『Stardew Valley』開発者、インディー開発で人気のC#フレームワーク「MonoGame」に2000万円ポンと寄付
『Stardew Valley』の開発者であるEric Barone氏が、ゲーム制作に用いられるC#フレームワーク「MonoGame」に多額の寄付を行ったようだ。

『Stardew Valley』の開発者であるEric Barone氏が、ゲーム制作に用いられるC#フレームワーク「MonoGame」に多額の寄付を行ったようだ。MonoGameの公式Xアカウントにて明らかになったかたち。
『Stardew Valley』は、美しいピクセルアートの世界でまったりとした生活に浸る農業シミュレーションゲーム。都会の喧騒から離れ、「スタデューバレー」にやってきたプレイヤーは亡き祖父から広大な牧場を譲り受ける。プレイヤーは牧場主となり、荒れ果てた土地を耕し、農業や畜産に励みつつ、ときには釣りや村人たちとの交流を楽しみながら、緑豊かな土地で自由な生活を体験していく。同作は2016年に発売されるとすぐさまに爆発的な人気を見せ、2024年12月時点で累計4100万本以上の売上を記録。2024年だけでも1000万本を売り上げるなど、まさに大ヒットロングセラータイトルとなっている(関連記事)。
Eric Barone氏は、そんな『Stardew Valley』の開発者として知られる人物だ。MonoGameによると、同氏はMonoGameに対し12万5000ドル(約2000万円)の寄付を行い、さらにプロジェクトへの毎月の継続的な支援も約束したという。

MonoGameは、オープンソースで開発が続けられているゲームフレームワークだ。ゲームフレームワークとは、いわばゲーム制作に必要な基礎部分を担う仕組みのようなもの。かつてマイクロソフトは、C#で記述する「Microsoft XNA(以下、XNA)」というフレームワークを提供していたが、2013年に開発終了を発表した。その後、開発が終了したXNAで書かれたゲームコードを、ほとんど変更することなく移行できるフレームワークとして注目を集めたのが「MonoGame」である。
PC Gamerによると、『Stardew Valley』も当初はXNAを用いて開発されていたものの、2021年にMonoGameへとフレームワークを切り替えたという。XNAが開発終了によって機能追加などが停滞した一方で、現在も開発が続くMonoGameは、より広範なプラットフォームに対応するなど、XNAより発展している部分が多いといえる。Eric Barone氏は、そうした自身にとって馴染み深いフレームワークに対して寄付を行ったかたちだろう。
この寄付についてMonoGame側は、「この類まれな支援に加え、他のスタジオや個人からの継続的な支援によって、MonoGameはすべてのゲーム開発者が扱えるオープンソースのC#フレームワークとして存続できます」と、感謝の意を示している。

なおインディーゲーム開発者が、自身の愛用するゲームエンジンやフレームワークに寄付を行うケースは、ほかにも存在する。たとえば『テラリア(Terraria)』を開発するRe-Logicは2023年、オープンソースのゲームエンジンGodot Engineおよび開発フレームワークFNAに対して、それぞれ10万ドルの寄付を行うと発表した(関連記事)。2023年当時は、ゲームエンジンUnityが新たな料金体系を一方的に通告したことで、多くのゲーム開発者たちから反感の声が上がっていた時期でもあった。
営利企業によって作られるゲームエンジンやフレームワークは、状況次第では突然サポートが打ち切られたり、開発者にとって厳しい条件変更が行われたりすることもあり得る。そうした背景もあり、オープンソースで開発が続けられるゲームエンジンやフレームワークへの注目は、近年ますます高まっているといえる。Re-Logicや今回のEric Barone氏の取り組みは、インディーゲーム制作における自由で独立した開発を支える、心強い支援のひとつといえそうだ。
なおEric Barone氏は現在、MonoGameを用いて、チョコレート作りをテーマとした新作ゲーム『ConcernedApe’s Haunted Chocolatier』を開発している(関連記事)。今後も続報が順次公開されていくとみられ、こちらの動向にも注目したい。
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