫がされている。小型の分配器や合流器など、使い勝手が良く工場の景観を見やすくする施設は、ノードを進んでランダムで手に入れられる報酬のなかに含まれている。場合によっては最後まで初期施設のみで建設を進めなければいけないこともあるし、後半で効率化できる施設が手に入っても、すでに工場はほとんど完成している……なんてことも。
運によって整然とした美しい工場が作れることもあるし、ぐちゃぐちゃのスパゲッティ工場になってしまうこともある。とはいえ、周回ごとに工場はリセットされてしまうため、そこまで美しさに頓着しなくていいのが本作の良いところだ。筆者はプレイ中、「汚い工場はこの場限り。次こそは綺麗にやろう」と毎回決意するまでがお決まりの流れであった。
はらはら見守るタワーディフェンス
タワーディフェンスパートでは、拠点に向かって沸いてくる敵を迎え撃つことになる。基本的に戦闘はオートで進んでいき、工場で作った成果物がどう活躍するかを見守るパートだが、唯一プレイヤーが介入できる要素として「クリックで敵を潰す」というものもある。戦闘において大きなウェイトを占めるのは生産したユニットの戦力だが、プレイヤーによる介入もなかなか侮れない火力を出す。クリック能力の強化効果があるレリックが存在したり、逆にクリック攻撃を無効化してユニットの能力を底上げしたりといった要素もあるため、好みによって使い分けてみるとよいだろう。
どんなボスが出現するかは進行するマスによって異なり、工場で生産しているユニットとの相性も考えて戦いを挑む必要がある。敵の種類はマップからおおよそ確認することができるので、戦略的に進路を決定して有利にゲームを進めることが可能だ。
早期アクセス開始にあたって
本作は5月31日に体験版をリリースして以降、Discordコミュニティを中心にユーザーのフィードバックを受け付けてきた。満を持しての早期アクセス開始にあたって、改善した点も数多くあるようだ。特に力を入れた点について、ディレクターのmamiya氏に改善点について尋ねたところ、以下のように答えてくれた。
・出力がより見やすい形で可視化されました。各ヒーローの出力がバトルの際にクールタイムとして表示されるようになりました。最終的には0.05秒でクールタイムが周ったりするので超高速で動くクールタイムのUIは見ていて面白いですよ(笑)
・「大いなる知識」という永続強化要素が追加され、ユーザーの皆様から要望が多かった要素が手に入るようになりました。タワーディフェンスパートにてクリック攻撃が出来なくなる代わりにマナ増加量がアップする機能や、モチーフを取り出す設備の配置換えが1回だけ出来る機能などが追加されています。
・情報がより詳細に可視化されるようになりました。設備にカーソルを合わせると様々な情報が出てくるほか、図鑑にも様々な情報を載せています。細かく数字を見たい人は見れるように。そして、見たくない人は見なくても遊べるゲームになっています!
・フィードバックをもとに、随時操作性を改善しています。特にインクを運ぶパイプ周りは重点的に改善いたしました。また、配置済みの設備を削除する際のデフォルト操作を長押しに変更しました。これにより、誤操作で設備を消してしまう問題が解消されています。以前のように素早く消したい場合はオプションから設定変更ができます。
・ネームドボスの討伐意義が強くなりました。彼らを倒すことで手に入る「赤い研究ポイント」でしかアンロックできない研究が追加されています。
このように、実際に体験版で頂いた意見を元に、小さなチームの限られたリソースを割いてでも改善を進めております。アーリー版リリース後も引き続き注力して行ってまいります。
以上、早期アクセスが開始される『ShapeHero Factory』についてご紹介した。筆者は体験版時点で本作を数十時間遊んだが、満を持して登場した早期アクセス版では2人目のプレイアブルキャラクターなどの新要素が登場し、より深くまで遊び尽くすことができるようになったと感じている。これから正式リリースにあたって、ボスやステージがどんどん追加されることが予想されるが、その進化を見守っていくのがとても楽しみな作品である。
工場建設ゲームの「最初の一口目」を何度もカジュアルに遊べる本作は、既存の工場建設ゲームで工場が複雑になってくると「いったん最初からやり直そうかな」と思ってしまうタイプのプレイヤーにおすすめだ。ジャンルを飽きるほど遊んだ人でも新鮮な体験ができるタイトルなので、気になる方はぜひ触れてみていただきたい。
『ShapeHero Factory』はPC(Steam)向けに、11月6日午前10時に早期アクセス配信開始予定だ。通常価格は税込2100円で、配信開始からの2週間は10%オフの税込1890円で購入できる。また、早期アクセス開始にあたり、新たに体験版が公開されている。こちらはすでにプレイ可能なため、いち早く本作に触れたい方は遊んでみてはいかがだろうか。