『バイオハザード レクイエム』、開発初期は“オープンワールドやマルチプレイ化”も検討されていた。開発者が裏話いろいろ明かす
カプコンは6月27日、「クリエイターメッセージ」を公開。『バイオハザード レクイエム』についての開発裏話が明かされている。

カプコンは6月27日、『バイオハザード レクイエム』について「クリエイターメッセージ」として動画を公開。動画はYouTube上に一般公開されているほか、Webサイト「バイオハザード ポータル」にて未公開部分が順次公開されている。その中では、本作が当初オープンワールドやオンラインを想定して制作されていたことも明かされている。
本作は、サバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズの最新作。舞台となる合衆国中西部の都市「ラクーンシティ」は政府による“滅菌作戦”で爆破され、無残な姿となっている。主人公は、FBI職員のグレース・アッシュクロフト。原因不明の病気による犠牲者について調査を進めるなかで、母であるアリッサが8年前に死亡したレンウッドホテルを訪れ、過去と向きあうことになるようだ(関連記事)。
カプコンは本作について、6月27日にクリエイターメッセージを公開。本作開発陣により、開発のコンセプトや主人公グレースのキャラ造形についての裏話が公開されている。なおこの中では、以前PlayStation.Blogなどで報じられた(関連記事)、一人称視点と三人称視点を自由に切り替えられるオプションの存在にも改めて言及。レオンを主人公として検討したものの「バッチバチのホラー」にそぐわず、別の主人公を立てることになったといった背景が明かされた。
動画はYouTube上に一般公開されているが、動画の尺に収まりきらなかった開発陣へのインタビュー映像については、CAPCOM ID会員向けWebサイト「バイオハザード ポータル」にて公開されている。

公開された未収録映像を届ける「Creators’ Message #1」内では、さらなる裏話が語られている。本作プロデューサーを務める川田将央氏は、本作開発初期に、さまざまな要素を詰め込むことについて検討していたという。また本作ディレクターである中西晃史氏は、オンラインゲームとしての『バイオハザード』やオープンワールドを採用した『バイオハザード』がしばしばコミュニティの一部で噂されることに触れ、開発チーム内でも実際にそうした要素を取り入れたプロトタイプを制作していたと明かした。動画内では、そうしたプロトタイプのプレイテストと見られる映像が公開。複数プレイヤーがゾンビを撃っている様子などが確認できる。
しかし、本作ディレクターの中西晃史氏によれば、オープンワールド要素やオンライン要素は、『バイオハザード』シリーズのファンが「見たいもの」「やりたい体験」とは違うのではないかと考え、オフラインかつソロプレイの『バイオハザード レクイエム』が生み出されたようだ。

『バイオハザード レクイエム』では、引き続きカプコン内製のゲームエンジン「RE ENGINE」が採用されている。RE ENGINEの利用については、『バイオハザード RE:4』や『祇(くにつがみ)』のプロデューサーを務めた平林良章氏が、同エンジンで手がけられた各タイトルでの知見やノウハウを横断的に活かせる点をメリットに挙げていた(弊誌インタビュー記事)。カプコン作品では、『ドラゴンズドグマ 2』や『モンスターハンターワイルズ』などといったタイトルがオープンワールド作品やマルチプレイ対応作品として存在。いずれもRE ENGINE製であり、これらのタイトルの開発ノウハウや技術蓄積も、“新機軸の『バイオハザード』”のプロトタイプ試作や本作の開発に活かされたかもしれない。
また開発中タイトルを横断したノウハウの共有という点では、グレースの「癖毛」も挙げられている。グレースの髪の毛は開発当初、いまひとつクオリティが伸びなかったという。そこで『プラグマタ』のチームがノウハウを蓄積させていたストランドという機能を利用し、髪の毛の柔らかさや、光が透過する演出など、高品質な表現を実現できたとのこと。

今回の動画にて、『バイオハザード レクイエム』開発初期にはこれまでの『バイオハザード』シリーズとは一風変わった、新たなスタイルも模索されていたことが明かされた。ゲームエンジンRE ENGINEの習熟もあり、複数タイトルで培った経験などが横断的に活かされているのだろう。オープンワールド、マルチプレイといった要素は、今回は実装が見送られたものの、他タイトルでの技術蓄積が何らかの形で『バイオハザード レクイエム』にも反映されていることだろう。続報にも注目したいところだ。
『バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月27日に発売予定。