『エルデンリング』のUIが、加工されすぎてネットミーム化。要素てんこもりでスーパーの安売り広告状態に

 

海外掲示板Redditにて、『エルデンリング』のシンプルなUIをゴチャゴチャにした動画が注目を集めている。同掲示板では先日、本作の「ゴテゴテUI化画像」が反響を呼んでおり、その派生と見られる。ユーザーによるこの遊びは、もはやミーム化の兆しも見せているようだ。

『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけた新作アクションRPGだ。本作のUI(ユーザーインターフェイス)はかなりシンプル。UIとは、ユーザーとゲームの間を取り持つ画面表示などのことだ。 本作においては、体力バーや装備武器の表示などがUI要素にあたる。また、戦闘にまつわる表示を自動的に隠す機能もあり、設定によっては画面に常時表示されるのは基本的にコンパスのみとなるほどのシンプルさだ。ユーザー体験(UX)についても一定の配慮がなされており、クエストマーカーを廃して、興味深い建造物やエリア構造で探索を促す動線設計などが特徴的だ。


一方で、本作のあえてやや“不親切”にしている設計は賛否も呼んでいる。クエストリストなどがないミニマルさが没入感を高めるとの声もある一方で、クエストの追跡を助ける要素など、もう少し親切にしてほしいとの意見も見られる状況だ。先日には、とある開発者がSNS上で『エルデンリング』のUIについて否定的意見を述べ、そのアンサーとしてか“ゴテゴテUI化”した『エルデンリング』画像をファンが投稿し、話題を呼んだ(関連記事)。そして、ゴテゴテUIはもはやそうした文脈も離れ、いわば“UI芸”のようなネットミームとして昇華されつつあるようだ。

RedditユーザーのClipState氏は3月9日、「どうしたの褪せ人?バトルパス買わないの?」と題した動画を『エルデンリング』コミュニティに投稿。さらに、自身のYouTubeチャンネルではロングバージョンを公開した。上述のゴテゴテUIよりもさらに要素を増し、効果音までも盛り込んだ、目眩のするようなゲーム体験を提示している。UI要素としては、まずさまざまなスタイルのミニマップがなぜか4種類表示されている。さらにもう一つミニマップがあるようで、これは100エルデバック(Erdbucks)でアンロックできるようだ。実際の本作には存在しない、ゲーム内有償通貨をでっち上げているわけである。


ほかにも、体力バーがなぜか2箇所にあったり、さまざまな作品から抜き出したUI要素が無造作にねじ込まれていたりする状態だ。もはや煩雑なUIに対する皮肉というより、とにかく気が散るUIを作り上げる遊びの様相を呈している。画面左下には『Apex Legends』のバンガロールが配されたり、敵を倒した際には『コール オブ デューティ』シリーズのプロモーション演出が効果音もそのままに挿入されるなど、両作にとってはとんだとばっちりである。

ゲーマーがしばしばゲームプレイ中にうざったいと感じる要素もしっかり盛り込まれているようだ。たとえば、画面をデカデカと埋めるヒント表示には「エルデバックで時間節約しよう、ストアをチェック!」との押し付けがましい売り文句が。さらに「メリナの好感度(50)を500エルデバックで購入しますか?」などの少額課金を促すメッセージまでひっきりなしだ。ゴドリックを撃破したかと思えば「あなたはエルデンリングをクリアしました!続きはDLCで、たったの1万エルデバック!」との旨の表示が出てしまった。こうした一連の要素は、課金へのプレッシャーを押し付けるUIへの皮肉なのだろう。

Image Credit: ClipState


同スレッドは記事執筆現在で2万4000を超えるUpvote(高評価)を集めており、コメント欄は大喜利の様相を呈している。少額課金要素への皮肉が気に入ったユーザーも多いようで、「エルデバックでエルデキーを買ってエルデチェストを開けられるんだよ」と、さらに少額課金システムを揶揄する者もいるようだ。ほかには、「課金要素の選択肢はデフォルトで“はい”にすべきだよ、間違って買うから」など、ユーザーがそれぞれ嫌いなゲーム要素を、闇鍋のように投じている。何か特定のゲームを揶揄しているのではなく、それっぽい要素が詰め合わせられているだろう。

こうして『エルデンリング』がUI大喜利の素体にされた一因には、本作のUIがシンプルかつ少額課金などの要素もないことが挙げられるだろう。硬派でシンプルな本作とは対照的な、商売っ気満載の要素をてんこ盛りにするギャップが褪せ人たちの心を掴んだようだ。今後、また続々とゴテゴテ化された『エルデンリング』映像が出現するかもしれない。





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