『ツーポイントミュージアム』、博物館経営シムなのに“ガチファンタジー異世界”が追加される。館長がなぜか博物館職員を率いて、「焦げつ国」のドラゴン退治に挑んだ

セガは7月17日、『ツーポイントミュージアム』に向けてDLC「剣と魔法の宝探し」を配信開始した。本稿では同DLCの先行プレイに基づき、感想をお伝えしていく。

セガは7月17日、『ツーポイントミュージアム』に向けてDLC「剣と魔法の宝探し」を配信開始した。本作の対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|Sで、Nintendo Switch 2向けにも2025年内に発売予定。ゲーム内は日本語表示および音声に対応している。

本作は博物館を運営するシミュレーションゲームだ。プレイヤーは先史時代や海洋生物など、それぞれテーマが設定された博物館の館長となり、展示品を集めながら自分だけの博物館を設計していく。人気シミュレーションゲームシリーズの最新作である本作は好評を博しており、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約5000件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

そんな『ツーポイントミュージアム』に向けて、追加コンテンツ「剣と魔法の宝探し」がまもなく発売される。同DLCはファンタジー世界がテーマとなっており、中世ファンタジーをモチーフとした展示品などが40種類以上追加。またバーバリアンなどの“ファンタジー専門家”も追加されるなど、本編とは一味違った要素が導入されている。

「ヘンテコ博物館経営シム」を謳う本作には、イエティや幽霊が登場するなど、現実離れした要素はもともと多数存在していた。とはいえ世界観としてはあくまで現実世界がベースで、そこにいわゆるトンデモ要素が加わっているかたち。コミカルさのなかに意外と真面目な部分が存在していたと言ってもいいだろう。

一方で今回発売されたDLCでは、ファンタジー世界が遠征先として追加される。プレイヤーはドラゴンがはびこる世界にシーフや魔法使いを派遣し、お宝を探していくことになる。もともとオバケや宇宙人が登場していた時点でだいぶ怪しかったとはいえ、かろうじて持ちこたえていた本作のリアリティラインの最後の一線を、盛大に踏み切ったような内容だ。今回弊誌は、そんなDLC「剣と魔法の宝探し」の先行プレイの機会をいただいた。本稿ではその感想をお伝えしていく。


ドラゴンが君臨する「焦げつ国」

本DLCは、既存マップに遠征先が追加されるかたちで実装される。すでに作り上げたキャンペーンモードの博物館でプレイすることも、サンドボックスモードでプレイすることも可能である。今回はせっかくなので、サンドボックスモードにてファンタジー要素に集中した博物館を作ってみることにした。

さっそく遠征マップを開くと、案内役のフィーというゴブリンが解説をしてくれた。なんでもこの世界は「焦げつ国」という名で、かつては平和だったが、今はドラゴンに苦しめられているらしい。焦げつ国の外から来た冒険者であるプレイヤーは、ドラゴン討伐を目指すことになるのだそうだ。いかにもコテコテの設定である。主人公は、実際は博物館の館長なのだが。

ファンタジー世界の探索には、新たに追加されたファンタジー専門家を派遣する必要がある。専門家は4種も存在し、バーバリアン・シーフ・魔術師・吟遊詩人が登場。ふつうの博物館にはいなさそうな人々だが、RPGではおなじみのクラスだ。

さっそく求人を出すと、候補者らがリストアップされた。ファンタジー専門家の独自仕様としてRPG風のステータスが存在しており、筋力・技量・知力・運の4つのパラメーターが設定されている。遠征先によって異なるパラメーターが要求されるため、バランスのよいパーティーを組むことが求められるようだ。


ドワーフ博物館にまっしぐら

ひとまず全クラスのキャラをひと通り雇用。遠征先の障害を突破できるようにパーティー編成を考えつつ、遠征に送り出していく。通常のゲームと同様に遠征が無事完了すれば、展示品を持って帰ってきてくれるようだ。展示品が到着しだい博物館の運営が開始できるように、帰還を待つあいだ内装を整えておくことにした。

