人気低迷中ポータルFPS『Splitgate 2』まさかのベータ版に逆戻り。“早すぎたリリース”を反省、半年間みっちり調整で再起を図る

デベロッパーの1047 Gamesは7月23日、先月正式リリースを迎えた『Splitgate 2』を再度ベータ版とする意向を示した。コミュニティのフィードバックを受けて、来年初頭を目途にゲームを根幹から作り直すという。

本作は、対戦FPS『Splitgate』の続編だ。本作の特徴は、プレイヤーがステージの各所に、入口と出口がつながったポータルを開けることが可能な点だ。敵の背後をとったり、緊急離脱時の退路として使ったりと、さまざまな方法で用いることができる。また本作ではプレイヤーキャラに、固有アビリティの異なるファクション（クラス）制を導入。戦場を疾風のごとく駆け抜ける「エアロス」、時間を操る「メリディアン」、圧倒的なパワーで銃をぶっ放しながら走り回る「サブラスク」の3種類が用意されている。

前作『Splitgate』はSteamにおけるピーク時には約6万7000人にものぼる同時接続プレイヤー数を獲得していた人気作品だ（SteamDB）。一方で、今後の開発を見据えてUnreal Engine 5などの新たな基盤で開発をスタートすることを目的に、2022年9月に同作の開発を終了。昨年7月に『Splitgate 2』が発表された。

そして今年5月には本作のオープンベータテストが開始され、終了時期を設けずにリリースまで継続して実施されることが決定された。そして、日本時間6月7日に開催された大型ゲームイベント「Summer Game Fest 2025」にて、1047 GamesのCEOであるIan Proulx氏が突如本作のリリースを宣言。オープンベータテストの開始からわずか数週間で正式リリースを迎えた。

一方で本作の人気は低迷。リリース後数日は約2万5000人の同時接続プレイヤー数を維持したものの次第に減少し、本稿執筆時点では約2000人の同時接続プレイヤー数に留まっている。同月には開発元による主要スタッフのレイオフが報じられており、前作『Splitgate』を超えるどころか、開発の継続すら危ぶまれる状況となった（関連記事）。

そうした急落の背景には、一部の装飾アイテムが法外な金額となっていたことへの批判や、「Summer Game Fest 2025」においてProulx氏が放った競合作品への挑発的な発言に対する反発などの影響もあるとされている（関連記事）。前作の持ち味であったポータルシステムについては引き続き定評を得ているものの、新たに導入されたゲームモードと上手く嚙み合っていない点や、そもそもマップに配置される個数が少ない点など、改善を求める声も相次いでいた。

そんな中、7月23日に1047 GamesはXにて『Splitgate 2』をベータ版へと戻すことを発表。「リリースが早すぎた（we launched too early）」と認め、来年初頭に“再リリース”することを目途に、ゲームを根幹から作り直すことを表明した。1047 Gamesによれば、野心的な目標をユーザーと分かち合おうと興奮するあまり、開発を急いでしまったと振り返っている。またこの決定にともない一部の従業員に対するレイオフを実施するほか、本作の開発に必要な人的リソースを確保するため、前作『Splitgate』のサーバーを1か月後にシャットダウンする方針を明らかにしている。なお、『Splitgate 2』については、ベータ版として今後もプレイ可能であり、計画されていたチャプター3のリリースおよびサポートも継続する予定とのこと。

なお海外メディアIGNがProulx氏の証言をもとに伝えたところによると、今回解雇される従業員は45人で、これは総従業員数の28%に相当するという。またProulx氏はコミュニティが求める改善点として、マップ内のポータルウォール数の増加やゲームモードの調整など具体的なポイントを挙げている。さらに収益モデルをより簡素化したものへと変更することも検討しているようだ。

当時人気沸騰中であった前作の開発を切り上げてまで力を注いだ作品なだけに、予想を下回る結果となったことに対しては相当のプレッシャーを感じているものとみられる。コミュニティから寄せられた意見をもとに改善を重ね、来年初頭に改めてリリースしなおすことで、再起を図ろうとの決断に至ったようだ。なお再リリースに向けた取り組みの詳細は近日中に発表するとのこと。続報を待ちたい。

『Splitgate 2』は、PC（Steam/Epic Gamesストア）およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中だ。