Steam街づくり防衛サバイバルゲーム『Darfall』は内政と軍備のバランスでカツカツになる。ヒーローになんとかしてもらいつつ、忙しくも遊びやすい街ストラテジー
『Darfall』は防衛街づくり・リアルタイムストラテジーゲームだ。

Paradox Arcは5月8日、『Darfall』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示に対応している。
『Darfall』は防衛街づくり・リアルタイムストラテジーゲームだ。本作の舞台となるのは、アンデッドと魔族の侵攻を受けて文明が崩壊したファンタジー世界。プレイヤーはヒーローとして人類の生き残りを率い、魔物がはびこる荒野に都市を建築。敵の襲撃を退け、生き残りを目指すことになる。
本作にはキャンペーンモードとサバイバルモードの2つのゲームモードが存在。キャンペーンモードでは主人公の魔導士「エルドリン」の視点で、魔族の侵攻を食い止めるべく物語を追っていく。一方のサバイバルモードは自動生成マップにてより自由にプレイするモードとなっており、ゲームは昼夜を繰り返すかたちで進行。昼間は比較的平和だが、夜になるとアンデッドらが拠点に攻撃を仕掛けてくる。昼のうちに資源を集めて防衛態勢を整え、敵の襲撃に備えるのだ。
本作には5種類のヒーローユニットが存在し、1人だけ最初に選んで投入することができる。そして筆者はこのヒーローこそが本作の最大の特徴だと感じており、忙しくも遊びやすい、本作のゲーム体験を支えていると考えている。本稿ではサバイバルモードの初見プレイ時の感想を通じて、筆者がそう思うに至った経緯をお伝えしていく。

とにかくマナオーブが大事
サバイバルモードには複数のステージが存在。バイオームやクリア目標となる日数がそれぞれ異なっている。目標日数は4日・7日・10日の三段階で、各バイオーム最初のステージでは4日生存すればクリアだ。初見プレイの筆者はひとまず無難そうな草原マップにて、4日生存を目指してチャレンジすることに。
ゲームが始まるとフィールドが広がっており、拠点となる城とヒーローユニットのみが配置されていた。さっそく生産施設を建てながら労働者を雇う筆者だったが、木や石、食料といった街づくりゲームではお馴染みのリソースに並んで、マナオーブなる資源があることに気がつく。本作では労働者にせよ兵士にせよ、人を雇うためにはマナオーブが必要になるのだという。
そしてそのマナオーブのほぼ唯一の入手方法は、フィールド上の敵を倒すことだった。ただし夜間に襲撃してくる敵はマナオーブを落とさない。つまり本作では木や食料を集めているだけでは住民を増やせないため、昼間に探索して積極的に戦闘する必要があるのだ。もっとも労働者には戦闘能力がないため、現時点で戦えるユニットはヒーローのみ。ヒーローに採取をさせることもできるようだったが、マナオーブ集めに専念させるのが効率的に思えたため、マップを探索して敵を倒していくことにする。
マップには動物や魔物がうろついているほか、オークの拠点やアンデッドがたむろする祠なども点在している。危険そうな場所は避け、比較的弱そうな敵を探して倒していると、首尾よくマナオーブを入手することができた。さっそく労働者を追加で雇い入れ、さらに生産施設を建築。そんなことをしていると早くも日が暮れ、初めての夜を迎える。

夜になると周囲は真っ暗になり、アンデッドたちが襲撃してくる。探索中も労働者たちを働かせていたが、まだ防衛設備を建てられるほど資材が溜まっていない。仕方がないのでヒーローを拠点に戻し、単独で防衛にあたらせる。初日の夜ということで敵の強さはそれほどでもないが、四方から続々とやってきて、せっかく建てた施設を攻撃して回っている。対応に追われるヒーローはほぼ常に走り回っている状態である。
なんとか夜が明けるまでしのいだが、せっかく建てた施設がいくつか壊されてしまった。次の襲撃までに防衛態勢を整えたい筆者は、二日目の戦略を思案。まず考えたのは労働者を増やして資源をさらに集め、防衛施設を築いて守りを固めることだった。しかしここまでのプレイでの資材の獲得ペースを見ると、2日目を資源収集に費やしても柵を築くのが精いっぱいで、防衛兵器までは手が回らなさそうだった。柵だけ建てても敵を倒す兵器がなければ、いずれ突破されるのは目に見えている。
兵士をたくさん雇うが、資源が足りなくなる
筆者は防衛施設の建造はあきらめて、資源を兵士の雇用に使うことにした。兵士なら夜の防衛戦に貢献できるのはもちろん、昼間の探索戦闘にも役に立つ。さっそくヒーローと一緒に部隊を組ませ、前日見つけたオークの拠点などを襲撃。ヒーロー用の装備品など物資を奪いつつ、マナオーブを稼いでさらに徴兵していく。
しかし兵士が増えると食料消費も増え、備蓄が底を尽きかけてしまった。あわてた筆者は採掘をしていた労働者を食料生産に転用。なんとか食糧難を免れたが、そんなことをしているせいでマナオーブ以外の資材がなかなか貯まらず、防衛設備の建築に手が付けられない。幸い2日目と3日目の夜の襲撃はあまり規模が大きくなく、増員した兵士たちの力で撃退することができた。

