「キャラガチャなし」基本プレイ無料アクションRPG『デュエットナイトアビス(デナアビ)』は”思う存分系育成ゲー“だった。推しをさくっと入手して、ひたすら強化しビルド沼へ

筆者が一般的な基本プレイ無料のRPGをプレイする際は、高額を課金することはめったにない。せいぜいシーズンパス的なものを買う程度で、石はほとんど配布されるものでまかなう。そんなプレイスタイルだと、フラストレーションを感じることはけっこう多い。

Hong Kong Spiral Rising Technologyは『デュエットナイトアビス(デナアビ)』を10月28日にリリース予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/iOS/Android。

『デュエットナイトアビス』は基本プレイ無料の大型アクションRPGだ。魔法と機械が共存する世界を舞台に、2人の主人公の視点から物語が描かれる。本作はキャラと武器のガチャシステムおよびスタミナ制の廃止が発表され、話題になっている作品だ。全キャラクター・全武器が無料で手に入るように仕様を見直したと謳われている。

ところで筆者が一般的な基本プレイ無料のRPGをプレイする際は、高額を課金することはめったにない。せいぜいシーズンパス的なものを買う程度で、石はほとんど配布されるものでまかなう。そんなプレイスタイルだと、フラストレーションを感じることはけっこう多い。欲しいキャラがいてもなかなかピックアップガチャが来ないとか、いざガチャが来ても石が足りずに涙を呑むといったことはしょっちゅうだ。やっと目当てのキャラを引けても育成素材が足らず、実戦投入するまで月単位で時間がかかるなんてこともある。

ところが『デュエットナイトアビス』では、好きなキャラがすべて無料で手に入るという。そしてスタミナがないため、育成素材も集め放題だとか。本当ならば自分的にありがたい。そんな本作が、リリース直前となるこの段階で早期プレイテストを開催した。本作は何度かクローズドベータテストを実施しているが、キャラガチャ・スタミナ廃止の発表後では初のテストである。実際どのような感じのシステムになっているのか。今回弊誌はプレイテストに参加する機会にめぐまれたため、本稿で感想をお伝えする。なおプレイテスト版と製品版では、一部仕様が異なっている可能性がある。

暗めのドラマな物語

ゲームプレイを始めると、まずはチュートリアルを兼ねたメインストーリーを進めていくことになる。本作はダブル主人公制となっており、まずは片方の主人公を中心に物語が進んでいく。この主人公はとある島に住んでいたが、島が帝国軍の襲撃を受け、家族同然の幼馴染と生き別れになってしまう。行方不明の幼馴染を探すため帝国の都会で奮闘する、というのが序盤の基本的なストーリーだ。

そして「月狩り人」と呼ばれる冒険者になった主人公は、帝国に存在する差別や陰謀といった暗部に直面することになっていく。ストーリーは重厚な雰囲気で、シリアスなもの。ときに悲劇も交えつつ、差別や偏見といったテーマをめぐる話が展開される。

流れるように軽快なアクション

アクションは軽快で、スライディングからジャンプすることで繰り出せるスピンジャンプを中心としたパルクールにはスピード感がある。慣れるとダッシュ・スライディング・スピンジャンプ・空中ダッシュ・落下攻撃といったアクションを組み合わせて、流れるように空中を疾走することが可能だ。ファストトラベルも存在しているが、歩いていけば素材が拾えることもあるし、なにより移動そのものが楽しいので、遠めの距離でも筆者はパルクールで移動することが多かった。

またバトルシステムでは、本作は剣と銃の両方を駆使して戦うことになる。TPSに近い操作だが、本作にはいわゆるADSが存在せず、立ち状態から直接精度の高い銃弾を発射することができる。一見細かな仕様なのだが、スコープを覗き込む一手間がないことで、近接武器と銃器の切り替えが非常にスムーズになっている。遠近どちらに偏ることもなく、自然に併用しながら戦えるシステムだと感じた。剣と銃を併用しつつ、各キャラに一つずつあるスキルと必殺技を活用し、ザコ敵の大群を蹴散らしていくのは爽快だ。

いろんなキャラクターが欲しくなる

本作のキャラの入手方法はさまざま。ストーリークエストやログインボーナスなどで手に入るキャラも多くいるほか、バトル系コンテンツ「ラビリンス」や「体験型劇場」のクリア報酬としてもらえるキャラも存在する。公式説明によると、レベッカ・アウトサイダー・ダフネ・マギー・トリュフ&ヘーゼルナッツ・リズベルは、それぞれの方法で早期に獲得が可能だという。また事前予約1500万人達成報酬として、ベレニカは全アカウントに配布される。

