リアル中世ゲーム『キングダムカム・デリバランス 2』には「リアル中世銃器」があり、やたら使いにくい。開発者いわく“ネタ武器”扱いは承知の上

PLAION/Deep Silverより2月5日に発売された『キングダムカム・デリバランス 2』には、前作になかった新たな武器種として「銃器」が登場。史実に則してか非常に扱いづらい武器ながら、開発者はそれでもあえて登場させたかったという。PC Gamerのインタビューにて明かされている。
本作は、Warhorse Studiosが手がける一人称視点のオープンワールドアクションRPG『キングダムカム・デリバランス』の続編だ。舞台となるのは15世紀初頭のボヘミア王国。国王の死をきっかけに、ハンガリー王シギスムントの侵略を受け、ボヘミアは混乱状態にある。プレイヤーは騎士見習いであるスカリッツのヘンリーとして、争乱のボヘミアを冒険する。前作から続く物語が描かれ、ボヘミアの大都市クッテンバーク周辺が新たな舞台となる。
本作には前作同様弓や剣やメイスなどが登場するほか、新たにボウガンも追加。そして注目すべき武器として、原始的な銃器も登場する。銃器とはいっても、引き金もなくグリップもない、砲塔に持ち手となる棒をつけただけの、いわゆるハンドキャノンだ。
なお本作も前作も時代設定は同時期なので、前作でハンドキャノンが登場してもおかしくはなかったという。しかし本作の開発者がPC Gamerに伝えるところによると、少なくともプレイアブル武器として前作に銃器が登場しなかったことには理由があるそうだ。本作のシニアゲームデザイナーのOndřej Bittner氏によれば、当時の銃器は突撃してくる騎兵隊に、集団で浴びせ撃ちする兵器だったという。火を付けてから発射までに時間がかかり、精度も悪く、再装填にも時間がかかるため、ひとりで携行して護身用に扱える武器ではなかった様子だ。
そのため軍隊同士の戦闘は一部に限られ、騎兵との戦闘もなかった前作では、あえて実装されることはなかったようだ。とはいえ、『キングダムカム・デリバランス 2』でも基本的には軍がぶつかる戦争ではなくヘンリーの行く先々での小規模な戦いがメイン。にもかかわらずなぜかハンドキャノンが新武器として登場したわけだ。
Bittner氏によれば、馬鹿げた武器(meme weapon)になるのは承知で本作にハンドキャノンが実装されたという。プレイヤーに、この時代の銃器がどのようなもので、どのように操作されるのかを見てもらう狙いがあったとのこと。本作のハンドキャノンも、発射までの時間もかかり、再装填が遅く、精度も劣悪という史実どおりとみられる扱いづらさだ。重装甲の相手にも頼もしい威力を発揮するものの、至近距離でないと当てることさえ難しいうえ、音が大きく煙で視界を遮られるおまけ付きとなっている。
ちなみにBittner氏によると、本作のハンドキャノンの音は、友人が所有する当時の銃器のレプリカから録音しているとのこと。同氏いわく、撃つと凄くかっこいいものの(撃つ側が)死ぬかもと思ってしまう恐ろしさも兼ね備えた代物だったという。そんなレプリカでも、現代の金属の鋳造技術で作られているため、武器としては当時よりずっと安全なようだ。当時の銃器がやたらと扱いづらい割に危険な武器だったこともうかがえる。
音にまでこだわって“あえて”実装されたという『キングダムカム・デリバランス 2』のハンドキャノン。信頼できるボウガンや弓を差し置いて、火力のロマンを追い求めたい人は手に入れた際に愛用してみるのもいいだろう。ちなみにハンドキャノンにも弓術スキルが適用されるため、今後ハンドキャノンで戦いたい人は弓術を磨いておくといいかもしれない。
『キングダムカム・デリバランス II』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。