ゲームのUIを“ゴテゴテ化”するネットミームが再び流行の兆し。画面の情報量をめちゃくちゃ増やしたがる、なぜ
X(旧Twitter)にて、「ゲームUIゴテゴテ化」のネットミームが再び流行りを見せている。

X(旧Twitter)にて、『スーパーマリオ』シリーズのUIをごちゃごちゃにしたイラストが注目を集めており、これを発端としてゲームのUIをとにかく盛りまくるネットミームが流行しているようだ。「ゴテゴテUI」については、以前より何度もユーザーによってUIが“盛られて”きた経緯があり、再び話題となっているかたちだ。
今回話題となっているイラストを投稿したのはmaribou氏。同氏は『オールインアビス イカサマサバキ』のPVアニメーションを担当したり、『原神』の映像作品「Teyvat Olympic | テイワット運動会」に参加したりするなど、さまざまなアニメーション作品に関わっている。なお同氏は、X上ではさまざまなマリオ作品のファンアートを投稿している。
そんな同氏は5月5日、ある画像を投稿。おそらく『スーパーマリオ 3Dランド』のW3-2と思われるステージに、マリオが立っているイラストとなっている。しかしその周りに所狭しと詰め込まれたゴテゴテのUIが異質さを際立たせている。各種『マリオ』作品のUIの“キメラ”となっているようで、『マリオ&ルイージRPG』のHPゲージや『スーパーマリオ オデッセイ』のコインやムーン取得状況のUIが見られる。そのほか誰に向けて打つのかは不明ながら『マリオカート8 デラックス』のトゲゾーこうらを所持していたり、地上にいるにもかかわらず、『スーパーマリオギャラクシー』の酸素の残量を示すAIRゲージが表示されていたりと、不要なUIまでとにかくてんこ盛りとなっている。
この「ゴテゴテUIイラスト」には多くの反応が集まり、すでにいくつかのパロディも登場している。たとえば2Dアクションゲーム『Pizza Tower』のさまざまなUIを1画面に詰め込んだ画像が投稿されている。ひとつで十分なタイマーが何故か3つも用意され、スコアの表示も2つ存在。もはや主人公のペッピーノを視認することすら難しくなっている。
また別のユーザーはアクションホラーFPS『Left 4 Dead 2』のMod「EASY HUD」のスクリーンショットを添付。これは『Left 4 Dead 2』に『マインクラフト』や『DOOM』などのさまざまなUIを追加するものだ。なおゲーム内の情報が新たに確認できるようになるわけではなく、画面の情報量をいたずらに増やすだけのModとなっている。maribou氏のイラストに、「EASY HUD」と同じゴテゴテ具合を見出したのだろう。
こうした「ゴテゴテUI」がなかばインターネットミームのように扱われているのには理由がある。かつて『エルデンリング』が登場した当初、視覚的な情報を文字にあまり頼らないスタイルとなっている本作のUIについて、「“普通のオープンワールド風”にした画像」が海外掲示板Redditに投稿されていた(関連記事)。もともと同投稿は、同作のUI設計に疑義を呈したゲーム開発者に対する、Redditユーザーの皮肉が目的とみられる。しかし「UIゴテゴテ化」はしだいにそうした文脈を離れ、“UI芸”とでもいうべきネットミームとして昇華されつつあった(関連記事)。

maribou氏がそんな「UIゴテゴテ化ミーム」の対象として『スーパーマリオ 3Dランド』を選んだのは、同作が『マリオ』作品のなかでも比較的シンプルなUIとなっているからかもしれない。というのも、同作は3DS向けに2011年にリリースされた3Dアクションゲーム。下画面を活用したアイテムストックシステムや、残機状況の表示が特徴となっており、上画面のUIには各種情報があまり表示されていないからだ。そうした「余白」の多いUIだからこそ、山盛りのUIを詰め込めたのだろう。今回はUIへの不満や、そうした議論への皮肉などといった文脈から離れたネットミームとして、改めて「UIゴテゴテ化」が突如として話題になったかたちだ。
なお任天堂は6月5日にNintendo Switch 2を発売する。『スーパーマリオ』シリーズは2Dアクションや3Dアクションなどといったかたちで任天堂のコンソールに登場し続けてきた。そのため、現時点では同シリーズの新作/リメイクは発表されていないものの、通例通りであればNintendo Switch 2に向けても『スーパーマリオ』シリーズがリリースされる可能性はあるだろう。その新作が、実際に「ゴテゴテUI」となるかどうかは注目されるところかもしれない。