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“歩く家”魔女旅ゲーム『REKA』は全然メルヘンじゃない、どろどろ怨念リアル魔女生活。理想に生きるか闇に落ちるか、「人間性を問われる」ゲームだった
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生まれくる命にはあたたかな火の祝福を。去り行く魂には大地の花を。『REKA』が描くのは神秘的な秋の森と、“歩く魔法の家”だ。動く家といえば憧れる人も多いであろうメルヘンの極致であり、さぞキラキラとした魔法少女の主人公が出てくるかと思いきや……実際の主人公は怪しげなカラスを操り、儀式用の骨を亡霊の遺物から作る。土着的で怪しい魔女の見習い、レカだ。
『REKA』は、Emberstorm Entertainmentが手がけ、国内では松竹ゲームズが販売を担当する魔法クラフトアドベンチャーゲームだ。2024年9月よりPC(Steam)向けに早期アクセス配信されていた本作が、日本語対応を果たして10月26日に正式リリースされる。
本稿では、“歩く魔法の家”と旅する見習い魔女と聞き、ファンタジー感あふれる魔女っ子体験を想像していた筆者が、厳しくも美しい自然とシャーマニズムに満ちた世界で、やがて一人前の魔女へと成長していく模様をお届けしよう。

魔女っ子の魔法とはひと味違う、自然とともに生きる魔法
本作の舞台は、自然や魔女への信仰が薄れゆく世界でありながら、精霊たちがひそやかに息づく霧深き秋の森。色彩の乏しい質素な集落を抜け、オレンジ色に染まった木々が揺れる小道を歩く主人公のレカ。その姿は、これから魔女になろうとしているにもかかわらず、まるで迷い子のようだ。森の奥深くに住まう、謎多き魔女バーバ・ヤーガの弟子となったレカが最初に授かったのは、魔法のステッキ……ではなく、長い旅路を共にするカラスたちだ。
とはいえこのカラスたちは非常に優秀で、果実や木材を採取したり、野生動物を脅かすハンターの高台や呪いの品をつついて破壊するなど、レカの手足となって探索を手伝ってくれる。肝心の魔法はというと、本作ではスラヴ神話に着想を得た自然の神々から力を借りて使うのが特徴だ。かまどに火を灯したり、植物の成長を促す水をまいたりと、その力はさまざまな形で発揮される。さらに、魔法で糸を紡いでリネン布を織り上げたり、薬草を調合して動物と会話できる秘薬を作り出したりと、自然の力は日々の暮らしも豊かにしてくれるのだ。

このように、杖やステッキの一振りで自在に魔法を繰り出せるファンタジー作品とは異なり、本作の魔法は自然とのつながりを強く意識したものとなっている。そのため、魔法が戦闘に用いられることはない。むしろ、木々を伐採しすぎるなど、自然をないがしろにすれば、精霊たちの怒りを買うことさえある。魔法は一方的に使ったり、敵を倒したりするための力ではなく、自然と共生し、その恵みを借りながら生きるための力なのだ。魔法を駆使して夢のような生活を送るわけではない、“地に足のついた魔法生活”を歩むことになる。
癒しの魔女にも呪いの魔女にもなれる
そんなレカが魔法の家で旅をしながら訪れる集落では、村人たちが冬支度に追われるなかで、さまざまな悩みを抱えている。食事を振る舞ったり、呪われた鶏小屋を浄化したりと、地域に根ざした魔女として人々の暮らしを支えるレカ。たしかにファンタジーな世界観なのだが現実味を帯びたその暮らしを見ていると、画面越しにも土や薬草の香りが漂ってくるかのようだ。
なかでも印象的なのが、ヤギに祝福を授けるために額にはちみつを塗る儀式や、黒塩、ニンニク、マツの木を用いて家を浄化するまじないだ。身近な自然の恵みと古くからの風習が結びついた儀式の数々には、妖しくもリアルな魔女の世界が息づいている。ともすれば、いまだに風習としてこうした儀式がおこなわれている地域もあるかもしれないとすら思える生々しさだ。

そんなシャーマニズムを感じさせる伝統的な魔女の暮らしに魅了されつつあった筆者に、村人から思いがけない依頼が舞い込む。「あいつに、軽い毒を盛ってほしい」という、なんとも物騒な頼みごとだ。そう、本作では魔女として善を選ぶか、悪に手を染めるかもプレイヤー次第なのだ。さらに、亡霊をあの世へ送り届ける儀式をしようとしたところ、なんとその亡霊は夫に殺害されたのだという。ここでも、亡霊を説得して成仏させるか、夫への復讐を代行するかという選択を迫られる。
魔法があったとしても、人々の暮らし、そして因縁はなくならない。自然の恵みを借り、人々の暮らしを支える穏やかな魔女生活かと思いきや、思いのほかダークな一面ものぞかせる。そんな意外な展開に、筆者の中にもいたずら心がむくむくと芽生え始める。しかし、歩く魔法の家では、猫にニワトリ、ウサギに小鳥たちが無邪気な顔をして私の帰りを待っている。彼らの暮らしを守る身として、ここで悪事に手を染めるわけにはいかない。
悪魔のささやきをなんとか振り切り、自分を殺した夫に復讐したいという亡霊に「あなたには、前に進む資格がある」と優しく語りかける。すると、亡霊は納得した様子で感謝を述べ、無事にあの世へと旅立っていった。よかった、これにて一件落着……と言いたいところだが、問題はまだ残っている。そう、妻を殺した張本人である夫だ。
妻の亡霊の気配に悩まされ続けていた夫に、亡霊はもう去ったと告げると、「やっとか」と安堵のため息。犯人はすでに割れているので、問い詰めてみると、夫は何やら言い訳を始める。なんだか一気にサスペンスドラマの取り調べシーンである。ところが、口から出てくるのは後悔の言葉ではなく、身勝手な犯行の理由と、ひとりになった寂しさばかり。時間差で“復讐”を代行したくなってきた筆者だが、残念ながら本作の魔女は物理でお仕置きすることはできない。魔法で懲らしめることもできないので、こちらとしてはもう、ぐっとこらえるしかない。自らの選択の重みを思い知る。

