日本語のみでゲームの「台湾クラン」で1か月過ごすとどうなるか。自動翻訳使用の『リネージュW』奮闘記

『リネージュW』および開発元NCSOFTが提供するプラットフォーム「PURPLE」には、翻訳チャット機能がある。筆者が翻訳チャット機能で海外の仲間たちと邂逅し、一気に世界が広がった体験をお伝えする。

MMORPGの醍醐味のひとつといえば、人々との交流だ。ゲームの情報交換やなんでもない雑談に花を咲かせ、時には力を合わせて強大なボス モンスターに挑む。仲間と過ごす日々は、大規模マルチプレイゲームの華である。『リネージュW』は、そうした仲間たちとの交流や共闘を楽しめる作品である。一方で、本作はグローバル展開を前提に、アジア圏にて広く展開しており、国外からのプレイヤーも多い。言語の差異は、コミュニケーションの前に立ちはだかる最大の壁だ。 

しかし、本作においてその心配はいらない。なぜなら、『リネージュW』自体に海外プレイヤーとの会話を円滑にする翻訳システムがあるほか、『リネージュW』および開発元NCSOFTが提供するプラットフォーム「PURPLE」にも、翻訳チャット機能があるからだ。今回筆者は、「PURPLE」を利用してPCで『リネージュW』をプレイ。地道で楽しくも孤独を感じるソロプレイから、翻訳チャット機能で海外の仲間たちと邂逅し、一気に世界が広がった体験をお伝えする。なお、本稿のスクリーンショットでは、プライバシー保護の観点からプレイヤー名や会話内容にぼかしを入れている。見苦しい点もあるかもしれないが、ご容赦願いたい。 
 

 
『リネージュW』と「PURPLE」とは

『リネージュW』は、韓国のNCSOFTが開発するクオータービュー(見下ろし視点)の基本プレイ無料のMMORPGだ。狩りや装備強化のほか、人々との交流および共闘などMMORPGの醍醐味を味わえる。そして本作をPCで遊ぶ窓口となるのが、NCSOFTが提供するプラットフォーム「PURPLE」だ。『リネージュW』をPCでも楽しめるようになるほか、ゲーム内連動チャット「PURPLE talk」やリモートプレイおよびプレイ画面配信など多数の機能を兼ね備えている。 

とりわけ今回便利さを感じたのが、チャット機能「PURPLE Talk」だ。ゲーム内のグループチャットやウィスパー(個人宛メッセージ)などが、たとえゲームにログインせずとも確認できる。通知やポップアップの設定のほか、ボイスチャットなどの機能も備えている。使用感もよく、「Discord」や「Slack」といったコミュニケーションツールと同じ感覚でパッと確認してサッと返信が可能。自動翻訳機能も統合されており、単に日本語のチャットを何も考えずに送るだけで海外プレイヤーと意思疎通できるスグレモノだ。 
 

 

 
気楽だけど寂しいソロプレイの始まり 

 
本稿の執筆にあたり、筆者は年始早々『リネージュW』の世界に飛び込んだ。筆者は『リネージュ』シリーズの初心者である。新鮮さを感じながらも右往左往しつつクエストをこなしていった。本作にはクエスト自動進行や自動狩り機能がある。また、ナビゲーションもしっかりしているため、基本要素はさほど戸惑わずに慣れることができた。 

一方で、驚いたのが海外プレイヤーの多さだ。筆者がキャラクターを作成したサーバーでは、韓国・台湾のプレイヤーが大多数。交流を求めて血盟に入ろうと思ったものの、血盟の説明文にも韓国語や中国語が立ち並んでおり、二の足を踏んだ。しかしながら、ここで早速本作の翻訳機能が役に立つ。いずれの言語であっても、ゲーム内で即座に日本語に翻訳できるのだ。同機能を活かし、即時加入が可能で、かつ気楽に活動できそうな血盟を選択して所属した。 

しかしながら、血盟に加入したからといって即座に仲間ができるわけではない。肝心なのはコミュニケーションだ。また、即時加入できる血盟は手軽な反面、アクティブなプレイヤー数も少なかった。そして、海外の方と上手くやりとりできるかも不安。引っ込み思案な筆者は、結局約1か月もの間、血盟に参加しながらも孤独なソロプレイに時間を費やすことになったのだ。苦し紛れに、「PURPLE」サブアカウントを作ってみたりもしたものの、自分とパーティプレイしたところで結局それは自分。寂しさを強める結果となった。ちなみに「PURPLE」は公式で複数アカウントでのプレイに対応している。 
 

