期待されたポータルFPS『Splitgate 2』Steam同接急落。“FPSを再び偉大に”と野心掲げてローンチも、プレイヤー数維持できず

1047 Gamesは先月6月7日、『Splitgate 2』をリリースした。本作は人気の前作の期待を背負ったものの、伸び悩みを見せているようだ。

デベロッパーの1047 Gamesは先月6月7日、『Splitgate 2』をリリースした。5月から実施されていたオープンベータテストを終え、前作を超えるという期待を背負い念願のリリースを迎えたが、Steamでは1か月足らずとなる現在、ピーク時の5分の1ほどの同時接続プレイヤー数にまで減少している。海外メディアDexertoなどが報じている。

本作は、対戦FPS『Splitgate』の続編だ。本作の特徴は、プレイヤーがステージの各所に、入口と出口がつながったポータルを開けることが可能な点だ。敵の背後をとったり、緊急離脱時の退路として使ったりと、さまざまな方法で用いることができる。

また本作ではプレイヤーキャラに、固有アビリティの異なるファクション(クラス)制を導入。戦場を疾風のごとく駆け抜ける「エアロス」、時間を操る「メリディアン」、圧倒的なパワーで銃をぶっ放しながら走り回る「サブラスク」の3種類が用意されている。

前作『Splitgate』はSteamにおけるピーク時には約6万7000人にものぼる同時接続プレイヤー数を獲得していた人気作品(SteamDB)。一方で、今後の開発を見据えてUnreal Engine 5などの新たな基盤で開発をスタートすることを目的に、2022年9月に同作の開発を終了。そして昨年7月に『Splitgate 2』が発表され、順次ベータテストがおこなわれてきた。

そうして5月に実施されたオープンベータテストでは、開始からわずか数時間でサーバーの不調に見舞われるトラブルも発生していたものの、数日間かけて復旧。同ベータテストには終了時期を設けず、リリースまでずっと継続して実施されることとなった(関連記事)。

そして、日本時間6月7日に開催された大型ゲームイベント「Summer Game Fest 2025」にて、1047 GamesのCEOであるIan Proulx氏が登壇。本作のリリースが宣言された。なお、この際同氏はトランプ米大統領のキャッチフレーズをもじった「Make FPS Great Again(FPSを再び偉大にする)」と書かれたキャップを着用。そして『Call of Duty』シリーズへの挑発とも取れる発言をおこない、物議を醸していた。その後同氏はXにて、同シリーズの批判を主目的とした発言ではなく、あくまでマルチプレイFPSシーンを勢い付けたいという意図の発言であったと説明している(関連記事)。

いずれにせよリリース直後の数日間は盛況を博し、Steamでおよそ2万5000人の同時接続プレイヤー数を維持(SteamDB)。しかしその後徐々にプレイヤー数は減少。約1か月が経過した現在では、5000人を下回る水準にまで低下している。ピーク時を見ても、人気を誇った前作『Splitgate』の記録にはまだまだ及んでいない状況。開発元の1047 Gamesについては、6月23日に主要スタッフのレイオフを実施したことが報じられており(IGN)、本作の不振が影響している可能性も考えられる。

本作では先述のとおり、前作からポータルを駆使するシステムを継承。ユーザーレビューでも持ち味として評価する声が多い。一方で新たに追加されたゲームルールを中心にポータルが戦略性に上手くかみ合わず、大味なバランスは課題となっている。

また本作ではリリース直後にユーザーから一部の装飾アイテムの価格が140ドル(約2万円)を超える価格が設定されていることへの批判も生じ、いわゆる“レビュー爆撃”状態となっていた。こちらはすぐさま公式XアカウントにてProulx氏が声明を発表。価格の引き下げや返金対応などがおこなわれた。価格体系を巡ってはさまざま議論を呼びながらも、ユーザーのフィードバックを受け止め、迅速に措置を講じたわけだ。ただ当初の不評レビューも残されており、本稿執筆時点のSteamユーザーレビューでは約1万7000件中61%が好評とする「賛否両論」ステータスとなっている。

なおそうした中で、7月2日にはCEOのProulx氏とコミュニティマネージャーのBen Rodrian氏が開発状況について話すトーク番組「Splitgate Weekly」の第1回が公式YouTubeチャンネルにて配信された。バトルロイヤルモードの最適化やシステム変更、また追加のポータルウォールを試験的にマップに配置するなど、ユーザーから要望の多い点についててこ入れをおこなっていく方針が語られている。「Weekly」と銘打たれており、今後も毎週にわたって同様の番組で調整方針が案内されていくのかもしれない。

「Summer Game Fest 2025」におけるCEOの物議を醸す発言や装飾アイテムの価格設定など一連の問題が、プレイヤー数の推移にどれほど影響したかは不明だ。そもそも業界において、基本プレイ無料の対戦ゲーム自体の競争率が高い状況はある。ポータルを用いるというメカニズムを特徴として押し出し、前作に引き続き一定の評価を受けているものの、ひとつの特徴だけで人気を維持するあるいは高めることは難しいのだろう。プレイヤー数では苦しい状況もみられる一方、1047 GamesではXやYouTubeでの発信など、コミュニティへの積極的な情報共有を重視している様子。そうしたユーザーとの距離を縮める施策により、今後前作を超える盛り上がりを掴むことができるのか注目したい。

Splitgate 2』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中だ。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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