人気ゲーム『Farthest Frontier』開発者、“海賊版利用者”に堂々と不満報告されるも「まずは買って」と静かに怒る。当たり前
『Farthest Frontier』の開発者が、海賊版利用者とみられるユーザーからの不具合報告を一蹴し、注目を集めている。

『Farthest Frontier』の開発者が、Steamのフォーラム上でのあるユーザーからの不具合報告に対して「海賊版ではなく製品版をプレイしてほしい」と一蹴し、注目を集めている。同ユーザーは以前別のスレッドで海賊版で本作をプレイしていることを自ら伝えており、開発者もそのことを把握していたという。
『Farthest Frontier』は中世風の世界観をもつ集落運営シミュレーションゲームだ。舞台となる未開の地には、過酷な環境の国から逃れた人々が希望を求めてやってくる。新たな住まいを築いて集落を拡大。外敵の襲来や冬の到来、飢饉といった災害から入植者を守り暮らしていく。

本作では人々に作業を割り当てるコロニーシム風のシステムを採用。作物を栽培したり、狩猟させたり、建築物を作らせたりといった指示をおこないながらコロニーを生き永らえさせていく。なお農地の土壌の悪化や作物の疫病への対策として、3年分の輪作計画を立てる必要があるなど、本格的な農業システムも特徴のひとつとなっている。
本作は2022年8月に早期アクセス配信開始され、今年10月に正式リリースを迎えた。この際には同時接続プレイヤー数が1万人を突破するなど、早期アクセス配信時に引き続き高い人気を獲得(SteamDB)。その後もアップデートが続けられており、正式リリース時に追加された要素などの改善もおこなわれてきた。

このたびそんな本作のSteamのフォーラム上にて、BigBadAss33というユーザーからの不具合報告が投じられた。具体的にどのような不具合かは不明ながら、開発者に向けてゲーム内時間(in game time)の修正あるいは調整オプションの追加を求める内容だ。本スレッドにはほどなくして開発者のZantaiことKamil Marczewski氏が反応。ただし不具合報告に関してではなく「ゲームを購入してほしい」という返答をおこなっている。
というのも本スレッドを投じた際には、BigBadAss33は『Farthest Frontier』をSteamにて所有していなかったようだ。Steamでは各作品のフォーラムにて、コメントしたユーザーIDの右側に、ゲームを所有しているときにマウスのようなアイコンが表示される仕組みだ。そうした仕様を知らずか、BigBadAss33は堂々と開発者に対して所有していない本作の不具合を報告していたかたち。本稿執筆時点ではアイコンが表示されており、上述した開発者の返答を受けてから本作を購入したのかもしれない。
なお本作は現時点でSteam以外のプラットフォームで展開されておらず、もし本当にゲームをプレイして不具合に遭遇していたとすれば海賊版をプレイしていた可能性がある。そうした点を踏まえてZantai氏は、“非Steam版”をプレイする代わりに、ゲームを購入してほしいとして報告を一蹴したかたち。海賊版のプレイヤーをサポートする気はないということだろう。

なおZantai氏はRedditおよび公式フォーラムでも今回のユーザーBigBadAss33について言及。過去にBigBadAss33はSteamワークショップに関するフォーラム上で“非Steam版”向けのMod対応を求める書き込みをしており、この点もBigBadAss33が海賊版利用者だという判断の根拠となったようだ。スタジオを支援する気がないなら、コミュニティに参加する権利もないと静かな怒りをあらわにしている。また同氏はユーザーに向けて、本作に限らずインディー開発者を(作品を購入することで)支援してほしいと要請しており、もし購入しないにしてもそれを堂々と示しながらフォーラムに参加するのはやめてほしいと苦言を呈した。
ちなみに今回の一件は一部ユーザー間で、海賊版にしか発生しないバグを用意して海賊版利用者の“あぶり出した”のではないかといった憶測を呼ぶことになったようだ。ただZantai氏はこれを否定しており、海賊版対策のバグは一切入れていないとのこと。とはいえスタジオの前作であるハクスラARPG『Grim Dawn』では実際に海賊版対策のバグが存在したそうだ。海賊版でプレイするとたとえばクエストを報告できない、レベルが消失する、ボスが出現しないといったランダムなバグが発生する仕様であったとのこと。海賊版利用者がまんまとそうしたバグを報告してくる例もあったようで、痛快だったと語っている。
PCゲームにおいても海賊版の存在は問題視されており、大作ゲームを中心にコピーガード技術が導入される例もある。一方でリソースの限られたインディータイトルではそうした対策の採用・実装が難しい場合もあるだろう。開発元によっては自社作品の海賊版でのプレイを容認することを表明する珍しい例もみられるものの(関連記事1、関連記事2)、基本的には権利を侵害する手段でゲームを入手・プレイすることはあるまじき行為。今回はフォーラム上で堂々と海賊版を利用していることを公言してきたユーザーの過去の言動を開発者が見逃しておらず、毅然とした対応がとられた点が注目を浴びているようだ。
ちなみに『Farthest Frontier』はSteamウィンターセールの対象となっており、1月6日午前3時まで20%オフとなる税込2730円で販売されている。作品に興味がある場合はこの機会に購入しておくといいだろう。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。