 
とはいえ、もちろんソロプレイでも楽しめないわけではない。キャラを強くして、新しい狩場に繰り出していく楽しみはソロでも変わりはない。本作では敵のドロップアイテム目録などもマップから事細かに確認できる。更新したい装備が落ちるであろう場所で自動狩りを設定し、あとで確認して首尾よく手に入れていた時の喜びはかなりのものだ。ソロプレイの範囲で、地道にじわじわ鍛えていくプレイスタイルもアリだといえる。 

しかし、折角MMORPGで遊ぶのなら仲間との交流も楽しみたいもの。しかし筆者が加入した血盟(通称クラン)の活動は控えめ。血盟員のみで挑むボス モンスターなどにも挑戦しないタイプだったので、ボス モンスター討伐が羨ましく思えた。また、よく仕組みがわかっていない「パーティ ボス モンスター」や「ワールドボス モンスター」などにも行ってみたい。悶々とする心が限界に達した筆者は一念発起、仲間との交流や、コンテンツを楽しみたいという思いをもって、台湾の人々が集う血盟の盟主に加入申請を送った。翻訳機能を信じ、日本語で、だ。 
 

寂しくない日々へと一転 

結論からいって、あらゆる心配と不安は杞憂であった。新たな血盟の盟主は、即座にゲーム内のウィスパー機能で返事をしてくれた。中国語のチャットもボタンひとつで、あるいは自動でかなり意味が通じるように翻訳してくれる。おかげさまで、即座に血盟への加入が決定。その間のやりとりも、「PURPLE Talk」の通知のおかげで連絡を見逃さず、極めてスムーズだった。 

しかし、やはり海外の人々が集まる血盟。筆者は正直にいって、中国語はからっきしである。最初はおそるおそる乏しいボキャブラリーから「你好(ニーハオ)」などと送ろうとしてみたものの、自動翻訳機能を信じて「こんにちは!はじめまして、よろしくお願いします」と入力して送ってみた。するとどうだろう。血盟チャットには多くのメンバーから「歡迎(歓迎)」「日本の友人、こんにちは」などの温かいメッセージが溢れ出した。筆者の涙も溢れ出しそうだった。 

感動も冷めやらぬうちに、自動翻訳機能はさらなる威力を発揮し始めた。調子づいた筆者は、ゲームを進める上でのアドバイスを血盟の皆に求めてみたのだ。ここでの質問内容も、もちろん日本語である。ゲーム内用語など、どの程度通じるかはやや不安だった。事実、一部込み入った表現などはやや伝わりづらかった面もあったものの、表現を変えるなどすればさほど問題なく理解を得られた。まず、筆者が聞いてみたのは、多人数で赴くボス モンスター討伐についてだった。 
 

とっとと聞けばよかった 

本作には、専用メニューから入場する複数人用のボス モンスター討伐アクティビティ「パーティ ダンジョン」および「ワールドボス モンスター」がある。どうしてもこれを体験したかった筆者は、まずパーティ ダンジョンのボス モンスター「バフォメット」に一緒にいけないかと、血盟員たちに相談してみたのだ。すると「付き添ってもいいけど、普通にそのまま行っても倒せる」との旨の返事が。「ソロでも大丈夫ということか」と聞き返すと、筆者の大きな勘違いが明らかになった。 

同コンテンツは、自動でほかプレイヤーとマッチングするのだ。また、「ワールドボス モンスター」についても同様で、見知らぬプレイヤーたちが自動で一堂に介して共闘できるのだ。一方で筆者は、パーティを組んで挑まないとソロでの挑戦になると勘違いしていたわけである。つまり、筆者は約1か月間、問題なく遊べるボス モンスター討伐を無知ゆえにぐっと我慢して見送っていたわけだ。なんたる恥ずかしさ、忸怩たる思いである。
 

 
しかし、これに気づけたのも、血盟員との会話があったからこそだ。ほかにも知識面でのサポートは非常にありがたく、自動翻訳がもたらすコミュニケーションのありがたみを強く感じた。例として、ワールドボス モンスターである「ラドン」には一度返り討ちにされたものの、血盟員による回復方法および装備のアドバイスのおかげで無事討伐まで生き残れるようになった。また、パーティ ボス モンスター「クラーケン」については、いわゆる野良だと安定しないこともあるため、血盟員が「タコ(クラーケン)を叩く」などと募集をかけた際などに「私も連れてって」とお願いしている。こうした募集を通知などのおかげで見逃さないのは、「PURPLE Talk」の機能性ゆえだろう。 
 

