オープンワールド大型MMO『逆水寒』、物量ゆえに“かなりなんでもできる”。膨大会話イベント、AI・NPCの楽しいチャット、家作りに生活、PvPにPvEに、殺人事件の推理までする
本作は1000人を超える開発チームが4年以上かけて開発したといい、1億人以上のアクティブユーザー数を記録するなど、中国語圏を中心に絶大な人気を誇っているタイトル。

NetEase Gamesは『逆水寒(Sword Of Justice)』の日本向けサービスを今年中に開始予定だ。対応プラットフォームはPC/iOS/Androidで、現在事前登録を受付中。
『逆水寒(Sword Of Justice)』(以下、逆水寒)はオープンワールドMMORPGだ。舞台となるのは北宋時代末期の中国。武侠小説の人気作家・温瑞安の作品群を原作としており、プレイヤーは壮大な歴史上の中国を冒険することになる。本作は1000人を超える開発チームが4年以上かけて開発したといい、1億人以上のアクティブユーザー数を記録するなど、中国語圏を中心に絶大な人気を誇っているタイトルである。
そんな『逆水寒』はついに日本でのサービス展開を発表。今年中の配信開始が予定されている。弊誌は今回、本作の日本語バージョンを試遊する機会を得た。本稿では試遊の感想について伝えていくが、まず簡単に印象をまとめておくと、本作は世界の臨場感とコンテンツ量が物凄い。戦闘系はもちろん、平和なアクティビティも豊富に用意されており、歴史上の中国での自由な生活を楽しめる作品である。以下の記事では実際にどのような生活ができるのか、筆者の体験をお伝えしていこう。

ゲームを始める前に、まずはキャラメイク。いわゆるクラスを選んだのち、キャラの外見を作っていく。プリセットは美男美女揃いで、設定もかなり細かくいじれる印象である。しっかりキャラメイクしたい気持ちもあったが、早く本編を遊びたかった筆者はひとまずプリセットを少しだけいじって、早々にゲームを始めることにした。
キャラ作成が終わると、チュートリアルを兼ねてメインストーリーをしばらくプレイすることになる。本作の主人公はいわゆる無個性系ではなく、しっかり性格付けされているタイプだ。小さいころ何者かに村が襲われ、とある武術家に保護された孤児という設定である。それから主人公は三清山という山の奥深くで暮らし、外界から隔絶された修行生活を送る。しかしある日師匠の命令で、街に手紙を届けに行くことに。そうして主人公が山を下りたところから、物語が始まっていく。
AIとチャットできるリアル都市
序盤のストーリーを終えると汴京(べんけい)の街に到着し、自由に行動できるように。開封の名でも知られるこの街は、史実における北宋の都だ。ゲーム中の街並みは実在する古典画「清明上河図」など史料を参考に再現されているそうで、歴史上の中国らしさを存分に味わえるつくり。NPCもたくさん存在していて、歌いながら物を売り歩く商人がいたり、大道芸人がいたりと、活気があってにぎやかだ。

メインクエストはまだまだ続いているが、せっかくなので街中を散策してみることに。すると、ちょっとした会話イベントがいろいろと発生する。露店商に粗悪品を売りつけられそうになったり、子どものケンカを仲裁したりと内容はさまざまだが、いずれも生活感があり、没入感が高まる内容だ。選択肢に成功すればアイテムや経験値が手に入るのもうれしい。
さらに本作には会話AI搭載のNPCも存在。AI搭載のキャラは、なんとチャットで自由にコミュニケーションが可能だ。残念ながら今回の試遊体験ではAIキャラのセリフは中国語で、一回の会話に制限時間も存在。中国語が分からない筆者にはいささか厳しい状況だったが、それでも面白そうだったので会話してみることに。
AI相手ということで筆者はあまり真面目に会話内容を考えず、適当に日本語や英語で「モデリング可愛いですね」などと一方的につぶやいてみた。そして会話が終わった後に外部の自動翻訳サービスを使って、内容を確認。すると向こうは「ひょっとして外国語しゃべってる?褒めてくれてるみたいで嬉しい」などとリアクションしていた。こちらの発言内容をしっかり認識し、適切に応対してくれていたようだ。

説明によると本作の会話AIの知識は、北宋時代の中国人として不自然でないように設定されているのだという。あえて中国語を話す仕様なのか、今回の試遊バージョンではまだ多言語に対応していなかったが、正式版では日本語実装予定とのこと。また会話後には好感度が上がったという表示も出たため、繰り返し会話して親密になることもできるようだ。関係を深めると会話内容にも変化が生じるのか、気になるところではある。
冒険に出かけるが、返り討ち
汴京の街は広く、ちょっと歩くとイベントが発生するため、なかなか見回りきれない。バトルを体験したくなってきた筆者はいったん街から離れて、別のマップにファストトラベルしてみることにした。少し北にあるエリア「雁門関(がんもんかん)」に移動すると、ここは設定次第でPvPが可能なエリアのようで、対戦モードをオンにするかどうか尋ねられた。対人戦をする心の準備はできていなかったので、とりあえずオフにして突入することに。
雁門関には盗賊を始めとする敵キャラが存在しており、PvPオフでも戦闘や探検をすることが可能。ひとまず筆者は適当にさまよって敵と戦ってみた。すると馬泥棒という弱めの敵はなんとか倒すことができたが、遼軍の弓兵なる敵の群れにあっけなくやられてしまった。どうやら今の主人公の強さでは、まだ雁門関を冒険するのは厳しいようだ。リスポーンした筆者はひとまずバトルを止めて、別のアクティビティを試してみることにする。
推理アドベンチャーしたりハウジングしたり
本作にはさまざまなアクティビティが用意されており、いずれを実行しても経験値が手に入る。あえて戦闘せずともいろんな活動を楽しんでいれば、レベルが上がってバトルも強くなれるというわけだ。色々なアクティビティを前に悩む筆者だったが、ひとまず気になった「捕り手」という仕事に応募してみる。するとさっそくサイドクエストが始まり、官憲の助手として事件の調査を手伝うことになった。なんでも、とある田舎の老人が金の詰まった壺を掘り起こしたが、その後どこかで金が消えてしまったのだという。

