『鬼武者 Way of the Sword』はシリーズ初心者が20分遊ぶだけでも“バッサリ感の沼”にハマる。とにもかくにも気持ちいい、斬る手応え
『鬼武者 Way of the Sword』を東京ゲームショウ2025にて試遊プレイ。わずか20分間でも、バッサリ感を存分に堪能できた。

『鬼武者』シリーズ20年ぶりとなる新作として話題の『鬼武者 Way of the Sword』。はたして本作がシリーズ復活の狼煙となるのか、ユーザーの注目が集まっているこの状況において、このたび東京ゲームショウ2025にて本作品の試遊をすることができた。本稿ではその模様をお届けしよう。
『鬼武者 Way of the Sword』は『鬼武者』シリーズ最新作。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S。発売日は2026年を予定している。本作にてプレイヤーは時の剣豪「宮本武蔵」として、瘴気によって不可思議な姿と化した江戸時代初期の「京都」を舞台に、はびこる幻魔を斬り伏せながら、己が戦う理由を探し求めていく。
初めての『鬼武者』は最高に楽しい

今回の試遊体験は、いわゆるチュートリアルをこなしたあとに、ステージを進み、ボスを倒して終わりという構成だ。制限時間は20分。短期決戦となる。さぁ楽しんでいくぞ……とその前に、ひとつ読者に告白しておかねばならないことがある。それは、筆者が『鬼武者』初プレイであるということだ。もちろん、取材前に予習はしておいたが、実際に触れるのは初めてだ。筆者と同じように、本作からシリーズに興味を持った人もいるだろう。そこで、シリーズが持つアクションの特徴を、ひとまず簡単におさらいしておきたい。
『鬼武者』シリーズにおけるアクションの特徴は「魂の吸収」と「一閃」にある。前者はいわゆる「ドロップアイテムの回収」にあたる。敵を倒したり、強敵に攻撃すると魂を落とす。回収できる魂には種類があり、体力回復ができる「黄魂」から、必殺技用のゲージを溜める「青魂」、経験値や武器の強化素材になる「赤魂」もある。そして、後者の「一閃」は一撃必殺級の攻撃だ。敵の攻撃を受ける寸前にこちらが攻撃すると「一閃」となり、大ダメージを与えるほか、大量の魂が放出される。本シリーズは回復系のアイテムに使用数の制限があるため、一閃を決めることで魂を多く回収、戦況の安定を狙っていきたい。なお、魂の回収中は無防備になる。激しい攻防の最中、いつ回収するのかも重要だ。

さて、操作方法に関するチュートリアルを終えたところでゲームは本格的にスタートする。難易度はアクションゲーム初心者向けのものと、慣れているプレイヤー向けのものが存在し、筆者は後者を選択した。試遊の舞台となるのは京都の清水寺周辺と境内。意気揚々と歩みを進めれば、プレイヤーを囲むように幻魔が登場してきた。しかし、そんな状況もなんのその、「受け流し」を用いて敵を捌いていく。「受け流し」はタイミングよく防御をすると発動するアクションであり、文字通り攻撃を受け流す。複数回の成功を果たせば、「気焔状態」となり、刀の威力が強化され、青魂の排出率が上がる。「受け流し」をしていると、必殺技が出しやすくなるということだ。
遠距離攻撃には「弾き」で対応する。こちらは防御中にタイミングよく追加入力することで発動可能。受け流しとは異なり防御してもその場に留まることになるが、強力な防御と共に、相手の遠距離攻撃を弾き返せる。なお、敵には「力動」という専用ゲージが存在し、受け流しや弾きを駆使して削りきれば大技「崩し一閃」を発動できる。複数の敵のゲージを削りきれば、「崩し一閃」が連鎖する。本作は通常の防御と比較すると、「受け流し」「弾き」によるリターンが極めて大きいため、積極的に活用したい。幸いにして両者を狙って決めるのは「一閃」を狙うより遥かに簡単な印象である。

