Steamメカ軍団ゲーム『Mechabellum』は、「自動」で進撃するメカ軍団がワチャワチャバトルを見るのが熱い。繰り出す先読みカウンターパンチ

Paradox Interactive内のレーベルParadox Arcは8月29日、Game Riverが手がける『Mechabellum』を9月27日に正式リリースすると発表した。『Mechabellum』は、メカ軍団を指揮して戦う、オンライン対戦対応のオートバトル・戦略ゲーム。その真髄とは。

筆者はロボットを題材とする作品を見る際、華やかな主人公機やライバル機より、無残に倒される量産機や隅で迫撃する戦車に目が行きがちだ。確かに、華やかなオリジナル機体は魅力的だし、それ故かっこいい。しかし本来、この世界の戦争で主力となっているのは量産機や戦車だ。この作品で映っていない戦場ではそんなメカや戦車たちが機体の強みを活かし、戦術を駆使し、戦っているのだ。

そう思っているからこそ、量産機や戦車といったいぶし銀なメカたちが、どんな戦術で戦っているのか、つい目が行ってしまう。もし、そんな筆者みたいな方がいるなら『Mechabellum』を遊んでほしい。ロボット作品ではあまり描かれないようないぶし銀なメカたちの戦いを本作では存分に楽しむことができるからだ。

Paradox Interactive内のレーベルParadox Arcは8月29日、Game Riverが手がける『Mechabellum』を9月27日に正式リリースすると発表した。『Mechabellum』は、メカ軍団を指揮して戦う、オンライン対戦対応のオートバトル・戦略ゲーム。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応している。

本作の舞台となるのは植民地化が始まったはるか遠い星、ファー・アウェイ。プレイヤーは小型メカや戦車、空母のような大型の機体などさまざまなユニットで自軍を結成。指揮官となり、1対1、もしくは2対2で、敵プレイヤーとの戦闘に挑むこととなる。


本作はいわゆる「オートバトラー」と呼ばれるジャンルのゲームとなる。ターンごとにプレイヤーは、自陣にてユニットの設置やアップグレードを行い、向かいの相手プレイヤーと戦闘を行なう。戦闘は自動で進行し、戦闘終了時にユニットが残っていた陣営がそのターンの勝利となり、残っていたユニットからダメージを計算して攻撃。それを繰り返し、最終的に相手のHPを0にしたら勝利となる。

いぶし銀なメカたちのカウンターバトル

『Mechabellum』が他のオートバトラーと違うのは、豊富なメカが登場することと、そこから生まれる複雑な戦術のせめぎ合いだ。本作は現在25体ものメカユニットが存在しており、そのどれもが特徴的。集団で行動する四つ足メカ「クローラー」や、二足型近接メカ「ライノ」。中には超巨大防衛メカ「フォートレス」や、移動型軍事工場「ウォーファクトリー」などインパクト大のユニットも存在する。どのユニットもインパクトはあるものの、リアリティのあるデザインをしているため、いぶし銀なメカが好きな筆者は、ついついじっくりとユニットを眺めてしまう。

気に入ったユニットを隅から隅まで見るのも楽しい


そしてこの特徴的なユニットたちはすべてはっきりと得意不得意が存在する。たとえばフォートレスは見た目こそ巨大で、さまざまな装備を持っており一撃も協力。しかしその分動きが鈍重で集団で素早く行動するクローラーに囲まれたら太刀打ちできないという弱点がある。逆にクローラーは集団で行動し、かつ1体1体はひ弱なため、遠距離からの爆撃にはめっぽう弱い。しかしフォートレスは1体の耐久度がかなり高く、攻撃も強力かつ広範囲。フォートレスが敵から注目されるような陣形を組み、クローラーを爆撃から守れば、クローラーも遠距離ユニットに近づき、得意の集団攻撃で複数ユニットを効率よく撃破できるというわけだ。

こういったユニット同士の「カウンターの取り合い」毎ターン行われるのが本作の戦闘のコアとなっている。また、本作は最初にユニットを設置し確定したら、そこからユニットを移動することはできない(一部アイテムや能力で可能ではあるものの)。さらには1ターンに追加できるユニットも、原則2体までと制限されているので、前回のターンで敗北したプレイヤーは、勝利するためにどのユニットをつかって相手の戦術を破るのかを考え、勝利したプレイヤーは次のターンで取るであろう相手の戦術を読み、それを凌駕する戦術を生み出す必要がある。これがなんとも面白い。