クエストは推理モノの雰囲気で進み、ほかのクエストでは見かけない専用の推理システムも登場。気合いの入った作りのサイドクエストで驚かされた。事件の詳細は伏せるが、とある関係者が殺害されるなど二転三転があり、何度か推理をおこなって、無事に事件を解決することができた。捕り手の仕事は巡回など比較的シンプルな活動をおこないつつ、こうしたサイドクエストをこなす構成となっており、まだまだたくさんの事件が用意されているようだった。
捕り手の仕事の続きも気になるが、ゲームを始めたばかりで官憲に永久就職するわけにもいかない。次は「荘園」というコンテンツを試してみることにした。荘園は独立したエリアに存在する、主人公の専用の土地だ。農業や牧畜をおこなってアイテムを集め、加工して商人と取引したりすることが可能。そうして集めた資材を使うことで、自由にハウジングをおこなうこともできる。

荘園は完全に独立した平和なエリアとなっており、牧歌的なゲームプレイを楽しめる。ハウジング用のアイテムも本作の中華風の世界観にとらわれない、ファンシーなものが多数存在。説明によると、自宅にジェットコースターを作ることすらできるという。まだゲームを始めたばかりの筆者にはフレンドがいないが、作った荘園にはフレンドを招いて、一緒に時間を過ごすこともできるようだった。小園内は非常に穏やかな時間が流れており、まさにここだけの別天地といった趣きである。
そうして農業や釣りをしたり、街中で琴を演奏しておひねりをもらったりと、色々な活動にチャレンジしているうちに、気が付いたら結構なレベルまで上がっていた。戦わないままある程度強くなれたようなので、ふたたび野外の冒険に出かけてみることにする。
いきなりレイドバトル、そして勝利
レベルは噓をつかず、主人公はしっかり強くなっていた。敵を倒しつつ、今度はしっかりと冒険してみることに。野外では見つけたダンジョンを探索したり、お宝を発掘したり、賞金首と戦ったりと、街中とはまた異なる冒険が楽しめる。もちろんイベントも用意されており、「水滸伝」の登場人物と遭遇するなど、興味深いサイドクエストにも出くわした。また野外はエリアごとに雪が積もっていたり、あるいは花が咲き乱れていたりと、景観が自然豊か。移動アクションも軽快で、スクショを撮ってまわるだけでも楽しい。


そうしてうろついていると、何やらひときわ存在感のある敵が目に入る。遠方から名前が表示されておりいかにも強そうだが、とりあえず攻撃してみることに。反撃でHPが半分ほど削られて面食らうが、なんとAIプレイヤーがわらわらと援軍に現れ、あっという間に集団戦に。どうやらいわゆるレイドボス的な存在だったようで、ソロプレイでもAIプレイヤーが助けてくれるようだ。試遊環境ゆえにこれまでほかのプレイヤーに会う機会があまりなかった。AIとはいえ、ほかのプレイヤーを交えた賑やかなバトルはやはり楽しい。わちゃわちゃと戦っているうちに討伐に成功し、報酬をもらうことができたのだった。
こうしたレイドボスのほかにも、MMO的なバトルコンテンツはいろいろと用意されている。今回のプレイは先行体験ということでワールドに生身のプレイヤーがそもそも少なく、MMO要素を十分に堪能するのは難しかったが、それでもいくつかのモードは体験できた。パーティーを組んでローグライト風のダンジョンに挑むPvEコンテンツのほか、対人コンテンツも複数存在。3対3で戦うモードや、さらに規模の大きい多人数バトルなどが用意されていた。本作はコンテンツが非常に多彩で、筆者も全貌はつかめなかったが、「そう簡単にやることがなくなることはなさそう」という印象を強く受けた。

作りこまれた世界観と多彩なゲームプレイ
以上が今回の試遊プレイの感想だ。あらためて筆者の感想をまとめると、本作はなにより世界の生活感がとても作りこまれている。世界観を掘り下げるイベントの数々や、史実を踏まえたキャラの会話内容などにより、「なんとなく中華っぽいファンタジー」ではなく、「北宋末期の武侠小説ワールド」がしっかりと作り上げられているのだ。もともと水滸伝や武侠小説が好きな筆者としては、テンションが上がる要素ばかりだった。
また本作はコンテンツ量がとにかく膨大だ。少し歩けばサイドクエストが続々と発生し、なかなかメインクエストに戻れないプレイ感覚は、まさしく大作オープンワールドゲームのものである。戦闘コンテンツも平和なアクティビティも豊富に用意されるなど、遊びのバリエーションも広い。バトル好きもそうでない人も、MMOファンもソロプレイ派も、十二分に楽しめる作品だろう。アクティブユーザー1億人以上は伊達ではなく、ひたすらに懐が広いゲームだと感じている。
『逆水寒(Sword Of Justice)』はPC/iOS/Android向けに、2025年中に日本向けサービスを開始予定だ。現在事前登録が受付中。