念願の血盟アクティビティへ 

 
そして血盟に加入してからしばらく経ち、大規模な協力プレイの楽しさも味わうこととなった。本作ではアイテム「パイン ワンド」が手に入るイベントを定期開催している。これは、血盟メンバーだけが入れる「血盟修練場」にて使用すると、等級に応じてさまざまなボス モンスターを出現させられるアイテムだ。ソロではその仕組みゆえに手が出せない、憧れのアクティビティだった。 

そんな「パイン ワンド」が、ポロリと出た。私はさっそく血盟の君主(クランマスター)に話しかけ、「「パイン ワンド」のボス モンスターをみんなで倒したい」とモジモジ伝えてみる。すると君主は、瞬く間に討伐を企画。みんなに声をかけ「この日でいいか」とボス モンスター討伐をまとめ上げてくれた。結果的に15人ほどが集まり、ボス モンスターに集中砲火。あっけなく一瞬で倒せてしまったものの、心の中は共闘の喜びに満たされていた。 
 

いきなり激動の血盟合併 

その直後、思わぬ連絡が舞い込んだ。加入した血盟が、ほかの血盟と合併するというのだ。どうやら、筆者が現在所属する血盟から希望者が脱退し、先方の血盟に加入するかたちのようだ。見知らぬ異国の地に慣れてきたとたん、パスポートを失くして財布も落としたかのような不安さだった。しかし、君主は君主だった。合併について相談すると「俺も合併先にいく。何も心配せずついてこい、俺が面倒を見るから」とのセリフ。本作に結婚システムがあったら申し込んでいたかもしれない。 

そして、合併への不安は杞憂だった。やりとりの問題もなく、スムーズに新血盟へ加入できた。そして、新血盟はアクティブな人数が増えた分活気があり、ひとり日本語を喋る筆者にも「日本人の友人!」と歓迎ムードで大変温かった。また、しばしば「安安」と声をかけられるので不思議に思ったところ、こちらは台湾圏のネットでよく使われる挨拶のようだ。「おはよう」の場合「早安」などとも言うようで、交流のおかげで言葉の知識も少し増えた。失くしたと思ったパスポートと財布が最初から鞄に入っていたかのような安堵感だ。そして、合併にはさらなるメリットもあった。前述の「パイン ワンド」が火を吹いたのである。 
 

めちゃくちゃ嬉しいけど寝かしてくれ

 
新たな血盟でも、「パインワンド」のボス モンスター討伐の話が持ち上がった。どうやら、ある日の23時から開始するとのこと。台湾と日本では、日本の方が1時間進んでいる。つまり、こちらでの翌日午前0時から開幕だ。やや早めに寝たいタイミングではあったものの、前回のパインワンド経験からすぐに終わるだろうと判断し「私も行きます!」とコメント。しかしこれが、嬉しくもちょっと辛い誤算だった。 

午前0時、血盟修練場。参加者も前にも増して多く、血盟員たちがひしめき合っている。チャット内容からして、今回は等級の高いボス モンスターも含めて複数体呼び出されるようだ。そして、「パイン ワンド」からボス モンスターが召喚された。人数が増えた分、前にも増して一瞬でボス モンスターが溶けていく。次の分もすぐに討伐し、さらに2体を同時に呼び出すも、これもトントン拍子に討伐できた。「やっぱり早く終わりそうだな」と思った矢先である。等級の高い「パイン ワンド」により、ボス モンスターが呼び出された。 

明らかに見た目から圧が違うボス モンスターにビビりつつも、仲間にまぎれて矢をひたすら射る筆者。なかなかの硬さと攻撃力で、時たま前衛キャラが倒れてはボス モンスターが場を荒らし回る。どうやら範囲攻撃ももっているようで、ふらふらとボス モンスターが側に来た際には血の気が引いた。仲間たちも「倒れません」「強い」といった旨のチャットで悲鳴まじりに楽しんでいた。また、向こうも深夜なため「私は寝ています」との声も。寝ないでくれ。それでもどうにかボス モンスターは倒れ、歯ごたえのある強敵を倒せた満足感を味わえた。そして味わっている最中に、同じボス モンスターのおかわりが出現したので悲鳴をあげてしまった。 
 

