基本プレイ無料アニメーションオープンワールドRPG『七つの大罪:Origin』は、キャラゲー……と見せかけた“常識破りの探索ゲーム”だった。広さと高さと宝箱でプレイヤーを絶景にいざなう
本稿では、ネットマーブルによるアニメーションオープンワールドRPG『七つの大罪:Origin』に対する、忌憚のない感想をお届けする。

ネットマーブルは3月17日、アニメーションオープンワールドRPG『七つの大罪:Origin』をPS5/PC(Steam)向けにいち早いプレイを開始した。そして、iOS/Android向けにも本日3月24日より正式サービスを開始。基本プレイ無料形式で配信される。
『七つの大罪:Origin』は、人気漫画『七つの大罪』および同アニメ版を原作とする基本プレイ無料アニメーションオープンワールドRPGである。マルチプレイにも対応している。舞台となるのは原作アニメ版のブリタニア大陸。主人公は原作最終話にも登場した、「メリオダス」と「エリザベス」の息子「トリスタン」だ。ある日「トリスタン」が城の近くを冒険していたところ、不思議な洞窟を発見。その奥で見つけた「星の書」なるアイテムの影響で、本作の世界の時間がねじ曲がってしまう。その結果、過去の人物や魔物が突如として出現し始める。プレイヤーは「トリスタン」として、星の書を巡る壮大な冒険へと乗り出すことになる。
筆者は幸運にも、正式リリース前に本作を先行プレイする機会をいただいた。有り体に言えば本稿はPR記事なのであるが、いっぽうで弊誌AUTOMATONの掲げるコンセプトは「Veracity in Gaming」、ゲームに於ける真実性や誠実さといった意味合いの言葉である。そんなわけで、嘘偽りのない率直な感想を交えつつ本作を紹介したい。
「後発」基本プレイ無料アニメーションオープンワールドとして
筆者が初めて遊んだオープンワールドのゲームは緑の服の勇者が活躍するシリーズのオープンワールドアクションRPGだった。見渡す限りの景色すべてが冒険でき、壁をよじ登り、宙を滑空して、思うがままに冒険するおもしろさに夢中になったものである。それから基本プレイ無料形式でオープンワールドを採用したゲームも現れ、無料でそんなものを遊ばせてもらえる時代になったのかと唸ったものだ。
そう、オープンワールドは世に溢れている。自由に冒険できるのはおもしろいが、もうそれだけでは新しい体験にはなり得ない。弊誌の読者にはすでにオープンワールドに飽き飽きしていて、時間を食われるからむしろ避けがちという人までいるかもしれない。新しい何かがなければ、オープンワールドはただ広いだけ。忌避理由になってしまいかねないのだ。だが本作はアニメーションオープンワールドである。筆者は先行プレイをしながらも常に、その理由について考えていた。その答えについての筆者なりの回答は後で述べるとして、ひとまず基本システムから見ていきたい。

基本システムは“ほぼ知っている”
本作の基本システムは、基本プレイ無料のオープンワールドRPGではよく見られたものとなっている。広大なマップを自由に冒険し、メインの物語を進めても良いし、サブクエストなどを進めても良い。与えられた任務を放置して探索しても、釣りなどに興じても良い。自由に冒険していても宝箱や実績といった形で報酬が得られ、育成素材やアイテム製作素材、ガチャ石などが獲得できる。キャラクターは基本的にガチャで入手し、同一キャラがかぶればいわゆる凸をする。戦闘ではクールタイムごとに使えるスキルと、ゲージを溜めて放つ必殺技を駆使して戦い、必要に応じて回避などをおこなう。同ジャンルのゲームを遊んだことがある人なら、プレイ開始直後からすんなりと入ることができるだろう。
珍しいのは、キャラ1人につき武器を3種類装備できることだ。両手剣なら両手剣、杖なら杖と、おおよそのゲームではキャラクターの担当できる武器は固定されがちである。ところが「トリスタン」を例に挙げると、彼は双剣・大剣・長剣の3種を持つことができ、なんと武器種ごとにスキル構成が丸ごと変化する。属性も役割も変わるため、実質的に1キャラに3キャラ分の性能が詰まっているのだ。本作は人気IPを土台とした作品である。当然キャラを愛でることができなければならない。その意味で3キャラ分が詰まっているこのシステムは「好きだけど性能的に使えない」問題が発生しにくくなるうまい仕組みだと感じた。



