『エルデンリング ナイトレイン』の“毒沼ポジション”が意外と歓迎ムード。毒沼にはない優しさ
『エルデンリング ナイトレイン(ELDEN RING NIGHTREIGN)』の“毒沼ポジション”と言える要素を、意外にも歓迎する声が多く見られる。

フロム・ソフトウェアは5月30日、『エルデンリング ナイトレイン(ELDEN RING NIGHTREIGN)』を発売した。本作に登場する“毒沼ポジション”とも言える要素に対して、好印象を抱くプレイヤーが意外と多いようだ。なお、本稿ではゲーム中盤で開放される一部の「地変」に関する情報が含まれるため、閲覧の際は留意されたい。
本作は、『エルデンリング』をベースとするサバイバルアクションゲームだ。シングルプレイまたは3人プレイに対応している。プレイヤーは夜の脅威にさらされるリムベルドにて、「夜渡り」として3日間を生き延びなければならない。リムベルドでは挑戦するたびに拠点や敵の場所、入手できるアイテムなどが毎回変化する。過酷な2日間を乗り切り、最終日に待つ「夜の王」との戦いに挑む。

出撃するごとに新鮮なマッチを楽しめるという特徴を有した本作だが、さらにリプレイ性を加える要素として「地変」が存在する。地変の発生により、リムベルドはその地形までをも変え、探索にユニークな体験をもたらしてくれるのだ。たとえば、最初の夜の王である「三つ首の獣」を倒すことによって開放される「火口」という地変では、マップ上部の地形が大きく抉れ、地下深くへと続くダンジョンを備えた溶岩地帯が出現する。
そんな地変の中でも、「腐れ森」が一部ユーザーから謎の人気を獲得しているようだ。「腐れ森」は5体の夜の王を撃破することにより開放される、進行度的にはゲーム中盤に訪れることになる地変だ。腐れ森の発生中、マップ右下のエリアが「朱い腐敗」を常時蓄積させる危険な森へと化す。朱い腐敗は、プレイヤーに一定時間継続ダメージを与える強力な状態異常だ。

ところで、本作には立ち入るだけで「毒」や「猛毒」におかされる危険なエリア、通称「毒沼」は存在しない。毒沼は『ダークソウル』シリーズや『エルデンリング』などのフロム・ソフトウェア作品ではおなじみのエリア。ディレクターの宮崎英高氏の熱い“毒沼愛”によってこれまで積極的に導入され、コミュニティではネットミーム的に愛されつつも、その厄介さから苦々しい記憶を残すユーザー反応も散見された要素だ(関連記事)。一方で、『エルデンリング ナイトレイン』には毒沼が実装されないことが発売前から告げられていた。というのも、本作のディレクターは石崎淳也氏が務めており、宮崎氏は直接的に開発に関わっていないとみられる。フロム・ソフトウェアにて宣伝・制作を担当する北尾泰大氏いわく、そんな本作では“毒沼に入れたがる人”がいなかったそうだ(関連記事)。
とはいえ、そうした中では「腐れ森」についてもお披露目。赤みを帯びた見た目からさっそく『エルデンリング』における朱い腐敗に満ちていることが予想され、「毒沼よりもっと厄介なエリアではないのか」とファンが戦々恐々としている状況がみられた。朱い腐敗によるスリップダメージは、毒よりもさらに強力。そんな朱い腐敗に満ちた森は、聞くだけですでにおぞましい雰囲気が漂っている。しかしSNS上を見る限り、発売後には意外にも一定数のユーザーが腐れ森に好印象を抱いている様子。「毒沼」とは違い、むしろ歓迎されているムードまであると言える。
この理由としては、まず攻略の容易さがありそうだ。そもそも腐れ森の攻略条件は、森のどこかに眠る「腐れ森の加護」を入手すること。場所はマッチごとにランダムとなっているものの、森の最奥部に位置する小砦内の地図を調べることで在りかが判明する。そして指定された場所に辿りつき無事に加護を入手すれば、「腐れ森の恩寵」という特殊効果を得ることができる。

この特殊効果がなかなかに強力で、まず朱い腐敗を無効化した上で、HPの最大値を上昇させ、さらには受けたダメージを一定時間攻撃により回収できるようにするというもの。腐れ森のデメリットを完全にシャットアウトするだけでなく、その後の戦闘でも役立つおまけまでついてくるのだ。また、運がよければ小砦に行くことなく、道中で偶然加護を見つけることができる場合もある。ほかの地変と比べると複雑なルートやギミックが存在せず、かなり簡単というわけだ。

さらに、腐の森攻略により得られるリターンはこれだけではない。腐れ森には6体ほどの「恐るべき強敵」が出現するのだ。大量のルーンと貴重な報酬を得ることができる「恐るべき強敵」は本来、広大なマップ上に数体まばらに沸くもの。キャラクターが成長したあとの2日目には積極的に戦いたいところだが、移動にはかなり時間を食ってしまうというのが難点だ。一方、腐れ森であればボスが密集しているため、サクサクと連戦することができる。なお、ほかの地変においても専用の恐るべき強敵が沸くが、地形に高低差があり移動が大変かつボスの数も少ない。腐れ森はレベルや装備が整った状態であれば、時間の許す限り強敵を次々となぎ倒していくことができ、まさしく絶好の狩場となるだろう。

上手く攻略することで、キャラクターをより効率よく成長させるチャンスを秘めた「地変」。そんな地変の中でも腐れ森は、その難易度と報酬のバランスにより、一部ユーザーからは嬉しいイベントとして捉えられているようだ。発売前とは裏腹の反応であり、意外な逆転現象といえるだろう。
なお先日公式により、夜の王の強化版が今月から随時配信される予定であることが発表された(関連記事)。パワーアップした夜の王に挑む際には、より効率的な準備も重要となりそうだ。腐れ森も活用しつつ、キャラの強化を狙ってみるのもいいだろう。ただし強化版の夜の王と戦う際に、フィールド探索や地変の難易度についても調整される可能性はゼロではない。あるいは今後、“毒沼級の腐れ森”がお目見えすることもあるかもしれない。
『エルデンリング ナイトレイン(ELDEN RING NIGHTREIGN)』はPC(Steam)およびPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中だ。