サッカーミリしら初心者が『サカつく2026』を遊んでも楽しかった。予備知識要らず、己の采配で選手とクラブを成長させる手応えは、街づくり経営シムに近い

本稿では、サッカーをよく知らなくても、あるいは今までサッカーゲームをやったことがなくても十分に楽しめると感じた点について取り上げるとともに、本作のシム要素を中心に紹介していく。

筆者はサッカーのことをほぼ知らない。サッカーは体育の授業でやった程度で、普段は試合を見ることもなく、世界的に有名な選手の名前が少しだけ思い浮かぶレベルである。そのため、『プロサッカークラブをつくろう!』シリーズにも、これまで一度も触れてこなかった。「サッカーに詳しくないと楽しめないだろう」と、どこかハードルが高く感じて、距離を置いてしまっていたのだ。

しかし、『プロサッカークラブをつくろう!2026』(以下、『サカつく2026』)をプレイしてみて、その思い込みは覆された。本作はサッカーゲームの金字塔的作品だが、サッカーの知識を問わず、選手の育成やクラブ経営を軸に遊べる点が特徴である。そうしたシミュレーション要素の面白さは、経営シミュレーションゲームが好きな筆者にとって、強く実感できるものであった。本稿では、サッカーをよく知らなくても、あるいは今までサッカーゲームをやったことがなくても十分に楽しめると感じた点について取り上げるとともに、本作のシム要素を中心に紹介していく。

『サカつく2026』は、セガが1月22日にリリースした『プロサッカークラブをつくろう!』シリーズの最新作だ。基本プレイ無料タイトルとして、PC(Steam)/PS5/PS4/iOS/Androidのクロスプラットフォームで展開されている。本作でプレイヤーは、自分だけのサッカークラブを組織し、全権を担う監督としてチームを育て上げていくことになる。

サッカーゲーム初心者でも安心して遊べる設計

筆者が一番懸念していたのは、試合の操作や進行の部分である。もともと、サッカーのルールもよく理解していなかったからだ。だが本作では、試合中に選手を直接操作することはないし、試合自体も自動で進行してくれる。監督らしく選手の動きに指示を出すことはできるものの、アクションゲームのように細かい操作を要求されることはない。基本的には試合の流れを見守りつつ、必要に応じて戦術や選手交代を指示する形になる。また、自チームが有利な領域もマップに表示されているので、戦況を直感的に把握しやすい。そのため、操作や判断に戸惑う場面はほとんどなく、きちんと展開を追いながらプレイを進めることができた。

さらに、最初から「結果を見る」設定にしてしまえば、試合の経過をスキップして結果だけを確認することもできる。何度も試合を繰り返していく中では、こうしてテンポよく進められる点がとても便利だと感じた。

本作では、チームのポリシーやフォーメーションをかなり細かく設定できるようになっている。試合が自動進行である分、事前に指定できる戦術の幅も広いのだ。たとえば、メンバーの基本配置のほか、戦況に応じた立ち回りの方針、選手一人ひとりの役割や背番号まで、全て監督の采配で決定できる。プレイヤーがオリジナルクラブを立ち上げる場合は、クラブ名やエンブレムの柄も変更可能。設定項目が多いため、最初は少し複雑に感じるかもしれないが、そこは安心してほしい。

まず、チームや個人の能力は数値とアルファベットで可視化されており、実力のバランスが一目で分かるようになっている。また、選手ごとに適したポジションや得意なプレースタイルが明示されているため、編成の際はゲーム内の情報をそのまま参考にできるのもありがたい。サッカーの戦術に詳しくなくても、RPGで役職の向き不向きを意識して戦うように、適性を見ながら配置していけば良いのだ。それに、自動編成の機能も用意されている。スタメンの総合力が高くなるように、あるいは設定した条件に応じてメンバーを組んでくれるので、細かな調整が難しいと感じたときにはこれを重宝した。

本作では、以上のようなシステムを理解するためのチュートリアルも充実しており、サッカーゲーム初心者でも分かりやすい設計となっている。本作はルールを一から覚えさせられるようなゲームではないが、プレイを進めるうちに、自然とサッカーの知識が身についてくることも事実だ。先述の通り、カスタマイズ要素も多いので、慣れてきたら色々と試してみる楽しさもあるだろう。初めて触れる人でも入りやすい一方で、サッカーや『サカつく』シリーズに慣れ親しんだプレイヤーがやり込めるだけの奥深さも備えている作品だと感じた。

“知らないおじさん”から、大切なチームメイトに変わる選手育成

次に気がかりだったのは、プロサッカー選手をほとんど知らないという点だ。本作は、明治安田Jリーグの公式ライセンスを取得しており、J1〜J3に所属する60クラブが実名選手として収録されている。また、欧州主要リーグやFIFPRO、Kリーグなどからも選手が実名で登場する。加えて、『サカつく』シリーズオリジナルの架空選手も存在。いずれの選手も、等身大のリアリティある質感で描かれている。正直に言うと、登場する選手の多くは筆者にとって名前も知らないおじさんであった。しかし、プレイを続けるうちに、不思議と愛着を感じる存在に変わっていったのだ。

本作ではシーズンを進めていく中で、選手同士のやり取りや日常的なイベントが随所に挟まれる。たとえば、特定の選手たちが練習中に相性の良さを語り合っていたり、ファンの書き込みに励まされてコンディションを改善したりといったイベントシーンが存在。逆に、試合中のミスでバッシングを浴びてしまい、選手がすっかり落ち込んでしまう一幕もある。こうした何気ない場面を通じて、試合だけでは見えない選手たちの一面を知れたような気持ちになる。