そうした特に簡単に入手できるキャラクターを除くと、本作のキャラの入手過程は基本的に二段階の作りとなっている。まず本作にはキャラごとに「依頼密書」というものがある。依頼密書はクエストの周回やイベント報酬、ショップなどで手に入るリソースだ。依頼密書を使用してミッションに挑むと、クリア時にそのキャラの「欠片」がランダムで入手できる。その欠片を規定数集めると、キャラがアンロックできるのだ。なお手間を省きたい場合は、課金で直接指定のキャラを購入することも可能だ。

つまりゲームプレイを通じてすべてのキャラが無料で手に入るといっても、さすがに全キャラが即座に使えるわけではない。欲しいキャラに目標を定めて、能動的に素材を集める必要がある。物語中ではキャラクターたちの魅力がドラマチックに描かれていて、遊んでいるといろんなキャラが欲しくなってくる。欲しいキャラがたくさんいるなかで、筆者はひとまず未入手のキャラのなかから、リズムという雷属性のキャラの入手を目指してみることに。

ちなみに本作にはリリース時に19体のキャラが用意される。なかでもサイキは期間限定キャラとして、11月25日まで「体験型劇場」で獲得可能。25日以降は、獲得可能キャラがフィーナに入れ替わるという。なお期間終了後のサイキは「悪夢の残響」で入手できるようになるそうで、期間限定キャラも後で入手できなくなったりはしないようだ。

ボス戦はほどよい緊張感

リズムの依頼密書は、ボスと戦うコンテンツ「悪夢の残響」をプレイすることで入手可能だった。しかしこちらのコンテンツは週に5回までと制限が付いており、すぐにキャラを入手できるか定かではない。筆者の感触的には、基本プレイ無料ゲームのこうしたコンテンツでキャラをゲットするにはリアル日数が必要で、1か月以上かかることも多い。しかし本作の仕様はまだわからないので、ともかく挑戦してみることに。

ボス戦では敵の攻撃を回避しつつ、近接武器と銃器とスキルを組み合わせ、ダメージを重ねていくことになる。ボスの部位を破壊したり体勢ゲージをマックスにすることでダウンさせ、大ダメージ攻撃を繰り出せるといった要素も存在している。ボスの攻撃はヒットすると痛いが、攻撃が激しすぎるというほどではなく、それなりに隙も存在。適度に緊張感もありつつ、周回が苦にならないほどの難易度に調整されている印象だ。押し寄せる大群をせん滅するザコ戦とはまた趣きが異なる、回避が重要な戦いが楽しめる。

5分程度の戦闘でボスを撃破し、最初の報酬をゲット。使用中のキャラと武器を強化すれば時短もできそうだが、今回はそのまま周回することに。30分程度で回数制限の5周を終え、リズムの依頼密書を25個ほど入手する。

あっという間に目当てのキャラをゲット

次は依頼密書を消費してミッションに挑み、キャラの欠片を集めていくことになる。アンロックに必要なのは欠片30個だが、手持ちの依頼密書は25個。欠片のドロップはランダムのようで、足りるのかは定かではない。しかし悩んでいても仕方がないので、ミッションを周回していく。依頼密書のミッションはいくつか種類がある。大量のザコ敵をせん滅するものから、ほぼパルクールで駆け抜けるだけで終わるものまで、内容はさまざまだ。いずれもボス戦ほど時間はかからず、短いものなら1分程度で終えることができる。

報酬のドロップ率は思いのほか良好で、一度に2個の欠片が手に入ることが多い。ザコ敵を蹴散らすバトルは爽快だし、パルクールもスピード感がある。なにより1周1分程度で報酬が手に入るため、テンポがとてもよい。サクサクと周回するうちに結構なスピードで欠片が集まる。そして14周したところで欠片がなんと10個一気にドロップ。気前のよい報酬により欠片が30個を突破し、依頼密書を10個以上余らせての目標達成となった。依頼密書の収集を始めてから1時間ほどで、お目当てのキャラがゲットできたかたちだ。

育成素材も集め放題

先行プレイ用にドロップが甘く設定されていた可能性もあり、これが平均的なスピードなのかは分からない。しかしあっという間に目当てのキャラを入手できた筆者は大喜びだ。とはいえ、キャラはアンロックして終わりではない。実戦で使うためにはもちろん育成する必要がある。必要な素材は経験値アイテムやら、限界突破アイテムやら、スキルレベル上げ用のアイテムやらさまざまだ。次はこれらを集める必要がある。