本DLCではファンタジー系の装飾品も多数追加されており、中世風の旗やルーンストーンなどを飾ることができる。しっかりファンタジー風の建物も作れるようになっているわけだ。たださすがにトイレやスタッフルームなどは既存設備を使うしかないため、裏側は必然的に現代的に。凝った飾り付けのテーマパークも裏側は普通というのは、現実でもあるあるな光景かもしれない。

そうこうしているうちに展示品も集まり、本格的に博物館経営を開始する。すると本DLCで追加された新たな客層として、エルフ・ドワーフ・ゴブリンの3種族が来館するようになった。なんでも森を愛するエルフは植物の展示を好み、ドワーフは食事とドワーフの発明品の展示を求め、ケチなゴブリンは寄付金額が少ないらしい。

狙ったわけではないのだが、たまたま筆者の博物館にはドワーフ系の展示品が多く、興奮したドワーフが喜んで寄付金を入れてくれている。寄付金ランキングの上位をドワーフの客が埋めつくしており、ファンタジー博物館というよりドワーフ博物館と名乗ったほうがよい状況である。せっかくなのでドワーフのために食堂を増設し、ドワーフを喜ばせてさらなる利益拡大を狙いつつ、遠征を進めていくことにした。


強すぎるドラゴン

そんなファンタジー世界の展示品には、サブカテゴリとして「神話の装備」というものが存在している。このカテゴリの展示品には独自仕様があり、なんとスタッフに装備させることが可能。たとえばソラトブーツという羽の生えた靴を装備させると、スタッフの移動速度が速くなる。またファンタジー専門家に装備させると、対応する能力も上昇する。こうした魔法効果をもつ展示品が本DLCには複数存在しており、未知のアイテムを探す楽しみが本編よりさらに増している。

そうして博物館経営のかたわら、焦げつ国の遠征を進めるうちに、ついにドラゴン討伐ミッションが解禁された。しかしドラゴン討伐の難易度は段違い。これまでの遠征先では必要能力値が10そこそこだったところから、一気に複数の能力値が30も求められるという有様だ。文化財の発掘作業よりドラゴン討伐任務が危険なのはわかるが、筆者の現パーティーでは太刀打ちできないのは明らか。やはり博物館職員にドラゴン討伐は荷が重いのか。

しかしなんでもドラゴン討伐に役立つポーションがあり、作成することでクエスト達成が容易になるのだという。そこで筆者はポーションをクラフトしつつ、パーティーメンバーのレベルを上げ、さらに装備品を集めることでドラゴン討伐の準備をすることに。博物館経営ゲームについての記事だとは自分でも信じがたくなってきたが、本当にそうなのだからしかたがない。

レベリングの末、ついに規定能力を達成した筆者のパーティーは、満を持してドラゴン討伐の遠征におもむく。しかしドラゴンを倒すことはできず、なんと怒り狂ったドラゴンを逃がしてしまったという。ドラゴンの棲み処の東西には道が存在しているが、どちらか一方しか守ることしかできないそうだ。選択によっては村が滅ぼされる恐れもあるようだ。

というわけで、どちらを守るべきか選択肢が表示された。確かにRPGでこういう選択肢はよくあるが、本作でこんな重大そうな選択をするのは心の準備ができていない。悩みつつ東を守った筆者だったが、西の村は滅ぼされてしまった。唐突なシリアス展開に驚きつつ、逃げたドラゴンを追うためにさらなる遠征を計画することに。どうやらドラゴンとの決着は、一筋縄ではいかないようだ。

以上が筆者の先行プレイ感想である。本DLCの追加要素の数々は既存のシステムに乗っかったかたちではあるのだが、うまくRPG風にアレンジされており、博物館経営シムという枠組みからは飛び越えたところにある。しかしいずれも本作の“ヘンテコ”な世界観とはしっかり馴染んでおり、筆者はなんだか元からそういうファンタジーゲームだった気すらしてきている。もちろん真面目にファンタジー博物館を作る楽しみもあるが、RPG要素をしっかり楽しめるのが本DLCの特色だろう。博物館職員を率いてドラゴン退治に挑んでみたい方は、本DLCをチェックしてみてはいかがだろうか。


『ツーポイントミュージアム』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。 DLC「剣と魔法の宝探し」も各プラットフォーム向けにまもなく配信予定。またNintendo Switch 2向けには2025年内に発売予定だ。

Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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