また、パフォーマンスに悩む選手が、監督である自分にアドバイスを求めてくる場合もある。自分の指示に対して選手が好反応を返してくれる演出には、こんな初心者プレイヤーである自分を、監督としてちゃんと受け止めてくれているような感覚を覚えた。

現実のサッカーに近い形で、特定の選手だけを使い続けていても、ミッションや怪我の都合で試合に出られなくなることがある。そのため、選手はまんべんなく育成しておく必要があり、結果としてチーム全体のステータスを底上げしようとする意識が強まっていく。実在選手であるか架空選手であるかに関係なく、最終的には誰にでも愛着が湧いてくるわけだ。

本作では、移籍交渉を経て選手を獲得できるほか、ガチャでも選手を入手できるのが特徴だ。ガチャで手に入れた選手は、クラブの格を問わずに加入させることが可能。さらに今ならキャンペーンで、マンチェスターシティFCのアーリング・ハーランド、タイアニ・ラインデルス、ルベン・ディアスをもらえるので自分のチームに招くこともできる。サッカーに詳しくなくてもさすがに知っているようなビッグネームが仲間として加わる瞬間には、やはりテンションが上がる。現実ではまずあり得ない状況だからこそ、自分だけの「ドリームチーム」を作っているようなワクワク感があるだろう。

また、『サカつく2026』プロデューサーの久井克也氏によると、現実で活躍した強力な選手をタイムリーにガチャで実装できる点も、本作の強みであるという(関連記事)。プレイを通じて、現実のサッカー界の盛り上がりを追うこともできるというわけだ。

さらに、本作では監督自身の能力も強化していくことができる。試合を重ねたりミッションを達成したりすることで監督としての経験値を積み、マネジメントスキルを向上させていく仕組みだ。チームだけでなく、プレイヤー自身も同時に育っていく感覚があり、クラブ運営を「自分事」として没入させてくれる要素となっている。スター選手に見合う監督になりたくて、こちらも成長を志すようになった。

監督として責任感のあるクラブ経営

ときに、経営シミュレーションゲームならではの面白さとはなんだろうか。筆者が考えつくものとしては、本物の経営者になったかのようなリアリティと、それゆえにシビアなゲームプレイが挙げられる。限られたリソースをやりくりしながら選択を重ね、その結果が数字や状況の改善としてはっきり返ってくると、達成感と喜びを感じられる。

本作では、監督は選手を育成するだけでなく、クラブの経営も同時に担うことになる。選手の年俸や移籍金、プロジェクトへの投資など、あらゆる場面で資金の使い道を考えさせられるのだ。限られた予算の中で、どの選手にお金をかけるのか。将来性に賭けるのか、それとも即戦力を取るのか。常にこうした選択と向き合わなければならず、損得勘定的な視点が必要になってくる。さらに、年俸などの支出は継続的に発生するため、無計画に出費を重ねると、後になって首が回らなくなる。先を見据えて資金繰りをしなければならないあたりが非常に現実的で、経営シムとしてのやりがいを感じた。

また、試合の勝敗とクラブの経営状況は密接に結びついている。試合に負ければ自チームのサポーター数は減少し、スタジアムの観客数や収入の低下を招いてしまう。一方で、資金を計画的に投じてチームを強化し、勝利を重ねていけば、入場者数も収益も伸びていく。この好循環をいかに作るかが、運営上の大きなポイントとなる。クラブを成長させるため、監督は試合での勝利と資金獲得の両方に責任を負わなければならない。それぞれの要素が噛み合うことで、プレイヤーには適度な緊張感が生まれるとともに、順調に進んでいるときの確かな手応えも得られる仕様となっている。

このように、試合や育成、経営の各要素に確かなやり応えがある上に、それらが互いに作用し合っている点こそが、『サカつく2026』の面白さであるように思う。単に試合の勝敗のみならず、選手の育成や資金のやりくりがクラブの命運を左右するため、自分の采配がクラブを動かしている感覚がある。経営シム好きとしては、こうした手触りが実にしっくりときた。自分だけのサッカークラブを「つくっている」実感を大いに得られるので、シミュレーションゲームらしい生き生きとした楽しさを存分に味わうことができた。

そして、サッカーに詳しくないことは、本作をプレイする上での障壁とはならなかった。監督としてチームの勝敗に一喜一憂し、これまで知らなかった選手に愛着が湧き、資金繰りに頭を悩ませる。そうしているうちに、いつの間にか自分のクラブの行く末を本気で考えるようになっていた。本作はサッカーそのものだけでなく、自分のチームをつくり、育て、運営していく過程を堪能できる作品である。筆者のようにサッカーゲーム初心者の方であっても、プレイを通じて楽しさや達成感を十分に味わえることだろう。サッカーゲームという理由でなんとなく敬遠していた方にとって、本稿が『サカつく』シリーズを始めるきっかけになれば幸いである。

『プロサッカークラブをつくろう!2026』は、基本プレイ無料タイトルとして、PC(Steam)/PS5/PS4/iOS/Android向けに配信中。

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Niki Jinnouchi
Niki Jinnouchi

RPGやシミュレーションゲームをよく遊びます。一人でまったりプレイするのが好きです。

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