開発中止となった「The Last of Us Online」、実は“80%くらい”完成していたと元ディレクターが無念を語る。あと一歩だったのに

ゲーム開発者のVinit Agarwal氏はポッドキャスト「LELPodcast」にて、自身が手がけていた「The Last of Us Online」に言及した。同氏によれば、開発中止となった時点で80%ほど出来上がっていたのだという。

ゲーム開発者のVinit Agarwal氏はLance E. Lee氏によるポッドキャスト「LELPodcast」に出演。Agarwal氏はポッドキャスト内で、同氏がディレクターとして関わり、開発中止となった「The Last of Us Online」に言及。同氏によれば、同作は80%ほど開発が進んでいたという。

Vinit Agarwal氏はゲーム開発者だ。ゲームデザイナーとしてのキャリアを持ち、2014年から2025年までNaughty Dogに在籍。『The Last of Us: Part II』や『アンチャーテッド』シリーズにゲームデザイナーとして携わっていた。そして近年ではディレクターとして『The Last of Us』シリーズのマルチプレイタイトルを手がけていた。ただし同作は発表前に開発中止。中止の告知の際にNaughty Dogは「The Last of Us Online」との呼称を用いていた。なお現在同氏はNaughty Dogから独立し、東京にて引き続きゲーム開発に携わっている(関連記事)。

「The Last of Us Online」は、2020年発売の『The Last of Us: Part II』をきっかけとして開発されていた作品だ。『The Last of Us: Part II』はシングルプレイ専用タイトルだが、当初は『The Last of Us』オリジナル版同様にマルチプレイモードを収録する予定であった。しかしその規模が単なる追加モードを超える規模になったとして、個別のタイトルとしての開発が進められていた。ところが開発難航のほか、スタジオのリリース不足が現実的となり、さらにライブサービスよりもシングルプレイ作品に注力するNaughty Dogの方針によって、「The Last of Us Online」は開発中止となった(関連記事)。

コロナ禍での“加速”

今回Agarwal氏はLance E. Lee氏によるポッドキャスト「LELPodcast」に出演。ポッドキャスト内で同氏はNaughty Dogでの取り組みや現在の日本での活動について語っている。その中で、ディレクターを務めた「The Last of Us Online」にも触れている。

Naughty DogにおけるAgarwal氏は、クレジットに記載のある限りでは『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』から『The Last of Us: Part II』までのタイトルでゲームデザイナーとして関わっている。「The Last of Us Online」は、同氏によってはじめてディレクターを務める作品となっていたようだ。また開発期間は7年近くにわたっており、2016年から同作には取り組んでいたとみられる。

開発期間中には、世界的な新型コロナウイルスの流行で人々がゲーム、特にオンラインゲームをプレイする機会が増え、業界は大きく成長。そんな状況もあり、SIEはオンラインゲームへの投資を加速。「The Last of Us Online」もその恩恵にあずかり、社内で順調に開発が進められていったという。Agarwal氏によれば、開発の進捗としては80%を迎えていたとのことで、あと一息で完成というところまでこぎつけていたそうだ。

完成直前での急転直下

しかし2022年頃に次第にコロナ禍が落ち着きを見せ、出社回帰の傾向が強まってくると2020年頃に引き上げた水準を維持することはもはや不可能になり、SIE/Naughty Dogも支出の削減に迫られることになったようだ。Agarwal氏は、経営陣は実験的作品でもあった「The Last of Us Online」ではなく、Neil Druckmann氏の手がける“唯一の主力タイトル”を選ばざるを得なかったと、当時の会社の判断を振り返っている。ここでいうDruckmann氏の続編は、現在Naughty Dogの完全新作として開発が進行中の『Intergalactic: The Heretic Prophet』のことだろう。「The Last of Us Online」は『Intergalactic』と天秤にかけられ、あえなく開発中止の憂き目を見たわけだ。

Agarwal氏は開発中止の決定について、公式発表される24時間前に知ったのだという。情報発信をコントロールする意向には理解を示しつつも、開発中止を聞いた際には心が砕けるような思いをしたと述べている。

ちなみに「The Last of Us Online」については、Agarwal氏が、かつて自身が銃を突き付けられ強盗に遭った際の「限られた資源を求め互いに狩り合う」ような、絶望的な感覚を再現しようとしたとのこと。Agarwal氏個人の衝撃的な体験にも基づいて意欲的に開発されていたようだが、完成を目前にお蔵入りとなったことが本人の口から明かされた。リリースが現実的になっていた状況からの急転直下の開発中止を語るAgarwal氏の口ぶりからは無念さもうかがえる。

なおAgarwal氏は先述の通り、現在は東京にて「Triple-Indie」級のタイトルを開発中だという(Game*Spark)。「The Last of Us Online」こそ日の目を見ることは無かったものの、同氏の手がける次なる作品には、期待も寄せられるところだ。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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