ユニットの選択と配置場所がクリティカルに刺さると、数ターン連続で勝利していたプレイヤーもあっさりと敗北する。そんなギリギリの緊張感が毎ターン走っており、常に気が抜けない。また、それぞれの陣地には後方に2つのタワー。そして左右端には相手プレイヤーがユニットを設置できるスペースが存在する。タワーは破壊されると全ユニットの行動がしばらく遅くなるデバフが与えられる。それを狙うためにサイドにユニットを設置するスペースが存在するのだが、この陣地端のタワーの攻守があることで、更に取れる戦術も増えるのだ。

筆者は向かいのメカと戦うことについ必死になって自陣中央にメカを集め、正面の軍備は最強にしたものの、サイドとタワー周りががら空きでそこを突かれて負けてしまうというのをついつい繰り返してしまう。ただサイドに設置したユニットは召喚に時間がかかってしまうので、対策が取りやすい。タワーの周辺に1体ユニットを置くだけでも、タワーが破壊される時間が遅くなり、その間に相手ユニットをあらかた倒してしまえば、デバフを食らっても素知らぬ顔で残ったユニットを駆逐することができる。こういう1ターンにおける小さな選択が複雑に絡み合うことで、戦況に大きな変化が生まれるので、戦闘には常に新鮮味があふれることとなるのだ。

ゲーム後半にもなると、互いが互いの戦術を読み合うので、さまざまなメカが戦場でぶつかり合う。その姿は壮観で見ているだけでも興奮すること間違いなし。メカの配置パートではフルに頭を使い、戦闘が始まれば、まるで映画のワンシーンを見ているかのようなダイナミックさで、いぶし銀なメカたちのぶつかり合いを楽しむことができるのも魅力的だ。



戦術が多いからこその失敗

本作はこういった複雑な戦術のせめぎ合いが行われるため、非常に自由かつ難解だ。そのため、思わぬところに戦術の穴があったりする。先ほどの陣地端の取り合いのようなありがちな失敗を、筆者は何度かしてしまった。これを紹介したい。

まず、「地上ユニットと空ユニット」の存在だ。本作にはクローラーやフォートレスといった地上での戦闘を得意とする地上ユニットのほかに、「フェニックス」や「ワスプ」などといった戦闘機型の空ユニットも存在する。そして、一部地上ユニットは、空ユニットに対する攻撃手段を持ち合わせていないのだ。そのため、相手陣地が空ユニットへの攻撃手段がない場合、一方的に攻撃ができるという強みを持ち合わせている。

筆者は地上ユニットを展開することに必死で空ユニットの存在をすっかり忘れていた。空ユニットに気づいた頃には後の祭り。攻撃できない地上ユニットを蹂躙する空ユニットを泣きそうな目で見つめる筆者の姿がそこにあった。特にフェニックスやワスプはコストが低いかつ、攻撃範囲も広く、攻撃スピードも早いので、序盤はかなり強烈な打撃を与える。以降筆者は、しっかりと空にも意識を向けるようになったのだ。


また、「ユニットの昇格とアップグレード」もかなり重要。ユニットはコストを投じることでステータスが大きく上昇する「昇格」と、ユニットの戦い方に変化をもたらす「アップグレード」が利用できる。特に昇格は、ユニットの撃破数を増やして経験値を稼がないといけないものの、攻撃力や耐久値といったステータスが倍以上伸びることがある。筆者はこれを軽視し、ユニットの召喚しか行わなかったので、強くなった相手ユニットに新しく召喚したユニットたちが倒されまくる姿を見て涙した。

また、アップグレードも攻撃力・攻撃範囲の増強から、継続ダメージ、スプラッシュダメージの追加など、ユニットごと4つのユニークなものが用意されており強力だ。ただなんでもかんでもアップグレードしてしまうと、攻撃方法が変わってしまって逆効果ということにもなりかねない。こういう失敗もある。


そして毎ターン行われる「強化オプション」の選択もかなり重要。本作は毎ターンのユニット設置前、4つのランダムな強化オプションを選択することができる。強化オプションには、各ユニット1つずつ装備でき、強力なバフがかかるアイテムや、指定範囲に爆撃やシールドを投下する戦術スキル、ユニットのステータスやコストの変更などさまざまなものが用意されており、この選択ひとつで、取れる戦術が大きく変わってくる。