そこで思い出すのが、亡霊が去り際に残した「私は前に進める、あいつはこのまま」という言葉だ。この様子だと、夫はこれからも自分の罪と向き合うことなく胸に抱えたまま言い訳をし続けて生きていくのだろう。そう考えると、ほんの少しだけ溜飲が下がる。とはいえ、どうにも釈然としない想いも胸に残る、本作らしい“人間関係のドロドロ”を体現したエピソードであった。
レカは魔女であって、刑事ではない。ましてや神様でもないのだから、誰かに裁きを下すことはできないのだ。人々の因縁に善意をもって向き合ったところで、必ずしも気持ちよく解決できるとは限らない。むしろ、どうにも割り切れない思いを抱えたまま、次へ進まなければならないこともある。魔法を使えても人生は人生。なかなかに世知辛い魔女稼業である。
それでも、自然と人間が切り離せないように、魔女もまた、この世界に必要とされる存在なのだろう。歩く魔法の家への帰り道、墓地を浄化したり、囚われたウサギを解放したりと、目の前の困りごとをひとつずつ解決しながら、レカは今日も善なる魔女を目指していく……次こそは、もう少し後味のいい依頼でありますように。
レカの成長を見守る、ニワトリ脚の魔法の家

そうして帰り着くのは、ニワトリの脚で歩く不思議な魔法の家だ。家の中は怪しげな装飾品で溢れているものの、意外と居心地が良い。それもそのはず、この家はプレイヤーが自由に手を加え、自分好みに作り上げていくことができる、ハウジング要素を備えた特別な住まいなのだ。
探索や村人たちとの交流を通じて家具や植物の種を集め、理想の魔女の住み家へと変化させていく。木々や植物を植えて自然豊かで明るい空間を生み出すこともできれば、薬草が散りばめられた部屋に、ろうそくの灯りで骸骨の影を浮かび上がらせる怪しい“魔女らしい家”に仕立てるなど、思い思いの装飾で世界観を演出することも可能だ。
筆者は、教会を思わせる大きな三角屋根に十字窓をあしらい、吹き抜けにはリンゴの木を植えることで、どこか怪しげでありながらも開放感のある空間に仕上げた。神秘的な雰囲気と自分好みの住み心地を両立できるのも、魔女の住み家を作り上げる楽しさのひとつだ。思えば筆者がプレイ前に抱いていた「キラキラの魔法少女」像はすぐさま砕かれたが、プレイのなかで自分なりの魔女像を築き上げていた。たとえ魔女であっても、思いどおりにならないこともあれば、割り切れない結末に直面することもある。それでも、自然や動物、人々の暮らしに心の窓を開き、大地や伝統、人々の営みに寄り添う、そんな魔女になりたい。見習いであるレカと筆者の気持ちはリンクしていく。
魔女になりたてのレカを包み込むこぢんまりとした家は、まるでゆりかごのようだった。しかし、レカが経験を重ね、成長していくとともに、家もまた少しずつ姿を変えていく。やがてそれは、旅の記憶と魔女としての歩みに彩られた、世界にたったひとつの特別な居場所へと生まれ変わるのだ。

ひとつの終わり、魔女としての新たな始まり
『REKA』を通して感じたのは、神話や伝統が息づく自然と、魔女として成長していくレカ、そして彼女と旅を続ける歩く魔法の家が、ひとつの大きなつながりを生み出しているということだ。レカが経験を重ねて成長するように、家もまた姿を変えながら、ともに歩み続けていく。その関係は、一人前の魔女になった後も変わることはない。
むしろ、エンディングを迎えてからが本番といえるほど、家具の収集やハウジングの可能性は広がっていく。旅の中で集めた家具や植物を組み合わせ、より自分好みの魔女の住み家へと作り変えていくうちに、理想の空間を追い求める楽しさに夢中になってしまうほどだ。
自然とのつながりを軸にした魔女という設定が、レカの成長に深い意味を与え、旅を続ける歩く魔法の家との相乗効果を生み出していると感じた。神秘的で美しく、ときにダークな顔をのぞかせる世界の中で、どんな魔女になるのか、どんな家を作り上げるのか。その答えはすべてプレイヤー次第だ。神話と魔法が息づく、霧深き秋の世界へ。あなただけの魔女の物語を紡ぐ旅に出てみてはいかがだろうか。
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