韓国強豪eスポーツチームT1、なんと「韓国海軍」と提携発表。ゲーマーの戦術&データ活用で、軍事のデジタル能力強化へ

韓国のeスポーツチームT1は2月12日、大韓民国海軍の海軍戦力分析試験評価団との業務提携を発表した。

韓国のeスポーツチームT1は2月12日、大韓民国海軍の海軍戦力分析試験評価団との業務提携を発表した。ゲームの戦略やデータを海軍戦術に活用し、デジタル・サイバー能力の強化への取り組みを積極的に支援していく姿勢を示した。韓国メディア毎日放送(MBN)が伝えている。

T1は韓国・ソウルに拠点を置くeスポーツチームだ。『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』の世界的に有名なプロゲーマーFaker氏を擁していることでも知られ、昨年11月に開催された同タイトルの世界大会「Worlds 2025」では、チームとして6回目の優勝に輝くとともに、史上初となる大会3連覇を達成した。

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そんなT1について、このたび大韓民国海軍の海軍戦力分析試験評価団との業務提携が発表された。作戦環境のデジタル化が進む中で、eスポーツチームのもつクリエイティブな戦略やデータを活用し、海軍のモデリング&シミュレーション(M&S)やデータ分析について協力関係を構築。さまざまな公共・国防分野へ拡張していくという。学術大会やセミナーの共同開催なども計画されているそうだ。

T1のCOOを務めるJosh Woongki Ahn氏は提携発表に際して、国際政治学者Joseph Samuel Nye Jr.の理論を引用し、eスポーツのソフトパワーと海軍のハードパワーが融合することで、国家のスマートパワーへと発展することを期待すると発言している。デジタル・サイバー能力の強化への取り組みを積極的に支援していく姿勢を示した。

Image Credit: MBN on Web

世界屈指の実力を持ち、韓国を代表するeスポーツチームの一つであるT1が、軍事の領域で政府組織と協力を結ぶというのは興味深い出来事といえる。なお過去にはデンマーク国防軍が、ゲーマーを隊員として募るなどの例も存在している(関連記事)。

特にここ数年では、ドローンやAIの軍事利用も加速しており、ロシア・ウクライナ戦争を通してそうした傾向がさらに浮き彫りとなっている。軍事におけるデジタル技術の重要性が増すなかでは、ゲームのプレイで要求される能力が重宝されているといった背景もあるのだろう。一方で、ゲームという分野におけるノウハウや技術が軍事・国防といった分野に利用されることについては、度々議論も巻き起こってきた。今回の一件も、プレイヤーや業界に大きなインパクトを与えそうだ。

ところで、『リーグ・オブ・レジェンド』アジア競技シーンでは最近ほかにも大きなトピックが話題となっていた。韓国には徴兵制度が存在し、成人男性には最短で18カ月の兵役義務が課せられている。2023年の「第19回アジア競技大会」において、『リーグ・オブ・レジェンド』部門で金メダルを獲得したことにより、Faker氏を含む韓国代表選手は兵役免除の対象となったとの見方が強まったことも当時話題となっていた。そしてこのアジア競技大会については、日本・愛知県にて今年9月に第20回大会が開催予定。しかし日本eスポーツ協会(JESU)が発表した代表選考種目に『リーグ・オブ・レジェンド』が含まれていないことについて現在さまざまな反応が寄せられている。こちらの動向も注目されるところだ。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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