ただ、筆者は使っているユニットの強化や一時的な体力増強など、目の前の盤面の変化ばかりに目を向け、強化オプションを選択していた。しかし、それだとさらに自陣を強化する時に、あまり強力な効果が見込めないことが多い。特に戦術スキルは、それひとつで戦況を変える力を持つほど強力かつ、クールダウンが明ければ戦闘中何度も使用ができる。戦闘序盤にひとつは持っておきたいのだが、筆者は強化アイテムをメインに選んでいた。そのため、相手の戦術スキルに翻弄されまくってしまったのだ。

また、この強化オプション限定で、砲弾の代わりに火炎を吐き出す戦車「ファイアーバジャー」や、地上、空ともに対応可能なガトリング砲を2門持つメカ「タイフーン」などを召喚することができる。この強化オプション限定のユニットは戦場に刺激的な変化をもたらすため、このオプションの選択はかなり重要。ここを加味して戦術を考えられるようになったら、かなりの戦術家といっても過言ではないはず。筆者も早くそうなりたい。

本作はこういった失敗を重ねることが多い、しかし逆を返せば取れる戦術が多いからこそ、こういった失敗も起きる。失敗を重ねるからこそ生まれた戦術に価値があるのだ。また、本作には「指揮官アカデミー」という戦闘で大事な知識を手取り足取り教えてくれる丁寧なチュートリアルも存在する。筆者のような失敗を重ねたくないプレイヤーは、しっかりとこのアカデミーで1から戦い方を学ぶのもよいだろう。


遊び方充実のマルチプレイ

そして、本作は対戦を気軽に観戦しやすいつくりになっており、そこから新たな戦い方を学ぶことができる。リプレイ機能で自身の過去の対戦を録画可能なのはもちろん、アクティブで戦闘している知らないプレイヤーのところにワンクリックで観戦することができるようになっている。この観戦モードでは、お互いがどういった戦術を取っているか一目でわかるように作られているうえに、公式機能でチケットを消費し、どちらかの勝利を予想できるいわゆる「賭け」機能が用意されているので、スポーツを見るような感覚で楽しんで、ついでに上手なプレイヤーの戦術も体系的に学ぶことができる仕組みとなっているのだ。

こういった観戦機能をはじめとし、本作はマルチプレイの遊び方が充実している。ひとりで黙々と戦術を覚え、上達していくのも楽しいが、この豊富な遊びのおかげで、マルチプレイでフレンドたちと一緒に楽しむことも推奨できる。1vs1対戦でじっくり戦えるのはもちろんのこと、フレンド、もしくは他プレイヤーとタッグを組んで戦う2vs2モード。また、強力なAI軍団と2人組を組んで戦うサバイバルモードや、パーティーゲームのごとく、4人乱闘ができるモードも存在する。中身は複雑で骨太な戦闘システムだが、カジュアルなモードもたくさん用意されているので、気軽な気持ちで始められるというのも本作のおすすめポイントだ。


筆者も複数のフレンドたちと共に本作を遊んだのだが、戦いの中で新たな戦術やメタがどんどん生まれていく本作は、複雑めなボードゲームをみんなでワイワイと遊んでいる感覚に近い。気軽に始め、少しずつ戦い方を覚え、互いを刺激し合う。そんな体験をしてみたいプレイヤーはぜひ本作をフレンドと遊んでほしい。一度遊んで見れば本作の奥深さにみんなが夢中になってしまうはずだ。

幅広く楽しめるし奥深い

本作は一見すると複雑で難しいゲームに見られがち。確かに、すべての仕組みを理解するまでは時間がかかる。しかし、丁寧なチュートリアルが用意されているうえ、さまざまな遊び方が可能な本作は、ストラテジー作品初心者にもピッタリなほどカジュアルな仕上がりとなっている。そしてなによりも、特徴的でいぶし銀なメカたちが戦い合うのは見ているだけで興奮してしまう。メカ好き、ストラテジー好き、勝負好き、このどれかに当てはまっていれば、『Mechabellum』を楽しむ資質はあるはず。それほど本作は幅広く、奥深い作品となっているのだ。


『Mechabellum』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。9月27日に正式リリース予定となっている。価格は税込1700円で、ゲーム内は日本語表示に対応している。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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