『Wii Sports』のボウリング専用「ストライク連発満点ロボット」が今になって制作される。楽をするため多大な労力

『Wii Sports』に登場する「ボウリング」について、ロボットを作って満点スコアを出そうとするユーザーが現れたようだ。ユーザーによって「ボウリング満点ロボット」制作の一部始終を収めた動画が公開されている。Nintendo Lifeが報じている。
『Wii Sports』は2006年に発売されたWii向けスポーツゲーム。Wiiリモコンを用いて、テニス、ベースボール、ゴルフ、ボウリング、ボクシングの5種類のスポーツを楽しめる。モードによっては、最大4人まで参加して対戦することが可能だ。またいずれのスポーツも、CPU戦をこなし、いい結果を残すことで熟練度が上昇し、1000ポイントを超えると「プロ」の称号がつく。
今回「ボウリング満点ロボット」を作成したのはコンテンツクリエイターのEmily The Engineer氏(以下、Emily氏)。同氏はYouTubeやInstagramを中心に、主に3Dプリンターを活用したさまざまな制作物を紹介。YouTubeチャンネルでは、アイアンマンのアーマーや3Dプリンター製の船、トイレなどを手がけている様子がうかがえる。
今回Emily氏は、自身が幼少の頃に遊びこみ、「プロ」の称号まで獲得した『Wii Sports』のボウリングを再び遊ぼうとしたものの、そのデータが収められたMiiは消えてしまっていたという。本作における熟練度を取り戻すためには、より圧倒的な試合内容で試合に勝利する必要がある。しかしパーフェクトゲームを何度も出すのは難しいと考えたEmily氏は、ボウリング用のロボットにパーフェクトゲームを達成させ、熟練度をあげようと目論んだようだ。
Emily氏はマネキンを素体とした「ボウリング満点ロボット」を制作開始した。まず腕の部分にベアリングを埋め込んで腕を振れるように改造。そしてWiiリモコンを保持するケースには、サーボモーターを組み込み、ボタンを押せるようにした。

ただこの手法ではストライクを連発できるほど精度は高くなく、行き詰ってしまったようだ。そこでEmily氏は“2号機”を考案。Wiiリモコンを持たせたマネキンの腕を振らせるのではなく、小さなアームにWiiリモコンケースを接続し、スナップを効かせてボールを投げさせる方法をとった。装置のボタンを押すだけでWiiリモコンがスイングされ、高い精度でボールを投げてくれるマシンだ。
この手法は2007年、Will Gorman氏がレゴブロックを用いて制作した「WiigoBot」と奇しくも同じ方式となった。Emily氏は「WiigoBot」の動作も参考にしつつ、Wiiリモコンをちょうどよく振ることのできるギア比を模索。連続ストライクを出すほど高精度になりつつもなかなかパーフェクトゲームには届かなかったようで、苦戦していた様子だ。
そうして微調整を繰り返しつつ、ついにEmily氏の「ボウリング満点ロボット」は12回連続ストライクでスコア300を達成。達成の瞬間思わず外まで走り出してしまうほどの喜びようからは、試行錯誤を幾度となく繰り返したであろう苦労がうかがえる。

ところがもともと掲げていた「プロの称号を取り直す」目標については、ロボット制作時のテストプレイですでに達成してしまっていた。本末転倒ではあるものの、せっかくなので「ボウリング満点ロボット」には新たな挑戦が用意されたようだ。Emily氏はロボットの実力を証明する場として、対人の試合をおこなうことにした。
ほかのプレイヤーがせっせと腕を振る傍らで、Emily氏はソファーでくつろいだりしつつ、ボタンをワンプッシュするのみ。しかし高い精度でストライクを連発し、結果としてはスコア256。パーフェクトゲームこそ逃してしまったものの、ロボットは他3人の参加者のスコアを100以上も上回る圧倒的な成績を残した。その後も複数回試合をおこなったものの、最終的にロボットのスコアを超えられる人は現れなかったそうだ。
なお『Wii Sports』では実戦形式の試合のほかに、「トレーニング」モードとして、より大量のピンを倒す「なぎ倒し」やコース上に設置された壁を避けつつピンを倒す「かべよけ」が存在している。しかしEmily氏は、もう「ボウリング」をプレイすることはないだろうとのことで、おそらく別のモードをクリアするロボットは作成しない方針とみられる。
ちなみに『Wii Sports』のボウリングは、2023年に開催されたゲームイベントのシニア向け大会で種目として採用されたこともあった(関連記事)。Wiiリモコンを振るだけというシンプルゆえに極めづらい操作は、本作のボウリングが令和になっても時おり話題に上る所以かもしれない。