こうした“キャラ愛”要素はこれだけではない。先述の必殺技は、2人が連続して使用すると2人によるカットインとともに「合技」という連携必殺技となるのだ。それぞれのキャラが3種の武器を持てるので、思いつく限りどんなキャラの組み合わせでも武器種を選べば連携できるだろう。キャラごとのコスチュームも種類が多く、素材を集めて作成するシステムなのでゲームプレイの目標としてもうってつけだ。ストーリーは過去からの来訪者という形で原作時点の姿で登場する「良いとこ取り」システムになっており、原作とはひと味違った形でキャラの魅力を追体験できる。
ちなみにキャラの凸は10段階ある。いくらキャラを愛でるといってもやり過ぎではないかと最初は面食らってしまったが、よくよく見ていけば育成によって4凸まで進めることができるとわかった。実質的にガチャで6凸までいけば“完凸”である。3キャラ分の性能が詰まっていることを思えば意図も理解できる。ガチャについても欲しいキャラを入手しやすい設定とのことである。
しかし、だ。キャラを愛でられるだけでは、原作ファンにとって嬉しくとも、ゲームとしての魅力があることにはならない。むしろ人気IPを土台とするゲームはそれだけで、IPの皮を被せた模造品のようなレッテルを貼られがちな気さえする。正直に言って、ここまでに説明した要素のすべてを見ても、筆者の心は未だに「キャラが愛でられるのはわかった。それで?」といった感じであった。とはいえ、せっかくの先行プレイの機会である。全キャラを試すくらいはしなければもったいない。そこで気づくことになったのだ。本作の「探索」に眠っていた“大罪”級の挑戦に。
もはやゲームシステムに対する大罪
本作は壁を登れるタイプのアニメーションオープンワールドである。スタミナという枷は設けられているものの、壁を登れるということはすなわち、ゲーム側が提示する道筋をある程度無視して探索できるということである。過去のオープンワールドを採用したゲームを見ても、プレイヤーを自由にすることで予期せぬ事態にならないよう開発者は工夫を凝らしてきたと感じる。つまり、オープンワールドと言いつつ行けそうで行けない場所があるのは普通のことだった。

その解のひとつがねずみ返しのようになった壁であり、泳ぎきれないほど広い海であり、床としての当たり判定がない屋根だった。本作のマップでも壁からは上に乗れない家屋の屋根や、よじ登りが解除されてしまう城の壁の凹凸など、できるだけ登らせたくないように見える箇所がある。ちなみに水に潜ることもできるが、こちらには息が続くのが2分間という制限が設けられている。やはり“オープン”ワールドと言えど、まるきりオープンにすることはできないのだ。先行プレイを始めた段階では、まだそのように考えていた。
さて、説明が漏れていたが本作のキャラは戦闘で使うのとは別に、探索中に使える「冒険スキル」を持っている。主人公「トリスタン」の冒険スキルは初心者向けで、戦闘不能時に1度復活する事故防止となっている。初心者にとってはありがたい保険だ。いっぽうでオープニングから行動を共にする「ティオレー」については、「やや前方の上のほうに移動する」という性能だ。……待て、「上のほうに」だと?せっかくマップが登らせない工夫をあれこれをしているように見えたのに、スキルで簡単に上に行けてしまっては元も子もないではないか。しかも初期加入のキャラで。先ほど目にした家にも、のスキルを使えば容易く登ることができた。それどころか、高所にもNPCがいたりする。これを見て、なんだか様子がおかしくなってきたと感じていた。話が違う。

もしかすると、さらにヤバいことをしているキャラがいるのではないか。そう思いながら順に見ていくうちに、やはり見つかった。「キング」である。設定上は「ティオレー」の父親にあたるキャラクターのようだが、彼も過去からの来訪者であり、原作で覚醒を遂げる前の姿をしている。「キング」の冒険スキルは「槍を使って視野内の任意地点に移動する」だ。スキルを発動して、行きたい場所に照準を合わせて、ボタンを押す。それだけでおおよその場所に飛べてしまうのだ。さすがに距離の限界はあるようだが、かなり広い。先述の家屋の屋根どころか、高い城の壁も彼の前では無意味である。このスキルを前に「行けそうで行けない場所」は先行プレイの限られたプレイ時間ではついぞ見つからなかった。「ティオレー」ともども、親子で何をしているのだ。