そして、個人的に強く印象に残っているのは、「受け流し」「弾き」「一閃」、そして刀を振る通常攻撃に至るまで、モーション1つ1つにおける操作感の心地よさだ。武蔵のキビキビとした立ち振舞に対し、敵の肉体がグズグズと崩れ落ちる様を表現する映像美、鋼同士がぶつかり合うジャリジャリした音を表現する音響、そして敵の攻撃に対する入力のタイミングが渾然一体となって、凄まじい快楽を生み出している。このおかげで、操作に慣れたとしても雑魚戦を邪魔だと感じる瞬間はなかった。むしろ斬りたくなってしまい、時間がないのに幻魔を殲滅していた。あのとき自分は武蔵になっていたのだ。
これが『鬼武者』か……感嘆の想いと共に筆者の初『鬼武者』は進行していく。すると過去に起きた出来事を再現するカットシーンと共に、簡単なギミックの紹介が入った。まずカットシーンについては幻魔がもたらした惨状を表現するもので、哀しみ、やるせなさを感じた。グロテスクさであったり、恐怖よりもまず哀しみである。力がないゆえに民の命が弄ばれ、理由もなく消費されていくその描写は、過去に起きたゆえに主人公が一切手を出せないという点で、他の類型作品においてもあまり見られず、珍しいと思う。演出のみならず、三船敏郎のフェイスモデルや声優の真に迫る演技も相まって、「どうして……」と少し落ち込んだのを覚えている。
そのまま武蔵の眼が覚醒。鬼の力で見えないものが見えるようになった。隠し通路や道を塞ぐ幻魔がレーダーを使ったかのように、見えるようになる。これによって清水寺の門を封じていた幻魔を発見、斬り伏せ、武蔵は境内に足を踏み入れた。車輪のように突っ込んでくる幻魔や、遠距離攻撃を仕掛けてくる幻魔が登場してもお構いなし。そこでもバッサバッサと敵を切るわけだが、俗に言うステージギミックを活用することで更に戦闘を有利に運ぶことができた。清水寺では敵の集団に向けて荷車をぶつけることができた。何でもアリな宮本武蔵らしい描写である。このほかにも床に敷いた畳を即席の盾代わりに使ったりといったことができるようだ。

やがて清水の舞台へたどり着く武蔵。幻魔によってそこから突き落とされる民たちのビジョンを見てため息をつく筆者。そんな惨いカットシーンを経て現れたのは宿敵「佐々木巌流」であった。武蔵と同じく鬼の力を獲得した彼は半ば狂人と化しており、対等に戦える相手を求めて武蔵に襲いかかってくる。ボス戦が始まったのだ。調子に乗っている巌流のモーションは非常にわかりやすく、ゆえに「受け流し」「弾き」「といった防御アクションが簡単に決まる。するとゲージが削れて「崩し一閃」が発動した。ボス相手の崩し一閃は攻撃部位を決めることができ、部位によって効果が異なる。佐々木巌流の場合は頭と胸の2部位。頭を攻撃すれば大ダメージ、胸を攻撃すると魂が大量ドロップするようだ。筆者は迷わず頭を攻撃。体力を一気に削っていく。さらには青魂を吸収して得た鬼力を消費して必殺技「鬼ノ武具」を発動。双刀「二天」による高速連撃を叩き込む。結果、特に苦戦すること無く倒すことができた。試遊終了である。

わずか20分の初『鬼武者』ではあったが、筆者としては非常に楽しめた。というのも、「一閃」をはじめ、「受け流し」「弾き」など、本作は使えるようになるとゲーム体験が分かりやすく変動する要素がとても多いのだ。ゆえに上達を感じやすく、作品をプレイするにあたって高いモチベーションを維持することができる。そしてこの体験を裏から支えているのが開発陣のこだわりによって実現している「バッサリ感」だ。これによって技の練習時間が、練習時間であると感じにくい。斬る行為自体が気持ち良いため作業にならない。この記事を書いている今もなお、体験を思い出しては「早く斬らせてくれ」と、まるで剣の鬼のように製品版の発売を乞い願っている。
なお、弊誌では本作の開発者に対するインタビュー記事も掲載予定となっている。そちらも是非チェックして欲しい。
『鬼武者 Way of the Sword』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S 向けに2026年に発売予定だ。