しかし最終日となる4日目の夜になると、これまでとは一味違う強力な襲撃に直面。建物は次々に壊され、労働者たちも攻撃を受ける。もはや守り切れないと感じた筆者だったが、この夜さえ切り抜ければステージクリアとなるので、全体の被害は気にしないことに。敗北条件である城の陥落のみ防ぐために全軍を城に集めて、どうにか守りきることができた。
労働者を増やしたら、マナオーブが足りなくなる
なんとかステージはクリアしたが、街はボロボロ。もし5日目があったら生き残れなかっただろう。前回と同じやり方では次のステージをクリアできそうにないため、戦略を変えることに。今度は兵士の雇用は控えめにし、労働者を積極的に雇っていくことにした。昼間の探索はヒーローに頑張ってもらい、夜用の防衛設備を築いていこうという考えである。しかし結論から言うと、これもあまり上手くいかなかった。兵士の数が少ないため昼間の戦闘がはかどらず、マナオーブの集まりが悪いのだ。
資源だけあっても人員を増やせないと、さらなる増産や防衛力強化につながらない。期待ほど資源も集まらず、結局防御設備はかなり手薄な状態になってしまった。それでもやいくつかの防衛兵器は作ったもののまるで火力が足りず、最終的に街中での乱戦に。ヒーローに頑張ってもらいギリギリでクリアできたが、城は陥落寸前で、前回以上に薄氷の勝利だった。

いちおう解禁された次のステージの目標は、本作の最長設定である10日間の生存である。早速プレイを開始したいところだが、ここまでのプレイで探索と生産のバランスをとるのに失敗している自覚があった筆者は、どうも次の戦略の方針が定まらない。困った筆者は、ここでヒーローユニットの使い方を見直すことにした。
実はいろいろできるヒーロー
これまでの筆者はヒーローをほとんど戦闘にしか使っていなかったが、実は本作のヒーローは多機能だ。資源の収集もできるし、立っているだけで近くの労働者ユニットの効率をアップさせるバフ能力ももっている。今回のプレイではヒーローを戦わせるだけでなく、内政にも積極的に関与させてみることに。するとこれが驚くほど効果的だった。
本作では労働者が一回の伐採で手に入れる木材の数が3なのに対し、ヒーローはなんと10も入手できた。さらに労働者たちは一回採取するごとに持ち場を離れて倉庫に納品に行くが、ヒーローは連続で伐採することが可能。さらに効率がよいわけで、バフ能力もあわせると労働者5人分は働いていそうな貢献ぶりだ。序盤は労働者5、6人でやりくりしていることを考えると、ヒーローを生産に回すだけで生産能力が倍増する計算である。
もっとも生産ばかりさせているとマナオーブが足りなくなってしまうため、人員を増やしたいときは従来どおり探索に行かせることにした。ヒーローを生産と探索のあいだでフレキシブルに動かすようになったことで、これまでよりはるかによいペースで素材が貯まるように。防衛兵器を設置しつつ徴兵も進行することができ、強力な要塞を築くことに成功した。

順調に夜の襲撃を跳ね除けていった要塞だったが、最終日となる10日目の夜には、ボスの悪魔が率いる大軍が攻め寄せてきた。しかし小物の敵は防衛兵器が蹴散らしてくれたため、ヒーローを中心とする主力部隊は強敵に集中して当たり、首尾よく撃破していく。最終的に外部の城壁を守りきることに成功し、街中に敵の侵入を許さない快勝でステージクリアを飾ることができたのだった。要領をつかみ始めた筆者だったが、今回クリアしたのは気候が穏やかな草原バイオーム。ほかにも砂漠や凍土といった過酷な環境のステージが用意されており、まだまだ挑戦の余地は残されているようだった。
困ったらヒーローがなんとかしてくれる
以上が筆者のサバイバルモードの初見プレイ時の感想だ。改めて印象をまとめると、本作はマナオーブを通じて軍事と内政が結びついており、両者のバランスをとるのが難しい。片方だけを発展させてもマナオーブか資材のどちらかが足りなくなり、成長がストップしてしまうのだ。そこで調整役になるのが、たったひとりのヒーローユニットである。ヒーローは生産でも戦闘でも優秀で、自由に動かせるため、バランサーの役割を果たすことが可能。今の拠点に足りないところに派遣することで、スムーズな発展を導くことができる。
そんなヒーローは戦闘でも生産でも強力だが、さすがに同時に両方をおこなうことはできない。つまり本作の戦略の重要なポイントとして、ヒーローにどこで働いてもらうか判断するということがある。ヒーローをあちこち駆けずり回らせることになり、プレイフィールとしては忙しさがあるが、万能なヒーローのおかげでプレイには多少無理がきく。遊びやすさはむしろ高い作品だと感じており、5クラス用意されたヒーローそれぞれ、違ったスタイルで遊ぶのが楽しい作品だった。
ちなみに本稿ではサバイバルモードの感想について伝えたが、冒頭で述べた通り、本作にはキャンペーンモードも存在。キャンペーンは物語主導型のゲームプレイとなっており、各章でヒーローの育成段階がリセットされずレベルを上げていくことができるなど、よりRPGに近いゲームプレイが体験可能。RTSとRPGの融合を謳う本作らしさを味わえるゲームモードとなっている。
『Darfall』はPC(Steam)向けに配信中だ。ゲーム内は日本語表示に対応している。