 
結果として、「パイン ワンド」のボス モンスター狩りは小一時間にわたり続くこととなった。どうやら、合併にあわせて「パイン ワンド」を蔵出ししてきたメンバーもいたようだ。また、報酬としても、血盟の機能を通じてキャラクター強化に繋がるコインが多く手に入ったのでホクホクだ。血盟のメンバーたちも続々と「晚安(おやすみなさい)」と告げて眠りに落ちてゆく。筆者も満足感と共に、「数の力すっげえ……」とつぶやき、倒れ伏すように寝た。仲間と一緒にゲームで夜ふかしする楽しさは、過ごせなかった青春が周回遅れでやってきたようだった。 
 

これからも、よろしく 

眠りから覚めた筆者はすっかり疲れも取れ、あとに残るのは憧れのコンテンツで遊べた充実感だった。血盟チャットでは、さらなるアクティビティである血盟レイドや、ワールドマップに出現するボス モンスターであるドレイクの討伐もやっていく相談をしており楽しみだ。 

筆者はだいぶアクティブな方だと思っていたものの、血盟の元気な仲間たちには負ける。台湾の温かい友たちと、今後も『リネージュW』で冒険を続けていきたい。あまり寝不足にならない程度に。 
 

「PURPLE」と自動翻訳機能の活躍を振り返る 

 

改めてお伝えしたいのは、ここまでのプレイ体験のなかで筆者はほとんどの場合、言語の違いを意識せず日本語でコミュニケーションしている点だ。もちろん、時たま向こうからのチャットやこちらのチャットが、翻訳の具合で伝わらない時もある。しかし、そうした際にもお互い慣れたもので、まず「翻訳が上手くいってないんだな」とささっと表現を変えて送り直せばまず解決する。そうした翻訳込みでの対話についての認識は、少なくとも筆者が出会ったユーザーはみんな持ち合わせていた。つまり、特に「間違った訳で誤解を招くかもしれない」などの懸念は必要ないわけだ。 

また、同機能は「PURPLE Talk」と組み合わせることで真価を発揮する。『リネージュW』に実装されているゲーム内チャットも機能的には問題ないものの、やはりPCやスマートフォンのコミュニケーションツール感覚で扱えるのは、手軽さや利便性の面でありがたい。なお、改めてお伝えするが、ゲーム内チャットとPURPLE Talkは会話を共有しており、どちらでも自動翻訳機能を利用できる。相手のプレイ環境などに関わらず、グループ会話も個人宛のウィスパーも「PURPLE Talk」ひとつで、かつ使い慣れた日本語でサッと返事できるわけだ。 

一方で、日本人プレイヤーと遊びたいという方向けに、日本国内プレイヤーの人口が多いサーバーも紹介しておく。 『リネージュW』公式発表によれば、昨年11月12日時点で国内プレイヤー人口トップのサーバーは多い順から「アインハザード01」「ケンラウヘル05」「マーブル04」「アインハザード02」「ゾウ06」となっているようだ。 今から始めるのであれば公式初心者大使キャラクターもプレイをしている「ハーディン11」。それ以外にも公式Discordの血盟員募集掲示板などで事前相談をしてから始めるのもおすすめだ。 
 

 

また、「PURPLE」を介してPCにて『リネージュW』を楽しむ場合、比較的要求スペックも控えめなので動作させやすい。パフォーマンス面で嬉しい点として、PCで『リネージュW』をプレイする場合「節電モード」が起動するようになっており、時間経過もしくはツークリックで、節電モードに切り替えることができる。さすがにメモリは2GB強を使ってしまうものの、「節電モード」に切り替えるとCPU使用率は2%前後にまで低減される。ある程度のマシンパワーがあれば、ほかのゲームや作業と平行しながらの「ながらプレイ」も問題ない。 

また、本作は自動化機能も充実しているため、あまり時間を使わない。時間的・PCリソース的なインパクトが少ないため、今のゲームライフに+αで上乗せしやすい作品といえるだろう。すでに『リネージュW』をプレイしている方は、モバイル端末を占有されずより長時間安定して自動狩りに勤しむこともできる。新規/既存プレイヤー問わず、「PURPLE」で遊ぶ『リネージュW』は触れてみる価値ありだ。 
 

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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