延期続きの『ARK 2』開発者、「ちょっとずつしか開発できていない」と認める。“PvPソウルライク”の実現に大苦戦中
Studio Wildcardは『ARK 2』について、2024年末の配信を予定していたが、現在でも発売されていない。Studio Wildcardの共同設立者Jeremy Stieglitz氏はこのことについて、PCGamesN誌のインタビューにて回答している。

Studio Wildcardは『ARK 2』について、2024年末の配信を予定していた。しかし2025年に入り、現在になってもリリースはされず、発売予定日も明かされていない。このことについて、Studio Wildcardの共同設立者であるJeremy Stieglitz氏がPCGamesN誌のインタビューに応えている。
『ARK 2』は、2017年に正式リリースされたオープンワールドゲーム『ARK: Survival Evolved』(以下、ARK)の続編だ。PC(Steam/Microsoft Store)およびXbox Series X|S向けにリリース予定とされている。
『ARK』は、恐竜などの古代生物やモンスターが生息する謎の島を舞台に、サバイバル生活を送るサバイバルアクションゲーム。多彩なクラフト・建築要素に加えて、古代生物やモンスターを「テイム」して仲間にしつつ、育成して共闘できる点が特徴だ。また同作をUnreal Engine 5(以下、UE5)で再構築した『ARK: Survival Ascended』が、2023年10月より早期アクセス配信中。
一方新作『ARK 2』では、前作からの大きな路線変更が予定されているようだ。「ソウルライク」なアクションが多く採用され、原始的な武器が登場するほか、“非常にシリアス”な作風などが採用されているとのこと。
『ARK 2』は2020年12月に「Announcement Teaser」でお披露目され、2022年の発売が予告されていた。しかし複数回の延期が告知され、直近では2024年末への配信延期が伝えられていた(関連記事)。当時Studio Wildcard は、UE5で制作される本作について、UE5の機能を最大限に活用するため、エンジンについてより深く学ぶ必要があるとしていた。そのためワークフローの変更や開発パイプラインの調整がおこなわれたことを、延期理由として挙げていた。その後音沙汰がなく、本稿執筆時点でも発売日などのアナウンスがされていないかたちだ。
Studio Wildcardの共同設立者であるJeremy Stieglitz氏はPCGamesN誌に対し、『ARK 2』について、『ARK: Survival Ascended』の発売前、つまり2023年10月までには、出来の良いバーティカルスライス(部分的に絞って完成度を高めた試作)ができていたと明かした。一方で、Studio Wildcardの経営判断としても、開発チームの見解としても、そのバーティカルスライスを完全なゲームにまで落とし込むのは非常に困難であると考えていたようだ。

Stieglitz氏が伝えるところでは、『ARK 2』のためにUE5の習得や、新たなアイデアを試していたところで『ARK: Survival Ascended』が生まれたという。同作もUE5で制作されており、『ARK 2』に取りかかる前に、UE5版『ARK』を手がけることで、スタッフ全体をUE5に慣れさせる意図もあったのだろう。
いずれにせよ『ARK: Survival Ascended』のリリース、そして同作への継続的なサポートを提供するにあたって『ARK 2』のバーティカルスライス開発は一時中断。Stieglitz氏は、それ以来本作の開発には「ちびちびとしか取り組めていない(only nibbling)」としている。現在はチームのごく一部メンバーが『ARK 2』の戦闘メカニクスの改良を続けている最中だという。“マルチプレイPvPソウルライク”な戦闘の実現は非常に難しく、模索が続けられているそうだ。
またStieglitz氏の見解によれば、仮にチーム全体が本気で取り組んでも『ARK 2』のバーティカルスライスを早期アクセス配信可能な状態にするまでは、約18か月かかるとのこと。同氏としては「できれば2年以内にリリースしたい」そうだが、現在早期アクセスとして配信されている『ARK: Survival Ascended』から『ARK 2』へのリソースの移動についての時期は模索中とのこと。

なお『ARK 2』の開発にあたっては、リリース時期の遅れを理由に機能を省くといったことはしないという。そのため、これまで発表されたソウルライクなアクションのほか、外見や機能を自由に選択できるアイテムクラフトシステムなどといった、各種新要素は盛り込む予定だそうだ。
当初の計画よりも大幅な遅れを見せ、続報もなくなっていた『ARK 2』ながら、小規模チームでの検討が続けられていたようだ。Stieglitz氏としては2年以内の早期アクセス配信が目標とのことで、今後本格的に開発が再開される可能性もあるかもしれない。さらなる情報公開や発表などについても期待されるところだ。
『ARK 2』はPC(Steam/Microsoft Store)およびXbox Series X|S向けに開発中だ。