高評価パズルゲーム開発者、「実況プレイが売上に繋がりにくい問題」が解消されそうと感激。ある実況動画が見せた“配慮”

ゲームのジャンルによって生じうる「実況プレイされても売上には繋がりにくい問題」を解決するかもしれない配慮が行き届いた動画について、ある開発者が感激を伝えている。

インディー開発者のNamaTakahashi氏は8月8日、探索パズルアクションゲーム『Öoo』を配信し、非常に高い評価を得ている。そんな同氏は、インディーゲーム紹介YouTuberのLayerQ氏が投稿した本作の実況プレイ動画に“感動”したことを報告。ゲームのジャンルによって生じうる「実況されても売上には繋がりにくい問題」を解決しているのではないかと分析している。

本作は、“爆弾イモムシ”と呼ばれるかわいい主人公を操作して、ダンジョンのようなステージを探索するゲームだ。爆弾イモムシには爆弾を生み出せる能力があり、プレイヤーは最大2つまでを同時に設置し、任意のタイミングで爆破可能。爆弾イモムシはジャンプができないが、爆弾を使えば爆風で上に跳んだり、ギャップを飛び越えたりできる。このほかにもさまざまなギミックが存在し、それぞれ爆弾を使ったパズル要素とも絡んでいる。

本作は8月8日に配信され、本稿執筆時点で503件中100%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。本作はプレイヤー自身が新たなテクニックを学び、さまざまな場面で応用しつつパズルを解く巧みなレベルデザインが持ち味。そうしたゲームプレイを“新しい形のメトロイドヴァニア”と評するレビューも集まっている。

そんな本作を手がけたNamaTakahashi氏が、インディーゲーム紹介YouTuberのLayerQ氏による本作の実況プレイ動画について言及。特にパズルゲームやストーリー主導のゲームにおいて「実況されても売上には繋がりにくい問題」を解決できるのではないかと考えて、感動していることを伝えた。

というのもLayerQ氏はさまざまな作品を実況プレイしているが、多くの動画の長さは20分前後。また1日でゲームの全編を公開することなく、分割したうえで日をまたいで投稿する方針のようだ。『Öoo』の実況プレイ動画についても、同作が2~3時間の短編ゲームながら、LayerQ氏がわざわざ分割・編集して投稿してくれていると紹介。第1回は8月10日に、第2回は8月11日に投稿され、それぞれ約20分となっている。


そうした投稿方法についてNamaTakahashi氏は、投稿日にパート1の動画を見て続きが気になったユーザーが、自分で買ってプレイしてみたくなるようになるのではないかと推察。同氏は漫画がアニメ化された際に、次回が気になった視聴者に漫画を買わせるといったビジネスになぞらえており、「一気には出さない戦略」だと考えているそうだ。

さらに同氏は、パート1のラストではステージだけ見せてあえて解かずに気になるところで終わらせていた点にも着目している。そうした点からNamaTakahashi氏はLayerQ氏が開発者の利益を考えた動画作りをしてくれていると分析しており、感激している様子。ちなみにNamaTakahashi氏の一連の喜びのコメントはLayerQ氏本人にも届くことになった。

ゲームの実況プレイ動画の投稿やストリーミング配信では、宣伝効果も見込める一方で、ジャンルによってはデメリットも懸念されてきた。たとえばパズルゲームやアドベンチャーゲームなど、核となる体験が動画だけで消費されうるゲームジャンルでは、宣伝効果と機会損失のバランスの判断が難しいという声も見られた。

そのためアドベンチャーゲームなどを中心に、ゲーム後半などに配信禁止区間を設けてプレイ動画の投稿やストリーミング配信を制限する作品も散見される。とはいえ実況プレイのハードルにもなりうるため、特に知名度の向上を狙いたい小規模開発ゲームにおいては、採用しづらい側面もあるのだろう。

そうしたなかで「実況されても売上には繋がりにくい問題」が生じている状況はありそうだ。この解決策として、たとえば過去には「YouTubeやTwitchにおいて実況動画・配信からプラットフォームが得られる収益をゲーム開発者にも分配するシステムの必要性」を唱える業界人の意見が注目を集めていたこともある(関連記事)。たとえ売上増加に繋がらなくとも、実況動画の再生などから開発者の収益アップに繋げるというアイデアだ。

一方で今回称賛を受けているLayerQ氏の動画のスタイルは、制限区間の設定や収益分配などとは違ったアプローチで“実況者と開発者の共存”を目指せる発想といえる。本来実況プレイによって売上アップに繋がりにくいゲームジャンルでも、あえて「一気には出さない」動画スタイルにすることで宣伝効果を期待できるのかもしれない。

『Öoo』は、PC(Steam)向けに配信中だ。リリース記念セールとして、8月15日までは20%オフの960円(税込)で購入可能となっている。また、体験版も配信中である。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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