ローグライト工場ゲーム『ShapeHero Factory』は工場建設初心者にこそおすすめしたい。短時間でサクっと遊べる、それでいて奥深い工場建設×ローグライト×タワーディフェンス

工場建設×タワーディフェンス×ローグライト工場ゲーム『ShapeHero Factory』は、工場建設初心者に超オススメ。なぜなのか?

突然だが、筆者は「工場建設」というゲームジャンルが好きだ。夜な夜な素材を採掘し、ベルトコンベアに乗せて設備に運び、加工し、それを素材としてまた新たな加工品を作り、それを自動化して工場の発展を目指すのを、ひとつの趣味としている。

工場建設というのは、頭を使い、とにかく時間泥棒で、それゆえに多くの人を惹きつけるジャンルである。面白いジャンルなので多くの人に遊んでほしいのだが、とにかく1タイトルに持っていかれる時間が長い。「工場建設ゲームを遊んで!」とねだるのは、「いまからあなたの時間を100時間くらいもらってもいい?」と聞くのにかなり近い。人に勧めるならば、最初のハードルは低ければ低いほどいいのだが、1プレイ1~2時間くらいで終わる、もうちょっとライトな工場自動化ゲームはないだろうか。

あるのだ。『ShapeHero Factory』というタイトルが。

『ShapeHero Factory』ってどんなゲーム?

ShapeHero Factoryは、アソビズムが9月17日に正式リリースを開始した「工場建設×ローグライト×タワーディフェンス」というジャンルてんこ盛りのタイトルである。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2。魔導書に封じられし大災厄が復活しそうになっている世界で、プレイヤーは魔法のスクロールの力を使って戦うことになる。スクロールの中に小さな工場を作り、そこで生み出されるユニットの力で敵を退けるのだ。

戦のためには、まずは兵を作らなければならない。スクロールの上にはさまざまな図形や色が配置されている。それらをベルトコンベアで設備まで運び、決められたレシピで合成することでユニットを生産するのだ。〇と△を組み合わせると「ヒト」ができ、「ヒト」と□を組み合わせると盾兵になる、といった感じである。レシピは最初に選んだ主人公(マスター)の種類ごとに種別が異なり、周回ごとにランダムで決まっていく。

自律した戦闘が得意な「戦士」を作るミニオンマスター
「幻獣」を生み出し、「スペル」で戦闘に介入しやすいスペルマスター

工場を建設できる時間は、1回の戦闘ごとに2分半。制限時間はあるものの、時間の流れを遅くする機能や、一時停止が可能となる「無制限モード」など、システムサポートも豊富。筆者はじっくり考えてベルトコンベアを引くのが好きなので、それなりにやり込んだ今でも無制限モードに設定して遊ぶことが多い。工場建設初心者だけでなく、のんびり遊びたいプレイヤーはぜひ活用していきたい機能だ。

工場建設の時間が終わったら、敵の侵攻から拠点を守るタワーディフェンスの時間がやってくる。3分のあいだ拠点を守りきれば、次のステージに進めるというわけだ。戦闘は基本的に自動で進んでいくが、選んだ主人公の特性によって介入度合いが変わる。慣れないうちは手動操作の少なくて済む「ミニオンマスター」がおすすめだ。

無事に戦闘に勝利したら、次の行き先を決めて、ランダムな報酬を獲得する。報酬の種類は、ユニットを制作できるレシピやパッシブ効果を生み出すレリック、工場で使える設備を増やす研究などさまざま。何が出現するかが毎回異なるローグライク形式のため、戦略を考えながら工場を広げ、3ステージ分のマップを踏破してラスボスを倒すのがゲームの目的である。

『ShapeHero Factory』が工場建設の初心者におすすめな理由

では、なぜ『ShapeHero Factory』工場建設ゲームの初心者におすすめなのか。まず、何より1周にかかる時間が短いことが挙げられる。前述したように、「工場建設」というジャンルはクリアまでにかかる時間が途方もなく長い。ゲームのクリア時間を集積する情報サイト「HowLongToBeat」によれば、人気工場建設ゲーム『Factorio』のクリア時間は平均50時間、そのDLCである『Factorio: Space Age』に至っては125時間もかかるらしい。歯ごたえがあって面白いタイトルだからこその結果なのだが、それだけ時間のかかるゲームだとわかっていては、身構えてしまう人も少なくないだろう。

『ShapeHero Factory』では、ラスボスに到達するまでの時間は1~2時間程度。仕事を終えた夜の自由時間にさくっと工場を作り、1プレイをこなすことができるくらいのボリュームである。とにかく時間がかかる作品の多い工場建設というジャンルだが、少しだけお試ししてみたいプレイヤーには、本作はまさにうってつけと言えるだろう。周回ごとに展開の変わる中毒性によって、毎晩遊んでも飽きが来ない点も嬉しいポイントだ。

ショップの品揃えなども毎回変わる

難易度的にほどよいところで1プレイが終了するのも初心者向けたる所以である。工場建設というジャンルはその特性上、ゲームが進めば進むほど製造レシピが複雑になり、過去に作った設備の効率の見直しや再設計が必要になり、難易度が上がっていく。『ShapeHero Factory』の場合、レシピ自体は最高ランクのものでもそれほど複雑でないものが多い。他タイトルに比べると苦悩する場面が少なく、工場建設のストレスのないところだけを繰り返し遊べるように設計されている。

では、単なる易しめゲームなのかと言われるとそういうわけでもない。ローグライク要素によってレシピやレリック、製造設備が周回ごとに変わっていくので、生産に必要な素材や使える設備が毎回異なってくる。工場建設部分そのものはカジュアルな難易度なのだが、毎回違った攻略が求められるという別軸の面白さが設けられているのだ。ついでに言えば、工場づくりを少し失敗したところで短時間で終わるので、多少見栄えや効率が悪かったとしても、割り切って先に進めるのも筆者が好きなポイントだ。スパゲッティになったコンベアを、何も恐れなくてもいいのである。

以上、『ShapeHero Factory』の魅力について、「工場建設」というジャンル初心者に向けてお伝えした。初心者向けという切り口でお話をしたが、本作は熟練の工場長にもおすすめできるタイトルだ。筆者は工場建設系タイトルの有名どころはひととおり遊んだ経験があるが、『ShapeHero Factory』は単に初心者向けの工場建設ゲームというわけではないと断言できる。ジャンル経験者の方も、ローグライクとタワーディフェンスの要素を混ぜ込んだ本作を、慣れ親しんだ工場建設ゲームから軽く“味変”する感覚で遊んでみるのがおすすめだ。

ShapeHero Factory』は、PC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに発売中だ。

Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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