ゲームスタジオPeople Can Fly、スクエニがパブリッシングする新作の開発中止を表明。「やめるか続けるか状態」がずっと続いていたとして
People Can Flyは6月1日、スクウェア・エニックスとのパブリッシング契約のもとで開発されていた「Gemini」などふたつのプロジェクトを中止すると発表した。

デベロッパーのPeople Can Flyは6月1日、同スタジオで開発されていた「Gemini」および「Bifrost」のふたつのプロジェクトを中止すると発表した。このうち「Gemini」は、スクウェア・エニックスとのパブリッシング契約で進められていたプロジェクトであった。
People Can Flyはポーランドに拠点を置くゲーム会社だ。2012年にEpic Gamesに買収され、同社と共に『Gears of War: Judgment』などを開発。またPeople Can Flyにより単独開発された『Outriders』は2021年にスクウェア・エニックスのパブリッシングで発売された。現在『Gears of War: E-Day』をThe Coalitionと共同開発中のほか、投資家向けの発表によると複数のプロジェクトが進行中だ。
そんなPeople Can Flyは今回、「Gemini」および「Bifrost」のふたつのプロジェクトを中止すると明かした。両プロジェクトについては投資家向けに発表されており、「Gemini」についてはスクウェア・エニックスのパブリッシングで、2026年の発売を目指して開発されていたというタイトルだ。
今回の発表でPeople Can Flyは「Gemini」が中止された背景についてパブリッシャー、つまりスクウェア・エニックスが今後のマイルストーンに関する条件を定めた、契約における追加条項の草案(a draft of the subsequent content rider)を提出していないと主張。またプロジェクトの継続・終了に関する意思表示が一切なかったためであると伝えた。つまりPeople Can Fly側としては、パブリッシング契約を結んだスクウェア・エニックスからプロジェクトをどのように進めるか、またそもそも続けるかどうかについて返答が得られなかったと説明しているかたちだ。
なお「Gemini」についてPeople Can Flyは、2023年11月に投資家向けの情報開示として、スクウェア・エニックスとの協議が進行中であるとしつつ、同プロジェクトが継続されない可能性が高いことを報告していた。かねてより中止が懸念されていた背景はあったようだ。その後2024年1月には同スタジオにて「Gemini」に携わっていた30名のスタッフがレイオフされたことが報じられていた(Kotaku)。その後も中断状態のままであったとみられ、今回People Can Fly側が中止を宣言したわけだろう。
ちなみに今回あわせて中止された「Bifrost」は、プロジェクト継続に必要な人的・金銭的リソースを確保できる見込みがないと判断されたそうだ。両プロジェクト中止の結果として、People Can Flyでは大幅な組織再編がおこなわれる見込みであり、苦渋の決断としてチームの縮小がおこなわれるという。

『Outriders』に続き、People Can Flyとスクウェア・エニックスの二度目のタッグで進められていたと見られる「Gemini」。なお『Outriders』については2021年のローンチ後、サーバートラブルや不具合などの問題に直面し対応に追われる一幕もあった。その後スクウェア・エニックスからは発売後1か月間で350万人以上のプレイヤーを獲得したことも伝えられた一方、People Can Flyの業績発表では開発費・宣伝費の回収には苦戦していることも伝えられていた(関連記事)。続くプロジェクトとなる「Gemini」は当初は2024年末にリリース予定とされていたものの、先述したとおり2026年に延期。そのままとん挫することとなった。『Outriders』におけるセールス面の伸び悩みも、「Gemini」がスムーズに進まなかった背景としてあるのかもしれない。