それから「メリオダス」である。原作主人公の面目躍如、こちらもかなり無法なことをやっている。なんと彼は「壁を走る」ことができる。もはや、よじ登りのスタミナ限界など知ったことではない。壁という壁は地面と化し、どこにでも行ける。壁に出っ張りがある場所では「キング」に交代してひとっ飛びだ。本作の序盤で登場する巨大なリオネス城の外壁を登ってみたところ、いとも簡単に最高地点に到達できてしまった。
見下ろす町並みが遠景フォグでぼやけるほどの高度である。彼らによってゲームが破綻しないよう、開発者は頭を悩ませていることだろう。この2人には苦労した開発者への詫びとして菓子折りのひとつでも持っていってほしい。ほかにもその場で高く飛べるキャラや、水面を凍らせて走れるようにするキャラなどがいる。「キング」と「メリオダス」ほどではないが、全員差し入れでもしてバチは当たるまい。

これほど自由な移動スキルを見せられては、一プレイヤーとしては冒険しなければ気が済まない。時間の許す限り、いろいろな場所へ行くことにした。本作はオープンワールドで、しかもサービスインの時点でかなり広い。そこへ「わかってますよ」と言わんばかりに、騎乗ペットが存在する。スタミナ消費なしですばやく移動ができるのだ。目的地まで自動で移動する便利機能もついている。
本作のマスコット的なキャラ「ホーク」にまたがって走り、時には高所から滑空し、見えた資源はペットの自動採取であまさず回収しながら世界を駆け巡る。障害物は“大罪”の2人におまかせで、行きたい場所へはほとんどどこにでも行ける。先行プレイでは未実装だったが、自由に飛べる飛行ペットまで存在するようだ。唯一、キャラ自身のダッシュが遅く感じてしまったので、これについてはダッシュをもっと速く、騎乗ペットをもっともっと速くしてほしいところだが、それ以外はストレスのない大冒険だ。そこかしこに宝箱があり、何もないように思えた場所でも特定の行動で実績が用意されていることがあるなど、本作の世界はこの自由すぎる冒険を受け止めてくれる作りになっている。

なぜ今あえてオープンワールドなのか。なぜ広くなければならず、なぜ凹凸がなければならないのか。それはすべて、越えていく気持ちよさにつながるからだ。ひとしきりの冒険を終え、市街を周遊している巨人族の男性が背負う客席から町並みを眺めながら、筆者は満ち足りた思いで探索を振り返っていた。そこに新たな実績解除の報せがやってくる。巨人族の遊覧にも実績があったのだ。
ただのキャラゲーだなんてとんでもない
先ほど、人気IPを土台とするゲームはそれだけで、IPの皮を被せた模造品のようなレッテルを貼られがちと書いた。ただ、いかにしてそのレッテルを覆すかは、極めて難しい問題である。簡単にできることではないからこそ、そんなレッテルが生まれるのだ。世の中に注目を集められなかったゲームはいくらでもある。IPを背負っていなければ何も言われなかったところ、背負っていたために誹りを受ける。開発者にかかるプレッシャーはどれほどのものだったろうか。

開発者はそこに“大罪”級の無法な移動スキルを持ち込み、冒険の楽しみを余すことなく散りばめた世界を作り上げたのだ。キャラを愛でる要素が多く、原作ファンにとって嬉しいのはもちろんのこと、そうでなくとも楽しめる自由がそこにはあった。マルチプレイにも対応しているため、この大冒険を誰かと一緒に楽しむこともできる。『七つの大罪』を好きなもの同士で思い出に浸りながらプレイするのも良いし、これを「布教」に使うのも良い。『七つの大罪』を知らない人も、本作をきっかけとして触れてみるのも良いだろう。本作の世界は、どんな人でも受け容れてくれるに違いない。
『七つの大罪:Origin』は、PS5/PC(Steam)向けにいち早くプレイを開始し、iOS/Android向けには本日3月24日より配信開始をしている。基本プレイ無料にて提供される。
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