筆者のもつ基本プレイ無料ゲームのイメージでは、大抵こういう素材収集ミッションには、一日にプレイ可能な回数に制限がある。しかし『デュエットナイトアビス』ではその制限がない。必要なだけ周回して、好きなだけ素材を集めることができるのだ。そうして筆者は手に入れたばかりのリズムを、その時点の上限まで鍛えることができた。ゲームを始めたばかりで育成素材のストックもなく、キャラも未入手の状態から数時間程度で、お気に入りキャラを思う存分操作できるようになったわけだ。

そしてビルド沼へ

目当てのキャラを使えるようになって満足だが、本作の育成要素はこれで終わりではない。本作にはさまざまな種類の武器が存在し、近接武器と遠距離武器をひとつずつ装備可能。全キャラが全武器を装備できるが、得意武器の設定は存在している。

リズムの得意武器種は太刀とライフル。しかし筆者はまだ太刀をひとつも持っていない。そうなると当然太刀を作りたくなってくる。また雷属性のリズムとシナジーがありそうな、雷特化の効果があるライフルなども存在しており、そちらも欲しい。武器の入手方法も基本はキャラと同じで、依頼密書を通じて素材を集める形式である。リリース時には45種類の武器が用意されるとのこと。

そしてさらに本作には、「魔の楔」という強化システムが存在する。魔の楔はキャラクターと武器に装着できる強化パーツだ。ダメージアップやクリティカル率アップなどいろいろな効果があり、ビルドの構築に大きく作用する。レアリティも設定されており、かなりの種類が存在している。これを集めるのも本作の重要な要素だ。そして魔の楔の収集ミッションにも回数制限はない。

遊んでいると次から次へ、欲しいものが湧き出てくる。早くも次の周回に繰り出したくなった筆者は、お気に入りキャラをどんどん強くしていけるのが楽しくなり、いろんなミッションをひたすら遊び続けた。本作の育成はかなり奥が深そうである。

外見いろいろ、自由に色もカスタマイズ

また本作ではお気に入りキャラをバトル向けに育てるだけでなく、外見のカスタマイズも可能。アクセサリーを装備させてちょっと着飾るほかに、スキンやコスチュームでがらりと外見を変えることもできる。ゲーム内で無料入手できるアクセサリーもあるが、基本的に本作の課金要素はこのスキンが主体となる。

リリース時に用意されるというクリスマススキンは直接購入可能で、全キャラに着せることが可能。サンタ風の衣装を楽しむことができる。またいわゆる衣装ガチャも用意されており、リリース時点ではイベント限定万華「真夏の夜の夢」と常設万華「星の煌きは輪舞を描く歌」が開催、サイキ・トリュフ・レベッカの、舞踏会をイメージしたドレス風スキンが入手可能とのことだ。ガチャを回すにはいわゆる石が必要になるが、ゲーム内イベントで最大107回分無料で回せるリソースが手に入るという。

さらに本作のスキンやコスチュームはカラーリングの変更が可能。設定されたパーツごとに色合いを変えて、塗分けることができる。お気に入りキャラの見た目を自分だけのオリジナルデザインにカスタマイズできるというわけだ。


お気に入りキャラを手軽に入手し、ひたすら育てていける

以上が今回の先行プレイの感想だ。改めて感想をまとめると、本作では本当に、どのキャラも武器もゲームプレイを通じて手に入る。ピックアップガチャを待つ必要がなく、好きなキャラがいつでも手に入るというのは想像以上にストレスフリーだ。それに本作にはスタミナがないので、育成素材も集め放題。欲しいものに真っすぐ向かっていけるというのはとても気持ちがいい。

キャラガチャとスタミナがないだけなら、オンラインMMOや売り切りゲームなどでは普通のことかもしれない。しかし本作の育成システムには、キャラガチャの廃止が決まる前の名残のようなものがある。限界突破や“重ね”など、おなじみのシステムがあるのだ。筆者はスタミナ無限で基本プレイ無料RPGを遊んでいるような、独特の爽快感を味わった。

今回の先行プレイのセーブデータは製品版には引き継がれず、テストの終了とともに削除される運命だ。しかしあと数日でデータが失われると分かっていても、筆者はなかなかプレイを切り上げることができなかった。本作の育成とバトルのループにハマってしまったのだ。スタミナがないので強制的にプレイを打ち切られることもなく、止めどきが非常に難しい。キャラガチャとスタミナがない『デュエットナイトアビス』はお気に入りキャラを手軽に入手し、望むがままに強くし、そして着飾れる、中毒性たっぷりのRPGだった。

デュエットナイトアビス(デナアビ)』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/iOS/Android向けに、10月28日にリリース予定だ。

Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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